ボールがくれた出会い   作:御沢

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本当に重い『力』

「でも・・・楓ちゃんがそんな存在なんて・・・」

私たちは、楓の話を聞いてただただ唖然とした。交じり合ってはいけない存在同士が交じり合うなんてことが、この世の中にあるとは到底思えなかった。それがあんな聡明そうなかわいらしい少女ならばなおさらだった。

 

 

「・・・それ、本当のことなのか?楓」

「!!お、お兄さんっ・・・!」

はっとして振り返ると、そこには鬼道コーチがいた。その言い方からすると、今までの楓の話を聞いていたようだった。緑色のサングラスから、コーチの鋭い眼が見えるようだった。その瞳を直接見るかのように、楓も自分の瞳で鬼道コーチの瞳を見上げる。そして、その状態がしばらく続いた。どれくらいかたったころ、楓の方が観念したかのように瞳をコーチからそらして、つぶやく。

「そうです。教授から教えてもらいました・・・」

ふぅ・・・鬼道コーチが、軽くため息をついた。そして、苦虫をつぶしたような顔をした。

「教授というと、あのレイトンとか言う教授か」

「はい・・・まだ、あのことを・・・?」

「あぁ。どうも、あの助手は苦手でな」

今度は楓が、困ったような顔をした。苦虫をかみつぶしたような顔をするコーチと、その顔を見てあきれたような困ったような顔をする楓の2人を私たちは見比べながら、とうとう耐えかねたかのように天馬くんが質問した。

「えっと・・・助手・・・とは?」

あ・・・と言いたげな顔をいた2人が、顔を見合わせて苦笑いをした。そして、楓が話し始めた。どうも、鬼道コーチの口からは話しにくい内容らしい。

「その助手というのは・・・レミ・アルタワさんというアジア系の美女のことです。そして、先ほどお話したエルシャール・レイトン教授の助手です。そのレミさんとお兄さんは、1度だけあったことがあって、その時に・・・」

ふっと楓が口を紡ぐ。その顔は、今にも吹き出しそうなものだった。一方の鬼道コーチはというと、今にも顔を真っ赤にしそうな顔をして、今はただひたすら耐えている。

「・・・その時に、レミさんったら・・・お兄さんを不審者と勘違いして・・・ド、ド、ドロップキックをくらわせたんですよっ!でも、それが1回目は大当たりだったのに、2回目はするんって外れてしまって、床にドテンってこけて、スカートがめくれてしまってっ・・・!!」

「か、楓?」

説明している楓の顔は、もうとにかくやばかった。それは、もはやあの超美人の顔の原形をとどめていないようなものだった。鬼道コーチはというと、恥ずかしさのあまり後ろを向いてしまっている。横を向くと、その後の展開が読めたらしい私以外の人たちが、必死に赤い顔で笑いをこらえていた。

「え?何、この後、何が・・・?」

「未雲、スカートがめくれたら何が普通は見える?」

「えっと・・・パン、あっ!!そういう・・・ぎゃはははっ!!!」

ようやく理解できた私は、一番大きな声で笑ってしまっていた。

 

 

「・・・んで、教授からこの島の伝説を聞いて、楓が推理したんだな?」

あの笑いの惨劇から数分後・・・。

皆は、普通の落ち着きを取り戻していた。

「はい。でも、これはあくまでも推理です。正しいとは限りませんから」

そう楓は言いつつも、自分の推測がほぼあっていることを分かっているのだろう。いつもは美しいさくらんぼのような唇を震わせて、私たちの方を見ている。そして、楓ちゃんの方を辛そうな瞳で見つめた。

「楓・・・」

「・・・大丈夫よ。でも、自分の生い立ちもよくわからないような少女が、なぜそんな酷な運命を背負わなければいけないのかと思うの。まだあの子は言っても14歳よ?自分がどういう人間で、どういうものを持っているのか・・・まだ、無垢な時代よ?なのに、なぜ、酷な力をもつが故、行く先々で恐れられてしまって・・・こんなことを言うことは、失礼に値するだろうけれど・・・かわいそうな子だわ、楓ちゃんは」

顔色を少し変えながら、瞳を潤わせて楓は彼女―――楓ちゃんを見つめた。

 

 

私も、楓の言葉を聞きながら、瞳を潤わせていた。そして、自分の背負うものの軽さと、楓ちゃんの背負うものの重さの違いを、痛感していた。

 

 

 

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