ボールがくれた出会い 作:御沢
超!急展開の2人
・・・と、素直になりたい!と思ったはいいが・・・
しばらく・・・いや、かなぁぁぁり時間がかかり・・・その間にもHRI本戦は始まり、それでもまだ素直になれず、とうとう明日はHRI決勝となってしまった。日本代表、真イナズマジャパンは楽々勝ち進んでいった。
試合形式は、11年前と同じ。AとB、2つのブロックに分かれて勝利数の多い上位2チームが本戦に参加できるというもの。日本代表は、Bブロックだった。
第一回戦、イギリス代表『ナイツオブクィーン』楓の旧知であるエルシャール・レイトン教授の考えた必殺タクティクスを発揮さたが、6-3で日本の勝利。
第二回戦、コトアール代表『リトルギガント』あの11年前のような大接戦を見せ、3-2で日本の勝利。
第三回戦、アメリカ代表『ユニコーン』マーク監督とディランコーチの陽気な考え方が表れているのびのびとしたチームだった。その為選手1人1人の力が最大限にいかされていて、なかなか手ごわかったが、1-0で日本の勝利。
第四回戦、フランス代表『ローズグリフォン』11年前は当たらなかったチームで、実力は未知数。それが影響し、2-4で初めての敗北。
第5回戦、ドイツ代表『ブロッケンボーグ』フランス戦の悔しさをばねにし、たくさん研究を重ね、練習を重ねた結果、3-1で日本勝利。
そして、日本代表は本戦への切符も手に入れることができた。
本戦はトーナメント式。
Aブロックの1位とBブロックの1位が対戦、Aブロックの2位とBブロックの2位が対戦、両方の勝者同士が決勝戦となる。
イナズマジャパンはBブロックの1位だったため、Aブロックの1位であったブラジル代表『ザ・キングダム』との試合だった。
超超超超・・・超大熱戦の末、1-0で日本の勝利!一方、2位ブロックではイタリア代表『オルフェウス』が勝利して、明日の決勝戦はイタリア対日本になった。
でも、私が気になるのはやっぱり『自分の気持ち』・・・。
私は天馬が好き。でも、自分から言う勇気はない。でも・・・楓は剣城君と付き合い始めて、あんまり関係とかは前とは変っていないみたいだけど、日に日に美人になっているってわかる。だって親友だから。雰囲気も柔らかくなったし、本当にうらやましい。私も幸せになりたい。
ずっとそんな気持ちが頭の中で渦巻く。私は楓とは反対で、日に日にやつれて行ってしまっている。そして、親友に心配をかけてしまう。あぁ・・・早く頭の中の整理と、自分の決意を固めないと・・・。
「あ、葵?なぜ、私の部屋に・・・っ?」
聞きなれた声がしてはっとした。そこにいたのは私の第二の親友といっても過言ではない友達、未雲だった。未雲にも、心の通った恋人がいる。今日の未雲はいつもと違った。―――髪を、ショートカットにしていたのだ。少し外ハネの赤毛がかわいらしい。頭にはジーンズ素材のリボン付きのカチューシャを付けている。
「未雲・・・!?あ、え?ここ、私の部屋じゃ・・・!?」
「なにいってんの?私の部屋だよぉ?葵、最近大丈夫ぅ?」
不安げな顔で未雲が私を覗いてきた。私は微笑みながら「大丈夫」とだけ言った。そして、ホテルのテラスに出た。
「はぁ・・・未雲の部屋には言っちゃうなんて、私、どうかしてるなぁ・・・」
暗闇でも輝く海を眺めながら、私は1人ため息をついた。ガシッ・・・!私の肩を、誰かが力強くつかんだ。はっ、と振り返るとそこにいたのは、今考えていた本人―――天馬だった。
「て、天馬っ!」
「葵、何してるの?風邪ひくよ?・・・まぁ、ここは常夏の国なんだけどね、はははっ」
能天気に話しかけてきた天馬に思わずキュン・・・としてしまった自分。そんな自分に私は赤面した。そんな私の気持ちもがかるはずない天馬は、また笑い始める・・・と思ったら、私のことを見つめた。そして発した言葉に、私は目を見開く。
「あ、葵っ!す、す、す、す・・・好きですっ!!」
「はぁっ!?」
びっくりしていること丸だしの声をあげた私を、それでも天馬はまじめにただ見つめ続ける。そして、ようやく気がついた。
天馬は・・・天馬も、私のことが好きだったんだ・・・!
うれし涙を流す私をおどおどしながら天馬が見つめる。「あぁ・・・」とか「えぇ・・・」とか唸っている。私は嗚咽しながら一生懸命に声を発した。
「ち、違うの・・・っ!わ、私もねっ、天馬のことがねっ、好きなんだよっ!」
今日このときから、私にも大切な人ができました♪
あの時の楓の気持ち、今ならすごくよくわかるよ・・・!そう強く思いながら抱き合う私と天馬を、窓の端からこっそり楓と剣城君が眺めていたのを私たちは知らない。