ボールがくれた出会い 作:御沢
脅迫電話から、2時間・・・
今日が終わるまで、あと約7時間だ。
2時間前の電話により、楓の体調は再び壊れ、今はまた39℃くらいの熱で寝込んでいる。そのことを伝えるため、急遽ミーティングが開かれた。
「楓の熱だが・・・」
「それなら聞きました!もう治りかけているって」
「それが・・・またぶり返した」
「「「えぇっ!?」」」
「どうしてだ!?」
「何で・・・!?」
「ZSKS・・・知っているか?」
「はい・・・財閥資産家脅迫組織・・・ですよね?それがどうかしましたか?」
「その組織から、楓の家に電話がかかってきた。楓の場所を教えろ・・・と」
「「「!!!」」」
「それってつまり・・・楓さんを誘拐させろ・・・って言ってるもんじゃないのっ!教えなくってもいいんですよっ」
「ちか・・・落ち着け」
「でも、霧野先輩っ・・・!ちかちゃんが興奮するのもわかりますよっ!」
「未雲ちゃん、落ち着いて」
「緑君は黙ってっ!」
「皆、落ち着け」
「「「「鬼道コーチ・・・」」」」
「「「鬼道・・・」」」
皆が、鬼道コーチの一言によりいったん落ち着いた。
しかし、次に俺の発した言葉により、鬼道コーチも動揺したようだった。
「今日中に教えねぇと、山吹財閥の総帥であり楓の母親である桜子さんや楓本人をはじめとする山吹家使用人の皆さん、それに山吹財閥に勤める人たちや・・・山吹財閥と血縁関係のある鬼道財閥の総帥である鬼道コーチ、鬼道家、鬼道財閥の使用人、勤める人までを・・・殺すって言ってたぜ・・・犯人たちが・・・」
「「「「!!」」」」
「理不尽じゃないっ!酷いっ!」
「でも、こうなってくると楓の居場所・・・つまりこの合宿所を教えることしか方法は無くなってくる・・・」
「でもっ・・・」
「神童先輩の言うとおりだ。おそらく犯人たちは、身代金を要求することが目的だと思う。だから教えるということもありだと思うぜ・・・けどっ、そんなことすると、楓の命がより一層危険にさらされる・・・しかし、大量殺人を防ぐためには・・・っ!」
「剣城っ、落ち着けっ」
「っ!・・・はい、すいませんでした。でも、どうすれば・・・」
「・・・はぁ・・・犯人に・・・私の・・・居場所を・・・教えて・・・ください・・・って・・・母に・・・伝えて・・・ください・・・はぁ・・・」
「「「「楓っ!!」」」」
その声がする方には、いまにも倒れてしまいそうな楓がいた。俺は、いつのまにか叫んでいた。
「何言ってんだっ!お前、自分の体の事を理解してんのか!?」
「京・・・介・・・ありがとう・・・でも・・・皆を守る・・・ためには・・・っ!」
ガクッ
楓がその場に倒れこむ。俺は一目散に駆け寄り、楓を抱き寄せる。そして、額を触ってみる。
――――熱は、さっき測った時よりも上がっているようだった。
「楓、大丈夫だ。俺たちが何とかする」
「あぁ。だから、心配ない」
「京介・・・神童・・・先輩・・・でも・・・私の考えは・・・変わりませんっ!」
「「楓っ!!」」
「だって・・・それ以外・・・方法・・・ありませんよ?」
「だからってな・・・!」
「いいんです・・・私は・・・だから・・・お母さんと・・・お兄さんと・・・皆さんを・・・助けたい・・・っ!」
「楓・・・伯母さんは、それを望んでいないと思うぞ」
「お兄さん・・・でも・・・私も・・・母や・・・お兄さんが・・・殺されること・・・望んで・・・いません・・・」
「・・・っ!伯母さん・・・すいません・・・俺、楓を伯母さんに代わって守ることができないかもしれません・・・」
「「「鬼道コーチっ!」」」
「お兄さん・・・いいんです・・・では・・・携帯を・・・貸してください・・・」
「・・・あぁ」
そして、楓は何のためらいもなくZSKSに電話をした。
そして、電話が終わった直後に、その場に倒れこんでしまった。