転生ユウリちゃんはガラル地方に行きたい   作:ちゃっぱ

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第二話 トラブルメーカーオダマキ

 

 

 

 

 

 船から降り立ち着いた港は、何故かお祭りモード満載だった。

 

 

 

「ホウエン地方へようこそ! 無料でくじを行っているのでよければどうぞー」

 

 

「くじ?」

 

 

「あらあら、お祭りでもあるのかしら?」

 

 

 

 上部分に穴が開いた小さな箱を差し出してきた男性に対して首を傾ける。

 周りを見るとかなり人がいる。それも騒がしくニンフィアがキョロキョロと辺りを見回っているぐらいだ。

 

 

 

「おやもしかして知らずにホウエン地方へ? ならとても運がいい! 本日限定ホエルコ祭りを行っているんですよ!」

 

 

「ホエルコ祭りってどんなお祭りなのかしら?」

 

 

「それはですね―――――」

 

 

 

 男性が話してくれたお祭りはごく一般的なものとそう大差ない。

 

 ただポケモンが踊り、技を放って花火のようにきらびやかに魅せているような光景が広がり、その近くで食品を取り扱う出店やポケモンバトルフィールドなどあった。

 

 

 

「ホエルコ祭りは今年でちょうど100周年記念ですからくじも豪華にやってますよ!」

 

 

 男性が見せてくれたくじの一覧表には、トレーナーたちが喜びそうなものばかりが取り揃えられている。技マシンや栄養ドリンク、売り物として取り扱われるきんのたま。ガンテツボール以外の各種類がそろえられたポケモンボール。

 一等賞として、マスターボールもあった。

 

 

 

「ものすっごい豪華なのに無料でやっていいの!?」

 

 

「ええどうぞどうぞ!」

 

 

 

 にこりと笑って差し出された箱に恐る恐る手を入れる。

 箱の中に入っていたのは誰も中身が見れないよう細工された紙だった。

 

 その中の一枚を掴み、差し出す。

 そうして出てきたのは――――。

 

 

 

「技マシン……メロメロ?」

 

 

「おお、あたりですよ!」

 

 

「あらよかったわねユウリ! お母さんは外れだったわ……」

 

 

「残念賞はオレンの実です!」

 

 

 

 技マシンレコードのメロメロ。

 それはある意味、ニンフィアにとって使いやすいものでもある技の一つ。

 

 私としてはニンフィアに使うのはちょっと微妙かなと思う。

 なんせニンフィアの特性はメロメロボディだ。

 

 その特性の効果は、直接攻撃の技を当ててきた相手をメロメロ状態にするというもの。

 しかし、この現実世界で特性効果を期待して無理に攻撃にぶつかる必要はない。メロメロにしたいなら、自ら直接ぶち当たればいいんじゃないかと……とまあ、前世での攻撃特化バーサーカーモードな私ならそう考えてしまう。

 

 

 ……特性についてはまた後でやればいいか。

 とにかく検証あるのみだしね。

 

 

 

「メロメロかぁ。使ってみてもいいかも?」

 

 

「ふぃ?」

 

 

 

 一度技マシンを経験するのも勉強になると思う。

 お兄さんが言うには、技マシンの基準はどうやら剣盾要素があるらしく、これは頑丈に作られていて壊れないらしいから。

 

 それにどうやって覚えるのかやり方も知りたくてちょうどよかったし……。 

 

 

 

 

「お兄さん。これってどうやって使うの?」

 

 

「ふぃ?」

 

 

「おや、そのポケモンに覚えさせたいのかい?」

 

 

「うん。でもどうやって覚えさせたらいいのか分からないから……」

 

 

「うーん。君のポケモン強そうだから、技もすべて覚えてるよね。メロメロを覚えるには一つ忘れさせなくちゃいけないから……そのためには図鑑が必要なんだけど。君は持ってるかい?」

 

 

 

「い、いいえ。お母さんは?」

 

 

「残念ながらお母さんも持ってないのよー」

 

 

 ポケモン図鑑がないと出来ないのかなと思い肩を落とす。

 もしもそうならガラル地方で旅に出た時にホップに聞いてみようかなと考えていると、お兄さんがとてもいい笑顔でサムズアップしてくれた。

 

 

 

「ならあの奥にある建物に入ればいいよ! あそこにはお祭りで行われるポケモンバトル大会の委員長としてオダマキ博士が出張で来ているからね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今更だが、ポケモンが覚える技が4つなのはなぜなのだろうかという疑問が残る。

 

 ポケモンの頭には4つしか技を覚えさせることができないようにできているのだろうか。

 それに技レコードだってどうやって作られたんだって話だし、進化の石の材質だって知りたいし、ヌケニンのようにモンスターボール一つの空きがないとできないポケモンだってどうして誕生したのかって疑問がたくさん残るんだ。

 

 

 というか、一番の謎は化石だろうな……。

 特に剣盾。あの化石研究者は許さん。

 

 

 

(ポケモンと人の違いは何だろう……)

 

 

 

 シンオウ地方の図書館には、かつて大昔ポケモンと人間が結婚できた時代があったのだと伝える本がある。

 その当時は生き物の境界線なんてなかったのかもしれない。

 

 何のきっかけでポケモンという生き物が生まれたのだろうか。

 ここはゲーム世界ではない現実世界だ。だから私の前世とこの現代は似ている部分も多々あるし、ポケモンを重視した部分だってたくさん存在する。

 

 ポケモンがいるかいないかというきっかけだけが差異となっているのだろう。

 バトルをするためには、ポケモンを知らないといけない。

 

 ポケモンとの読み合いも。トレーナーとして必要な通過点だと思っているから。

 

 

 ああ、知りたいことがいっぱいあるなと思うんだ。

 

 

 

 

「知りたいことを知るためには、博士になる方が手っ取り早いとは思うけど……」

 

 

「ふぃ?」

 

 

 

 

 

 遠い目で建物の中にある騒ぎを見つめる。

 そこにいたのは複数のポケモンたちに追いかけられている、明らかに前世で見た覚えのある白衣を着た博士があった。

 

 それと同時に、トレーナーたちが慌てて止めようとしている様子も見える。

 

 

 

 

 

「ギャー助けてくれー!!」

 

 

 

 

 何故だか、剣盾にいたソニア姉さんに無性に会いたくなった。

 まあ今はまだまだ無理だけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 ポケモンとの追いかけっこによって建物の中が散らかり、それを見かねたお母さんがスタッフと一緒に手伝うことになったらしい。

 片付けている間に博士にお話をして、頼んでみましょうということで私は事情を話していた。

 

 しかし博士はニンフィアにとっても興味津々なようだった。

 

 

 

「へぇー。それで、カントー地方からこのホウエンにわざわざ引っ越してきたんだ! 確かにニンフィアはカロスで発見されたばかりの超貴重な存在。イーブイから進化するということも、まだ未発見の新しいタイプであるということも発見されたばかりだが……」

 

 

「ふぃ、ふぃあー」

 

 

 

 

 ニンフィアが居心地悪そうに私の後ろに隠れる。

 

 それでもオダマキ博士の猛進は止まらない。

 

 

 

 

「君はなぜ、ニンフィアのことを知っていたんだい?」

 

 

「テ、テレビで見て、知っていたからですけど……」

 

 

「ふむ。確かに新種発見ということで世界中で大騒ぎになっていたからねぇ。じゃあニンフィアは好き嫌いはあるかい?」

 

 

「えっと……」

 

 

「まだ野生で出会ったばかりの頃に進化したと言っていたが、その時に何か変わったことはしたのかい? ニンフィアは君にどんな反応を示した? そこで出した攻撃技は?」

 

 

「あーっと……」

 

 

 

 まるで食べ物を見つけたコラッタ並みにしつこく迫ってくる博士に困惑する。

 私の頼み事も忘れて知りたいことを知ろうとする熱中度は凄いとは思うけど、真似したくはないなと思った。

 

 

 

「……ごほんっ。父さん、そろそろ止めよう。ユウリちゃんが困ってるよ」

 

 

 

 

 聞こえてきた声は、ヒビキさんと同い年ぐらいの少年のもの。

 そこに顔を向けたら、どこかで見た覚えのある男の子だった。

 

 

 ――――そうして理解した。

 この世界でのホウエン地方は、リメイク前なんだってことを。

 

 

 

 

「あ、ああそうか。ごめんなユウリちゃん!」

 

 

「い、いえ……あの……」

 

 

「ああ、息子のユウキだよ。主に図鑑完成を目指して協力してくれている助手だ」

 

 

「急に話しかけてごめん。それとよろしくねユウリちゃん」

 

 

「は、はい」

 

 

 

 ゲームでよく見た黒色のアクセントが特徴のある白い帽子。

 日焼けしていない真っ白の肌。

 

 

 服はゲーム時代の頃のものではないようで、ワイシャツズボンに白衣を着重ねている。

 

 

 

 

「それとメロメロを覚えたいんだよね……父さん、機械はどこ?」

 

 

「ああそこだよ」

 

 

「よし、じゃあポケモン図鑑――――は、君はまだ持てる年齢じゃないから、僕のを使わせてあげるよ」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「ニンフィアをボールに入れて、この中にセットして」

 

 

 

 

 まるで丸い形をした電子レンジのような見た目のものを持ってきたユウキさんの指示に従う。

 ニンフィアもメロメロを覚えることに抵抗がないようで、素直にボールの中に戻った。

 

 モンスターボールを入れるための部分がある小型の機械にニンフィアを入れたら、モンスターボールの上にディスクを言える部分が設置され、技マシンレコードを入れて起動をするようだった。

 

 

 

 そうして、ユウキさんが作業をしている間に背後から私の肩をたたいてオダマキ博士が問いかけてきた。

 

 

 

「旅に出たら分かると思うけど、ポケモンセンターにこういう機械が設置されてるんだ。でも本来なら自分のポケモン図鑑と連動して使わなきゃいけないものだよ。何故だかわかるかい?」

 

 

「ポケモン図鑑……自分の手持ちだから、ですか?」

 

 

「うん、半分正解だ。ポケモン図鑑とトレーナーカードは証明書のようなもの。旅をしているポケモントレーナーにとっての旅の軌跡……つまり、今まで覚えてきた技。これから覚えるかもしれない技を記録するためにもちょうどいいんだ。

 

 それに手持ちの情報を盗まれないようセキュリティー的な意味も含まれるからね……まあ、まだ君は子供だから、そこらへんは知らなくてもいいと思うけど」

 

 

 

「はぁ……」

 

 

 

 やっぱりポケモンが中心の世界だと単純な部分で違うところもたくさんあるんだなぁと思う。

 というか、ポケモンセンターに機械があるとなると技マシンってそこまで単純に使えるわけじゃないのかな。

 

 

 

「よしできたよ。君のニンフィアはメロメロを覚えた。……代わりに忘れるのはじたばたでいいのかい?」

 

 

「はい。お願いします」

 

 

 

 そうやって、ユウキさんの手でニンフィアのモンスターボールの上で技マシンの機械が大きく回りだす。

 これで本当に覚えたというのだから驚きだ。

 

 なんというか、練習した方がいいのかな。

 ポケモンのアニメでもいくつか技を完璧に覚えるために練習ってやってたみたいだし。

 

 とりあえずニンフィアをボールから出す。

 するとニンフィアは後ろ足で頭を掻いてからググっと背伸びをし、そうして私に近づいてきた。

 

 

 

「どう、メロメロの技できる?」

 

 

「ふぃーあー」

 

 

 

 さーどうだろーというように間延びした声だ。

 それに苦笑しつつもニンフィアの頭を撫でて―――――。

 

 

 

「そうだユウリちゃん! うちのユウキとバトルしてみよう!」

 

 

 

「へっ?」

 

 

 

 

 そうして、なんか大変なことになった。

 

 

 

 

 

 

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