転生ユウリちゃんはガラル地方に行きたい   作:ちゃっぱ

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第三話 いえすロリショタのーたっち

 

 

 

 

 グリーンさんに連絡をして、カントー地方にいる私の母にも事情を話したようだ。

 電話先で号泣している母に申し訳なく思いながらも、無事でいるということと事故でジョウト地方にいるということを伝えるとものすごく驚いたようだった。

 ジョウト地方に迎えに行くという母を説得し、共にカントー地方に帰るとワタルさんが言ってくれたからまだ私たちはここにいた。

 

 

 だから、あんな騒ぎが起きてしまったのかもしれない。

 

 

 

 

 

「たのもー!」

 

 

 

 事の発端は扉を蹴破る勢いでやってきた一人の少年だった。

 

 

 14歳か15歳くらいだろうか。

 黄色の模様がトレードマークの帽子をかぶり、どこか見覚えのある姿を少しだけ成長させたような男の子。

 どうやらかなり急いできたらしく、扉の外から「廊下を走らないでくださーい」というジョーイの怒ったような可愛らしい声が聞こえてきた。

 

 長い距離を走ったのか息が上がっており、肩が上下に激しく動き息を整えようと必死になっている姿が見えた。

 

 

 

「なぜ君がここに……?」

 

 

 

 どうやらワタルさんもこの突然の訪問は想定外だったらしい。

 呆然とした顔で問いかけるが、少年はそれに答えようとしない。

 

 それどころか、わんぱく小僧のような幼さを残した少年が、目をキラキラと輝かせて私とワタルさんを見たのだ。

 

 

 

 

「ワタルさんが幼い女の子に手を出したと聞いて来たんすけど! マジだったんですね!!」

 

 

「そんなわけないだろう!」

 

 

 

 ワクワクと何かのトラブルが起きたのではないかと楽しむかのように。

 なんというか、まるで人に懐いている子犬みたいに、とても良い笑顔で親指を立ててサムズアップしだした少年にワタルさんは深い溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

「というか誰なんだ。そんな失敬なこと言いふらしたのは!?」

 

 

「言いふらしてませんけど、グリーンさんの電話越しに聞く限りではそんな感じでした!」

 

 

「グリーン君っ……いやそれよりも、連絡したのはついさっきだぞ!? 来るの早すぎないかヒビキくんっ!」

 

 

 

 ――――あっ、やっぱりこの少年の名前はヒビキなんだ。

 

 ということは、この世界での時系列は金銀というよりはリメイク版に近いかもしれない。

 もしかしたらホウエン地方での主人公たちや時系列もリメイク版の可能性が出てきたけど……でも前世で見た考察だとオメガルビーとアルファサファイアのリメイクは別世界線説があったからなぁ。

 

 まあ、私が行きたいのはガラル地方。

 ホウエン地方に行く気はないから考えなくてもいいか。

 

 

 

「グリーンさんと戦おうと思ってジムに行ったらちょうどワタルさんの連絡と鉢合わせまして! まあ面白そうなんでテレポートとそらをとぶで急いで来ちゃいました」

 

 

「そうかそうか。グリーン君は?」

 

 

「ちょうどジムチャレンジャーが複数来たのでそのままっす」

 

 

 

 にっこりと笑ったヒビキくん……いや、ヒビキさんかな?

 彼はとても上機嫌なまま、私のもとへ近づいてくる。

 

 

 

「初めまして、俺の名前はヒビキ。君は?」

 

 

「私は……ユウリです」

 

 

「ユウリちゃんか、良い名前だな」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「んっ、それと……そのポケモンちょっと見てもいいかな?」

 

 

「えーっと……ニンフィアがいいなら、ですけど……」

 

 

「ありがと。じゃあさっそく――――」

 

 

 

 しゃがんだ彼に対して、椅子の下で寝転んでいたはずのニンフィアが威嚇するように「フィー」と低い獣の声を出してきた。

 

 

 

「んー……ピィ、どうだ?」

 

 

「ぴぃ」

 

 

 

 ひょこっと少年の上着から出てきたピンクの塊にぎょっとする。

 

 

 

 

(うわっ、上着の中にピィいたの!?)

 

 

 

 ぬいぐるみみたいにもこもこしていて可愛らしいピィがニンフィアをじっと見つめている。

 それに対してもニンフィアは嫌そうな顔で威嚇を続けていた。

 

 もしかして、ワタルさんと同じで知り合いなのだろうか?

 

 

 

 

「落ち着いてニンフィア」

 

 

「ふぃ、ふぃあー」

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

 

 椅子から降りてしゃがみこみ、ニンフィアの頭を撫でる。

 不安そうな顔をしているニンフィアを元気づける方法はグリーンさんに直接会うしかないけれど……。

 

 

 

(本当に、何があったんだろう……)

 

 

 

 グリーンさんから逃げて、野生に戻っている状況は普通ではないと思う。

 ジムリーダーだし、初代のライバルだし。

 まあ、良い人であるのは確実だろう。

 

 

 

「んっ。やっぱりグリーンさんとこのイーブイっすね。なんか見たことない姿に進化してるけど! あれってどういう進化なんですか!?」

 

 

「ニンフィアという……最近カロスで発見されたポケモンだよ。それについては博士に聞いてほしい。とにかく彼女たちについてなんだが――――」

 

 

「電話越しに話は聞いてます! マサラタウンから事故でここまで来ちゃったんですよね! なら俺送りますよ!」

 

 

「えっ」

 

 

「ユウリちゃんは俺と一緒は嫌か?」

 

 

「いや、じゃないけど……迷惑じゃないですか?」

 

 

「大丈夫だよ。俺も面白そうだからここまで来たけど、あとでグリーンさんに用があるし。ワタルさんだって暇じゃないでしょ? 責任もって送りますよ」

 

 

 

 ヒビキさんの言葉にぽかんと口を開いて彼を見た。

 ニンフィアは「えーこいつと一緒?」という感じで嫌そうに鳴いてはいたが……。

 

 

 

「……任せてもいいのかい?」

 

 

「もちろんです。ほら、この子が俺の後輩になるかもしれないでしょ。それにそのニンフィアについていろいろ知りたいですから!」

 

 

 

 それと、と。

 ヒビキさんは言葉を続ける。

 

 

 

 

「ポケモンセンターの一室でチャンピオンたる男性の大人と、初めて出会った迷子であるはずの幼女が一泊とかゴシップどころの騒ぎじゃねーっすよ!」

 

 

「だから手を出す気も何もないといっただろう!!」

 

 

 

 

 冗談っぽく笑ったヒビキさんの言葉に対して、ワタルさんは少し疲れたように苦笑したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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