ボールがくれた出会い 作:御沢
「・・・はぁ・・・はぁ・・・あれ・・・私・・・寝て・・・」
どれくらい寝たのだろう・・・
私は、うっすらと目を開けた。そこがどこかしばらく分からなかったが、次に聞こえてきた声で、ここがA班の部屋だということがわかった。
「お、楓、起きたか。大丈夫か?」
「神童・・・先輩・・・何で・・・」
「お前の看病だ」
「看病・・・あ・・・私・・・熱で・・・練習は・・・!?」
「何言っているんだ!?自分の状況を理解しているのか!?命の危機と隣り合わせなんだぞ!?」
「へ・・・そうなんですか・・・すいません・・・でも・・・先輩の・・・練習は・・・どうされるんですか・・・?・・・私の・・・看病してたら・・・出来ないんじゃ・・・?」
「阿呆っ!楓の体の方がずっと大事だ!仲間が、ピンチの時は助け合うものだ!」
「先・・・輩・・・」
私は、神童先輩が本気で怒っているところを、あまり見たことがなかったため、驚いた。しかし、その驚きよりも、しんどさが勝った。
「先輩・・・?」
「ん?何だ?」
「すいません・・・体温計・・・とっていただけ・・・ますか?」
「体温計だな、分かった」
私は、神童先輩から体温計をもらい、熱を測る。
ピピピッ、ピピピッ・・・
すぐに脇から出して、体温を見る。しかし、視界がぼやけて、何度かわからない。それに気がついた神童先輩が、体温計を見て、そして声をあげた。
「うわっ、高すぎるな・・・」
「何度・・・ですか・・・?」
「40・3℃・・・」
「嘘・・・やば・・・しんどい・・・わけだ・・・」
「しんどいか?薬、飲むか?」
「飲みたいけど・・・今飲んだら・・・戻しそうで・・・」
「そうか・・・なら、また寝ておいたらいい。次起きたときにも、誰かいると思うから、大丈夫だ。その時いた人に頼めばいい」
「ありがと・・・ございます・・・」
そして、再び眠りについた。
楓が眠りについてから、約2時間・・・
「神童くん」
「喜多・・・もう交代か?」
「あぁ。楓の様子はどうだ?」
「一度起きたが、また寝てからもう・・・もう2時間も経つのか」
「神童君も、疲れているんじゃないのか?」
「そうだろうな・・・なんだろうか、チームを支える柱が、1本無くなった感じだ。今、チームは不安定な状態だ」
「神童君が怪我したときの雷門イレブンが、こんな感じだったんだろう」
「喜多・・・あ、じゃあ、楓の事、宜しく頼む」
「あぁ。何かあったら、剣城が許さないだろうしな」
「だな」
そして、交代となった。そして、楓の面倒見役が、神童から喜多になった。
そのころ、練習グラウンドでは・・・
「ほら、皆頑張って・・・」
「はい・・・」
「やっぱり、皆元気がありませんね・・・」
「しょうがないよね・・・」
私は、そんなことを葵と話していた。
私は、未雲。
今は、サッカー部の練習の最中。でも、皆元気がない。それは、やっぱり楓の熱と関係があると思う。今まで、ずっとチームを支えてきた柱が1本急に抜けたんだから、しょうがないことはしょうがないけど、こっちは見ていて恥ずかしい。
だって、こういう時こそ、皆頑張るものでしょ!?
私は、ついに耐えかねて叫んだ。
「何よ、皆!ヤル気出して下さい!柱が抜けてしまっている・・・楓が抜けてしまっている今だからこそ!皆、しっかりするんじゃないんですかっ!?」
私に続いて、葵、紫音ちゃん、ちかちゃん、海帆さん、和葉ちゃん、水鳥さん、茜さんと続く。
もちろん、選手たちは目を見開いている。しかし、すぐに天馬君が、指示を出す。
「そうですよ!皆さん!元気を出しましょう!ヤル気を出しましょう!そして、楓が帰ってきたとき、胸を張れるようにしましょう!」
「「「「はいっ!キャプテンっ!!」」」」
それから、皆の調子が戻って行った。
楓、待っててね!
皆、強くなってるよ!絶対に!