ボールがくれた出会い 作:御沢
「一兄のところに、私が留学していたのは、今から7年前。私が、7歳だったころよ」
「そんな小さいころだったか?」
「はい。っていいますか、お兄さんがアメリカへの留学を勧めたんですよ?」
「そうだったか?」
「そうですよ。あれは、まだ一兄が秋さんと再会する前の話・・・」
――7年前――
「一兄~!飛鳥さんのとこ、行こぉ」
「いいよ、土門のとこ、行くかっ!」
「うんっ!」
私は、今、一之瀬一哉さんという人の家に、ホームステイ中。
一之瀬さんこと一兄は、4年前のFFIで優勝した日本代表『イナズマジャパン』のライバルで優勝候補だった『ユニコーン』に日本人ながら所属していた天才サッカープレイヤー。その為、『フィールドの魔術師』という異名も持つ。しかし、ある事情(教えてくれないけど)で手術をした。まぁ、それで元気になったけど、私がホームステイしに来たから、プロとしてはプレイしていない。
今日は、飛鳥さんこと土門飛鳥さんの家に遊びに行く日。飛鳥さんも、サッカーが上手だから、会える日が楽しみ。
「あぁ~っ、サッカー、サッカー♪」
「そんなに楓は、サッカーが好き?」
「うんっ!だって、サッカーって面白いし、かっこいいし、それから・・・」
「ははっ、もうわかってるよ。だって、俺もサッカー大好きだからねっ☆」
「はいっ!あっ!メグさんだっ!」
「土門もいるよ。やっと着いたね」
そうサッカーの事を話している間に、いつの間にか飛鳥さんの家に着いた。飛鳥さんには、彼女がいる。今、同棲中。名前は、マーガレット・グリーンさん。飛鳥さんや一兄と同い年の、かわいらしい健康的な女性。皆は、メグさんって呼んでる。
「一之瀬、楓!やっと来たか~」
「オォッ!Mr.Ichinose & Miss.Yamabuki!ヤットキマシタネ!」
「土門、遅くなってごめん」
「いや、いいよ。・・・楓、久しぶりだな~!」
「うんっ!飛鳥さん、サッカーしようっ!」
「そうだな!メグ、ごめんな。じゃ、一之瀬、行くかっ!」
「あぁ☆」
そして、私はまだうまく蹴ることのできないボールを、一生懸命目を輝かせて追った。その光景を、飛鳥さんと一兄が微笑んでみていたことは、私は知らない。
そして、しばらくボールをけっていた私は、息を切らしながら休憩に入った。
「やっぱ、サッカー面白ぉいっ!」
「だねっ☆楓、本当に楽しかったんだね」
「そうだな」
「うんっ!あ、そうそう、前、一兄のアルバムに乗っていたあの女の子、えぇっと・・・あ、あ、あ・・・?」
「秋のことか?」
「そうです、飛鳥さんっ!秋さんですっ!」
「秋がどうかしたの?」
「秋さんって、お兄さんのアルバムにも載っていたんですっ!それで、昨日、電話したら『木野なら、今はアパートの管理人をしているらしいぞ?まぁ、まだお母さんの手伝いくらいらしいがな』って言ってたんですっ!」
「秋、なかなか家庭的だな」
「そうだね」
そういった一兄の少しさみしそうな表情を、私は見逃さなかった。
「ねぇ、今度、電話してみようよ?一兄、声、聞きたいでしょ?」
「楓・・・でもなぁ・・・」
「いいんじゃないか?」
「イエス!!」
「土門、メグさん・・・」
「さぁ、なら電話電話~!」
そして、私はすぐに携帯を取り出して、前お兄さんに聞いた秋さんの電話番号に電話をした。
プルルルルルルルル・・・プルルルルルルルル・・・
「はい、木野ですが」
「あ、秋さんですかぁ?」
「はい、そうですが。えっと・・・どちら様かな?」
「私、鬼道有人の従妹の山吹楓っていいます」
「まぁ、鬼道君の?楓ちゃんが、私に何かお話でもあるの?」
「私じゃないんです!ちょっと待って下さいね・・・」
そういうと、私は素早く携帯を一兄に渡した。後ろで、飛鳥さんとメグさんがにやけているのが丸わかりだったけど。
「あ、秋?」
「・・・一之瀬・・・くん・・・?」
「あぁ、俺だよ」
「わぁ・・・久しぶりね。元気かな?楓ちゃんとは、何で?」
「ちょっと待ってよ、秋。えっと、元気だよ。それで・・・楓は今、うちにホームステイしているんだよ」
「そうだったの。へぇ~・・・」
それからしばらく、秋さんと一兄は話し続けた。電話を切った後の一兄の表情は、とても優しいものだったのをよく覚えている。
「・・・って、一兄と秋姉の出会いを作ったのって・・・楓だったのぉ!?」
「・・・そうなるわね。あの時が懐かしいわ・・・」
「じゃ、次はイタリアかコ、コ、コ・・・?」
「コトアール・・・かしら?」
「そう、それ!それを話してっ!」
「いいわよ。でも、あれは2つで1つ見たいな感じだったのよ」
そして、私はあの思い出を話し始めた。