ボールがくれた出会い 作:御沢
「ちっか~」
「何ぃ?真男くん」
「いやぁな、俺がこのチームに入ってよかったのかなぁ・・・って思ってな」
ある日突然、そんなことを私に真男くんが言ってきた。
私は、心の底から驚いた。自分の事を、真男がそんな風に思ってたなんて・・・私は、どう答えればいいかわからず、しばらくおどおどしていたが、息を吸って返事を返した。
「当たり前じゃん」
「へ・・・!?」
「だぁかぁらぁ、当たりぃ前じゃん!って言ってるんだよ?」
「・・・でも、俺、サッカー好きだけど、下手だし・・・純太の方が、ずっとうまいし・・・」
「そんなの関係ないって。まだ真男くんも純太くんも唯一の1年だから、試合に出れることも多くないと思うけど、2人とも・・・もちろん真男君もだよ?絶対、チームに必要なの!」
「ちか・・・」
「分かった?なら、練習行ってらっしゃい!」
「うんっ!」
その、グラウンドにかけていく後ろ姿を、私は見えなくなるまで見つめていた。
真男君・・・あんな悩み、抱えてたんだ・・・気付いて上がられなかった私って、マネージャーとしてもだけど、その前に真男君の友達失格かもなぁ・・・
「はぁ・・・」
私は、大きなため息をついた。
「幸せが、逃げてくぞ~?」
ため息をついた後、ふと後ろから声が聞こえた。はっ、として振り返ると、
「なぁんだ、先輩ですか・・・」
「『なぁんだ』とはなんだ・・・」
そこにいたのは、霧野蘭丸先輩だった。
「何で、こんな山奥にいるんだ?」
「先輩こそ・・・神童先輩と一緒なんですか?」
「いや、俺1人。で、俺の質問に答えて」
「えっと・・・実は、真男君から相談を受けてて・・・」
「真男から?どんな内容だ?」
私は、少しためらいながら相談の内容を霧野先輩に話した。話し終わった後に先輩の表情は、なんとも言えない表情だった。
「そんな事、考えていたのか・・・」
「そうだったみたいで・・・私、その悩みに気がついてあげられてなくて、マネージャーとしてもだけど、真男くんの友達としても失格だなぁ・・・って思って・・・それで・・・」
「ため息をついた・・・と」
「・・・はい」
「でもな、ちかが友達やマネージャー失格なわけはないな。これは、俺が保証する」
「えっ・・・で、でもっ、私、ずっと真男君に辛い思いさせちゃって・・・やっぱり、失格なんじゃっ・・・」
私は、いつの間にか涙声になっていた。それを隠そうとしたが、霧野先輩に気付かれないようにする方が無理だった。だから、なるべく迷惑かけないように・・・と、声を押し殺して泣いた。
すると、上から暖かいものがかぶさった。
何かと頭をあげてみて、びっくりした。
―――上にかぶさっていたのは、霧野先輩だった。
「えっ・・・じぇ、じぇんぱい・・・?」
「なんだよ、『じぇんぱい』って。先輩くらいちゃんと言ってくれよ・・・」
「す、すいませしぇん・・・ぐずっ・・・」
「・・・ほら、泣きやめ」
「えっ・・・」
「泣きやむまで、こうやっておいといてやるから、好きなだけ泣いて、早く泣きやめ」
「せ、せんぱっ・・・うぅ・・・わぁん・・・うぇぇぇぇん・・・」
先輩は、私が泣き終わるまで、ずっとこうして包んでくれていた。私は、その安心感で素直にたくさん泣けたし、すぐに泣きやめた。私が泣きやむと、霧野先輩は私と目線を合わせてしゃがみ、私の肩に手を置いた。
「先輩・・・ごめんなさい・・・」
「いや・・・落ち着いたか?」
「はい」
「ならよかった・・・ちか?」
「はいっ」
「これからは、辛いこととかあったら、オレに相談しろよ?俺は・・・俺は、ちかを公私ともに支えられる、そんな存在になりたい」
「へっ・・・!?それって、どういう・・・」
「つ、つまりだ・・・俺は、ちかが・・・す、す、好きだ・・・!」
突然の告白・・・
最初はすごく驚いた。でも、冷静になると、すぐに分かった。
「今まで、私は先輩にたくさん支えてもらったし、たくさん楽しい思い出も作ってもらいました。これからも先輩に支えてほしいし、先輩とたくさんの思い出を作りたいです。つ、つまり・・・私も、霧野先輩が・・・好きですっ」
今日から、私にとても大切で大事にしたい人ができました。