転生ユウリちゃんはガラル地方に行きたい 作:ちゃっぱ
目次通りじゃなくてすまない。
ただこれは絶対に入れなきゃと思ったんだ。
生まれた時からずっと決められていた定めだと、周りから言われていた。
でもボクは諦めたくなかった。
グリーンと共にテレビで見たあの旅の景色。
彼が幼い頃にチャンピオンを目指して旅していた頃の数々の写真と、ボクの母が語ってくれた素敵な思い出。
ボクもそんな思い出が欲しいと思った。
旅をして、誰にも渡せない素敵な景色をたくさん見たいと思えた。
でもボクの主人はグリーンで、旅に出ることなんてできるわけないと分かっていた。
グリーンは好きだ。いろいろとひねくれているけれど。
旅をしていた頃からのライバルが行方不明で、それについて愚痴ってばかりのアレはちょっとだけ面倒だし格好悪いとは思ったけれど。
でもとても強いトレーナーで、ボクは生まれた時から恵まれていると分かってはいた。
わかってはいても、夢をあきらめることはできない。
バトルをして、勝つこと。
グリーンの戦い方を見て、学んで。
指示に従って動くことでグリーンが喜んでくれるならと、ずっと我慢ばかりしていた。
夢を諦める気はなかった。
母が悲しむとしても、仲間たちが悲しんでしまうとしても……。
グリーンに迷惑をかけるつもりはない。
手持ちのまま逃げ出してしまったらそのトレーナーがずっといなくなってしまったポケモンを探し続けるとテレビで見て知ったし、旅をしてきた母達から聞いた話で分かっていたから。
だから決意の証にと、ボクは自分のモンスターボールを壊した。
もうグリーンの手持ちにはならないという証。
旅に出たいとわがままを言っても、主人はボクを遠出に誘うだけでちゃんと旅に出るつもりはなかったから。
グリーンのことを想うと身体がむずくなって、進化する感覚が伝わった。
多分ふとした拍子にボクは種族イーブイではなくなってしまうのだろう。
でもボクは旅をしたい。
グリーンのために進化することはできない。
――――だから、女の子に出会って初めて進化することを決めたんだ。
きっかけはグリーンだ。でも共にいると誓う意味での進化でもあった。
ボクが出会った女の子はまだまだ幼く、トレーナーではない。
まだ旅に出ることはできないし、グリーンのように的確な指示を飛ばせるわけじゃない。
でも将来は絶対に旅に出ると本音を語ってくれた。
ガラル地方でダンデという憧れの人に会いたいのだと、彼女のお母さんには言わなかったことをボクに全て教えてくれた。
特にダンデという男のことを全力で語ってくれたんだが、番になりたいという意味で言ったのだろうか? でもそれにしては何かが違うような気がする。
……まっ、いいか。
新しい主人がどのような恋をしていても、ボクは応援するだけなのだから。
とにかく、ボクの主人であるユウリはまだボクより幼い。
小さくて、すぐに怪我をして。
それでも泣かずに前を見て、諦めようとしない心を持ってる。
グリーンのような手つきでボクを優しく撫でてくれるし、とても良い人間だということは分かっている。
だからボクは彼女についていくと決めた。
彼女がポケモントレーナーとして旅に出てくれるまでの間なら、ちょっとだけなら待ってやってもいいと思えたから。
ガラル地方を旅したら、カントーやジョウトでちゃんと旅したいと言っていたから。
夢のままで終わらせないと、あの目は語っていたから信じることにしたんだ。
だからボクは、未熟なユウリの手伝いをするだけ。
「ユウキさん、よろしくお願いします!」
「ああよろしく。行くぞハスボー!」
『任せろ主人!』
ハスボーと呼ばれたポケモンがボールから出てきてボクを見た。
ユウキという男は、おそらくユウリに遠慮をしているのだろう。
だってボクより明らかに弱そうだ。まだ進化してないみたいだし。
これならすぐに倒せると思えた。
彼女の指示を聞いて、動いて―――――。
「よし、メロメロ!」
いや、あのポケモンは雄だから、メロメロなんて効かないよ。
それよりも倒した方がいいと思う。
「ふぃーあ」
「どうしたのニンフィア? いやなの?」
「もしかして性別が同じってことかな? ……ごめんねユウリちゃん。このニンフィアって……」
「あっ、雄です!」
「ああそうか。じゃあ、申し訳ないけど交代をしてもいいかい?」
「もちろんです!」
「よし、キモリッ!」
『ええっ』
メロメロのために、ポケモンを交代する彼らを待つ。
まあ性別を間違えていた件については仕方ないかと思った。
ユウリはまだ幼いし、ボクもこんなに可愛らしくなったからね。
「ニンフィア、メロメロ!」
「ふぃあ!」
彼女の指示に従ってメロメロを放つ。
そうしてキモリがボクに夢中になった段階で――――。
「ニンフィア、でんこうせっか!」
いいや、ここはハイパーボイスで一撃できるんじゃないかな。
ボクの経験からして、その方がいいと思えた。
ボクの大好きなユウリはまだまだ幼い。
ボクのことを想ってくれる彼女に勝ってほしい。
だからそうやって行動した。
ハイパーボイスで、キモリを倒した。
「ふぃあー」
ほら見てよ。ボクは優秀で強いんだよ。
ボクの行動を見て、ユウリが勉強できるようにしてほしいからね。
そうやって、主人を見たら――――。
「ニンフィア……」
「ふぃ?」
何故そんなに悲しそうな目をしているのかが分からなかった。
だってボクは、グリーンのもとでバトル経験は豊富だから、それを見せてユウリの経験値になれたらと思えたんだ。
将来旅に出るんだったら、ボクの戦闘は必須だろう?
ボクはユウリがまだ幼いと思っているから。
でもって、ユウリに負けてほしくないと思っているから。
まだまだ出会って日が浅いけれど、ユウリのことが大好きだという気持ちが強いから。
「……そっか。ニンフィアは私の指示よりグリーンさんの教えが大事なのね」
だからその言葉が、理解できなかった。
主人公
ユウリ
カントー地方マサラタウン出身。
激推しダンデさんに会うために将来のポケモントレーナーを目指す。まだ幼く、バトルについても指示が拙い。
フラグメイカーでもある。
現在の手持ち
ニンフィア 性別(♂)
レベル 53
性格 いじっぱり
トキワタウンにて、卵から孵化したようだ。
いろいろあって、24番道路にてユウリと出会った。
技構成
メロメロ
でんこうせっか
ハイパーボイス
ムーンフォース