ボールがくれた出会い 作:御沢
「はぁ・・・整理・・・ねぇ・・・」
山吹邸、楓の部屋にて。
私は、対数十分前に言われた言葉について整理していた。さっき言われた言葉―――思い出しただけでも、頭から足の先まで真っ赤っかになってしまいそうな、あの言葉。
『「楓は、『運命』って信じるか?きっと、どっちとも言えないだろうけど、俺は案外信じる。だって、この場所でたった一度だけあった少女―――楓と、今日ここまでで、何度偶然の再会を果たしたか?普通に考えたら、びっくりすることだって、今、気がついた。そして、ここ数カ月、ずっと意味のわからない気持ちに苦しんだ。楓が、先輩達とか、空野たちと話す時でさえ、胸が苦しくなった。ずっとずっと考えた結果、俺は1つの結論にたどり着いた。―――俺、剣城京介は、山吹楓が好きだ。出会ってから、7年間、ずっと・・・」』
あぁ・・・////もう、嫌になっちゃうわ・・・。
1人ドレスのまま、私は天蓋付きのベッドに横たわって、ベットに置いてあるクッションを天蓋に投げていた。その時、部屋のドアがコンコンッ、となった。
「はいっ?」
「俺だ。入るぞ?」
それは、お兄さん―――鬼道有人さんだった。私が返事をするとすぐに、お兄さんは部屋に入ってきた。そして、私の恰好を見た瞬間、顔をしかめた。
「楓、何を、していたんだ・・・?」
まぁ、そんな疑問を持たれても仕方がないだろう。ベットに横たわっているのは、ドレスのままで、髪の毛もセットされたままで、アクセサリーも付けたままの女の子だ。変に見られても仕方がないだろう。
「お、お兄さんこそ、何か御用ですか?」
私は、ただ話をそらしたくて、話を戻した。お兄さんは、そうそう、と言いながら、部屋の端にあるソファに腰掛けながら、話し始めた。
「明日なんだが、もうすぐ3年生は引退の時期だろう?だからな、引退式でもしようかと思ってな。今から、円堂達をよんでいるから、楓も話し合いに参加してほしいんだ。もしかしたら、この山吹邸を使うかもしれないしな」
「あぁ、そういうことですか。分かりました」
そして、しばらくして監督、コーチ陣全員が来た。私は、話し合いに感謝した。―――何かをしておかなければ、私は絶対おかしくなってしまっていると思ったから。
そして、話し合いが始まった。
「さぁ、じゃあ始めるか!」
円堂監督が、もう23時過ぎだというのに明るい声で、話し始めた。その明るさに、皆は苦笑した。私も、ばれないようにこっそり苦笑した。本題を話し始めたのは、豪炎寺コーチだった。
「・・・それじゃあ、明日の引退式だが、まずは何をするかだが・・・円堂、鬼道、不動、吹雪、風丸、楓の順番で、考えを述べてくれ」
「じゃあ俺だなっ!!」
と、豪炎寺コーチが話し終わる前に、円堂監督が話し始めた。
「俺は、やっぱりプレゼントがいいだろうな~」
続いてお兄さん。
「俺は、プレゼントなどももちろんだが、引退式の形式について考えたい。俺としては、厳かな雰囲気を最初と最後に持ってきて、あとはパーティー形式がいいだろうな」
さすが鬼道クン、と言いながら、不動コーチが話し始めた。
「俺は、ん~・・・場所だな。楓の家、使えるか?」
「え、あ、はい。大丈夫です」
「じゃあ、場所は楓の家で。あとはお任せ~」
ははは・・・、と苦笑いしながら、吹雪コーチが話す。
「僕は、アドバイスとかしてあげたいね。日本代表の子はこれからも戦うし、じゃない子でも高校からの役に立ててほしい」
風丸コーチが、髪の毛をくくりなおしながら話した。
「俺はだな・・・雰囲気全体だ。楽しくてでも、面白い感じにしたら喜ぶだろう。また、プレゼントなどはくじなどで決めたらどうだろうか?」
コーチたち皆が、話し終わった。皆さんの好奇心があふれる瞳が、私をただ見つめる。私は何を言えばいいのか・・・そう思ったから、結局皆さんの考えをまとめることにした。
「じゃあ、私は皆さんの考えをまとめさせていただきます。形式としては、お兄さんの言われた通り、最初と最後には挨拶を入れ、あとはパーティーのようにすればいいでしょう。場所は、私の家の6階の屋上広場を使えばいいです。雨が降れば、3階の中世ヨーロッパ大広間を使用してください。吹雪コーチの『アドバイス』ですが、パーティーは自由移動にして、その最中にでもしたらどうでしょうか?そして、プレゼントですが、確かにくじなどで決めたら面白いでしょう。あ、プレゼントは私が、明日の夕方までに決めておきます。開会時刻は、PM7時より・・・で、いいでしょうか?」
「「「「「「いいんじゃないか??」」」」」」
皆さんの意見をまとめ終わった私は、あとは皆に明日伝える、という仕事を受けた。そして、監督、コーチたちは、会場の飾り付けを使用人の皆さんと始めた。私はというと、もう24時だから、パジャマに着替えて、今度こそベッドで深い眠りについた。