おかしい。どこやねんここは・・・?さっきまで仲間たちと素材狩りをしていて、集めたドロップアイテムを分配し終えてから、帰還魔法『デジョン』を唱えてもらった・・・もらったハズなのに。
視界に入ってきたのは見慣れたホームと違う。サンドリア、バストゥーク、ウィンダス、ジュノ、アドゥリン、どこの『ホームポイント』でもなかった。
それと同時に巨大な塔を囲むようなおおきな壁、入り口である門に人々が並んでいる。
とりあえず、誰もこちらを見ていないのでマイバックとサッチェルの確認。冒険者にとっては有難い、ちいさな袋や鞄で大量のアイテムを所持し装備も収納、持ち運びもできる。あの『白豚』も、たまには使えた・・・・・・
マイバックから『魔導剣士』の専用両手剣、武器『エピオラトリー』と『シーフ・踊り子・吟遊詩人』の専用武器、短剣『トゥワシュトラ』を取り出した。
エピオラトリーを持てば魔導剣士になり、トゥワシュトラを持って心で念じればシーフ、吟遊詩人、踊り子と選べてジョブチェンジに異常なし。
連邦の黒い悪魔、シャントットが開発した着替え『マクロ』と『ロックスタイル』も機能している。
残念ながらリンクパール、仲間への念話(テル)は通じなかった。
「さてッ!今更、過去世界、未来世界、異世界ときたところで、やることは冒険しかないで!──念のため、ジョブは一番硬い魔導剣士。自己強化魔法っと・・・」
笑い独り言をし、入り口である門の列に並んだ。男の名はルーン。尖った耳が特徴のエルヴァーン種族。白髪白髭のお爺ちゃん。精神年齢は夢見る子供。
──ヴァナ・ディールで、数え切れない世界を救ったクリスタルの戦士──
警備の兵士と軽く会話を交わし、適当にぶらぶらしつつ情報収集。
言葉が通じることもあり散歩は捗った、珍しくお使いクエがなかった。
二~三時間かけて、訊きまわった今ある情報の整理。
『迷宮都市オラリオ』
この世界で唯一ダンジョンが存在する街
多くの冒険者が夢や欲望を持って集まってくる。
地位、名誉、金を求め日々、冒険者がバベルの塔の下のダンジョンに潜っている。
ダンジョンに入るには『ファミリア』に入団しないといけない。
『神』不変不滅の超越存在(デウスデア)
退屈だった天界から刺激を求め、神々が下界へと降りきたのだ。
下界に降りてきた神々は、自らの力『アルカナム』を封じ、地上の人間を『子供たち』と呼び、子供たちを集めて『神の恩恵』を与え、ファミリアを作り、眷属とし一緒に暮らしている。
『神の恩恵』(フォルナ)
神の恩恵を受けた人間は一般人より強くなる。恩恵さえ受ければ身体能力が上がりステイタスの『力』『耐久』『器用』『敏捷』『魔力』はモンスターを倒して経験(エクセリア)が恩恵に蓄積され数値が上がっていく。
レベルはモンスターを倒すだけでは上がらず、一定の経験(エクセリア)、なんらかの試練、偉業を達成しなければならない。
『種族』
『ヒューマン』いわゆる普通の人間であり、何かに特化もしていない。
『エルフ』容姿端麗で魔法に優れている種族であり、魔法の使い手で尖った耳が特徴。
『ドワーフ』腕力などの身体能力に優れており、筋肉質な体格で少し背丈が低い。
『アマゾネス』褐色の肌の女性のみであり、高い戦闘技術を持っている。
『小人族(パルゥム)』成人しても子供程度の姿をであり、見た目だけでは実際の年齢が分からない。
『狼人(ウェアウルフ)』素早い動きと高い身体能力があり、狼の耳と尻尾が特徴。
『猫人(キャットピープル)』狼人より素早い動きだが、身体能力は劣る。
『猪人(ボアズ)』大柄で強靭な肉体であり、武人気質。オッタルコワイらしい。
ヴァナと似ているが『違う』なぁ。
ステイタス、レベルの仕組み・・・偉業ってなんやねん!ソロでイオニック作ればええのんかッ!
ヒュームにエルヴァーン、ガルカにミスラとタルタル、獣人。似てる・・・どこに行ってもミスラ(アマゾネス)だ。
ま、いっか。別世界と切り替えて冒険や!新しい冒険!退屈してたヴァナより未知のダンジョンとオラリオォォ!!!
異世界、その実感を受けて、ベンチに座り、脳内で盛り上がっていた。
すると、さきほどの情報の、ほとんどを教えてくれたヒューマンの『ラウル』が――
「見つけたッス。団長が『ファミリアが決まってないなら入団試験を受けないか』ってス」
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【ロキ・ファミリア】オラリオ二大ファミリアの一角、団長室にてノックの音を聞き
「やあ、ラウル。なにかあったのかい?今日はオフの日なのに息を切らせてるみたいだけど」
声の主はロキ・ファミリアの団長『フィン・ディムナ』金髪青眼の幼い少年のような外見の小人族(パルゥム)。二つ名は勇者(ブレイバー)。Lv6
「失礼しますッス。ちょっと奇妙なエルフに出会ったので気になり・・・」
「奇妙な、とは?」 「なんかおもろいことかのぅ?」
窓際に立っていたロキ・ファミリア副団長『リヴェリア・リヨス・アールヴ』美しい深緑の長髪と美貌をもつハイエルフ(王族)二つ名は九魔姫(ナイン・ヘル)。Lv6
もう一人はロキ・ファミリアの最古参で『ガレス・ランドロック』髭を蓄え頑強な肉体のドワーフ。二つ名は重傑(エルガルム)。Lv6
「うッス。街を歩いていたら質問されたんすけど、その内容が行商人や出稼ぎに来ている冒険者なら知ってて当たり前・・・ダンジョンの存在。神々や恩恵、ファミリアの存在。ステイタスにレベルアップ、極め付けが種族ッス。これじゃまるで――」
「「「この世界を知らない」」」
三人の声が綺麗に重なり、部屋には笑い声が響いた。
そこに扉を開けて、「ウチもまぜて~やぁ」と、リヴェリアに抱きつこうとするが避けられた薄目の女性。ロキ・ファミリアの主神『神ロキ』朱色の髪、二つ名は絶壁のトリックスター
「ラウル。すまないが、まだファミリアが決まってないなら入団試験を受けないか、と聞きにいってはくれないかい?」
「はいッス。あ・・・それと謝礼でもらったこの金貨、本物ッスか?」
「見ておこう。ファミリアに帰ってきたら手渡にゆく」
バタン、と扉が閉まる音を聞いて「どう見てもホンモンやん。これで『ソーマ』の酒を買うで!」勝手に金貨を使われるラウルの悲劇は後日
「どこのバカ者だ。質問に答えるだけで、これだけの金貨を・・・・・・フィン。わざわざ勧誘しにいかせるほど親指は疼くのか?」
「ンー、疼きはないよ。リヴェリア。ただ会ってみたい好奇心さ、ファミリアに必要なら入団してもらい、お金だけ持ってる人物なら受からない。いつもと変わらない入団試験さ」
「そうじゃのぅ。わしらは遊びでダンジョンに潜らんからの。じゃがフィンよ、ロキ・ファミリアを知らぬと、本心で言えるなら、わしも会ってみたいわ!今日は気が合うな。のぅ堅物のエルフ!ガハハ!!」
「そうだな。フィン、ガレスよ。私もファミリアも世界中に知れ渡っていると自負している。慢心もなき、ファミリア結成から、いくつ死線を潜り抜けたという。だから、私も会ってみたい!ふふふ、今日は小賢しいパルゥムに乱暴者のドワーフとも気が合うな」
笑い声が部屋に響き三人の笑顔を眺めているロキは自身の子どもたちを優しく見守っていた。
モーグリを出すと色々、表現しにくいので省いています
FF11の通貨、ギルは金貨
完結まで頑張っていきますので、よろしくお願いします!