俺の転生特典『鋼鉄の決意』と『
脳の使用領域を強引に広げ
思考速度を跳ね上がるのと
同時に肉体にそれを反映し、擬似的な時間加速現象を発生させるが、同時に自身の脳を破壊する
「お子さんは異常です」
沈痛な面持ちの医師が、両親に説明を始める、あぁ、ICUとかそういうもので
検査したせいで
脳の異常な活性化がバレてしまったらしい
「そんな、異常なんて!
どういうことなの!?」
「異常なのです、CTスキャンの結果とバイオマトリクス系の投影写真
サーマル画像、どれを取っても
この構造は人体としてあまりにもおかしいのです!
良いですか?まず、人類は
どんなに高度でも5%程度の容量しか稼働していないはずの脳が、お子さんは80%以上稼働している!それに骨密度や体脂肪率、どれも異常です
通常の離乳食程度では補給できないほどの量を要するはずです!」
これが異常と言わずになんなのですか!と叫ぶ医師を尻目に、俺は
超高速で思考、内容は
もちろん移動ルートの設定だ
「私たちの子供なんです!異常なんてて言わないでください!」
良いセリフだな、感動的だ
だが無意味だ
良し、ルート設定完了
このまま車で自宅まで連れて行ってもらってから、徐々に虐待されるまでの
チャート構築完了
「あう〜ぁあ」
取り敢えず言語は無理、
脳内の語彙は保持して置く必要があるため、早急に対応が必要
日本語、英語、独語、広東語
オリヤー語、アッサフ語、仏語、グロンギ語くらいで十分だろう
(よし、ここからは少し忙しいが、まだまだやれる、俺の人生はフリーダムだが
…戸籍は維持したいなぁ)
ぬるま湯の中の時だけは
寝ても起きても思考加速状態を維持できるようにする
そのまま徐々に要求能力を上げて
少しずつ、少しずつ、しかし
限界ギリギリの効率で体を鍛え
「ごめんな、俺たちはもう
お前を愛せる気がしない」
ついに、ここまでやってきた
3歳にして自走可能な体力と身体、同様に黒い炎による飛行を密かに習得している俺は
この先の人生、大体生きていける
「さよならだ、巽」
ダンボールの中に収められた俺は
つぶらな瞳で両親を見つめて
「ぱぱ、まま(演技)」
ゆっくりと掴まり立ちして…(演技)
「おやすみ(演技)」
なんの苦労も考えずに寝る(演技)
完璧だ…この先会うことはないだろう両親に、最後だけは罪悪感を叩き込んで
戸籍抹消を防ぐ作戦!
あとは捜索届けでも出してもらって
死亡認定待ちすればいい
「…っ!あぁ、おやすみ」
「おやすみなさい、巽ちゃん」
そういえば、俺の名前って
前世と同じ名前なんだよな
あっさよなら両親(適当)
さぁて、明日から忙しくなる
まずは冬の寒さをしのぐために
布を集めないとな
「…アンフェル・シャトーディフ」
黒い炎を展開して
自らを焼く…これは防寒用にはならないな、なにせあんまり熱くない
「さて、どうするか…」
さすが、
ガキくせえ声しか出ない
この先永遠に暇になったので
予定チャートを再構築していると
「こちらでしたか、笛吹巽様
社長からのプレゼントがございます、お乗りください」
現れたのは…セイバーオルタ
(メイドモード)
「はっ?!アイエエエ!?セイバーオルタ?セイバーオルタナンデ?」
「なんで、と仰られましても
私はここにおります、ただそれだけです…さ、お乗りください」
正直、メイドオルタとか死ぬ未来が丸見えであるが、
性能的には優越的な体力は
種族値の差で全く勝てないし
俊敏も耐久も勝てない…
「仕方ないか…わかった」
炎で浮いて、着地、浮いて、着地
月面じみたハイジャンプを繰り返して人並みの速度で移動して、車に乗る
3歳ボディが辛いぜ(慣れた)
「さて、どこに連れて行く気なのかな?」
「それは社長から伏せる様にと申しつけられておりますので、お答え出来ません
発車いたしますので、チャイルドシートにお座りください」
「あいよ、ってかもう座ってる」
「失礼致しました、それでは
発車いたします」
車に乗せられて軽く一時間ほど、数十キロ離れた場所だろう市街区を離れた
森にやってきた
「お降りください」
その声に従って降りた先には
一つのテントが立っていた
「社長からのプレゼントです
どうぞ、お入りください」
メイドオルタに促されてテントに入る
「…広いな」
「特殊工法で作られておりますので」
テントに入ってすぐに、一言
それにあっさりと返される
テントの中は、もはやテントとは呼べない内装であり、
軽くアパートの環境とも思える
「巽様、こちらをどうぞ」
メイドオルタは俺に手を差し出して
「手紙?」
「はい、社長からのお手紙です」
「すぐ開けてもいいかな?」
手紙を受け取りながら、確認を取る
「どうぞ、ご覧下さい」
「それじゃ、開けるよ」
小さい手で苦労しながら封筒を開ける、その内容は…
~臼井巽様へ~
このテントは気に入ってくれたかな?
怪しいとは思うだろうが、読んでみてほしい
君へのもう一つ贈り物が机の上にあるだろう
確認してみてくれ
移動兼連絡手段として特別なスマートフォンを送っておいた
様々なアプリケーションがインストールされている
是非活用してくれ
そしてこのテントについての説明だ
このテントは水道、ガス、電気が全て通っている
完全自動式自家発電がついているから、動力源についての心配は無用だ
さらに特別な機能で野生動物には襲われないから安心したまえ
私は決して怪しい者ではない
いずれ会うことになるだろう
その時は迎えを寄越す
来ることを楽しみに待っているよ
P.S.
テントには食材、飲み物が充実しているから遠慮なく使ってくれ
by社長
社長何者なんだよ…どう見ても怪しいよ
このテントどう考えてもサイズが合ってないよ!
「こちら、金品受領証明書となります、こちらにサインを頂けますか?」
「了解だ、ボールペンはある?」
「どうぞ」
メイドオルタが差し出したボールペンを取り、浮き上がってサインを書く
「確認しました、社有地ですので不動産手続きは必要ありません
以上を持ちまして、
それだけ言って
メイドオルタが去っていく
「待った!」
「…なんでしょうか?」
「ここの周辺の地形を把握できないから、地図か何か無い?」
俺の呼びかけを聞きつけて
こちらを向いたメイドオルタは
再びこちらに寄ってきて
「この地図をお使いください、
この周辺は社有地の山となっておりますので、この先20kmほど民家、店舗はありません、必要なものがあれば、そちらの端末から連絡を下されば、即日お揃します」
「それは有難い…頼らせてもらう、この体では遠出はできない、20キロは歩けない、
どうせ監禁にも等しいんだから」
自嘲気味に笑いながら言うと
「………それでは、私はこれで
失礼します」
なんとも言えない表情になったメイドオルタはさっさと去って行った
「はぁ…まぁ良いか、『歩けない』とは言ったが『飛べない』とは言っていない
いざとなれば、飛べば良いだけの話だ…よし」
見せてもらおうか、貴社の
特別なスマートフォンとやらを
机に歩み寄った俺は
…机の上が見られないので
浮き上がって
「………………」
絶句した
そして、その瞬間、確信した
『この社長、転生者だ』
その理由がこれだ、このスマートフォン…
「ライズフォンじゃねえか!」
投げ捨てそうになるのを抑えて
起動してみる
「……よし、普通だ、
社長仕様とかじゃない…?
いやバイクアプリあるし」
やはり社長?いやまさか起動できるはずない…起動したらしたで危険だから止そう
俺はあっさりと思考を放り出して
テントの機能検証に入った
3歳ボディでだがな