ボールがくれた出会い 作:御沢
私はただひたすら楓を見つめていた。
ここでしか話せないことって・・・?皆には話せないことなの・・・?様々な疑問が私の中を渦巻く中、ふっと楓は天使のような微笑みを見せた。そして、ようやく気がついた。楓の雰囲気、昨日までとはちょっと違う・・・?なんというか、その・・・楓は前から美人だけれど、もっと美人になったというか・・・。
「楓・・・?」
美しい楓の金髪が、サラサラ・・・と窓から吹いてくる風によって、カーテンとともに揺れる。顔を一瞬赤らめて、楓は急に真面目な顔になって、私を見つめた。
「私は・・・その・・・京介と・・・付き合うことになって・・・ね?」
「ええええ――――!!!!!!」
私の大きな声が、広い部屋に響いた。それと同時に、口に含んでいた紅茶を噴水のごとく楓にぶっかけてしまった。まぁ当然、その紅茶は楓にかかってしまった。
「あわわわわ・・・っ!ごっ、ごめんっ!!」
目を力いっぱいにつぶった私は、ただ驚きの為、力任せに謝った。そんなことは気にしていないかのように楓は、自分の体をハンカチで拭いていた。そして、こういった。
「・・・続きは、お風呂で話そうか?」
「・・・ごめんなさい」
そして私たちはお風呂場へといった。
猫足のバスタブが4つ並んでいて、端にはサウナ。外には露天風呂や中にも大浴場、ジェットバスなど様々な種類のお風呂があって、私は息をのんだ。そんな中から、私たちは露天風呂を選んで2人で入った。そして、話の続きを始めた。
「ほ、本当にごめん。でも・・・その・・・本当なの?つ、剣城君とつ、付き合ってるって・・・?」
私は楓よりも真っ赤な顔で、その当の本人に質問をする。その本人は、凄みのある整ったすました顔で、こちらを振り向く。その体は、健康的な肌の色で手や足がすらりと伸びている。楓の象徴ともいえる美しい金髪は今は、1つに束ねてお団子にしてある。
「えぇ、本当。それでね、私、気がついたの。私は出会ってからずっと、ずっと、ずっと・・・京介が好きだったんだわ・・・って。幼いころから、気がつけばそばにいてくれた存在だった京介。去年は少し溝があったけれど、やっぱり私にとっては大切な存在だった。そして、今はとっても大切にされたいし・・・とっても大切にしたい」
優しくて美しい春の木漏れ日のような笑みを見せる楓は、幸せに包まれていものそのままだった。あぁ・・・楓と剣城君が分かりあえて、本当に良かった。
そして、楓がこの事を私に話したのは、ほかにも理由があるんだろう。薄々は感づいていた。力のこもった瞳をこちらに向けて、何か企むようなそんな瞳で私を見つめる。そして、予想していた一言を言われた。
「次は、葵の番よ?」
顔を真っ赤にする私をよそに、楓はもう自分が終わったからというようなさわやかな顔をしている。そう、私も幼馴染―――天馬のことが好き。一緒にサッカーについて話してたり、勉強してたりするととても楽しい。でも、いざ告白は出来ない。きっと告白されたとしても、素直にはなれない。
「楓・・・私には・・・その・・・やっぱりぃ・・・無理・・・だよぉ・・・ねぇ・・・楓ぇ・・・聞いてるぅ・・・?」
とぎれとぎれに言う私に対して、楓はまだ冷静に言葉を放つ。
「でも、私も素直になったわ。・・・ふふっ、大丈夫よ。京介よりも天馬の方が気は長いわ?だから、絶対に大丈夫よ」
大きな瞳に、少し涙をためた私は、反抗しようと頑張るが・・・
やはり無駄だった。
そして、告白の計画を勝手にたてられてしまった。
あぁ、こういうところ、楓の好きなところだなぁ~。楓―――私の美しくて、可愛い大切で大事にしたい・・・親友。いつも、ありがとう。
私、素直になりたいな・・・!