遊戯王ARC-V 千変万化   作:ユキアン

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第10話

トップス1の大富豪に雇われたデュエリスト LP4000 手札0

氷結界の龍トリシューラ ATK2700

氷結界の龍トリシューラ ATK2700

氷結界の龍トリシューラ ATK2700

 

黒崎瑠璃 LP4000 手札0

 

『フレンドシップカップ1回戦第1試合は先行1ターン目にして勝負が決まってしまったのでしょうか。ランサーズの黒崎瑠璃選手、手札を全て除外されてしまいました』

 

高価なカードを惜しげもなく大量投入ですか。ですが、この程度ならどうとでもなる。相手はもう勝った気でいるようだけど、甘い。甘いのはスイーツだけで十分。いや、遊矢と甘い空気は作り出したい。周りが砂糖を吐く位、イチャイチャしたい。そのまま結婚して子供を作って大往生までしたい。そのためにもとりあえず勝とう。

 

「私のターン、ドロー。相手の場にのみ特殊召喚されたモンスターが存在する時【逆境の宝札】が発動出来る。2枚ドロー!!うん、勝った」

 

『おーーっと、瑠璃選手、勝利宣言です。一体どうやるのか!?』

 

「ライフを1000払い【簡易融合】を発動。EXデッキからレベル5以下の融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する。おいで【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】を融合召喚。【簡易融合】で召喚されたモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される」

 

黒崎瑠璃 LP4000→3000

LL-インディペンデント・ナイチンゲール ATK1000

 

「はっ、そんなモンスターでどうしようってんだ?それにエンドフェイズに破壊されるようなモンスターで壁にもならない」

 

「そんなこともないんですよね。まあ、効果を説明しましょう。簡単に言うとレベルの上昇と攻撃力の上昇と完全効果耐性、そしてバーンですね。レベルの上昇は発動せず、攻撃力の上昇は500。バーンはレベル1につき500のダメージです。とりあえず、500のダメージを受けてもらいましょう」

 

雇われ LP4000→3500

 

「痛くも痒くもねえな」

 

「まあ、そう言っていられるのも今のうちです。私は【ナイチンゲール】をリリース。現れよ、暴虐なる力の信奉者【The tyrant NEPTUNE】」

 

The tyrant NEPTUNE ATK?

 

「攻撃力が決まっていない?それどころか、一体のリリースでレベル10?」

 

「【The tyrant NEPTUNE】は1体のリリースで召喚が可能なの。そして攻撃力は召喚のためにリリースしたモンスターの攻撃力の合計値となる。つまりは1000ね」

 

The tyrant NEPTUNE ATK?→1000

 

「たかが1000でどうする」

 

「説明はまだ終わってないわよ。さらに召喚のためにリリースしたモンスター1体を選択し、その名前と効果を得る。【ナイチンゲール】の名前と効果を得る。つまり、レベル1に付き500の攻撃力がアップ。【NEPTUNE】はレベル10、よって攻撃力は5000アップする!!」

 

The tyrant NEPTUNE ATK1000→6000

 

「こ、攻撃力6000だと!?だが、オレのライフは、あっ」

 

「そう。残らない。【ナイチンゲール】は1ターンに1度レベル1に付き500のダメージを与える。つまり、毎ターン5000のダメージを与えることが出来る。吠えなさい【NEPTUNE】」

 

【NEPTUNE】の号砲に巻き込まれて相手がDホイールごと吹き飛ばされて転倒する。転倒する手前のアクションカードを拾ってみれば、それは【加速】だった。これを拾っていればもう少し生きれたのに。

 

 

 

 

 

壊れたDホイールの代わりにエクシーズ次元のアレンから貰ったローラーシューズを改造して出力を上げることによってライディングデュエルに対応させた。下手にDホイールに乗るよりこっちの方が慣れてるからやりやすい。それにこの方がHERO達と一体化出来る。

 

「【ネオス】以外にもHEROはいるんだぜ!!【ネオス】は『N』と共に宇宙の神秘という力を扱うHEROだ。そしてこの宇宙には自然の力を扱うHEROが存在する。来い『E・HERO』達よ。魔法カード【融合】を発動。【融合回収】で【融合】と『HERO』を回収して再び融合。【ミラクル・フュージョン】で墓地から『HERO』を除外して融合。【平行世界融合】で除外されている『HERO』で融合。【エクストラ・フュージョン】でEXデッキから融合。どこからでも『HERO』は駆けつける。仲間のために、平和のために、何度でもだ。そして、HEROに救われたものたちが、それに続くために科学の力で悪に立ち向かう!!速攻魔法【マスク・チェンジ】!!【Zero】よ、科学の力を身に纏い、悪に立ち向かえ!!変身召喚!!全てを撃ち抜くガンマン【M・HERO アシッド】そして【Zero】と【アシッド】の効果を発動!!相手のフィールドを全て破壊する。絶対零度!!アシッド・レイン!!これがHEROの力だ!!」

 

 

 

 

 

 

「瑠璃も遊矢も勝ったか」

 

『帝』デッキを調整しながらモニターを見る。次の試合はクロウとセキュリティ代表か。余っていた『BF』カードを譲ったから今まで以上に安定して大展開が可能になったクロウに負けはないだろう。

 

「次はオレと、相手は柚子か」

 

行政評議会の連中はオレの頼みを聞いてくれたようだ。相手は柚子。絶対に止めてみせる。普通の『帝』から対遊矢用に作成した1killデッキをLDSの力で更に強化したこのデッキで、柚子に教えてやらなければならない。自分が手にしているのは力ではなく暴力であるのだと、同じ暴力の力で分からせなければならない。遊矢の、遊勝さんのデュエルと暴力のデュエルは正反対だってことを。

 

扉がノックされ、案内人が入ってくる。オレはデッキの調整を終え、マント羽織り、兜を被る。う~む、歳をとって分かるが、これは恥ずかしいな。色んな意味で黒歴史だ。コレに加えてゴテゴテした籠手や脛当てを自腹で用意してたんだよな。スポンサーが付いていなかったから大会の賞金だけで家賃や食費をやりくりし、余った金は全部デッキ強化のためにカードを買い漁り、時には地下デュエルにまで手を出した。酷い生活を送っていたな。

 

そんなオレを救ってくれたのが遊勝さんで、二人で開いた遊勝塾。だけど、最初はオレは笑顔を取り戻せなかった。どうしても、『帝王』としてのデュエルが顔を出してしまう。だけどそんなオレに笑顔を取り戻してくれたのが遊矢と柚子の二人だ。例え血が繋がっていなくても(・・・・・・・・・・・)あの二人のお陰でオレは笑顔を取り戻せた。デュエルの本当の楽しさを、遊勝さんのような観客の反応に合わせて対話のように行うデュエルではなく、ただ楽しそうにモンスターを召喚して一緒に遊ぶ二人を見て、本来の楽しみ方を思い出せたんだ。だから、今度はオレが柚子に教えてやらなければならない。暴力はより強い暴力によって潰されるということを。

 

特別に用意してもらった見るからに魔王の愛機ですというゴテゴテの装飾を施してもらったDホイールに跨り、ウィリー走法でウィングを削りながら火花を飛び散らせて会場に入場する。洋子さんに習っておいてよかった。こういうのは威嚇が大事だからな。お陰で明らかに思いが行き過ぎていた柚子が唖然として素に戻っている。

 

「お父さん、何、その格好?」

 

「柚子、オレの、『帝王』の『征竜』を持ち出したのはまだ良い。だが、今のお前では遊矢の隣にも、それどころか守ってもらう資格すらない」

 

「なっ!?」

 

「遊矢は知っているが、お前には教えていなかったことを教えてやる。暴力はより強い暴力に潰される。見せてやろう、プロの、永代チャンピオン『帝王』のデュエルを!!一度だけチャンスをくれてやる!!このデュエルの間だけ、お前を娘だとは思わん!!」

 

『さあさあ、開始前の論戦は終了。親娘対決、勝つのはどちらか?それではフィールド魔法【クロス・オーバー・アクセル】セット、ライディングデュエル』

 

「「アクセラレーション!!」」

 

再びウィリーで火花を飛び散らせながら先行を柚子に渡してやる。手札を見て『帝』がオレに力を貸してくれるのを実感する。すまんな、これが最後のデュエルだ。それなのにお前達をコストにしか使ってやれない。柚子が『征竜』を回し、盤面を整えていく。その隙に、こっそりとアクションカードをDホイールに引っ掛けておく。柚子が長い長いターンを終わらせた結果がコレだ。

 

柊柚子 LP4000 手札0

F・G・D ATK5000

F・G・D ATK5000

真紅眼の鋼炎龍 ATK2800

幻獣機ドラゴサック ATK2600 

永続魔法 未来融合

 

柚子の勝ち目はなくなった。

 

「柚子、お前の負けだ。オレのターン、ドロー!!フィールド魔法【チキンレース】を発動」

 

「【真紅眼の鋼炎龍】の効果が発動。相手がカードの効果を発動する度に500のダメージを与える!!」

 

柊修造 LP4000→3500

 

「【チキンレース】の効果を発動。ライフを1000払い、3つのうち1つの効果を発動できる。オレは相手のライフを1000回復させる!!」

 

「えっ?」

 

『おおっと、これは一体どういうことだ!?ただでさえ効果を発動する度にライフが減るのに、ライフを払って相手のライフを回復させた!?』

 

「【真紅眼の鋼炎龍】の効果が発動。相手がカードの効果を発動する度に500のダメージを与える!!」

 

「【チキンレース】の効果。ライフが少ない方のプレイヤーへのダメージはすべて0となる。そして【チキンレース】を張り替えて更に効果を発動!!1000回復させて、張り替えて更に1000回復させる」

 

柊修造 LP3500→500

柊柚子 LP4000→7000

 

「そしてカードをセットして【ブラスティング・ヴェイン】を発動。自分のセットカードを破壊して2枚ドロー。破壊されて墓地に送られた【代償の宝札】で2枚ドロー。【逆境の宝札】で更に2枚ドロー。【成金ゴブリン】を3枚発動。3枚ドローして、相手のライフを3000回復させる」

 

柊柚子 LP7000→10000

 

「次に【邪怨帝 ガイウス】をコストに【トレード・イン】を発動。2枚ドローして同じように【トレード・イン】更にもう一度【トレード・イン】続いて【凡神の帝王】を発動。手札から『帝王』魔法・罠、【真源の帝王】を墓地に送って2枚ドロー。墓地の【凡神の帝王】を除外してデッキから3枚の『帝王』魔法・罠を選択する。オレは【凡神の帝王】【凡神の帝王】【帝王の深怨】を選択。相手はこの中から1枚選択し、選択されたカードを手札へ。残りはデッキに戻す」

 

「【凡神の帝王】はまたドローされるから、【帝王の深怨】を選択するわ」

 

「ならば【帝王の深怨】を手札に加えて手札の【光帝クライス】を見せて【帝王の深怨】を発動。デッキから【凡神の帝王】を手札に加えて発動。【帝王の開岩】を墓地に送って2枚ドロー」

 

「くっ、意味がなかった」

 

「まだまだ続くぞ。【帝王の烈旋】を発動してカードを1枚セット【真紅眼】をリリースして【光帝クライス】をアドバンス召喚。オレのセットカードと【クライス】を破壊して2枚ドロー。手札が3枚以上の時に【無の煉獄】は発動できる。デッキから1枚ドローしてエンドフェイズに手札をすべて捨てる。さらに2枚発動。それから【闇の誘惑】2枚ドローして【邪帝ガイウス】を除外。やっとか。【テラ・フォーミング】を3枚発動して【擬似空間】を3枚手札に加えて張り替えていく。そしてカードを2枚伏せて【命削りの宝札】を発動。手札が3枚になるようにドロー。2枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ時に【無の煉獄】で手札を全て墓地に送る」

 

 

柊修造 LP500 手札0

場 擬似空間

セットカード4枚

 

「何がしたかったのかは分からないけど、このまま私が押し切る!!私のターン、ドロー!!」

 

「スタンバイフェイズ、【マジカル・エクスプロージョン】を発動!!墓地の魔法カード1枚に付き200のダメージを与える。墓地にある魔法カードは26枚、よって5200のダメージを与えるんだが、これが切り札だ!!チェーンして【ライフ・チェンジャー】」

 

「『【ライフ・チェンジャー】?』」

 

「知らないだろうから説明しよう。効果は単純だ。お互いのライフの差が8000位上の時に発動できる。お互いのライフを3000にする」

 

「『えっ?』」

 

柊修造 LP500→3000

柊柚子 LP10000→3000

 

「希望を持たせて、それを摘み取る。その瞬間こそ、そいつの心が表面にはっきりと浮かび上がる。一度に5000以上のダメージ、こいつは効くぞ。オレがチャンピオンだった10年で何人が引退しただろうな。はっきりとは覚えていない。ほれほれ、アクションカードが落ちてるぞ」

 

青ざめている柚子が急いでアクションカードを拾い、嬉しそうにする。

 

「アクションマジック【加速】「アクションマジック【ノーアクション】アクションマジックを無効にする。さらに威力が上がったな」そ、そんな!?」

 

拾わずにDホイールに引っ掛けて隠し持っていたアクションマジックを発動してダメージを確定させる。

 

「言ったはずだ。暴力はより強い暴力に潰されるだけだと。終わりだ柚子」

 

【マジカル・エクスプロージョン】の巨大な魔力弾が柚子とDホイールを飲み込む。

 

「きゃああああああ!?」

 

柚子 LP3000→0

 

デュエルが終了すると同時にオートをマニュアルに切り替えて柚子の落下地点に急ぐ。抱きかかえようと手を伸ばすも、目の前に転倒しているDホイールが目に入り、Dホイールから飛び降りて柚子を空中でキャッチして抱き込み、受け身も取れずにコースに叩きつけられる。だが、親の意地で柚子に怪我を負わせないようにだけ気をつける。Dホイールは激突し、そのままスタジアムの壁に激突して炎上する。

 

「ゆ、柚子、大丈夫か」

 

「お父さん、血が」

 

ああ、視界の右半分が赤いと思ったら血が流れてるのか。

 

「オレは大丈夫だ。それより、怪我はないか」

 

「私よりお父さんは大丈夫なの」

 

「オレのことはどうでもいい。お前が無事ならそれで」

 

ヤバイなこれは。右腕が折れたか。

 

「あっ、デッキが。お父さんのデッキが2つとも」

 

燃え盛るDホイールを見て柚子が顔を青ざめる。

 

「いいさ。お前が無事なら。『帝王』はとっくの昔に引退したんだ。あんなものよりも、柚子の方が大切なんだから。柚子、お前が何を思って『征竜』を持ち出したのかは知らない。けどな、借り物の力じゃあ何も得ることは出来ない」

 

左手で柚子が家においていた『幻奏』デッキを取り出して渡す。

 

「お前は自分のデッキと向き合う時が来たんだ。目先の力じゃない。本当に必要な力となるように。それから遊矢が心配してたぞ。巻き込みたくなかったのにって後悔もしてた。柚子、自分の気持ちを優先してると瑠璃ちゃんに取られるぞ」

 

軽い発破のつもりでそう柚子に告げ、大会運営の担架に乗せられて会場を後にする。

 

 

 

 

 

 

修造おじさん、あそこまで強かったんだ。熱血デッキしか見たことがなかったから。それにしても永代チャンピオンってことは10年間負け無しってことよね。それなのに、一度も噂を聞いたことが無いってことは、あの態度でお客からのブーイングも完全に無視してたのよね。う~ん、ずっとあのままの修造おじさんが想像できない。それにしてもデッキよりも柚子ちゃんを優先して怪我もひた隠しにして、本当に愛してるんだな。それを柚子ちゃんは理解してるのかな。次で完全決着をつけようかしら。チャンスはあげる。だけど、遊矢は絶対に渡さない。ただでさえ、セレナが構って欲しそうな猫のように遊矢に付き纏っているのに。我慢なんてしてられない。ノック?一体誰が、貴方は!?提案?ふ~ん、少し考えさせてちょうだい。

 

 

 

 

 

 

【Zero】からの【アシッド】怖い。【ダーク・ロウ】のハンデス除外怖い。【超融合】怖い。HERO専用融合魔法怖い。スカイスクレイパー直焼き怖い。簡易スカイスクレイパーシュート怖い。なんであんなにも必殺ルートが多いのに素材がゆるいのか。うん、貴様は!?何?ふむふむ、いや、えっ、まさか。いや、そうなのか?だとしたら、でも、それはダメだ。だが、それも、何?場合によっては丸く収まる?う~む、とりあえず話だけは聞こう。

 

 

 

 

 

 

ジャックとのデュエルでもそうだったけど、次から次へとHEROが飛び出してくる。孤児院の皆も楽しんでるかしら。遊矢は本当にカードに愛されている。子供達と数日歩くだけでまともなデッキが作れるぐらいに、カードが遊矢のもとに集まってくる。一枚一枚じゃ弱いはずなのに、皆が揃うと凄いコンボが生まれる。遊矢はシンクロ専用のテーマのデッキを手をつなぐデッキだって言ってたっけ。単体では弱いかもしれないけど、互いの効果を組み合わせて、手と手を繋ぐように組み合わせることで自分達を大きく表現する。それがシンクロ召喚なんだって。そう言って見せてくれたデッキは低レベルのモンスターばかりのデッキで、エースのシンクロモンスターはその低レベルのモンスターの力を借りて強くなるモンスターだった。【ジャンク・ウォリアー】遊矢はそのモンスターこそがシンクロ召喚を生み出した人の思いを表現しているモンスターだと思っている。

 

もしシンクロ召喚がなかったら、低レベル低攻撃力のモンスターは見向きもされなかったはずだ。そんなモンスターたちの手を取り合い、共に立ち上がる。そして相手とも最後には手を取り合う。そんな思いがシンクロ召喚を生み出したはずだと。その思いが様々なシンクロモンスターを生み出し、今の環境を生み出した。だけど、その過程で最初の思いが見失われてしまった。手を取り合えず、上と下が産まれた。それをキングが一度は切り開いたけど、それだけだった。だから遊矢が、ランサーズ達が切り開いた道をこじ開ける。手を取り合って、平和を乱そうとする人たちから笑顔を守るために。だけど遊矢は苦しんでいる。

 

まだ私と同年齢なのに、その両肩に重圧を背負って。押しつぶされそうになっているのに笑顔を顔に貼り付けて。もう休ませてあげて良いはずなんだ。熱だけじゃなく重圧に苦しむ姿を見てしまったから。意識が朦朧としていないと素の自分を出せない不器用な人なんだ。子どもたちにエンタメデュエルを教えていても、心の底からは楽しんでいない可哀想な子供なんだ。一番認められたい人に見てもらえない。それが一番辛そうだ。自分でも気づいていないんだと思う。

 

こんなことに気づきたくなかった。そうすれば瑠璃がセレナを牽制しながら遊矢に近づこうとしてガン無視された挙句に零羅に取られたりするのを見て笑っていられた。忍者の日光と月光に対抗してマジシャンとしての技量で似非忍法を使って追いかけっこをする姿を見て笑えた。よりモンスターとスピードと一体化するために少し変わったローラーシューズを改造してスピードを出しすぎて転倒して不貞腐れるのを見て笑えた。

 

ユーゴとは別の意味で目を離せない。ユーゴはなんだかんだで放っておいても最後には何事もなかったように帰ってくる気がする。だけど遊矢は最初に出会った時みたいに、どこか人目につかない所で倒れてる姿しか想像できない。誰にも迷惑をかけないようにひっそりと。

 

そんなことを考えていたから気づかなかった。誰かが私の背後に忍び寄っていたことに。

 

 


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