ボールがくれた出会い 作:御沢
「楓ちゃん、剣城」
「何?緑」
「なんだよ、忙しいんだけど」
「まぁ、ちょっと聞きたいことがあって・・・」
僕は、昼休みのとき、信助が言っていた『フィフスセクター』が何なのか気になったから、楓ちゃんと剣城に聞くことにした。
「『フィフスセクター』ってなに?」
「!!」
「!っ、その名前を、どうして・・・」
「えっ・・・」
僕は、正直に言おうかと思ったけど、剣城がすごく怒っていたから、言わなかった。信助が悪いことになるのは嫌だったし。
「いや、話してたんだよ誰かが。それで、何かな~、と思って質問したら『おたくのサッカー部にいる、山吹楓や剣城京介に聞けば?』って言われて・・・」
「そうだったの・・・ごめんね」
「すまない」
「ううん、いいんだけど、何なの?話したくなかったら、いいんだけど・・・」
そういうと、剣城の顔がつらそうになった。それを見ていた楓ちゃんが、
「あ・・・私が話すから、練習が終わったら、ちょっと部室に残って」
といった。
きっと、剣城は『フィフスセクター』に、とても辛いことをされたか、つらい思いでしか残ってないのだろう。悪いこと、しちゃったな・・・
でも、練習が始まったら、こんなこと、考えていられなくなった。
今日は、僕が『化身使い』だと告白する日。
信助は
「大丈夫!」
って言ってくれたけど、やっぱり拒否されないか心配。
「緑!お前から何か言いたいことがあるんだろ?」
円堂監督が、僕にふってきた。いよいよ告白だ。
「実は、僕、化身使いなんです。でも、前の学校ではそのせいで拒絶されてしまって、それで、皆さんにも拒否されるのではないかと思って隠していました。すいませんでした」
僕が、精いっぱいの気持ちで告白した後、一瞬沈黙の時間があったが、すぐに笑いがおこった。
僕は、何が起こったのか理解できなかった。
「え・・・み、皆さん!?」
「ははっ、緑、そんなこと、心配してたのか。大丈夫だ。ここにいる人たちは、みんな、化身使いにはなれている。現に、俺も化身使いだしな。だから、拒否なんてしないよ」
「ほ、本当ですか・・・?」
「ちゅーか、そんなこと心配してたわけ?」
「ひ、ひどいです!浜野先輩!」
「でも、その気持ち、分からなくもないよ」
「か、楓ちゃ~ん・・・」
「まぁ、私の場合は化身を出すほうが最初だったけどね。あ、そうよ!緑、化身だしてみてよ」
「えっ、今から?」
「はい、僕たちも見てみたいです。緑さんの化身!」
「はい!」
「なら決まりだな。1年生の期待には、答えなきゃな?」
「霧野先輩・・・はいっ、わかりました」
そして、僕たちはサッカーグラウンドへと急いだ。
僕は、心の底から安心した。雷門中学校(ここ)なら、自分のしたいサッカーが、目いっぱいできるかもしれない。
そして、僕は化身を出した。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!『天の使いドラゴン』!!!!」
「わぁぁぁぁ!!!すごいっ!」
「緑、なかなかやるじゃんか!」
「へへっ、ありがとうございます。あ、じゃあ、先輩たちも見せてくださいよ?」
「えっ・・・」
「いいじゃないか、神童。見せつけてやれ!」
「あぁ!」
ということで、化身ショーが始まったのだった。
こんなに楽しいサッカー部なら、僕は、がんばれる!本気になれる!