ボールがくれた出会い 作:御沢
楓の血縁者
皆の調子が、楓が目を覚まして合宿所に帰って来てから戻り、とても調子がよくなった。そのことは、私だけでなくマネージャーをはじめとするたくさんの人、選手の皆までもわかっていた。
そして、皆の顔に笑顔が戻った。
あとHRIまで4カ月に迫ったころだった。
合宿所に、どこかわからない学校の制服を着た男子がやってきた。その時、監督・コーチたちは買い出しなど用事があり皆留守だった。選手の皆は練習中だし、マネージャーの皆だって仕事中・・・私は、判断に迷った。そんな私を見て、少し微笑んだその男の子は私に話しかけてきた。
「ごめん、急に訪れてしまって・・・」
「あ・・・いいえ、こっちこそ黙り込んでしまってスイマセン・・・」
「いや、大丈夫だ。君、名前と年は?」
「えっと・・・金田未雲、今中2です」
「ってことは、楓と一緒だな・・・」
「楓の知り合いですか?その前に、あなたのお名前と年を教えていただけますか?」
「俺は、河原翔(かわはらしょう)。今中3だ」
「じゃあ年上っ!?あ・・・す、すいませんっ!」
「いや、気にしてねぇけど・・・なぁ、今楓居るか?」
「楓・・・ですか?はい、いますけど・・・」
「じゃあ、会わせてくれないか?5分だけでもいいから」
「5分・・・ですか?・・・ちょっと待ってていただけますか?」
「あぁ」
そして、私は一旦その男子―――翔さんを待たせて、グラウンドの方へ駆けて行った。
「楓に面会者?」
「はい・・・」
私は、グラウンドにかけて行って神童先輩に相談した。天馬君に相談しようと思ったけれど、天馬君が、神童先輩に相談してって言ったからだ。
「面会者か・・・分かった、金田さんの直感に任せる」
「えぇっ!?そんな、先輩にしては珍しい・・・」
「ほら、任せたんだから、お客は待たせてはいけないぞ」
「あ・・・はぁ・・・」
私は、肩を落としながら再び翔さんのところへと戻って行った。
しばらく、私はじろじろと翔さんを見まわした。そんな私を見て、翔さんは苦笑していたが私はそんなこと知らず、見まわした。
「あのぉ・・・」
「ん・・・?あっ!すいませんっ!すいませんっ!あっ、でもっ!楓の面会、OKですっ!」
「そうか。じゃ、早速だが・・・」
「はいっ、入ってください」
そういうと私は、翔さんを2階の楓の部屋に案内した。
「楓~、起きてる~?」
私は、楓の部屋のドアの前から話しかけた。
「えぇ、その声は・・・未雲?」
「うんっ。でね、楓に面会者なんだけどぉ・・・」
「面会者?」
「うん」
「誰?雷門の人?」
「ううん・・・なんか、先輩だし・・・」
「先輩・・・?中3とかってことかしら?」
「そう、中3」
「へぇ・・・まぁ、入っていいわよ」
「うんっ!」
楓の許可を得て、私たちは楓の部屋に入った。部屋に翔さんが入った瞬間、楓の目が大きく見開かれた。そして、想像もしていなかった一言が、楓の口からつぶやかれた。
「お兄ちゃん・・・!?」
「えっ!?お兄ちゃん・・・!?」
「・・・」
「っ・・・!!ごめん、未雲、忘れて・・・」
「いやっ!聞けないまま、あんなことになっちゃったら・・・もう嫌だもんっ!」
「未雲・・・分かった。話すわ。でも、話したことあったはずだけど・・・」
「触れた程度よっ!ちゃんと、話して・・・」
「分かった。いいな、楓」
「・・・えぇ」
そして、楓は静かに話し始めた。