聖闘士星矢Ω 92話を小説風にしてみた。   作:アーク1

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最近Twitterで聖闘士星矢Ωの話を呟いたせいか、ちょっと再燃しちゃった(笑)

pixivに挙げてたものをこちらにも投稿します。
需要あるかわからんけど。


聖闘士星矢Ω 92話を小説風にしてみた。

「我こそは、パラス様の守護者...真のパラサイト、タイタン。」

 

「黄金聖闘士...射手座、サジタリアスの星矢。」

 

互いに名乗り合う星矢とタイタン。

 

今、アテナとパラス...二人の女神の最高戦力の戦いが始まろうとしていた。

 

「いくぞ...」

 

タイタンに向かって駆け出す星矢...

 

「来い...」

 

迎え撃つタイタン。

 

「「うおおおおおおおおお」」

 

交錯する二人の拳...

 

そこに光牙たちが到着する。

 

「これは...」

 

そこで目撃したのは、Ωの小宇宙に目覚めた自分達ですら届かない...そう思える程に高位の次元の戦いだった。

 

『アトミック・サンダーボルト』

 

星矢の拳がタイタンに向かう...

それを避わすタイタン...

 

『サテライト・クラッシャー』

今度はタイタンが星矢を攻撃する。

 

それを受け止め弾く星矢。

 

「なんて...戦いだ...」

 

蒼摩が呆然として呟いた。

 

「星矢とタイタン...互角なのか...」

 

栄斗は冷静に戦いを分析する。

 

自分達がΩに目覚めてなお、6人がかりでようやく倒したハイペリオン...

 

そのハイペリオンとタイタンの力はそれほど変わらないように見える...

 

否...ひょっとすると、ハイペリオンを超えるかもしれない。

そう思える程に二人の戦いは凄まじかった。

 

「まるで、千年戦争...いや、それを超える小宇宙のぶつかり合い...」

 

龍峰も栄斗と同じような感想を抱く。

 

「凄い...」

 

ユナはそれしか言えなかった...

 

(確かに、すげぇ戦いだ...でも...神の力の前じゃ...)

 

そんな中、唯一昴だけは神の力の前では、無意味な戦いであると感じていた...

 

ここに来て、昴の考えはある思考に支配されつつあった。

 

人の力は、神を超えられない...

何故そう考えるのか...それは本人にすらわからなかった。

 

自分は人として神を超えるのではなかったのか?

昴が悩んでいる時、

 

「星矢...加勢するぜ。」

 

光牙が戦いに加わろうとする声を聞いて、現実に引き戻された...

 

「お前ら...下がってろ...」

 

そこに、ハービンジャーが、戦いに加わろうとする光牙を制止した。

 

ハービンジャーの声に、その存在に気づく光牙たち。

 

「ハービンジャー...」

「その傷...」

 

ハービンジャーは、柱にもたれ掛かっていた。

タウラスの黄金聖衣は、袈裟懸けに切り裂かれ、本人も大きな傷を受けていた。

 

その姿に、一瞬驚く光牙だったが、止められた事を思い出して、抗議する。

 

「なんでだよ。」

 

納得のいかない光牙に、ハービンジャーが冷静に話す。

 

「あの戦いにお前たちが参加しても、星矢の足を引っ張るだけだ...大人しくしてろ。」

 

「俺達はΩに覚醒した。黄金聖闘士にも負けないほど強くなったんだ。足手まといになんてならないさ。」

 

「そうじゃねぇ。確かに単純な強さなら、星矢に届く位の力が、今のお前たちにはあるのかも知れねえ。だがな...あのクラスの戦いに加勢するには、星矢と上手く連係が取れなきゃ、逆に星矢の邪魔になるって言ってるんだ。星矢とずっと戦ってきた紫龍たちならともかく...お前たちにそれができるのか?」

 

そう言われると、光牙は黙るしかなかった...

 

星矢と一緒に戦った事など、この中ではユナがアプスに乗っ取られた自分を取り戻す為に共闘した1度だけ...とても連係など取れるハズもない。

 

「だったら、黙って見てろ...」

 

「くそ...」

 

引き下がる光牙...

 

そんなやり取りの中も、二人の撃ち合いは続いていた。

 

全く互角の両者の戦いは、膠着状態に陥っていた。

 

しかし、二人の戦いを見守る女神のスタンスの違いが、この膠着状態を動かす事になる。

 

星矢を見守るアテナ。

 

これまでも、自分を守るために多くの神々を打ち倒してきた星矢に、アテナは絶大な信頼を寄せていた。

例え、何度倒れようとも不屈の闘志で立ち上がり、必ず生きて自分の元へ帰ってきてくれる。

そう信じていた。

 

タイタンを見守るパラス。

 

自分を守ると言ってくれたタイタン...

でも、自分の周りの者は、皆離れていってしまう...

アテナも...パラサイト達も...

このままタイタンもいなくなってしまったら...

怖い...この上タイタンまで失ってしまったら...

 

そして、もう何度目になるかもわからない撃ち合い...

だが、今回はそれまでと違う事が起こった...

星矢の身体が一瞬硬直したのだ。

それは、パラスが星矢にかけた金縛り...

今の星矢の小宇宙なら、例え神の力を持ってしても、そう簡単にかかるようなことはない。しかしやはり、不意打ちで仕掛けられた為に抗い切れなかった。

 

その隙を見逃さず、タイタンは星矢の拳を弾く。

そして...

 

『サテライト・インパクト』

 

タイタンの小宇宙を乗せた拳が星矢の腹に突き刺さる。

 

「ぐぉっ」

 

たまらず吹っ飛んだ星矢は、部屋の柱に激突し、その破片に埋もれてしまった。

 

「星矢っ!」

 

星矢の名前を叫ぶアテナ。

 

タイタンは、一瞬パラスに悲痛な顔を見せる。

 

「卑怯だぞ。パラス。」

「今度は俺達が相手だ。」

 

たまらず飛び出す光牙たち。

 

「邪魔だ!?」

 

だが、タイタンの攻撃で簡単に吹き飛ばされてしまう。

 

「なんで...」

「俺達はΩに目覚めたはずなのに...」

 

呆然とする光牙たちに、タイタンが追い討ちをかける。

 

「呆気ない...これがΩの聖闘士だと?どうやらハイペリオンに勝てたのは偶然だったようだな...これなら星矢一人の方が、遥かに強かったぞ?」

 

「なんだと!」

 

光牙たちを一蹴したタイタンは、もはや光牙たちには見向きもせず、アテナに向き直る。

 

「アテナよ...あなたの愛は間違っている。あなたの愛は、パラス様を苦しめ、地上の人々に災いをもたらし、多くの聖闘士を死に追いやった...あなたは災いを呼ぶ戦いの女神だ。」

 

アテナを糾弾するタイタン。

 

アテナは、タイタンを気丈に見返す。

 

しかし、次の言葉がアテナの心に罅を入れた。

 

「サジタリアスの星矢...あなたの忠実な僕である彼もまた...あなたの犠牲者だ。」

 

その言葉に、目を見開くアテナ。

瞬間、脳裏に甦ってきた記憶...

 

十二宮での戦いで、ボロボロになった星矢...

アスガルドで...ポセイドンとの戦いでもボロボロになった...

 

そして、ハーデスとの決戦で自分の盾となってハーデスの剣を受けた星矢...

 

それは、アテナの...木戸沙織のトラウマとなっていた。

その後も、いつだって星矢はアテナである自分を守るために、ボロボロになりながら戦い続けた。

マルスとの戦いでは10年以上もの間、闇の中に囚われていた...

 

星矢は、自分を恨んでいないのだろうか...

 

何度も考えた事がある...暗い思考が脳裏をよぎる...

だが、その瞬間...闇を切り裂くように一筋の光が自分の横を抜け、タイタンを襲った。

 

その光を防ぐタイタン...その視線の先には...

 

瓦礫を押し退けて、星矢が拳を前に突きだしていた。

 

「勝手に人を犠牲者にするなよ。」

 

そう言って立ち上がった星矢...

 

「アテナを...沙織さんを泣かせるな...」

 

「星矢...」

 

沙織は嬉しかった。

 

やはり、星矢は生きていた。そして何よりも...

星矢が自分を名前で呼んだ...

いつ以来だろうか...

 

星矢がサジタリアスの黄金聖闘士になってしばらくは名前で呼んでくれていた。

 

だが、新しく聖闘士たち編成されると、アテナとしてしか呼んでくれなくなっていた。

 

星矢の意図は理解できる。黄金聖闘士として模範となろうとしているのだと。

 

それでも悲しかった。星矢にだけは木戸沙織として見て貰いたかった...

 

だから、本当に嬉しかった。

 

一方、光牙は驚いていた。

 

星矢が沙織をアテナではなく名前で呼ぶのを初めて聞いたからだ。

いつだって冷静で...アテナの聖闘士ぜんとしていた星矢が『沙織』と呼ぶなんて...

 

「泣く?勝つためなら犠牲をも厭わない戦いの女神がか?」

 

星矢の言葉に嘲笑で返すタイタン。

 

「俺は知ってる...沙織さんはアテナとして生まれた宿命に立ち向かい...人々の為に、いつだって自分を犠牲にして戦ってきた。」

 

それは光牙も納得の行く言葉だった。

しかし、次の言葉に再び驚くことになる。

 

「強情で...負けん気が強くて...でも誰よりも、人々が苦しむことに胸を痛め...聖闘士が倒れる度に悲しんでいた。涙を見せることは無くても、心の中で泣いている...そう言う人だ...」

 

そんな沙織を光牙は知らなかった...

光牙にとっての沙織は、慈愛に満ちて、凛とした強さを持ち、自分にとっては母であり、理想の女性であり、そして...自分達の守る女神アテナだった。

 

そんな光牙の葛藤を他所に、星矢とタイタンの会話は続く。

 

「俺はもう...この人を悲しませたくない。」

 

「神への言葉とは思えんな...」

 

「俺にとっては...木戸沙織と言う一人の女性だ。」

 

「聖闘士はアテナに忠実な戦士ではないのか?お前は命令に従っているのだろう?」

 

「俺は黙って命令に従うほど素直じゃない。いつだって、俺の意思で戦っている...」

 

「お前の意思だと?」

 

「神だろうが人間だろうが関係ない。守りたい人がアテナだった。ただそれだけだ。」

 

沙織は...嬉しくて涙が出そうになるのを懸命に堪えていた。

 

どれ程待ちわびた言葉だっただろう...

 

木戸邸で初めて出会ってからこれまで...

どれだけ待っただろう...

アテナとして、一聖闘士を特別視することは出来ず、木戸沙織としての思いを奥底に閉まっていた。

それでも、星矢への思いを消すことは出来なかった...

 

ここが戦場で無ければ、今すぐに星矢の胸に飛び込んで、思いきり泣きたい...

 

「それが...サジタリアスの星矢の本心だと言うのか?模範となるべき黄金聖闘士が私情で戦っていると?」

 

「ああ。」

 

タイタンの問いかけに、迷うこと無く頷く星矢。

 

「ふはははははは...アテナ、アテナと吠えるただの犬だと思っていたが...」

 

「アテナ、アテナと吠えてないと、他の聖闘士に示しが付かないだろうが。」

 

その会話を聞いて、光牙はようやくわかった...

 

星矢の事が嫌いだと思っていた...

沙織に一番思われているのに、沙織の心を理解しようとしない星矢が嫌いだった...

だから反発した。そんな星矢が許せなくて。

 

でも違った...星矢はただ...黄金聖闘士として、他の聖闘士の模範となるように自分を偽っていただけだった。

 

今の星矢は、自分が幼いころに見た星矢の背中を通して感じた星矢そのものだ。

 

そうだ...これこそが星矢だ。

自分が憧れた背中...今、目の前にその背中があった。

 

頑張れ星矢...光牙は心の中で星矢を応援した。

 

一方、タイタンは笑いをおさめると、話を続けた。

 

「いや...お前を笑ったのではない。気を悪くしたのなら詫びよう。今の私には、お前の言うことが、余りに良く理解できるのでな...」

 

「へぇ。」

 

その言葉に、ニヤリと笑う星矢。

薄々気づいていた...タイタンは自分と同じ...

 

「私も、お前と同じ気持ちなのだ。この命に変えてもパラス様を守る...誰に命令された訳でもない。一人の女性としてお守りする...これは紛れもなく、このタイタンの意思。」

 

「タイタン...」

 

パラスはタイタンの言葉に、葛藤した。

自分は何をやっているのだろう...

アテナお姉さまから愛されたい...その思いは変わらないハズ...

でも、それはタイタンを失ってでも欲しいものなのか...

 

「...お前、以外と無鉄砲で...熱いヤツのようだな。」

 

「貴様も私も、お互い様だ。かつての主に心なくただ忠義を尽くすだけであったなら、このような熱き思いを知ることは無かった...だが今は...パラス様の為に、この命を懸けて戦う喜びを感じるのだ。感情に流されて戦うなど愚かなこと...だがこのような行き方...悪くない。そして敵とは言え貴様のような男と巡り会い、戦うことが出来る...私は嬉しいのだ。」

 

「フッ...そいつは光栄だな。」

 

星矢は思った。

そうだ、光栄だ...タイタンほどの男にそう思われる...それは正に男冥利に尽きると言うものだ...だから...

 

「さあ...決着を着けようではないか。愛する者のために命を懸けて。」

 

「敵と敵とじゃ無く...男と男の決着をな。」

 

そうだ...決着を着ける。敵としてではなく、男として...尊敬すべきこの男と...

 

再び激突する両者...

 

だが、先程の攻撃で負傷している星矢は僅かだが押されていた...

それでも...

 

「驚いたぞ...クロノテクターを纏った私の拳を悉く受けてなお、立ち向かってくるとは...」

 

「諦めの悪さなら...宇宙一かもな...」

 

星矢は笑っていた。そしてタイタンも...

 

「不屈の闘志見事...だがこの我が最大奥義の前では、生き延びることは出来ぬ。」

 

タイタンは両手を広げると、間に球状の小宇宙の塊を作り出した。

その瞬間...タイタンの作り出した小宇宙の塊を中心に風が吹き荒れる。

 

「引っ張られる...どうなってるんだ。」

 

タイタンに引っ張られる自分の身体に焦る蒼摩。

 

「タイタンの小宇宙が、とんでもない質量を生み出している。重力場が乱れているんだ...」

 

タイタンの作った小宇宙の塊は、なおも大きくなっており、今や直径にして三メートル程にまでに拡大していた。

 

「星ほどもある、このタイタンの小宇宙...受け切れるかな?星矢よ。」

 

それに答えるように、星矢はサジタリアスの黄金の弓矢を取りだし、つがえる。

 

かつて、多くの神々との戦いで勝利をもたらしてきた、必殺の一矢。

 

それを使わなくてはならない程に、タイタンの奥義は強大だった。

 

「受けてたつか...」

 

タイタンはわかっていた。

星矢は逃げないと。それでも、こうして真っ正面から受けて立とうとする姿を見ると、自然と笑みが浮かぶ。

 

「俺には仲間がいる...祈ってくれる女性(ひと)がいる...俺の全てを懸けてでも...タイタン...お前を倒す。」

 

「ならば...我が最大最強の奥義...受けて見るが良い...星矢よ。」

 

『ギガンティック・プラネットエンド』

 

タイタンの手から解き放たれた小宇宙の塊は星矢に真っ直ぐ向かっていく...

 

「燃えろ...俺の小宇宙...」

 

星矢の身体から莫大な小宇宙が吹き上がった。

 

『コズミック・スターアロー』

 

星矢が放った一撃がタイタンの技を受け止める。

しばし拮抗する力と力、しかし状況は少しずつ変化していた。

 

「ぐっ!?」

 

ジリジリと押され始める星矢...

 

やはり、負傷した身体が星矢の技に影響を与えていたのだ。

 

「星矢...あなたを信じます。」

「タイタン...」

 

二人の女神が、二人を守る男たちの戦いを見守る。

 

しかし、二人の女神の想いを受けた星矢とタイタン...二人の心情は決定的に違っていた...

 

自分の勝利を信じてくれている...

沙織の心を強く感じる星矢...

 

心配そうに自分を見るパラスに、先程の横槍を思い出し、星矢の負傷に後ろめたさを感じるタイタン...

 

その違いが、この戦いの決着を決定着けるものとなった。

 

「うおおおおおおおおおお」

 

一瞬の隙をついて、サジタリアスの矢を解き放つ星矢。

 

星矢の小宇宙を受けた黄金の矢は、タイタンの技を貫き、タイタンの肩を貫いた...

 

「タイターン!!!」

 

その姿にパラスの絶叫が木霊したのだった。

 

 




聖矢VSタイタンは1話丸々使って欲しかった。

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