ボールがくれた出会い 作:御沢
「楓って、幼いころ、どんな子供だったの?」
「私・・・ショックを受けないでね?」
「「うん・・・」」
私は、葵と未雲に自分の過去について聞かれたため、隠さず話すことにした。
11年前、私はまだ「山吹楓」ではなく「光山楓」だった。実の父親は、実の母が私を宿した時に逃げたらしい。兄1人だったら養えたらしかったけど。だから私は、幼少期を辛い気持ちで過ごした。でも、母と兄と私の3人で過ごした時間は、大切なものだった。
でも、楽しい時間は、そんなに長くは続かなかった。
母が、海外勤務の帰りの飛行機で事故に会い、亡くなったのだ。
私が3歳、兄の翔が4歳の時だった。
私は、近くにあった「お日様園」というところに兄と2人で預けられていた。だから、大ぜいの子供たちと遊んでいたため、ニュースで聞いた名前にお姉ちゃんが、顔を真っ青にしているのにも気がつかなかった。それに気がついたのは、お姉ちゃんが泣いている時だった。
―11年前―
「おねえちゃん?なんでないているのぉ?」
「楓・・・ちゃん・・・お母さんが・・・」
「ママぁ?どおしたのぉ?」
「大丈夫・・・私が翔くんも楓ちゃんも守ってあげるから・・・」
「おねえちゃん・・・?まもるって・・・?」
私は、理解できなかった。理解しようとも思わなかった。でも、兄は理解できたらしく、泣き始めた。私は、兄にも訪ねた。
「おにいちゃん・・?」
「楓っ!俺たち、別れてしまうかもしれないっ・・・」
「おにいちゃん・・・ママは?おかあさんは?」
「し、し、死んだ・・・」
「しんだ・・・?ウソだよ!おかあさん、わたしたちをおいていかないもん!ぜったいにおいていったりしない!おにいちゃん、うそつかないでよ!」
「嘘じゃない!本当に、死んじゃったんだよ、お母さんは・・・」
「うそだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!わぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
私がそれを理解したのは、兄が理解した2時間も後のことだった。
それから私は、大人になろうと努力した。
そして、私は落ち着きのある子供らしくない子供に育っていった。
―母の死から3年―
そのころ、兄はもう「お日様園」にいなかった。引き取られたのだ。兄が引き取られて、もう1年半が過ぎていた。
「瞳子さん、何かお手伝いすることがあるでしょうか?」
「楓ちゃん、いいのよ?無理しないで幼稚園の友達と遊んでも」
「いいえ、遊んでいる暇があるのなら手伝いをしたいんです」
「ごめんなさいね、いつも」
私は、よく「お日様園」に来ていた吉良瞳子さんの手伝いをしていた。そして、それだけで1日1日とあっという間に過ぎて行った。
そんな毎日が終わる日が、突然やってきた。
私は、瞳子さんに突然呼ばれて、個室に行った。そこには、美しい35~40歳くらいの女性がいた。「あの、どちらさまでしょうか?私に何か用でも?」
「楓ちゃん、よく聞いてね。あなたは、今日からこの山吹さんの家の子供になるの」
「?どういうことですか?」
「つまり、『光山楓』から『山吹楓』になるの」
「・・・えぇ!?山吹・・・楓!?」
「そうよ、楓ちゃん。じゃあ、私は少し席をはずすから、養母(おかあ)さんとお話してみたら?」
「あ、はい」
そう、私が引き取られることになった。しかも、山吹さん・・・今の母に当たる人は、世界3大財閥の1つに数えられる超巨大財閥、山吹財閥の女性総帥だった。でも、私はそんなこと知らなかった。だけど、養母(おかあ)さんは、私の大好きなサッカーを好きだと言ってくれた。だから、山吹家の養子(こども)になると決めた。
「・・・そして、今に至るわ」
「楓・・・辛い人生だね」
「うん・・・聞いちゃってごめんね」
「いいのよ、別に。私は母の記憶もほとんど覚えていなかったし、ときどき思い出してあげないと、可哀そうよ」
「それで、お兄さんとは会っているの?」
「ううん、全然。去年まで雷門にいたけど、今年転校しちゃったし・・・」
「そっか・・・」
「でも、いいのよ」
私の顔には、自然と笑顔があふれていた。