ボールがくれた出会い   作:御沢

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伝説の真実

「楓・・・か・・・私と同じ名前ね」

「そうだな。そして・・・『マーメイド界の魔女』」

沖縄の白いビーチに立つ私たちの雰囲気は、暗く沈んでいた。

私達は、楓の旧知のニース・ドルフィンさんに呼ばれて、急遽日本の南の沖縄に来ていた。そこで知らされたのは、『マーメイド界の魔女』と呼ばれる少女・青山楓の存在だった。―――楓。その名前は、私が転校初日から知っている名前―――山吹楓と同じ名前。皆は、青山楓の別名『マーメイド界の魔女』という名前を知らされてから、彼女は怪しい人だと思っている。もちろん、私も例外ではない。

 

 

そんな空気を変えたのは、噂の彼女・青山楓の登場だった。

ドルフィンさんが、少し困ったような表情を浮かべながら、しかし努めて明るく彼女を呼んだ。

「楓ちゃん、こっちだよ。俺の友達さ」

「えっと、あの、こちらの方々は・・・?」

青山楓の印象は、予想とはだいぶ違った。

エメラルドグリーンの美しいストレートロングの髪の毛。髪の色と同じエメラルドグリーンの大きく美しい瞳。透明な美しい異国の海を思わせる白い肌。その容姿はまるで、おとぎ話の絵本の中から飛び出してきた本物の人魚(マーメイド)のようだった。

「あなたが・・・楓さんかしら?」

戸惑いを隠しつつ、楓が自分と同じ名前を持つその少女―――青山楓に質問する。

「はい。えっと・・・あなた方は?」

「私たちは、日本代表『真イナズマジャパン』。私はそのメンバーの1人、山吹・・・山吹楓です」

「楓!?私と同じ名前ですねっ!!」

とたんに、青山楓の表情が明るくなった。その表情だけを見ていると、ただのかわいらしい女の子にしか見えなかった。その顔を、楓を中心とする皆に向けて、青山楓は話し始めた。

「えっと・・・山吹さん。私、山吹さんと知り合えてすっごく嬉しいです。だから・・・その・・・これは、皆さんにも言いたいんですけど、男の子はどっちでもいいんですが、女の子は私のことを『楓』って呼んでいただけませんか?あ、山吹さんが『楓』って呼ばれているのならば、さんとかちゃんとか付けてください。それでえっと・・・私も、皆さんの事、名前で呼んでもいいですか?」

照れくさそうな顔で青山楓―――楓ちゃんは話す。もう、皆の中にはあの異名のイメージは無かった。皆が、純粋に彼女を受け入れようとした。でも、私は気がついてしまった。―――彼女を受け入れながらも、どこか警戒する楓の姿を。

そのことは、私は黙っていようと思った。そして、後でこっそり聞こうと思った。

 

 

楓ちゃんは、すぐに皆と打ち解けていた。葵のケータイの早打ちに驚いたり、和葉ちゃんの制服(天河原中)の制服の可愛さに魅入っていたり、普通の女の子だった。しかし、楓はただ静かに目を光らせる。そのことがやっぱり気になった私は、楓と一緒にいた剣城君、天馬君と神童先輩のところへといった。私に遅れて、緑もやってきた。

 

 

「ねぇ、楓。楓は楓ちゃんのこと―――なんか変な感じだけど―――気に入らないの?」

「あ、それ、僕も気になった。ずっと、目を光らせているもんね、楓」

「別に気に入らないわけではないわ。ただ、あの子はもしかすると・・・この小さな南の島に伝わる伝説の魔女、『ブロワ=マサガール』と何か関係があるのじゃないかと思ったの」

「「「『ブロワ=マサガール』???」」」

私たちは、楓ちゃんに聞こえないくらいの声で、質問をした。楓は、自分のケータイをいじり、ある人からのメールを見せた。

「これは、私の旧知であるエドガー・バルチナスさんの、通われていた大学の考古学の教授であるエルシャール・レイトン教授から、頂いたメールです。教授には、私がイギリスに留学していた時に何度かお会いしたことがあります。主には、ヨーロッパの方の考古学についての研究ですが、教授は日本にも大変興味を持たれていて、この島の『魔法使い伝説』と『人魚伝説』の関係についても調べられているんです。そのことについて今わかっていることを教えていただきました」

「すっごい・・・楓、大学教授とも知り合いだったんだ・・・」

「えぇ」

楓が、すました表情で、短く受け答える。その表情は、天才的な頭脳を働かせ、メールの内容をまとめていることを物語っていた。その表情が、1分もせずにまとめ終わった表情になるのだから、また驚きだ。

「『魔法使い伝説』と『人魚伝説』というのは、この島に古くから伝わる2つの伝説です。最初の『魔法使い伝説』は、この島には、最教の力を持つと恐れられていた、本当は心優しいブロワ=マサガールという魔女がいたということです。ブロワは、とある魔法使い、ガン・バールと結婚し、子宝にも恵まれ、たくさんの子孫を残しました。2つ目の『人魚伝説』ですが、この島のすぐ下の海には、古代から今現在でも人魚が住んでいるというものです。その証拠かどうかは分かりませんが、砂浜には、この世に存在しないような魚のうろこ―――すなわち、人魚のうろことみられるものがよく打ちあがっているそうです。そして、ここ10年程前にできた伝説ですが、この島に伝わる2つの伝説、魔法使いと人魚が出会ってしまい、子を作ったというものもあります。その子供は、今でも行方不明ですが、生きているとしたら、14歳になります。性別は女、髪の色、瞳の色はともにエメラルドグリーン、そして、海に近付くと水が引いてしまう、という力を持っている、そうこの島の人たちは語っています。そして、魔法使いの末裔とされる、父親である男性の名字は・・・青山・・・」

この場にいる6人の周りの空気が一気に張り詰め、視線は、今なお楽しげに会話をしているその末裔と思われる少女―――青山楓に向けられていた。

 

 

楓ちゃんは・・・伝説同士が交じり合ってしまった、『生まれてはいけない存在』だったのだ。

 

 

 




そして、今回はレベルファイブつながりで、レイトン教授に登場していただきましたぁwお疲れ様です。

「これくらい当然さ、英国紳士としてはね。」


・・・はい、ありがとうございましたっww
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