ボールがくれた出会い 作:御沢
「私が翔・・・お兄ちゃんと離れ離れになったのは、私が3歳のころだったわ」
楓は、訪ねてきた男子・翔さんとの関係について話し始めた。
「私は、本名を・・・光山楓(ひかりやまかえで)というの。私は、母とお兄ちゃんと3人で住んでいた。でも・・・お母さんが海外勤務の帰りに、飛行機墜落事故にあい、亡くなった・・・」
「っ・・・!」
「その日、私たちは近くにあった『お日さま園』に預けられていた。しかし、私とお兄ちゃんは孤児院に預けられた。しかし、お兄ちゃんはすぐに引き取られた。そして、私はたまたまやってきた『お日さま園』からやってきた女性・吉良瞳子さんによって、再びお日さま園に引き取られたわ。そして、そのまま3年の歳月が過ぎた―――」
そういうと、一旦楓は間をおいて、懐かしむ優しい目をして、どこか遠くを眺めた。私は、もう事情が理解できた(思い出した)ため、
「ありがとう!もういいよっ!じゃあ、後は2人で~」
といって、部屋から出た。
楓は、間を置いている間から懐かしい思い出に浸っていた。
そう、あれは今から7年も前のことだ・・・
―――7年前―――
「楓ちゃん?何してるの?」
「瞳子さん・・・えっとね、外を眺めていたんです」
「外・・・?桜とかかしら?今なら咲いているわよね」
「それもあるけど・・・あそこにいる人を見てたんです」
「人・・・?あら、本当・・・ちょっと外に出てくるね」
「はぁい」
そう私に言ってから、瞳子さんは外に出て行った。それから、しばらくしてから再び瞳子さんが、私の事を呼びにきた。
「楓ちゃん、あの女の人が呼んでるわ」
「私・・・ですか?」
「えぇ」
そして、私が外に出ると、そこには窓から見えた女性がいた。淡いきれいなピンク色の若干パーマのかかったロングの髪の毛、透き通るような茶色の瞳・・・私は、一目見ただけでその女性のとりことなった。
「うわぁ・・・すごい美人・・・」
「ふふっ、ありがとう。それで、あなたが楓さんかしら?」
「はい」
「私は、山吹桜子(やまぶきさくらこ)。自分で言うのもなんだけれどね、世界三大財閥・・・知っているかしら?」
「えっと・・・イギリスのホンビルド財閥、アメリカのトニー財閥、あとは、日本の山吹財閥・・・あっ!!」
「そうよ、その山吹財閥の山吹よ。私は、その山吹財閥の総帥よ」
「すっごぉい・・・でも、何でその桜子さんが?」
「・・・あなたを、養子にしようと思ってね」
「ようし?」
「あら、分らなかったかしらね・・・」
「すいません・・・」
「いいのよ。まぁ、養子というものを簡単に説明するとね、あなたが私の子供になるってことかしら?そうよね、瞳子ちゃん?」
「はい」
「瞳子ちゃん・・・?瞳子さんと桜子さん、知り合いなんですか?」
「うん、私のお父さんとね、桜子さんが知り合いだったのよ」
私は、瞳子さんが少しさみしそうな目をしたのに気がついた。でも、私はそれに触れていいのかわからなかったから、触れなかった。
「でも・・・私が桜子さんの子供って・・・なってもいいんですか?」
「なりたいかしら?」
「はいっ!」
「なら決まりよ。あなたは、今日から『光山楓』から『山吹楓』になるのよ?分かったかしら?楓ちゃん?」
「はい・・・お、お、お、お母さんっ!」
「じゃあ、宜しくね?楓」
ぱぁぁぁぁぁぁ・・・!自分の表情が、明るくなるのが自分でも判った。そして、私は自分でもびっくりするくらい明るい声で返事をした。
「うんっ!お母さんっ!」
―――現在―――
「お母さん・・・たくさん心配かけたわね・・・」
「そんな事、分ってたんじゃないのか?」
「おにいちゃ・・・翔・・・」
「別にいいよ。もう、『お兄ちゃん』でも。もう、同級生じゃないしな。俺、昔は乱暴な言葉使いしてたけど、本来の中3として稲妻中学校に通うようになってから、ちゃんとした言葉使いをするようにした・・・楓に、恥ずかしくない兄になれるように・・・」
「お兄ちゃん・・・」
「だって、お前、中学サッカー界で革命を起こしたチームの女性エースストライカーだぞ?公にできないにしても、俺が心の中で恥ずかしい」
「ふふっ、ありがとう」
「あ・・・じゃ、もう帰るな。しばらく来れないと思うけど、HRI頑張れよ。その前に、その大怪我・・・治せよ」
「えぇ、じゃあね」
そして、お兄ちゃんは帰って行った。
私の顔は、あのときと同じように明るく笑っていたに違いない。