IS転生 俺の相棒は胃薬です   作:魚介(改)貧弱卿

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①ウチの束さんはゆるゆるやわやわ
②晴羽はイケメン
③束さんは巽を同類と思っている


クリスマス特別編 サンタ

「で、貰ってしまったが、どうする?」

 

「……どうする……といっても、食べるしかないよね」

 

貰ってしまった、というのは

冷蔵庫に入れられたクリスマスケーキ

ケーキ兼プレゼント、というべきだろうか?

 

「お前、ワンホール食べ切れるか?」

「無理、僕には無理」

 

そう、このケーキ

6号サイズワンホールの……いわばパーティ用ケーキなのである

クリスマスパーティーに出すのなら文句ない出来であるが、だからといって

たった二人で食べ切れるほどのサイズではない

 

「一夏を呼ぶか?」

「いや、たしか一夏はまだみんなのオールナイトパーティーに参加してるよ

シャルロット達に引っ張り出されてたし」

「……そうだな」

 

沈鬱な空気が流れる

冷めたコーヒーとすっかり熱が抜けてしまった『元』カフェオレを二人で啜りつつテーブルの向こうにある冷蔵庫を眺める

 

「プレゼントを無碍にするわけにもいかないし、クレナイコーポの社屋ならたしか……」

「-40°で凍結保存、か?

少しずつ食べようというのはわかるが、それはそれで無碍にしている気がするぞ」

 

二人の議論は終わらない

 

 

「……結局少し食べて終わりか」

「先生達に切り分けるってのもダメだったし、本当に凍結保存かな」

 

イリヤが作ったとするなら大した腕前だ

そもそもイリヤスフィールフォンアインツベルンに料理の経験などないだろうし

()()本人の腕なのだろう

 

「仕方ない、このまま腐らせてしまうよりはマシだろう」

「そだね」

 

ケーキの箱を閉じて空間転移した晴羽がそのまま姿を消す

 

「歯磨いて寝るか」

 

いくら炎があっても歯を磨くのは習慣だし、衛生観念から見て当然のことだ

 

「……午前2時、もう寝ないと明日に障るな」

 

雪の降る中、夢と流星と(イリヤ)を迎え

プレゼントを受け取った

子供達の夜は更けていく

 

「晴羽!巽!」

「おはよう、一夏」

「おう」

 

朝一番一夏に声をかけられて

ウザがりながらも返事を返す2人

正直に言って『モテる男は女とだけ絡んでいればいい』『さっさと失せろ』オーラがガン出しになっているのだが、一夏はそれに全く気づく様子がない

 

「お前らクリスマスパーティー途中で抜けやがって!おかげで大変だったんだぞ!」

「……ぶっちゃけ僕らいない方がいいだろうさ」

「俺が居ようと居まいと関係なかったと思うぞ?」

 

息の揃った連続攻撃で一夏の魂の叫びを遮断する二人、そしてそのまま一夏を黙らせるべくプレゼントを投げつけた

 

「「ざまぁ」」

 

「お前らァァァァッ!」

「ははッ!笑ってられれば良いじゃないか

僕なんて笑えないよ?

なんせ今までもらった事なんてなかったんだし!」

「……哀切な声はどうにかならないのか」

 

「ならなんで交換会抜けたんだよ」

「ぇ?だって束さん来たし」

 

クリスマスパーティーのプログラムにあったプレゼント交換会

二人はその途中に起こったウサギ(たばね)乱入事件に乗じて抜け出してきたのだ

 

「これ以上面倒なことはしていられないからな」

 

そろそろ時間、というところで言葉を切り

そのままクラスへと向かう

3人揃ってA組ではあるが、席は離れている

もらったプレゼントが誰の出したものかを知りたがっている彼女たちの好奇心を利用して

一夏に人だかりを作って構わせてやった

 

「ねぇねぇ!」「一夏くーん!」

「このマリモ誰のだかわかる?」

「ちくわ大明神」

「ねぇ誰よ今の」

 

大盛況に埋もれてこちらに注意を向けられなくなった一夏を尻目に悠々と教科書を出して

その直後に驚愕

 

「……マジかよ」

 

教科書の表紙に貼り付けられていた付箋

兎型のそれは間違いなく

 

「あのウサギのラボの所在…!?」

 

特大の爆弾(プレゼント)を投げつけてきたウサギのものだった

 

「晴羽」「うん」

 

晴羽も同じものを見たのか、血相を変えて立ち上がる

 

「製造機に事故があったみたいなので現場を確認に行きます」

「同じく!」

 

適当に言い訳を捏ねて走り出した

 

「晴羽、人目を避けてデンライナーッ!」

「いやゲートを使う!トイレに!」

 

男子トイレに飛び込んだ晴羽が開いた空間転移ゲートへとダイブし

そのまま世界を飛び越えて行く

 

「「転移ッ!」」

 

連続展開されたゲート、制御限界で遠い場所になってしまったゲートへ、青黒い炎が道をつなぐ

 

座標把握は完璧

光に迫る超速でのステルスも完璧

そして移動先での行動も、完璧

仕掛けられていた監視カメラやセンサーをステルス突破して、そのままラボへ侵入した。

 

「……あ、きたね〜二人とも

いらっしゃーい!」

 

天井から聞こえたその明るい声に警戒する二人だが、降ってきたのは

 

「present for yours!」

 

投げられてきた小包が二つ

炎で反撃するべきかを一瞬考えて、普通に受け止める

 

「……中身は?!」

「それはお楽しみ、さぁ開けてみて!」

 

晴羽が前に出て、こちらに声をかけてくる

 

「先にどうぞ」

「……わかった」

 

意を決して小包を開ける

中に入っていたのは見覚えのある球体

 

「予備に保管していた番外機(ロストナンバー)コア、あげちゃった!」

「……晴羽、次はお前だ」

 

「了解……うわ……」

 

晴羽も自分の小包の中をみて驚嘆の声を上げる

 

「それはヒトの思考パターンを封入した超回光クリスタル、てきとーに作ったけど要らないからあげる!」

「……禁忌をホイホイと……」

 

人間の思考パターンのコピー

それは『ヒトの人たる意志』を複写し、模造する禁忌の術

あるべきではなく、記されるべきではない

そんな禁忌の技術でできた結晶を捨てる感覚で人に渡してしまうそのウサギに恐怖しながら、

晴羽はそのクリスタルを仕舞い込んだ

 

「二人には私のプレゼント渡してなかったからね、もーっ!なんでいなくなっちゃうのさ!」

「……そりゃあ……」

「突然乱入なんてするからだよ」

 

ぷんすかぷん!と自分で言いながら怒るジェスチャーを取った束を見ながら

そっと呟く二人、しかしその言葉は確実に届いているにもかかわらず黙殺され

 

「さぁ、私にプレゼントちょーだい!」

 

サンタ衣装のウサギが跳ねた

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