ボールがくれた出会い 作:御沢
今日はいよいよ決勝戦当日。皆がコンディションの最終チェックをしている中、楓の姿が見当たらない。今日は試合に出るはずだから、コンディションチェックをしていてもおかしくないのに・・・一体どこに・・・?
そしてようやく見つけた。楓はイタリア側のベンチで、監督であるフィディオ監督と話していた。紅の瞳を輝かせながら、ウキウキしながら話している。
そうだった・・・楓は、フィディオ監督とは旧知なんだった。だから、久々の再会を喜んでいるのだろう。だから、私はそっとしておいた。
その楓たちは・・・
私は、久々の再会をただ喜んでいた。
フィディオお兄ちゃんは、最近になっても絵葉書とかを送って来てくれていたから、どんな暮らしをしているのかなどは知っていた。でも、再会は6年ぶり。
「お兄ちゃん、お久しぶりっ!楓です」
「か、楓ぇ!?すごく美人さんになったね。まぁ、6年前から凄みのある顔立ちだったけどさ、予想をはるかに超えてきたよ」
お兄ちゃんの陽気な発言が、はじめっから飛び出してきた。思わず苦笑しながら、私はこの6年間のことを話した。でも主には、中学校に入ってからのことが多かった。
「・・・私は、ゴットエデンで皆が戦っていたのに、牙山の命令―――逆らったら、親友たちの命が危なかった―――によって、皆が危険な地・ゴットエデンスタジアムに入ってゆくのを高い電柱から見ていて、皆が通り過ぎてから、祈ることしかできなかった・・・あの時が、一番つらかった」
今私が話しているのは、1年前のゴットエデンでの戦いの時のこと。
あのとき、私は天馬たちとも葵たちとも一緒ではなかった。
―――私はただ1人だけ無事に確保され、牙山と一緒にいた。牙山が初めて雷門イレブンと会ったとき私は、大量の車のうちの1台の中にいた。そして、皆がアンリミテッドシャイニングと戦っていた時も、車の中に・・・。でも、後ろには拳銃を構える男たちがいたから、思うように動けなかった。
そしてゼロ戦の前日、私は私だけを無事にして置いた理由を聞かされた。それは、私もゼロに入れ・・・というものだった。当然断った。しかし皆のところへは行くな、行ったら、今なお人質となっている青い髪の女児―――葵の命はない、と言われた。その窮地を脱出するには、私が聖帝のところへ行き、一緒に試合を観戦しておけ・・・つまり、私は絶対に試合には出れないし、いい方向へと進めば、再び私はフィフスセクターに戻ることとなる・・・ということだった。
私は、葵の命が大切だった。だから、皆には悪いと思ったけど、皆がゴットエデンスタジアムに入ってゆくのを止められなかった。ただ、高い電柱のようなものから皆が入ってゆくのを眺めることしかできなかった。皆が通り過ぎた後、私はただ皆の勝利を祈って、聖帝のいる部屋へと1人で向かった。
しばらくは聖帝の横で試合を見ていた。何も言わなかったし、何も言われなかった。しばらくしたころ、聖帝がふっと口を開いて私に言った。
「山吹。我が美しきしもべよ」
「私は、もうあなたのしもべではない。イシドシュウジ」
凄い形相で、私は聖帝―――イシドシュウジをにらみつけた。しかし、イシドシュウジは動揺さえもしない。そして、ふっと笑って牙山に電話をした。
それからしばらくして、牙山がピッチへと出た。私はイシドシュウジをにらみつけた。そして叫んだ。
「あなたは、こんなことをして、何がしたいんですかっ!?あなたが本当に取り戻したかったサッカーは、こんなものなんですか!?聖帝・イシドシュウジ・・・いや、ご」
『豪炎寺修也さん』―――そう言いかけようとして、イシドシュウジ―――豪炎寺さんに口を押さえられた。その顔をサングラス越しにのぞく。そこにあったのは、辛い顔をする1人の男性だった。思わず私は退く。
ふっ、と笑った豪炎寺さんは、私に向かってこう言った。
「君は、最初から俺に心から仕えてはいなかった。なぜなら、それは君の本当の主人は、鬼道だったからだ。しかし、私はそれでも・・・それがわかっていても君を使った。―――私の本当の目的を調べてもらうスパイとして。なぜだかわかるか?それは、鬼道と同じだ。・・・私も楓、お前を信頼していたのだ」
私は目を見開く。そして、一粒の涙があふれてきた。その顔をまた吊り上げて、そして優しい表情になって私は豪炎寺さんに言った。
「私も心のどこかであなたを信頼していたのかもしれません。じゃないと、あんなことはできませんでした。ですが、あなたのやっていることは間違っています。お願いです、千宮路大悟のいいなりになる、操り人形にはならないでください」
そういうのが精いっぱいだった。そして、また豪炎寺さんはつぶやく。
「みてみろ、楓、今の試合を。ゼロはもう負けている。丸で、今の俺とお前のようだ。すまない、本当にすまない。この大人たちがいる状況はただす。本来のゼロ対雷門の試合に戻す。だから楓、お前ももう戻っていい」
私は微笑んで、
「ありがとうございます」
といった。そして、皆の元へといった。
そのことを話し終えたとき、フィディオお兄ちゃんの瞳はうるんでいた。
そして、私は自国のベンチへと戻った。
そう、いよいよ世界の頂上が決まるのだ・・・!
ゴットエデンの回想は、勝手に書いてみたかっただけですww