転生ユウリちゃんはガラル地方に行きたい   作:ちゃっぱ

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第五話 ジュカインの反撃 前編

 

 

 

 

 その幼女を見た時に感じた寒気と異様な気配を彼はしっかりと身に染みて思い出す。

 

 

(ああ、ハルカちゃんみたいだ……)

 

 

 カイオーガやグラードンが暴れたあの日。

 ホウエン地方がもう終わりかもしれないと一瞬でも不安に思ったあの時のすべてを打ち消した彼女の背中をダイゴは昨日の時のように覚えているのだ。

 

 危機的状況でならものすごい力を発揮したハルカちゃんのようにバトルをしているなと。

 トレーナー認定試験を受けたばかりなのか、初心者用ポケモンであるキモリに懐かれ共にバトルしていたあの姿を。

 

 ジュプトルに進化したら共に喜び合い、そうしてまたバトルへと挑みに行く戦闘狂のような姿も若干似ているなと微笑ましく思う。

 己の見る目をダイゴは信用している。

 だから思う。強いトレーナーに成長するのだろうと。

 

 

「いーい? ジュプトルにはアタッカーになってもらうから、ニンフィアにはサポート型……ポケモンの技は……ムーンフォース以外は変えるからね?」

 

 

「ふぃあ」

 

 

 拾ったのか買ってきたのか、幼女が背中に背負った大きなバッグから取り出したのは複数の技マシンだった。どうやら後でポケモンセンターで技を習得するらしい。地面に広げた技マシンを見ながらこの地方では珍しいニンフィアと共に話し合っている姿はとても可愛らしいが、話している中身はえげつないものばかりだ。

 

 

 ああ、もうその年でどのようなバトルをしようかと考えているのかと感心した。

 若いトレーナー、それもまだポケモンを持ったばかりのトレーナーはただ技を放ち倒すということばかりを考える人が多いのだから。

 

 

(楽しみだな……)

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 リメイクを遊んで、そのあとに興味を持ってエメラルドを中古で買った時の衝撃を今のように覚えている。

 ハピナスたちによるレベル上げなんてできず、ポケモンがあまりにも育たず、かといって一匹だけ育てて無双するわけにもいかずに四苦八苦して育ててきたあの感覚。

 

 橋の下のジュプトルと呼ばれた悪夢を――――私はちゃんと知っている。

 

 

 

「んんー! さて、やっていくよ!」

 

 

「じゅ!」

 

 

 

 バトル大会ではどうやら優勝賞品を狙っての参加が多いらしく、レベルも何も関係なく無差別バトルのように行われるらしい。

 100人は余裕で集まったみたいだからということで、ここで連続10人勝ちしたら、次のステージへ進めるとのこと。

 

 ドーム状に作られた建物の中は、まるで剣盾で見たジムのバトルフィールドのような作りとなっており、周囲もまた観客席で埋められていた。

 

 

「よぉ、最初の相手はお前だな」

 

 

 

 きょろきょろとしていた私を見て勝てる相手だと思ったらしい。

 鼻で笑って余裕そうな顔で見下げてきた男に対して、私は気を引き締めた。

 

 

 

「ガキ相手なら楽勝だな。一勝目はもらったぜ」

 

 

「そういってられるのも最初だけですよ!」

 

 

 

 ジュプトルを出した私に対して、相手が出したのは炎タイプのブーバー。

 タイプ相性は絶望的。草タイプの技はあまり効かないだろう。

 

 

「ふふふ……この町まで来るのにいろんな場所を歩いてきたんだからね。技マシンだっていっぱい拾ったし、レベルだって上げてきた私たちを舐めんな!」

 

 

「じゅ!」

 

 

「ハッ、強気でいられるのもそこまでだぜ! ブーバーかえんほうしゃ!」

 

 

 飛び出してきた炎は後ろで見ている私にも感じられるぐらいの熱気で汗が噴き出る。

 ジュプトルが私を見て、頷いてきた。

 

 

 

「ジュプトル、あなをほる!」

 

 

「じゅ!」

 

 

 

 炎の中から逃げるために土に潜ったジュプトルを驚いたように見た相手トレーナーとポケモンが何かをする前にと一気に叩き潰す。

 土の中から技を放ったジュプトルが空中へ飛び出し、私の近くへ降り立つ。

 

 技のタイプ相性的に有利だったからか、それともブーバー自体がレベルが低かったのか一撃で倒れることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 10連勝した後でも私が幼女だからか慢心してバトルに挑む人が多く、その隙をついてジュプトルが相手を叩き込むのを何度か続けた。

 

 ボールの中にいるニンフィアはその様子をじっと見つめていたようだったが、つまらなそうな顔ではなくとても興味津々といった目だった。

 

 

 

「うん、やっぱりスピード勝負で挑むのが一番いいね」

 

 

「じゅ!」

 

 

 

 ジュプトルの強みはすばやさ。

 ゲームでも苦しめられてきたし、現実でもその強さは歴然だろう。

 

 早く動けば相手に先制を取れる。

 すいとるなどで回復も狙えるし、リーフブレードで一刀両断していく手段もある。

 炎にはあなをほるで牽制していくからか、あまりにもやりやすいバトルばかりだった。

 

 

 

「よっしゃあ、時代はやっぱりレベルごり押しバーサーカーでしょ!」

 

 

「じゅ?」

 

 

 首を傾けて何言ってんのよと言う感じのジュプトルの頭を撫でると、照れくさそうにそっぽ向いて頬を赤らめる。

 それでも頭を撫でることに抵抗はないジュプトルに微笑みつつも、次のバトルへ向かうことにした。

 

 次はいよいよ決勝戦だ。

 

 

 写真集は準優勝商品だから、負けてしまえばいいんだけど……。

 

 

 

 

「あーあー……なんかイヤーな予感……」

 

 

 

 

 次のバトルは試験と同じくダブルバトル。

 決勝戦で戦う相手は『ハルカ』と書かれた名前。

 

 

 

 バトルフィールドで向き合った女性は、ちょっとだけ成長していたけれど……。

 

 

 

「よろしくねユウリちゃん」

 

 

 

 

 見たことのある特徴的な赤いバンダナを付けた、バシャーモと共に登場した女主人公だった。

 

 

 

 

 

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