ボールがくれた出会い 作:御沢
「今日のスタメンを発表する。FWは剣城、太陽、そして楓の3トップだ。楓、今回は試合には出てもらう。前半はベンチだ。続いてMF。神童、天馬、貴志部の3人と、本来はFWだが人数の関係で、喜多の計4人だ。続いてDF。霧野、人数の関係で錦、雪村の3人だ。そしてGKは、信助、お前だ!・・・以上が、今回のスタメンだ!」
対韓国戦の今日、朝イチでスタメンが発表された。
世界への第一歩が今日、踏み出されるんだ。だから、皆が緊張している。もちろんそれは、マネージャーである私たちも同じことだ。
「緊張するなぁ・・・」
「天馬らしくないよっ?」
「でも葵ぃ~・・・」
私の隣では、葵と天馬君が、お互いに励まし合っていた。
この2人が付き合っていないなんて、本当か?・・・と思うくらいにお似合いのカップルに見えた。そんな2人の事を、これまたその葵と天馬君以上に、付き合っていないのがうそのような2人が話していた。―――剣城君と楓だ。
「あの2人は、お互い励まし合っているのね」
「そうだな」
「ごめん、京介。私、アンタを励ます余裕がないわ」
「そんなこと、俺だって同じだ。なんていったって、世界への第一歩だからな。俺らも頑張ろうぜ?あ、あと太陽もな」
「そうね」
そんな軽ーい会話の後で、2人は私と・・・緑(本当は、まだ呼びなれない////)のところへやってきた。やっぱりこの2人、美男美女だ。剣城くんも、鋭く男らしくでも、優しさがありそうなかっこいい顔。藍色の髪をポニーテールにしていて、オレンジ色の瞳は燃えるような美しい夕陽を連想させる。おまけに、性格までクールで冷静でかっこいい。
楓も楓で、とにかく美しすぎる整った顔立ちだし、スタイルも抜群!絹のような金髪や、燃えるようで冷静にも見える透き通った赤い瞳、夢のようなバラ色の頬や、チェリーのような優しいピンクの潤いのある唇、パールのような優しい輝きのある白い歯は、見るものすべてを虜にするような美しさ。
そんな2人にしばし見とれながら、相槌ちを打っていた。
「未雲、緊張するわね」
「うん、マネージャーの私でも緊張するのに、楓はどんくらい緊張するんだろ・・・」
「ふふっ、でもね、楽しみもあるわよ?」
私はその一言に少し驚いた。緊張じゃなくて、楽しみがあるなんて普通は考えないからだ。私は目を見開いて質問した。
「た、楽しみぃ!?何、それっ!?」
「未雲は驚きすぎだよ」
「でも・・・緑ぅ」
「それが楓なんだ」
私は少しふくれっ面になった。剣城君が、楓のことをこれほど知っているのは当たり前だと思うけど、やっぱり少し焼けたからだ。
その時、私の携帯が鳴った。
―――お父さんからの着信だった。
実はあれから、お父さんからの電話に出れないでいる。
お父さんは、旅館や監督・コーチたちの電話番号は知らないから、電話してくるとしたら私の携帯くらい。だから、人にはあんまり知られていない。・・・だけど、今は出るほかない。
私は3人から少し離れて、電話に出た。
「もしもし、未雲です」
「未雲・・・やっと出てくれたな。まぁ、拒否されても仕方ないか・・・理由は、楓さんから聞いた。」
「楓っ!?お父さん、楓と知り合いなの?」
私は、初耳のことに少し驚きながら、質問した。
「あぁ。楓さんの養母である桜子さんとは、私は幼馴染でな」
「そうだったの!知らなかったぁ~!それで、楓とも知り合い・・・と」
「そうだ。・・・本当にすまないな」
「・・・いいんだよ、お父さん。父子二人三脚で頑張ってきたんだから。私、イギリスに行くよ。お父さんと一緒に」
「未雲・・・ありがとう」
「ううん。でも、1つだけ。このアジア予選が終わるまで・・・あと1カ月待って」
「・・・わかった。じゃあ、先に行っておくな」
「わかった。じゃあ、ね」
「あぁ」
そして私はお父さんからの電話を切った。
私はこのアジア予選が終わってから、イナズマジャパンから抜けることにした。そして、お父さんと一緒にイギリスへ行く。そして、お母さんとお兄ちゃんを探す。
今日の代表選は、私のタイムリミットのスタートでもあるんだ。
あと1カ月、なるべくたくさんの思い出を作ろう。