ボールがくれた出会い 作:御沢
「皆さんっ!楓ちゃんが、目を覚ましましたっ!」
そんなニュースが合宿所に入ってきたのは、あの事件が起こってから2週間もたったころだった。
皆が手をとりあって喜び合い、中には涙を流している人もいた。私も、大泣きして前が見えなくなってしまっていた。
「音無先生!それ、本当なんですか!?」
「天馬君・・・えぇ、本当よっ!今さっき、病院から連絡が入ったって、兄さんから電話があったわよ!」
「「「「わぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
「神童先輩、霧野先輩、剣城君は、病院にいるんですかっ!?」
「そうよ、未雲ちゃん。3人が、今楓ちゃんに付き添っているわ」
「楓っ・・・よかったぁ・・・」
「葵・・・うんっ!」
「未雲・・・だよねっ!」
皆が、『安心』この2文字に包まれた。
そのころ、病院では・・・
楓が、病院の一室で2週間ぶりに目を覚ました。
「楓っ!大丈夫かっ!?」
「京・・・介ぇ・・・?」
「楓っ!」
「楓、聞こえてるかっ!?」
「霧野・・・先輩ぃ・・・神童・・・先輩ぃ・・・」
「楓、お母さんには連絡しておいたから、もう大丈夫だ」
「お兄さん・・・はぁ・・・もう・・・終わったんですね・・・」
「なんだよ、HRI出ないつもりかよ?」
「あ・・・そうじゃないけど・・・」
「だろ?だったら、早くもっと元気になれよ。2週間、長かったんだぞ?」
「2週間・・・!?私・・・そんなに・・・寝てたの・・・?」
「全く、大変だったんだぞ?」
「練・・・習・・・練習はっ!?」
その言葉を発した後、楓は無理矢理体を起そうとした。しかし、唸り声をあげて、体をくねらせ、過ぎにベットに横になった。傷口がいたんだらしい。
「楓っ!傷口が開くっ!安静にしろよっ!お前、9つも弾丸が体に入っていたんだぞ!?」
「そうだ。絶対安静だ。しかし、もう合宿所に移っていい。ただし、使っていない2階を病室として使う。大丈夫だ、2階には円堂、コーチ、春奈がいるからな」
「お兄さん・・・京介・・・ありがとうございますっ!」
そして、楓はその日のうちに病院を退院し、別荘(合宿所)へと移ることになった。
楓が合宿所に帰って来てから・・・
「楓っ!」
「楓ちゃんっ!」
「楓さん!!」
「皆・・・ごめんなさい・・・」
「なんだよ、帰って来ての第一声が『ごめんなさい』って・・・(笑)」
「きょ、京介っ・・・!」
「ははっ。でも、本当にそうだぞ?皆、心配してたんだ。ここは、『ありがとう』じゃないのか?」
「先輩・・・はいっ!ありがとうございますっ!」
「楓・・・大丈夫だった・・・?」
「葵・・・うん、大丈夫よ。こっちこそ、ごめんなさい。あなたにも、危険な目にあわせてしまったし・・・私、こんなことになってもしょうがなかったのよね」
「そんなことないっ!私・・・い、いい経験になった!」
「葵・・・ふふっ、ありがとう」
その笑顔は、2週間前に見た笑顔と同じだった。
皆が、その笑顔に思わずホッとし、笑みをこぼす。
楓が、2階に上がってベットに入った後・・・
「鬼道コーチ、お話とは・・・?」
俺は、鬼道コーチと話していた。
「剣城・・・今回のことで、俺は楓を守ることができなかった。保護者代わりだったのにな・・・今までも、たくさん危険な事をさせてきていた。思えば、楓はいつも命の危険にさらされていた。そんなことに気が付けないなんて、情けないだろう」
「そんなこと・・・」
「だが、お前ならこの先、楓を守れるだろう」
「えっ・・・!?」
「剣城、楓を頼むぞ」
「鬼道コーチ、どういうことですか・・・?」
すると、鬼道コーチは苦笑した。
「分からないのか・・・全く、楓と剣城(おまえら)は似たもの同士だな・・・まぁ、そのうちわかるだろう。とにかく、頼むぞ」
「はいぃ!?」
俺が、再び質問する前に、鬼道コーチは優しげな笑みを浮かべて去って行った。
俺は、目をぱちくりさせた。