ボールがくれた出会い 作:御沢
「天馬っ!こっちにパスだ!」
「はい!神童キャプテン!」
「『神のタクト』!」
私は、雷門中学校のそのレベルの高さに驚いた。
前の中学校にもサッカー部はあったけれど、レベルが違いすぎだ。パスはおろか、必殺技なんて使うことすらできなかった。
「わぁ・・・すっごいなぁ・・・」
私が1人で呟いていると、そばに葵ちゃんと名前は知らないけれど、どうやらサッカー部のマネージャーらしい2人がやってきた。
「未雲ちゃんもビックリだよね。私も、最初見たとき驚いたもん。しかも、最初から化身出してきたりもう、驚いたなぁ・・・」
「葵ちゃんも?やっぱり凄いよね。あ、あと、私のことは未雲でいいよ」
「じゃあ、私も葵で宜しくね、未雲」
「う、うんっ」
「へぇ~、おまえ、未雲っていうのか。可愛い名前だな。なぁ、そう思うだろ?茜?」
「うん、そう思う。でもね、水鳥ちゃん、その前に自己紹介」
「おっと、わりぃな。あたしは、瀬戸水鳥。本当はマネージャーじゃなかったんだけど、気がついたらマネージャーになってたんだよなぁ。学年は3年。宜しくな」
「私は、山菜茜。シン様のコレクター?同じ3年生♪宜しくね」
私は、化身やシン様という言葉が理解できなかったけど、とりあえず挨拶をした。
「は、はい、瀬戸先輩、山菜先輩」
「先輩じゃなくって、水鳥でいいよ」
「私も茜でいい」
「じゃあ、水鳥さん、茜さん・・・宜しくお願いします」
「あぁ!」
「うん♪」
「じゃあ、皆が知り合いになったところで、ドリンク作りに行きますか」
「そうだな。未雲はついてきて見とくだけでいいよ。その代わり、ちゃんと覚えろよ?」
「はいっ!」
「ヤル気十分♪」
そして、私の初マネージャー仕事、ドリンク作りが始まった。
本当は見とくだけで良かったけど、私はやってみたかったから、無理言ってやらせてもらった。
でも、うまくいかなくって、すごく苦戦した。しばらくドリンク作りをしていたら、水鳥さんと茜さんは、音無先生(サッカー部の顧問らしい)に呼ばれて、外に行った。
「あれっ・・・オレンジ味にしたはずなのに、どっちかって言うとグリーンピースのような味・・・うぇっ・・・」
「最初はそんなもの・・・でしょっ?」
「葵・・・ありがとう。はぁ~、楓が部員になる道を選んだのも理解できるなぁ~。だって、こんなにマネージャーって大変なんだし」
「あ・・・うん、そうだね」
そのとき、葵の声が沈んだのが気になったけど、私はそんなに気にせず続けた。
「そういえば、練習って何時に終わるの?」
「えっと、今日は6時半・・・ってもう6時25分だっ!やばい、早く済ませちゃうから、未雲はそこにあるかごに詰めといて!」
「うん!分かった!」
そういった私は、葵の作ったドリンクをかごに詰めて、全部詰め終わったら、サッカーグラウンドに行った。
グラウンドに行ってみると、皆は時間も忘れて練習に打ち込んでいた。だから、私は大きな声で
「みなさーん!休憩です~!」
って叫んだ。そしたら、皆が一斉にこっちに向かってきて、
「やっとかぁ~」
とか
「疲れた~」
とかいいながら、こっちにやってきた。
私は、そんな皆になるべく笑顔でドリンクを渡した。そのドリンクを、美味しそうに飲んでくれると嬉しくなった。私がニコニコしていると、少し遅れて楓と剣城君がやってきた。
そういえば、あの2人、いっつも一緒にいるな~。楓も剣城君もFWだし。そんなことを考えてることが、2人にばれないように私は努めてドリンクを渡した。
「未雲、マネージャーはどう?」
「うん、楽しいよ!ありがとう」
「いえいえ。あ、皆の名前、覚えた?」
「ううん、皆さんの名前、覚えるの、難しくって・・・」
「だよね。私も1年の時そうだった」
「やっぱり!?皆さん、特徴的なんですけどね~」
「でも、しょうがないよ。あ、でも、キャプテンくらいは覚えとくのよ?ウチのサッカー部は、キャプテンが2人いるんだから」
「キャプテンが2人!?それって・・・どういう?」
「私が1年生になったばかりの時は、神童キャプテンだったの。でもね、キャプテン、大きな大会の準決勝戦の時、試合終了直後に倒れてしまって、緊急手術のおかげで一命は取り留めたけど、足を骨折してしまったの。だから、決勝戦にも出れなくて・・・」
「そんな・・・お気の毒・・・」
「だよね。だから、キャプテンがいない状態になってしまったから、新キャプテンを任命したの。それが天馬。それから、ずっと天馬がキャプテンだったんだけどね、なぜか今年に入ってから天馬が『神童先輩!俺と一緒にもう1度、キャプテンやってください!』って言って、それでキャプテンが2人という状況になったの。まぁ、神童キャプテン自身、キャプテンの立場は天馬に譲りたいみたい」
「まぁ、そうですよね。1度やめた仕事にもう1度就くなんて・・・しんどいですよね」
「そうよね・・・」
「おーい、楓、金田さん、グラウンド、閉めるよ~」
私が、楓としゃべっていたら、ドアの方から神童キャプテンの声が聞こえたため、私と楓は急いでグラウンドを後にした。
うんっ、これから楽しくやっていけそう♪