IS転生 俺の相棒は胃薬です   作:魚介(改)貧弱卿

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転生 物語の始まり

「はじめましてして、俺は笛吹巽(ウスイ・タツミ)

19歳の高校生だ…なんて、

誰に言ってるわけでもないがな…」

 

俺は重い足取りで、時に抗うようにゆっくりと学校へ向かいながら呟く

 

「…また…教科書取られた…」

国語Bのはいくらだっけな

 

まだバイトだってあるのに、

出費ばかりかさんでいく

 

「金は無い…」

 

学校を辞めれば三年までの努力が無駄になる、これ以上の出費は避けなくてはならない

 

「そう言って三年間も過ごして来たんだけどな…俺も懲りないなぁ…」

 

自嘲気味に笑いながら、俺は学校の門をくぐり…俺専用に用意されているチョークの粉が入ったバケツがひっくり返された

 

「もう慣れたよ…今日は二時間目から体育だから、放置で良いね」

 

致命的なタイミングでは目を閉じていた俺は、直撃回避をあえて行わずに

自ら受けることで間接的な嫌がらせを試みているのだが、どうやら『連中』は

無駄なお仕事にばかり

熱意も努力も無尽蔵に注ぎ込めるらしい

 

「そんな事に注ぐ力があるならもっと偏差値を上げれば良いのに…」

 

笑いながら校舎に入り

白い粉をばら撒きながら玄関を抜け

外靴のまま教室に向かう

 

なぜ靴箱を無視するのかって?虫とヘドロが詰まっているからさ

 

「そんなところ、

誰も開けたくは無いだろう?

さて、おはようみんな」

「死ね」

「臭い、キモい、近寄んないで」

「よー巽〜まーだ生きてんのかよ、

人様の迷惑になるから早く首吊れよ」

 

様々な声を浴びながら無視して

席に座る…もちろん担任も

俺がいじめられていることなんて気にしない、これがいつもの事だからだ

 

「さぁ、ショートホームルームだ、

今日の話題は特になし!お前らは何かあるか?」

「ないでーす」

 

クラス委員の廻栖や日直の鈴木が嫌そうな目をこちらに向けて来る

 

「そんなに人を見つめて楽しいかい?」

 

チョークで白く染まった紙を振りながら尋ねても、誰も返事は返さない

 


 

授業は、俺が一切の教科書を持たないことを除けば恙無く終了した

「いつも通り帰ろう…」

 

最近は虐めもひどくなって来ている

生活環境はともかく、

学校由来の記憶に良い思い出がない

 

「大丈夫かな…?」

繰り返すため息を吐きまくって

どうせ汚れすぎで使われてない学校の水道で頭を洗う…バイトに行くまでに

少しでもチョークの粉を落とすためである

 

よし

 

もうお分かりの通り、俺はいじめられている…きっかけはなんだったかも覚えていないが、小学校時代からずっとだ、事なかれ主義者が校長が故か、止めるべき学校すら黙認している

 

だが、この時はまだ

致命的な事態になるなんて

思ってもみなかった

 

「マジウザいし臭いんだけど

死んでくんね?」

「…………」

 

いつもの通り廊下で足や脛を蹴ってくるやつを躱し、ひっくり返されるゴミ箱を躱す

 

いつもの事であり、毎日のようにこんなことをしてくる連中が後を絶たない以上、慣れればどうってことはなくなる

 

「…もう慣れたよ」

「はぁ!?ッザッケンナ!

死ねやゴラァ!」

 

今日はいつもよりしつこいなぁ

なんて考えながら階段に降りて

 

()()()()()()()

「なっ!?」

 

足は空を蹴り、腕は宙を泳ぐ

そして、階段を踏み外した俺は

至極当然に

 

落下して叩きつけられる

 

1度目の人生で、俺の意識が残っていたのはそこまでだった

 

「……っ!?」

 

目を開く

 

「ここは…どこだ?」

 

視界には、どこもかしこまで現実感のない、テクスチャが欠落した平面的な世界

 

しばらく見回しても何もない…いや

人やそれに類するだろう者がずらっと並んだ列だけはある

 

「はい、今来たのだね、

最後尾に並んで順番待ちだ」

 

「えっ?」

「はいはい良いから行くんだ」

 

黄緑色の長衣(トーガ)を纏った長身の男が俺の手を引き、俺を列の方へと放り投げる

 

「うぉわっ!」

「わっ!」

 

やべ、最後尾にいた人にぶつかっちまった

「ごめん!大丈夫?」

「大丈夫だよ、この世界なら何があっても()()()()から」

 

慌てて手を貸して、引っ張り起こした少年は、そう言って笑った

「面白いよね、僕はこの世界なら

ごく普通に歩くことが出来きる

以前はどれだけ望んでもできなかったのに」

 

この世界に来て、

積年の願いが叶っちゃったよ、

と言って、少年はもう一度笑う

 

「そうか…よかった、

と言っていいのかは分からないな」

「良いよ、少なくとも僕は良い」

 

言い切った後、しばし話が途切れる

「……………………」

「……………………」

 

しかし、話が途切れてしまうと、沈黙が身にしみると言うもので、どちらとも

『…』に耐えきれず、口を開く

 

「ガンダムって、知ってるか?」

「ガンダム?知ってるよ、…むしろ僕にはああ言うものしかなかったから、ね」

 

目をつぶった少年は、笑みを消して

「僕はさ、ずっと病気がちで、病院に居たんだ、それでガンダムとかライダーとかレンジャーとかにはちょっと詳しいのさ」

「そうか、そりゃあよかった

…じゃあさ、ちょっと語り合わないか?結構暇っぽいし」

 

軽く手を振りながら聞いてみると

予想外の答えが返って来たので

少し、話を振ることにした

 

「それじゃあまずは、ガンダムはどの世代見た?」

「ファーストからトライエイジまでだよ」

 

「じゃあ、一番好きな世代は?」

「それはもちろんSEED、でも

OOとWも好きだよ?」

「有名なイケメン所を取りに行ったな…よし、じゃあSEEDでどの機体が好き?」

 

そんな他愛ない話をしながら

着々と時間を過ごして行く

 

そして、ついにその時は来た

「はじめまして…じゃないかな?

私はこの世界で転生、転移神を営んでる女神の、ニエシェケルよ、よろしく

…してる時間はないわ

手短に説明するけど、貴方は死んだの」

 

以上、個室みたいな場所にて、

謎の長身美女に言われた台詞である

 

「…という事です、転生しなさい

欲しいなら、いわゆる『転生特典』も上げるわよ(投げやり)

若いんだから洗脳とか催眠とか触手とかでしょ?分かってる分かってる」

 

一気に言い切られて混乱する

「いや待ってくれ、転生特典ってのはいわゆる『異世界転生』で付加される

『チート』って奴でいいのか?」

「ええ、その認識でいいのよ、早く決めなさいな、後数千人分同じ事やるんだから」

 

「…えっと…」

「もう、早く決めてって言ってるでしょ?お任せコースにしちゃうわよ?」

「それってさっきの催眠とかって事?だとしたら嫌だな…そうだな…」

 

考え込むと、

色々な欲しいものが頭に浮かぶ

時間停止、無限の剣製、星の聖剣

天の階梯、ドライバー、ポケモン

 

一度浮かぶときりがない

そのまま山のようなイメージが走り抜け…その先に見つけたのは

俺の一押し男性サーヴァント

『巌窟王/エドモン・ダンテス』の宝具

虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル シャートディフ)による超速戦闘

 

「よし、決めました

岩窟王のスキル、宝具を特典にください」

 

女神はそれを聞くと

ぞんざいな口調で吐き捨てながら

 

「はいはい、もう時間切れだから

転生先はこっちで決めちゃうわね

それでは、贈り物を貴方へ(present foryou)

いってらっしゃい、新しい人生へ」

 

最後だけは優しく、俺の手を引き

「幸せになってね、不幸の宿命者(HardestLucker)くん」

 

俺の存在を消しとばした

 

 


 

こうして、俺は転生した

 

「…目を開けたぞ!見えてるか?

俺が父さんだぞ」

「聞こえるわけないわよ、まだ1歳にもなってないのに、でも言いたくはなるわよね」

 

俺はまだ一歳にもなっていない赤子らしい、良いぞ…少なくとも戦場が

関係するようなことはなさそうだ

 

今のうちに転生特典を把握しよう

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