蒼穹のファフナー EXTINCT ALVIS   作:naomi

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「あれから改良を重ねてついに完成か『ファフナー ウィダシュティン・モデル』」

 

「これまでと違うのは背面部にホーミングレーザーっていう武装を追加したことね。あのおっさん…じゃなくてバートランド技術顧問によれば、パイロットのイメージによってレーザーがあらゆる屈折をして敵を攻撃するそうよ」

 

「それはすげーな明日の運用テストが楽しみだぜ」

 

「それとバートランド技術顧問の指示で『ノイル』も内蔵しているは」

 

「『ノイル』を。意味あるのか」

 

「『ノイル』に組み込まれたデータがその戦闘における最適行動を計算しパイロットをサポートしてくれる。これは私達とバートランド技術顧問の共通見解よ」

 

「なるほどな、それは心強い」

 

「大地。どこへいくの」

 

「ちょっと検査へ、なんでも重大な話があるそうだ」

 

「私も行くわ」

 

「…わかった。行こうぜ」

 

メディカルルームで検査を受け、診断結果に二人は愕然とした。

 

「同化が進んでいるってどういうこと宇美」

 

「…ウィダシュティン・モデルを初めて起動試験で動かせてから、遺伝子レベルで小規模な同化現象が起きていることがわかったの。この遺伝子の同化による変化が轟一尉をウィダシュティン・モデルに搭乗させることに成功させたと推測しています。ただ…ファフナーに乗り続けるたびに、いや乗らなくても急激なスピードでその遺伝子細胞が他の遺伝子に影響する関係で…」

 

「はっきり言ってくれ。美空先生」

 

「轟一尉は余命長くて3年です」

 

「そんな…なんとかならないの宇美」

 

「今の私達の技術では無理だわ姉さん」

 

「そんな…折角ここまで来たのに」

 

「バートランド技術顧問に確かめたらさらっと言われました。『ファフナーは本来シュナジティックコードが未発達で未形成の未成年がパイロットを務める兵器』だと轟一尉の例は前例が無く私も驚いたって」

 

「あのクソ野郎」

 

「よせ、優芽。初めての同化現象が発現した時からファフナーがリスクのある兵器だということはわかっていた」

 

「大地…でも」

 

「ごめんなさい。大地さん私達の研究がもっと進んでいれば」

 

「あと3年あるんだ。その間に解決策を見つけてくれたら大丈夫だよ宇美ちゃん」

 

「大地さん…」

 

「二人ともそんな顔すんなよ、明日の実戦テストが無事成功するようにパーっとやろうぜ」

 

「…そうね。わかったわ今日は負かすんだから覚悟しなさいよ。そうと決まれば早速二人に連絡よ」

 

優芽は自分に言い聞かせるように走り去っていった。

 

「姉さん…」

 

「宇美ちゃん。五郎はどうだ」

 

「まだ目覚めません。急に意識を失ってから眠り続けています」

 

「そうか…。ありがとう大事なことを教えてくれて」

 

「大地さん…」

 

「今日は遅れず来てくれよ」

 

「はい。もちろんです」

 

元気だがどこか寂しげなその後ろ姿を宇美は静かに見守った。

 

「くそー。死にたくねー、死にたくねーよ」

 

自室に戻り拳を壁に打ち付け声を圧し殺しながら大地は一人涙した。

 

 

 

「世話になったなミツヒロ」

 

「いや、こちらとしても良いデータが得られた。なかなか有意義な日々だったよ」

 

「見ていかないのか明日の実戦テストは」

 

「向こうでの仕事が山積みだからね。依頼は果たしたし去るとするよ、また会う日があるといいな」

 

「そうだな…」

 

「去らばだ健闘を祈っているよ」

 

こうしてミツヒロは第2Alvis『蓬莱島』を離れた。

 

 

「いらっしゃい…おっ宇美ちゃん珍しく間に合ったね。あっちにいるよ」

 

「美空先生珍しい~始まりに間に合った」

 

「よし。まだ1人揃ってねーけどはじめっか」

 

「明日の実戦テストの成功と兵藤三尉のお早い目覚めを願って…」

 

「乾杯~」

 

 

「二人とも気をつけて帰ってね」

 

「美空先生も大変ですがお気をつけて」

 

「ありがとう。おやすみなさい…もう演技は済んだ。姉さん」

 

「やっぱり宇美にはバレたか」

 

「全然呑んでないんだもん。二人も気付いてたんじゃない」

 

「そうかね…ってなんでコイツはガッツリ呑んでるかな」

 

「のんでらいよ~優芽ちゃん」

 

「ちょっと、あんた支えるの大変なんだから動くな…ってどこ触ってんだバカ」

 

「いった~い」

 

倒れる大地慌てて二人で起こす。大地をおぶり二人はゆっくり家路に着いた。

 

「やっと着いた」

 

「姉さんお疲れ様」

 

「宇美もね、…ったく。なんで爆睡するかな。こっちはもっと一緒にいたいのに…」

 

「姉さん…」

 

「あー、今のなし。忘れなさい」

 

「妹の前でまで照れなくてもいいじゃん」

 

「それもそうね。…宇美付き合いなさい」

 

「うん。いいよ」

 

缶ビールを開け静かに乾杯する二人

 

「こうやって、二人で呑むのいつぶり」

 

「多分初めてじゃない。姉さん家ではあまり呑まないし、けど呑むと泥酔して帰ってくるし」

 

「そうだっけ」

 

「うん。毎回毎回おぶるの大変なんだからね」

 

「そっか、そうだよね。今大地おぶって帰ってよくわかったし気をつけるよ」

 

「…ねえ姉さん。結婚しないの」

 

思わず吹き出す優芽

 

「なんでいきなりそうなる」

 

「だって。付き合ってどれくらい経つよ」

 

「付き合っては3年だな」

 

「大地…起きたか」

 

「あぁ今な、あれここどこ」

 

「私達の家だ」

 

「あれいつもの場所は」

 

「とっくにお開きしてるよ」

 

「全然記憶がない」

 

「泥酔してたからねこれまでで一番」

 

「ねえ、3年ってどういうこと」

 

「プロポーズは18くらいからしてたけど、なんでか優芽に断られ続けてな3年前にようやくOKもらえたんだ」

 

「あんなにカップル感出してたのになんで」

 

「それは…そのいいのかなって思って」

 

「なにが」

 

「本当に付き合っていいのかなって」

 

「自分の気持ちに素直になればいいじゃんか」

 

「そんな訳にはいかなかったのよ。あの子の気持ちを想ったら」

 

「あの子…」

 

「っもう。この話はおしまい。さっ呑みなおそ」

 

「うし、じゃあ明日の成功を祈って乾杯」

 

三人は幼き日の思い出を語り合い日を跨いだ。

 

「姉さん。お待たせ…」

 

宇美の視線のさきには満月を見ながら肩を並べる二人の姿があった。

 

「ねえ…大丈夫だよね」

 

「実戦テストといっても『ノイル』搭載の無人機だろ大丈夫だろ」

 

身体を引き寄せる大地

 

「俺を信じろ」

 

「うん…」

 

(おやすみなさい。姉さん、大地さん)

 

彼女は静かにその場を離れた。

 

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