生まれてきたことを後悔させてやりたい奴がいるんだ……   作:ト——フ

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 原作で凛達は穂群原学園へと編入するのはツヴァイ! からですが、この作品では無印の時点で編入を済ませている、ということでよろしくお願いしますm(_ _)m


第一話☆生まれてきたことを後悔させてやる……

 あの日からだ。

 

 きっかけは、姉ちゃんが酷くやつれて家に帰ってきたことにまで遡る──

 

 ─

 ──

 ───

 

 その日は4時間授業で早めに家に帰ることが出来、同い年の妹の那奈亀とリビングで一緒にTVを観ながら寛いでいた。

 

 今日は那奈亀と姉ちゃんとの3人、家族で出掛けようと決めていた日で、楽しみにしていた映画を観に行く予定。

 そんな訳で気分も良く、常よりもテンションが高まっていて、姉の帰宅を今か今かと待ちかねていた。

 

 玄関の音が聞こえ、我先にと妹と駆け出し、意気揚々と玄関へ迎えに上がる。

 

「「おかえり姉ちゃ……」」

 

「ただいま、那奈亀ちゃん、黒虎(くろこ)ちゃん」

 

「姉ちゃん!? どうした!?」

 

「大丈夫か姉ちゃん!?」

 

 

 表情こそいつも通りの笑顔なのだが、血の気が悪く、酷く真っ青な姉ちゃんの顔に妹共々声をあげて驚いてしまった。

 

 靴を脱いで家へと上がるなり、力が抜けたかのようにへたり込む。

 そんな姉の姿を見て那奈亀の顔は青ざめている。

 当然俺も同じ顔色をしているのだろう。身近な人がこんな目に遭うなんて、なんで、と、考えが巡り、困惑している。

 

 

 一体何があったのか──? 

 温厚で滅多に怒らなくて、それでいて肝が座っていて強かな姉がこうも参ってしまうようなこと……もしや不審者にでも遭って怪我を……と考えが過ぎったが、直ぐにそれはないと一蹴する。

 

 代々森山家の人間は特に使いどころのないフィジカルに恵まれる。うちの姉ちゃんもその例に漏れず、力加減を間違えてガラスのコップを割ってしまうようなハイスペック。

 その気になれば並の男ならば秒殺出来るし、なんならその健脚をして逃亡出来るだろう。 

 姉ちゃんに傷をつけれるような人間はそうそういない筈。

 なら、精神的な──!? 

 

 と、考えが頭を巡っていると、ぽつり。

 

 よろよろと顔を上げた姉ちゃんが言葉を零す。

 

「かえるさんってね……ぬるぬるして……近くで見ると……」

 

 そこまで言うと、糸が切れたようにパタリと倒れ込む。

 

「「姉ちゃん!?」」

 

 

 

 それから姉は暫く部屋で寝込んでしまい、時折カエルについて口ずさむ。近くで見たら目が怖い・柔らかい、そんなことを口にしていたと思う。

 完全にカエルに苦手意識を抱いてしまったようだ。

 那奈亀が『姉ちゃん……名前に(へび)を持つ者がカエル恐怖症になるなんて……』と嘆いていた。

 

 

 後に聞いた話で、ある女生徒が解剖用のカエルの詰まった袋を投げつけ大惨事になったらしい。

 調べると、その女生徒の名前は遠坂凛というらしい。

 最近編入してきた綺麗な人で、なんでも姉ちゃんに突っかかることも度々あったそうな。

 

 まぁ、とはいえ遠坂凛か。

 覚えたぞ。

 あのツインテールだけは許さん。

 落とし前つけてやる……。

 

 生まれてきたことを後悔させてやる……

 

 ─

 ──

 ───

 

 それから可能な限り、あのツインテールの動向を探ることにしたのだが……驚愕の事実に身を震わせることになる。

 金髪ドリルのこれまた綺麗な人と、何やら取っ組み合いをしている所を目撃してしまったのだが……二人の動きの次元が違ったのだ。 

 

「そんな……これじゃあ、あのツインテールブチのめせない……」

 

 ハイスペックボディにかまけて今まで何もしてこなかったけれど、そうは言ってられなくなった。

 

 力だ。

 もっと力がいる。

 自分を磨かなくては。

 あの次元を超える程に、強くならなければ。

 

 

 そうと決めたら直ぐに行動に移る。

 近所にある道場へと見学に行くことにした。

 

『嶽間沢道場』

 クラスメイトの女の子、嶽間沢龍子の家族が経営している道場。

 

 師範である龍子の親父さんに、嶽間沢流武闘術について説明を受ける。

 

 なんでもカウンターに特化した徒手空拳の武術らしい。

 

「嶽間沢流に構えはねぇ。

 相手に合わせるんだからな、要るわきゃねぇ。気先・術理・体捌き。それらが流れるように一体化した手練れほど……嶽間沢流の餌食だぜ」

 

 その台詞を聞き、これならばと思い、通うことに決めた。

 

 ─

 ──

 ───

 

 3日後。

 

 ある程度教えを受け、なんとなく考え方とかやり方が全部分かったので師範に見て貰った。

 すると、もう教えることは無いと言われ、免許皆伝を受けてしまった。

 

 まさか僅か3日で習得してしまうとは……と、自分の無駄に凄い才能に若干震えながらも道場を出る。

 

 

 ──

 

 よし。対捌きは身に着けたし、身体鍛えるのは3日前から継続してる。後は……圧倒的に、完膚なきまでに叩きのめすためには準備がいる。

 ただでさえ、相手は相当な手練れ。慎重に事を進める必要がある。

 それを踏まえて、そうだな。

 さしあたって今出来そうなことと言えば……罠の仕込みをしておくとしよう。時間かかりそうだし。

 簡易的なモノしか作れないだろうけど、まぁ最低でも敵の動きを少し鈍らせることは出来るだろう。うまく運べば、最後の最後でまさかの活躍をしてくれるかもだし。

 

 今は夕方。こんな時間に不審な動きをしていたら職員さんに捕まってしまう。ので。少し怖いけれど仕方ない。夜に学校忍び込んで準備に取り掛かるとしよう。

 

 そんなわけで、近くの山の竹を少し拝借してきてから一時帰宅し仮眠をとり、いつも通りに晩御飯やらを食べ、時刻は23時過ぎ。

 

 バレないように部屋の窓から家を出て、学校へとひた走る。

 

 

 ─

 ──

 ───

 

 落とし穴に使う竹を削っていたら、あの憎き年増ツインテールが校門に現れた。

 正直手に持っている竹を武器に突貫しようかと思ってしまったが、予想だにしない人物の登場によってそれは未然に終わる。

 

 アインツベルンさんが一緒に居たために。

 

 え、いやなんでだ……。クラスでの彼女の印象は夜に出歩くような、そんなことをするような人ではない、と捉えていたけど……。よく那奈亀から話に挙がったりするけど、友達想いで優しくて、凄くいい人って聞くし。

 

 なにか彼女にも事情があるのだろうか。

 

 ひとまず静観をすることに。

 

 すると、魔法少女になった。

 

 ありのまま話すけど、お花を摘みに行った彼女は戻ってきたら魔法少女のコスプレ? をしていた。着替えるのが速いなとか、あのステッキ喋ってね? とか色々あるけど、それにしても可愛いな……。

 クラスの、もとい学校の華である彼女の魔法少女コスを拝めるとはなんたる僥倖。

 カメラ持ってきてないことが大変悔やまれる……が、仕方ない。しっかり目に焼き付けとこう。

 

 

「──っと、やばい見惚れてた」

 

 そうだ。見惚れている場合じゃない。

 よく見ると彼女の周囲の地面に魔法陣的なやつ展開されてるし……ファッ!? え!? ──って、なにこれ……うわなんか光ってるし……え、消えた……。

 

「えぇ……」

 

 クラスメイトの美少女が魔法少女だった件について。

 

 高校生と一緒に夜な夜な街を出歩き、喋るステッキと共に平和のために戦っているらしい──そんなアインツベルンさんが容易に想像出来てしまった。

 ふむ。めちゃくちゃアリですね。とてもアリ。

 これでアニメ1本作れるよきっと。

 そんで多分4期くらい続くかもしれないし、その派生でアインツベルンさんボイスのアラームとか配信されるかもしれない。

 

 ……これ俺絶対買うな間違いなく。

 クラスメイトの美少女に毎日起こして貰えるとかなにそれめっさ興ふ、胸が高鳴るじゃないすか。

 こうしちゃいられん。早速雀花と話を詰めないとだな……

 

 

 ──はい。そんな現実逃避してる場合かってですよね。すみませんね。だけど超常現象目の当たりにした俺の気持ちも考慮してほしいの……。こんなん妄想に走るしかないでしょ。

 

 さて……けれど、どうしようか。

 俺どう動いた方がいいんだか……。

 ぶっちゃけこのまま帰りたいのが本音だけど、クラスメイトが関わってるからそういうわけにはいかないし。

 

 ならどうするか。

 流石にあの赤い悪魔用のトラップ作るのは後回しとして。

 まず、アインツベルンさんがまた出てくるの待つか? 

 それとも警察には説明でき、るかな……どうだろう。

 

 どうしたもんかね

 

 ─

 ──

 ───

 

 悩んだ末、暫くはアインツベルンさんが再び現れるのを待つことにした。

 

 と、そんなこんなで草むらの茂みに隠れてぼーっとしてると金髪ドリルお嬢様がやって来た。確かルヴィアさんだっけ名前。姉ちゃんが興奮交じりに凄く美人さんのお嬢様が編入してきたって力説してたから覚えてる。

 

 うん、確かにTVにでも映ってそうな超美形。女優さんって言われても全く違和感が無い。

 だけどまぁ……、卓越したプロレス技駆使するプロレスモンスターでもあるっていう……。

 それになんでかな……あの赤い悪魔に似てるっていうか、そんな感じがする。外見はあんまり似てないけど、あの二人が取っ組み合ってる時の姿がまるで姉妹のようだったっていうか……。案外血の繋がってない姉妹とかだったりするかもしれん。

 

 ということであの金ドリも要注意やで。

 

 

 そうしてルヴィアさんの動向を伺っているとなにやら小さな影が一つ。

 紫色? っぽい何かか? 

 もっと目を凝らしてみると──

 

 ──エッッッッッッッ!!!!!!! 

 

 

 えッ⁉いや、えっ、いやこれは率直に申し上げますと大変エロうございます本当にありがとうございました。

 それにしてもなんなんだあの衣装は……横っ腹に太もも、そして露になった肩。きわどすぎる……。

 そしてそれを着てるのが清楚系美少女ときた。

 なんなんだこれは。いったい誰がこんな最強の存在を生み出したというのか。ぜひお礼がしたく……。

 

『限定次元反射路形成』

 

 っ、また魔法陣っぽいのが地面に! 

 さっきと同じように消えるんじゃいのか? って言ってるそばから薄くなり始めてきた。あれか? もしかするとアインツベルンさんの元に向かうってことだったり? 同じ魔法少女絡みでこう……的な。

 

 まぁなんにせよこれから彼女たちは悪と戦ったりするんだろうか。

 じゃあがんばってくれ。いってらっしゃい。

 

 

 

 

 ──そう見送ろうとしたんだけれど。

 俺の視界に映った一枚のカード。

 銅色の、槍兵のイラストが描かれているそれを見て。

 

 気づいたら彼女たちのもとへと駆けていた。

 

 ─

 ──

 ───

 

 冷静になり周りに目を向けると、自分のことを怪訝な様子で伺っている人が二人。

 そうですよね。先端削ってる竹を片手に突っ込んできた不審者なわけだから。

 なんて説明するかと頭を巡らせると、校庭がなにやら騒がしいことに気づく。

 

 目を向けると、黒いオーラ迸る女性が必殺技でも放つ為の力を溜めているかのような、そんな光景が目に入る。圧力、殺気、それらがビンビン感じてくる。

 そしてその向かう先は逃げるアインツベルンさん。そして年増ツインテール。

 

 赤い悪魔はともかくクラスメイトは放っておけない。

 きっとあの黒い人は、常識の範疇に囚われない、そんな存在だと本能的に察する。人間が適うようなレベルではないと思う。おっかないし、めちゃくちゃ怖い。足がすくみそうになる。ってか現にガクガク言ってる。……、だけど、目の前で危ない目に遭いそうな知り合いを見捨てるわけにもいかない。

 

 怖いけど、自らを鼓舞して動かなければ。

 

 今こそ、特に使いどころのないフィジカルの使い時じゃないか。

 今まで、この平和な冬木市で生きてきた中で、初めての修羅場。

 きっと俺の身体も立ち向かえと言っている。

 森山家の血が闘えと訴えている。

 

 それにあれだ。

 なにより妹の友達を見捨てて逃げたりなんてしたら、那奈亀に合わせる顔がない。

 

 やらなければ。

 

 

 

 覚悟を決め、右手に持った竹を握りしめ、駆け抜けた。

 

 

 勇気を出せ。気迫で負けるな。

 思い出せ。2週間ほど前から夢に出る数々の英雄たちを。あの人達の様に、勇猛果敢に攻め立てろ。

 ずっと見てきた。あのカッコいい兄貴の背中を。思い出せ。

 奇しくも今、自分の獲物は槍とも言えんこともない。あの兄貴と同じ、槍兵だ。

 

 兄貴と同じようにとはいかないけれど。だけど、気合を込める為に俺は言う。

 この一撃で沈める覚悟で、あの台詞を──

 

 

 

「──刺し穿つ【ゲイ】」

 

 

『っ!? カードが!』

 

 

 瞬間

 

 もう一人の魔法少女の側を横切った際、その手に持つカードが光り、竹の槍の質感が変化したのを感じた。ずっしりと、そして持ち手の部分が波打ったような形状に。

 まるで夢に見た、あの真紅の魔槍のようになったことに驚きが隠せないが、今は気に捕われてる場合じゃない。

 

 全身全霊、力を込めて──

 

 

「死棘の槍【ボルク】!!」

 

 




 今回の話
 久しぶりにプリヤの単行本読んでたら思いつきました。
 そういうわけで、取り敢えず思いついたネタを吐き出したかったので、形にして、折角だから投稿してみた次第です。
 続くかどうか分からないですが、もし続けることになったらよろしくです。

 型月作品に関しては、プリヤ、fgo、stay/night(アニメ)、アポクリファ(アニメ)、extraシナリオ集(cccは未読)は履修してます。
 ですが、魔術やらの知識は浅い為、都度ググりながら書かなきゃな状況です。
 間違った解釈を載せてしまうこともあるかと思いますが、その時は出来ればコメント頂ければなとm(_ _)m

 というわけで、なんで主人公がインクルード(インクルードといっていいんだろうか……?)出来たのかっていう理屈が分かりません。(自分で書いといてこの作者は……)
 ……だからもう転生特典ってことで丸投げしていいですかね♡? え、だめ? そんなぁ……。

 クウガみたいに手にした物質を専用武器に変換したらカッコいいな~って思って……。
 そんな軽はずみな動機ですまない……。(そしてライダーに関しても浅学な作者)


 あ、それと今回凛を悪者っぽく書いてしまいましたが、アンチヘイトにはしません。
 凛の方も、まさか袋にカエルが入ってたなんて知らなかったと言ってましたし。 ……まぁ、士郎に、だからって森山に投げつけることないだろと咎められてましたが。

 まぁとにかく。
 作者的にアンチヘイトものが苦手でして、出来る限りはそっちの方向には行かないよう気をつけて書こうかなと。

 以下、主人公のプロフィールです↓


 森山黒虎(くろこ):主人公 (ホントは()()()と読むらしんですが、この小説ではこの読み方でお願いしますm(_ _)m)

 前世はfgoユーザーだったらしい。
 プリヤはチェックしていなかった模様。
 まぁ前世の記憶はないんですがね。

 森山家の一員として転生。
 那奈亀の兄、奈菜巳の弟。
『森山家の人間は代々特に使いどころのないフィジカルに恵まれる』のは主人公にも適応されている模様。

 名前の由来
 姉の奈菜巳と妹の那奈亀で玄武。
 そして玄武は福建省で黒虎(こっこ)に置き換わっている。(wikipedia様参照)
 という、家族間の繋がりを持たせたかったので、この名前としました。

 クラスカードが冬木市に現れて(2週間ほど前)から前世の記憶(fgoのみ)を夢に見るように。

 夢幻召喚 (インストール)は出来ないけど、 限定召喚(インクルード)っぽいことはできる模様。

 オリ主の武の才能は那奈亀には及ばない程度。まぁそれでも充分凄いんですが笑


 容姿は那奈亀を男の子にした感じ。
 まぁ、そういうわけでピンク髪の叔父貴リリィっぽい男の子を想像して頂ければと。

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