ボールがくれた出会い   作:御沢

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天馬×葵のその後・・・

私たちは、ともに雷門高校に進み、交際も順調に進んでいた。別の高校へといった親友―――楓とも会うことがよくあって、毎日が楽しかった。

 

 

そして高校も卒業し、私たちは内部進学で雷門大学に進学した。

 

 

そして、19歳のとあるある日。

私達は今、レストランでディナー中。久々の外食を2人で楽しんでいるつもりでけど、天馬の表情は暗い。いや、何か思いつめたような顔をしている。

 

 

それがなんなのかがわかったのは、デザートを食べている時だった。

さらにそわそわし始めた天馬を横目で見ながら、デザートのケーキを一口口に含んだ。しゃり・・・何かが舌に触れた。あわてて口から出してみると、それは指輪だった。

「天馬、これ・・・って・・・?」

「そ、そうだよ、葵。お、俺と、結婚してくださいっ!!」

「!!」

そう、それは『天馬からのプロポーズ』だった。

見る見るうちに私の瞳には、うれし涙があふれてくる。その光景を見ている天馬が、またおどおどし始めた。―――私たちが付き合い始めた時も、こんな感じだったな・・・。

「あ、葵・・・?」

不安が隠し切れていない声で、私の名前を震えながら呼ぶ。私はそんな天馬が可愛くて、ふっと微笑んだ。そして、天馬に抱きつく。

「天馬ぁ・・・こ、こんな私で良かったら・・・お願いしますっ!!」

「ほ、本当っ!?」

「はいっ!」

その途端、周りからパチパチパチ・・・という盛大な拍手が起こった。私たちは、2人して顔を赤らめて頭を下げた。そして、鉄塔広場へと直行した。

 

 

「天馬・・・私、天馬のお嫁さんになってもいいの・・・?」

「いいに決まってるじゃんか!なってくれないといやだよ?」

美しい夜景を2人で眺めながら、私たちは初めてここで名前を教え合ったんだな・・・ということを思い出していた。

「ねぇ、私たちって最初はサッカーだけでつながっていたのかな?」

「そうだね。そういえば、ここ・・・だったよね」

「うん・・・」

あの日、天馬があの公園でサッカーをしていなかったら・・・私があの公園を通らなかったら・・・私たちは出会うことがなかったんだろうか。同じ小学校だったからであっていたかもしれないけど、こんな仲良くはなれなかっただろう。きっとこれが『運命』ってやつだ、と私は心の中で思っていた。

 

 

私の青春の全ての始まりをたどれば、天馬につながる。

私の青春は、サッカー一色だった。でも、そのサッカーと出会ったのも天馬と出会ったから。そして、サッカーと出会えたから、信助、剣城君、神童先輩、錦先輩、霧野先輩、狩屋君、緑君、未雲、ちかちゃん・・・などの雷門中学校サッカー部のみんなとは出会えなかった。そして、大切な仲間であって、私以上に私のことを知っている一生の『心友(しんゆう)』の楓とも出会えた。

私が素直になろう・・・と決断したのも、楓の一言があったからだった。

きっと結婚すれば会う機会は少なくなる―――それが、結果離れ離れになったとしても、何年たっても、ずっと変わらないこと。それは、私と楓が『心友(ベストフレンド)』だということ。―――大好きだよ、ずっと大好きだよ。

 

 

「ねぇ、葵?」

「ん?何ぃ?」

天馬が、少し不安げな声を漏らした。

「俺は、剣城のことを親友・・・心友だと思ってるんだけど、剣城はどうだと思ってるのかな・・・。きっと結婚すれば、しばらくは会う機会も減ると思うんだけど、剣城はさみしいと思うのかな・・・俺は、もちろんさみしいけどさ・・・」

天馬のその言葉に、私は驚いた。―――だって、天馬と私が考えていたことは、ほとんど同じことだったから。私は嬉しくなって、ふふっと笑った。

「何がおかしいの?」

むっとした様子で天馬が聞いてきた。私は優しい表情をしながら答えた。

「だって、私も楓のことで、天馬と全く同じことを考えていたんだもん。本当に、びっくりしたぁ~っ。大丈夫、剣城君は天馬の親友だし、きっとさみしいと思ってくれるはず。あ、でも、心友の幸せを祝ってくれるかもなぁ。だって、あの楓の彼氏だもん」

それを聞くと、天馬も驚いたようだった。そして、

「そうだね」

といって、笑った。

 

 

私と天馬、楓と剣城君・・・これから先も、ずっといい仲間でいたいな・・・!

 

 

「あれっ?あれって・・・」

天馬が急にどこかを指差した。その方向を見ると、そこにいたのは・・・

 

 

深刻そうな表情をした楓と剣城君だった。

 

 

 

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