ボールがくれた出会い 作:御沢
本文私は、今日から龍田緑くんと付き合うことになった。
そのことを知っているのは、楓、葵、天馬君、剣城君・・・くらい。まぁ、そのうちばれちゃうだろうけど。
今日はサッカー部の練習がなかったため、緑君と一緒に帰ることができなかった。だから、用事のある楓と神童キャプテン以外のメンバー(私、葵、天馬君、剣城君、霧野先輩、信助くん)で、帰ることになった。
「未雲ちゃん、今日の宿題ってなんだったっけ?」
「もう、信助くん忘れちゃったの?」
「信助って、意外と忘れやすいよね」
「うんうん」
「葵ちゃん、天馬~ひどいっ」
「でも、本当のことだろ?西園」
「そうじゃねぇの?」
「霧野先輩~剣城~」
「はいはい、そういえば、神童と楓は、今日2人してどこ行ったんだ?」
「そういえば・・・」
「誰か、知っている人っているの?」
「「「「・・・」」」」
そう、誰も神童先輩と楓がどこに行ったのか知らなかったのだ。
場所は変わって山吹邸・・・
「楓、俺の家でもよかったのに、よかったのか?」
「はい。構いません。それより、お兄さんに用があるそうですが」
「あぁ、すまないな。楓の家なのに」
「いえ、海外に3年勤務が決まった母の代わりに、今はお兄さんが私の世話をしてくれているんです。だから、大丈夫だと思いますよ。お兄さんも山吹邸(ここ)に住んでいますし」
「そう・・・だったのか・・・」
俺は、神童拓人。雷門中学校生徒会長で、雷門中学校3年1組の学級委員で、雷門中学校サッカー部のキャプテンだ。学校生活に不満はない。むしろ、満足している。
なら、何を楓のお兄さんに相談するのかって?
まず、話しておくが、楓のお兄さんというのは、楓の従兄のお兄さん、鬼道有人さんといって、11年前のFFIの日本代表のメンバーだった。しかも、チームのの司令塔であり、ナンバー2で3トップだった。
その鬼道さんは、昔、同じメンバーだった円堂さん(キャプテン)が、キャプテンを下されそうになったとき、何度もキャプテンに任命されたが、断ることができたらしい。
それなのに、俺はキャプテンはもう天馬に譲りたいのに、なかなか譲れないのだ。
だから、どうすればそんなに説得力があるのか知りたかったのだった。
「楓、俺に客とは誰なんだ?」
「あ、お兄さん。はい、お客さんとは神童キャプテンのことです」
「ほう、神童か。久しぶりだな」
「はい、鬼道さん。先日お渡しいただいた練習メニューは、みんなの力になりました。ありがとうございます」
「いや、構わない。それより、何の用なんだ?」
「えっと、それは・・・」
俺は、楓のほうをちらっと見た。それに気がついてくれた楓が、
「私は、席をはずしておきます。ついでに、人払いもしておきましょうか?」
と言って、席をはずしてくれた。
そして、俺は、悩み事を全て話した。
「・・・そうか」
「はい。俺って、やっぱり・・・説得力がないんでしょうか?」
「いや、そういうことではないと思う」
「なら、なぜっ」
「おまえには、天馬の気持ちがわかるか?」
「天馬(あいつ)の・・・気持ち?」
「あぁ、そうだ」
「いいえ、わかりません」
「天馬は・・・お前が大切なんだ。自分のせいで、キャプテンをやめる羽目になったんじゃないかと思っているんだ」
「なぜ、天馬のせいなんですか?」
「お前が雨宮に突っ込まなかったらキャプテンをやめることにはならなかっただろう?」
「えぇ、まあ。でも、そんなこと、俺は気にしていませんし・・・」
「お前が気にしていなくても、天馬は気にしているかもしれない。だから、一緒にさせたかったんじゃないか?」
「でもっ、俺はいいんです!一刻も早く譲たい!」
「神童!お前は焦りすぎている!冷静になって、ゆっくりと進んでいけ」
「・・・!そうですね。ありがとうございます」
「ならよかった。・・・でも、いつから聞いていたんだ?お前たち」
「えっ!?」
俺は、えっ!?と思った。
そして、大きなドアがぎぃぃぃ・・・とあいた。
「やっぱり、気づいていましたか。お兄さん」
「か、楓!?それに、霧野!?剣城!?」
そう、そこにいたのは楓、霧野、剣城だった。
「なんで、ここに・・・!?」
「いや、私が人払いをした直後、剣城と霧野先輩が来て、話を聞きたいと言って・・・」
「いや、剣城は楓に会いたかったのかもしれないけど、俺は図書館に来ただけだ」
「それって、剣城が本当に私に会いに来たとしても、もっと失礼なんじゃあ・・・」
「そうですよ、霧野先輩。それに、俺は楓に会いに来たわけではありません」
「そうなのか・・・?」
「あの、俺らの存在は忘れてないだろうな?」
「あ・・・はい、もちろんで・・・」
「「忘れてただろ!」」
「・・・はい。でも、キャプテンの悩み、聞けてよかったです」
「これからは、俺たちもキャプテンの悩み、協力しますよ?」
「そうだぞ、神童?」
「みんな・・・ありがとう」
そして、俺たちは天馬にキャプテンを譲ることを急がないことにした。
みんなが帰った後・・・
「お兄さん?」
「ん?何だ?」
「さっき、神童キャプテンに言ったことって・・・」
「ん?あぁ『お前は焦りすぎている!冷静になって、ゆっくりと進んでいけ』ってやつか?」
「はい、あれってテレス兄さんの受けよりですよね?」
「ん・・・そういえば・・・そんなこともあったな」
「私が、アルゼンチンに留学していたときに聞いたんです」
「テレスか・・・懐かしいな」
「また、会えますよ。イナズマジャパンの皆さんとも・・・ね?」
「あぁ、そうだな」
楓と鬼道は、思い出に浸ったのでした。