リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第1章 非日常編②

裁判場に入った。

 

裁判場には、席が環状に設置されていた。

 

席には、ご丁寧に全員の名前が書いてあった。

 

明石君の席には…

 

笑顔の明石君の遺影が置かれていた。

 

遺影には、大きな赤いバツ印が描かれていた。

 

「…な、なんなんですか…これ…」

 

向かいの席の相浦さんが質問した。

 

『見ての通り明石クンの遺影だよ!明石クンだけのけ者にするのはかわいそうでしょ?』

 

あまりの悪趣味さに、あたしは腹が立って台に拳を振り下ろした。

 

 

全員が席に着いた。

 

『全員揃った?じゃあ、始めよっか!ドキドキワクワクの学級裁判を!』

 

 

 

学級裁判開廷!

 

 

 

『まずは、事件のまとめからだね!じゃあ、議論を開始してくださーい!!』

 

 

 

議論開始

 

法正「…じゃあ、僕がファイルを読むね。被害者は明石 大吉。死亡時刻は午後10時頃体育館倉庫の天井に括り付けられたロープで首を吊った状態で死亡。死因は窒息死。首には索条痕と吉川線が見られる。被害者の爪には被害者のものと思われる皮膚と血液が付着。…みんなも把握してるよね?」

 

真樹「…状況から察するに、首吊り自殺って事?」

 

黒須「自殺してしまうほど追い詰められていたんでしょうか…」

 

 

「…いや、多分違うんじゃないかな?」

 

反論

 

真樹「何よ!アタシの言ってる事が間違ってるって言いたいワケ!?どう考えても首吊り自殺じゃん!!」

 

…自殺じゃないと言える根拠…アレしかないな。

 

 

【使用コトダマ:モノクマファイル】

 

 

論破

 

「…法正君も言ってくれたけど、明石君の首には吉川線があったよ。それに、爪にも皮膚と血液が付着してるよね。これって、明石君が、何者かに首を絞められて、抵抗しようとして首を掻き毟ったって事の証拠だよね!」

 

真樹「うぅっ…!」

 

小林「ヨシカワセンって何?」

 

魅神「絞殺された死体に残った、抵抗して首を掻き毟ってできた傷痕の事だよ〜。それの有無で、自殺か他殺か判断するんだよね〜。」

 

金剛寺「…つまり、明石さんはここにいる誰方かに殺害された、という事ですの?」

 

奴目「じゃあ、ダイちゃんはどうやって絞殺されたの?」

 

 

議論開始

 

 

小林「素手でグイッといけないかな?」

 

銀杏田「ロープでも使ったんでしょう。」

 

佐伯「アクセサリーとかで絞め殺したんじゃね?」

 

…銀杏田君の意見が正しそうだな。

 

 

【使用コトダマ:消えたロープ】

 

 

同意

 

「…多分、銀杏田君の言う通り、ロープで絞め殺したんじゃないかな?あらかじめ、物置から盗んでおいたロープで明石君を絞殺した後、同じロープを天井に括って、首吊り自殺に見せかけたんだと思うよ。」

 

黒須「なるほど…では、次は殺害現場ですね。」

 

九十九「誰か、心当たりは無いかッ!!?」

 

「心当たり…」

 

…多分、ここしかないだろう。

 

 

【提示コトダマ:体育館倉庫】

 

 

「…体育館倉庫だと思うよ。状況からして殺人現場と死体発見現場が同じと考えるのが自然だし、あたしが明石君と待ち合わせの約束をしたのも体育館倉庫だしね。」

 

魅神「何?夏川ちゃん、明石と待ち合わせしてたの〜?昨日まで法正クンとラブラブだったのに、気移り早くな〜い?夏川ちゃんて、純粋そうに見えて実はビッチだったんだ〜。」

 

「違うから!…ただ、明石君が、学園の重要な秘密を知っちゃったって言ってたから、それを聞こうと思って…」

 

宇田川「重要な秘密?どんな内容かは知ってるんですか?」

 

「ううん。…聞こうと思ったんだけど、その夜寝ちゃって…」

 

奴目「約束すっぽかしちゃったって事!?そんな状況で!?普通ありえる!?」

 

「…ありえないね。ごめんなさい。」

 

奴目「…でも、ダイちゃんが言ってた重要な秘密って、何の事だったんだろ…?」

 

佐伯「…それと関係があるかはわかんねえんだけど…ちょっと気になる事が…」

 

…もしかして、アレか?

 

 

【提示コトダマ:内ポケットに入ったカナヅチ】

 

 

「…カナヅチの事?」

 

佐伯「そう、それだよ!!あれって、明石の工具セットだろ?…なんで明石が持ってたんだ?」

 

アナスタシア「…工具を持って、人気のないところに呼び出したんだとすれば、目的は一つしか考えられないな。」

 

…目的?…まさか、嘘だ…

 

 

 

 

明 石 君 が あ た し を 殺 そ う と し て い た ?

 

 

 

法正「多分、重要な秘密というのは、明石君が、夏川さんをおびき寄せるための嘘だ。明石君は、最初から夏川さんを殺す気だったんだよ。」

 

「…そんな。」

 

魅神「…ねえ、今その話どうでも良くない?そんな事よりさ、早く事件の状況の整理しよーよ。」

 

(最初に脱線したの魅神君のくせに…)

 

 

議論開始

 

 

相浦「…そ、倉庫は、施錠されていたんですよね…」

 

佐伯「でもよ、電子生徒手帳を使えば誰だって鍵閉められんだろ?普通に、絞め殺した後電子生徒手帳で鍵かけたんじゃねえの?」

 

 

「それは違うよ!」

 

 

反論

 

佐伯「証拠はあんのかよ!」

 

…アレを証拠として提出すべきだろうか?

 

 

【使用コトダマ:倉庫の鍵の開閉履歴】

 

 

論破

 

「これ見て。これは、相浦さんが調べてくれた、電子生徒手帳による鍵の開閉の履歴のメモなんだけど、21:48と07:09が『開』になってるでしょ?つまり、その間は、電子生徒手帳による施錠は行われなかったって事。」

 

金剛寺「でも、そうなると、鍵は履歴に残らないなんらかの方法で施錠されたって事になりますわよね?…そんな方法あったかしら?」

 

…おそらく、あの方法だろう。

 

 

【提示コトダマ:手動開閉レバー】

 

 

「多分、犯人は手動開閉レバーを使ったんだよ。そうすれば履歴を残さずに施錠できるからね。」

 

宇田川「ちょっと待ってください。そうなると、鍵は内側から施錠されたという事になりますよね?」

 

千葉崎「…となると、やはり自殺の可能性も否定できんのう。」

 

真樹「ほ、ほらぁ!!」

 

いや、ちょっと待て。そんな簡単に結論づけていいのか?

 

佐伯「お前ら、明石はこの中の誰かに殺されたに決まってんだろ!?」

 

「…佐伯君?」

 

佐伯「オレはアーティストだからな、直感には自信あんだよ。…間違いねえ、明石を殺したのはこの中の誰かだ!!…夏川ちゃん、気になる事があったらなんでもいい、言ってみてくれ。」

 

…気になる事?アレだろうか。

 

 

【提示コトダマ:レバーのキズ】

 

 

「…そう、なんかレバーに何かを巻きつけたんじゃないかな?そんな形跡があったんだ。」

 

魅神「何を巻きつけたんだろうねー。」

 

銀杏田「…物置から無くなっていたロープは一本だけ…そう考えると、別のものを使用したという事になりますね。」

 

 

議論開始

 

 

金剛寺「何でしょう…でしょうか…?」

 

魅神「別の場所からロープでも持ってきたんじゃないのー?」

 

千葉崎「ワイヤーかもしれんぞ?」

 

黒須「ベルトの可能性もありますよね…」

 

千葉崎さんの意見に賛同したい。

 

【使用コトダマ:バレーのネットのワイヤー】

 

 

同意

 

 

「多分、ワイヤーを巻きつけたんだと思うよ。千葉崎さんが見つけた、ワイヤーのないバレーのネット…多分、ワイヤーをネットから引き抜いて使ったんだよ。」

 

真樹「でも、それがわかったから何よ!どうやって鍵を閉めたのかがわかってないじゃん!!」

 

佐伯「そんなの知るかよ!」

 

千葉崎「事件は迷宮入り…かのう。」

 

九十九「そんな簡単に諦めるんじゃない!!もっと熱くなれよ!!!」

 

…そう、問題はそれだ。

 

どうやって鍵を閉めたか、なんだ。

 

考えろ、何か思いつく事はないか…?

 

 

閃きアナグラム

 

 

次々と、頭の中にピースが浮かんでくる。

 

それを…素早く拾って、組み合わせて…

 

…これだ!!

 

 

「…滑車の原理?」

 

相浦さんと宇田川君の理系トークを思い出して、ふと言葉を漏らした。

 

相浦「…あ、ホルスト・バーナー氏の論文…!」

 

法正「…なるほど、滑車の原理を使えば、自分の力を使う事なく施錠できるかもね。…でも、そのためには錘が必要なはず…」

 

…錘、もうこれしかないだろう。

 

 

【提示コトダマ:不足した錘】

 

 

「倉庫から、錘が一個無くなってたんだ。多分、それを使ったんじゃない?」

 

宇田川「…でも、一つ問題が…その方法を使っても、犯人が出た後で施錠するのは不可能なのでは?」

 

相浦「…な、何か、時間が経てば外れるストッパーのようなもので固定したとか…」

 

真樹「でも、そんなのどこにも無かったわよ!」

 

ストッパー?…それだ!!

 

…確か、金剛寺さんが気になる発言をしていたな。

 

 

【提示コトダマ:消えたドライアイス】

 

 

「…ドライアイス。多分、ドライアイスを使って錘を固定していたんだ。」

 

宇田川「…それなら、時間が経てば完全に昇華して証拠が残りませんからね。…しかし、そのためには短時間でドライアイスを一気に昇華させる必要があります。トリックの証拠品の回収も行わなくてはなりませんからね。」

 

「…方法は、あるよ。」

 

アレしかないだろう。

 

 

【提示コトダマ:暖房】

 

 

「倉庫の暖房がつけっぱなしだったんだ。…多分、ドライアイスを早く融かすために部屋を暖めたんだよ。」

 

宇田川「…なるほど、それなら納得です。」

 

銀杏田「…では、次は証拠品の回収方法でしょうかね。」

 

 

議論開始

 

 

小林「ワープじゃない!?」

 

宇田川「そんなわけ…スキマのようなものでもあったんでしょう。」

 

奴目「うーん…勝手に染み出したとか?わかんない!」

 

宇田川君の意見が正しそうだ。

 

 

【使用コトダマ:通気口】

 

 

同意

 

「確か、通気口があったよね。そこから証拠品を引き抜いたんじゃ…」

 

魅神「そこなら、人は通れないけど、証拠品を回収するには十分なスキマだもんね〜。」

 

銀杏田「…トリックの方は、解明されましたね。…では、いよいよ犯人探し、ですか。」

 

真樹「アタシ、ミカミかパリンチェかのどっちかだと思う。」

 

アナスタシア「…証拠はあるのか?」

 

真樹「ひぃい…!だ、だって二人とも、人殺しの才能持ってんじゃん!!」

 

魅神「それとこれとは話が別だろー?勝手な憶測で話進めんのやめろよ、マジで。」

 

真樹「ひぅうぅ…だって、だってぇ…!」

 

黒須「やめましょうよ、三人とも!…とりあえず、何か心当たりのある方はなんでもいいので発言してみては?」

 

…心当たり?とりあえず、アレを提示してみようか?

 

 

【提示コトダマ:昨日の行動】

 

 

「…あたし、昨日法正君が持ってきてくれたアイスを食べながらお話してたんだけど…何か参考になるかな?」

 

アナスタシア「その後は?」

 

「えっと…明石君と約束してから部屋に戻ったんだけど、眠くなっちゃって…」

 

魅神「普通大事な約束してるのに寝ないでしょー?その後眠くなったって事は、やっぱアイスになんか盛られてたんじゃねえの?」

 

…そう、普通ありえないはずなんだ。…もしかして、アレが原因か?

 

 

【提示コトダマ:消えた睡眠薬】

 

 

「…睡眠薬?」

 

奴目「えっ、じゃあ、メグメグはわざと眠らされたって事!?」

 

黒須「でも、一体誰方に…」

 

「…それは。」

 

 

人物指名

 

 

…どうか、間違いであってくれ。

 

だってその人は、最も疑いたくない人物だったから…

 

あたしが、一番尊敬してた人だから…

 

迷いながらも、あたしはその人物に指を指した。

 

 

 

 

 

「…君だよね?

 

法正 良馬君。」

 

法正「…ねえ、夏川さん。証拠はあるの?」

 

「…え。」

 

 

議論開始

 

 

法正「…全部、君の妄想だろ?僕が持ってきたアイスを食べた直後、眠くなったからって僕が犯人とは限らないよね?君の憶測には、ちゃんとした証拠が無いんだよ!」

 

 

「それは違うよ!」

 

 

反論

 

法正「何が違うっていうの?さっきから、全部君の妄想じゃないか。」

 

いいや、彼が犯人だと言い切れる証拠がある。

 

 

【使用コトダマ:焦げ茶色の繊維】

 

 

論破

 

「…明石君の指に、ベタベタした何かと焦げ茶色の繊維が付いていたんだ。」

 

小林「ああ、あの甘い匂いの!」

 

金剛寺「ベタベタした何か…甘い匂い…もしかして、明石さんがくださった飴玉でしょうか?」

 

「…多分ね。ねえ、法正君。この繊維、君のズボンのものだよね?」

 

 

法正「ーッ!!!」

 

法正君が、青ざめた顔をした。

 

…もう、終わりにしよう。こんな裁判。

 

 

クライマックス推理

 

 

頭の中に浮かび上がった漫画のコマに、ジグソーパズルのように適切なピースをはめていく。

 

…できた。これが、事件の真相だ!!

 

 

Act.1

 

DVDを見た後、明石君は裏であたしを殺す準備をしていた。…多分、妹さんを助けるためにね。…明石君の計画に勘付いた犯人は、保健室から睡眠薬を盗み、あたしのアイスに盛って食べさせたんだ。その後、物置からロープを、冷蔵庫からドライアイスを盗んで、体育館倉庫の中で待ち伏せしていた。その時、一緒に部屋の暖房も入れておいたんだ。部屋の温度を上げておくためにね。

 

 

Act.2

 

カナヅチを懐に忍ばせて、待ち合わせの2分前に到着した明石君を、背後からロープで絞殺。…でも、犯人はミスを犯してしまったんだ。…多分、ロープはポケットの中に突っ込んで倉庫に入ったんだと思うけど、一緒にポケットに入っていた明石君がくれた飴玉が、部屋の温度で融けて、ロープにくっついてしまった。そこに、犯人の服の繊維も一緒にくっついたんだろう。その部分に、明石君が抵抗してる時に触ってしまって、繊維が指に付着してしまったんだ。そして、明石君が抵抗しようと首を引っ掻いたせいで、首と爪に引っ掻いた痕跡が残ってしまった。それが、事件が他殺である事の証明になったんだ。

 

 

Act.3

 

その事に気がつかなかった犯人は、証拠隠滅を始めた。まず、ロープを天井に括って、死体を首吊り自殺に見せかけた。そして、次に自殺に見せかけるために、内側から勝手に鍵が閉まる仕掛けを作る準備に取り掛かった。まず、バレーのネットからワイヤーを引き抜き、先端の一方を、自動開閉レバーに括りつけた。そしてワイヤーを、通気口に一番近い天井のポールに引っ掛けて、もう片方の先端に錘を括り付けて、棚か何かに固定しておいたドライアイスで錘を支えた。その後、犯人は一旦倉庫から出た。

 

 

Act.4

 

犯人が倉庫を出た数分後、ドライアイスが完全に融けて錘を支えるものがなくなり、錘が落下。そして、滑車の原理によって、レバーが上に上がり、鍵が自動的に閉まったんだ。それを確認した犯人は、通気口から錘のついたワイヤーを回収した。その後、重要な証拠を倉庫に置いてきてしまった事に気付かないまま、倉庫を後にしたんだ。

 

 

「…犯人は、君だ。…そうだよね、

 

 

 

『超高校級の軍師』法正 良馬君!!!

 

 

「ーーーーーーーーーーッ!!!」

 

あたしに指を指された法正君は、顔を真っ青にして、冷や汗をかいていた。

 

…そして、彼は大きくため息をつくと、観念したように言った。

 

 

「…あーあ。負けちゃった。」

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