ボールがくれた出会い 作:御沢
緊急事態
「楓が熱っ!?」
「あぁ・・・」
今は、緊急ミーティングの途中。それは、トレーニングを考えてきたある意味チームの中心だった楓が、高熱で倒れたからだった。前には、楓が倒れた時一緒にいた神童先輩と霧野先輩がいる。
「今は、剣城がA班の部屋で看病をしている。しかし・・・」
場の空気が張り詰める。
「今、楓はとても危険な状態なんだ。こじらせれば、命が危ないかもしれない。だから、絶対安静が必要だ」
皆がただ、呆然とする。
そして、明日からの練習メニューを霧野先輩から配られた。私たち、マネージャーにも配られたその内容は、楓の考えたものとはジャンルの違うものだった。
「神童先輩、まさかこのメニューは・・・」
「あぁ、そうだ。去年から雷門中サッカー部にいる人は分かると思うが、これは鬼道コーチが考えて下さったものだ」
「やっぱり・・・」
「俺が考えたものは、おそらく楓のより皆に合っていないと思うが、勘弁してくれるか?すまないが」
「そんな!コーチのメニュー、久々にできてうれしいですっ!」
「はいっ!」
「そうですっ!」
「皆・・・ありがとう。しかし・・・いや、何でもない。続けてくれ」
「・・・はい。では、皆、天馬の指示に従い、各自メニューをこなすように!開始っ!」
「「「「はいっ」」」」
そして、皆が一斉にグラウンドへと出た。私は、先輩たちに楓の容体を聞きたかったのだけど、何しろ30人以上の男子の波に飲み込まれたら、もう逆らえない。そして、そのまま外へ出てしまった。
よし、楓の分まで頑張るぞ!
そのころ、A班の部屋では・・・
「はぁ・・・うぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・うぅ・・・ん・・・ん・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「楓・・・頑張れ・・・辛いだろうけど」
楓は、いつもならあり得ないくらい顔を真っ赤にして、唸り声をあげたりうなされているかのように、ベットに汗びっしょりで横たわっていた。
しばらくすると、神童先輩と霧野先輩が部屋に帰ってきた。
「先輩・・・」
「剣城、お疲れ。ありがとう。それで、楓の様子はどうだ?」
「ずっとうなされています。汗もびっしょりかいていて、シーツは交換しなくてはいけないかもしれません」
「そうか・・・分かった。じゃあ、これからはA班ローテーションで看病だ」
「はい。でも、今日は俺が看病します」
「・・・分かった。任せたぞ」
「あぁ」
「分かりました」
「じゃあ、俺たちはメニューをしてくる。剣城は今日はいい」
「分かりました」
「じゃあな」
「よろしく」
「はい」
そして、先輩たちは出て行った。
看病し始めて、どれくらいかたったころ、楓が目を覚ました。
「京・・・介・・・?」
「楓っ!大丈夫か!?」
「ううん・・・大丈夫じゃないと・・・思う・・・体じゅうが・・・熱くて・・・だるくて・・・痛い・・・」
「ゴメン、もっと早くに気がつけばよかった」
「京介の・・・せいじゃない・・・言わなかった・・・私が・・・悪いの・・・」
「いやっ、違う・・・って言っても、お前はきかねぇだろうから、分かったって言っとく」
「ありがと・・・」
「いや、いいんだ。そうだ、何かいるものとかあるか?欲しいものとか」
「ううん・・・今は・・・いい・・・しんどいから・・・何も・・・する気にならないし・・・食べたり・・・飲んだり・・・する気には・・・ならない・・・ごめんね・・・」
「いや、いいんだ。じゃあ、もう寝るか?」
「うん・・・そうする・・・」
そういった途端、楓はすぐに眠りに落ちた。
楓、お願いだ。また、元気になってくれ。