蒼穹のファフナー EXTINCT ALVIS   作:naomi

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ついに、その日が訪れた。

 

「これより、ファフナーウィダシュティン・モデルの実戦テストを開始します」

 

「ウィダシュティン・モデル起動」

 

「了解。起動します」

 

指定ポイントに到着したウィダシュティン・モデル

 

「ノイル戦闘機部隊を展開」

 

10機近い戦闘機が上空を飛び始める。

 

「これから投入する兵器は全て無人機です。全て破壊してください」

 

「了解」

 

「テスト開始」

 

(空の敵…飛行能力のないウィダシュティン・モデルにはキツイな…試しめてみるか。イメージして…当たれ)

 

無数のホーミングレーザーが空の戦闘機を次々と撃ち落とす。

 

「全機破壊を確認」

 

「素晴らしい装備だな、地上にいても空の敵を一網打尽に出来る訳か、パイロットのバイタルは」

 

「正常値を維持」

 

「ブルク。機体は」

 

「現時点で問題はありません」

 

「よし、次のテストだ」

 

「はい。近接戦闘のテストに入ります。3機のノイル搭乗型グノーシス・モデルです速やかに排除してください」

 

「了解。…『ノイル』起動」(スゲー相手の動きがわかる)

 

「ノイル搭乗型グノーシス・モデル全機撃破。所要時間…3分です」

 

「何百回と戦闘を繰り返し進化したノイルを搭乗した機体を3分で…凄まじい戦力だな」

 

上層部もご満悦のようだ。

 

「テスト終了。ウィダシュティン・モデル帰投せよ」

 

「了解。ウィダシュティン・モデル帰投します」

 

「大地お疲れ様」

 

「優芽。通信に入りこんで大丈夫なのか。上も聞いてるかも」

 

「別に労いの言葉くらい聞かれたって問題ないわ、早く祝杯を挙げましょ」

 

「そうだな」

 

「じゃあね、さあ祝杯よ」

 

「美空主任。ウィダシュティン・モデルに異常発生」

 

「えっ」

 

「ったく優芽のやつ呑みたいだけだろ」

 

(あなたはそこにいますか)

 

「えっ」(この声…五郎)

 

 

あなたそこにいますか

 

 

「なんだ同化現象だ…はっ、なんだよこれ」

 

ウィダシュティン・モデルのモニターには兵藤五郎が無数に写し出されていた。大地の腕から緑の結晶が侵食し始める。

 

「うぁ…」(ノイルが勝手に起動した…これは)

 

「ダメです。ウィダシュティン・モデルへのアクセス拒否されました」

 

「そんな…大地、応答して大地」

 

「CDCへこちらウィダシュティン・モデル…総員この島から脱出を」

 

「轟一尉。何があった」

 

「フェストゥムに機体が侵食されいます。このままでは…」

 

「ウィダシュティン・モデルがホーミングレーザーを乱射」

 

「なに。ファフナー部隊を出撃させて取り抑えろ」

 

大門寺の指令を受けたファフナー部隊が出撃する。

 

「大地先輩、待っててください。今助けるんで」

 

「よせ…離れろ」

 

「武器が全然効かないぞ、距離をとれ仕掛けて…」

 

瞬殺されるファフナー部隊。小太郎の機体が辛うじて生き残る。

 

「小太郎。応答しろ、小太郎」

 

「先…輩。危ないじゃないっすか」

 

「脱出しろ」(『ノイル』が勝手に起動した…)

 

ホーミングレーザーが小太郎の機体を集中砲火した。

 

「小太郎…嘘だろ、小太郎…小太郎」

 

ウィダシュティン・モデルは躊躇無く蜂の巣となった機体を踏み潰し進み始める。

 

「ウィダシュティン・モデル再びホーミングレーザーを乱射。一部こちらに直撃…」

 

炎上するCDC。指示を仰ごうと通信を試みていた各部署が混乱に陥った。

 

「我々の信念をねじ曲げて得た結末がこれか…」

 

実戦テスト終了後に検査をする準備のためメディカルルームにいた宇美は、CDC崩壊の一報で初めて現状を知った。

 

「姉さん。無事…そんな」

 

急ぎブルクへ向かった宇美。目の前は瓦礫の山と化していた。周囲には横たわる人々が点在している。

 

「奏さん。しっかり」

 

「美空先生…主任が危ない」

 

「奏さん…奏さん」

 

辺りを見渡すと傷つきながらもウィダシュティン・モデルとコンタクトを試みる優芽の姿があった。

 

迫るウィダシュティン・モデル

 

「大地しっかりして、大地」

 

しっかりとした足取りで目の前に巨体の機体が向かってくる

 

「姉さん危険よ離れて」

 

「ダメよ、大地が大地がまだそこにいるんだから」

 

ウィダシュティン・モデルが優芽の前で立ち止まった。

 

「大地…そうよ、落ち着いて。今私が助けるから」

 

(優芽離れてくれ頼む。…よせ何をするつもりだ。やめろ…やめてくれ)

 

その刹那

 

ウィダシュティン・モデルはその大きな両腕で拳を天に突き上げ一気に振り下ろした。

 

「姉さんーーー、きゃあー」

 

(優芽ーーーあぁ、ああぁ…うわー)

 

ウィダシュティン・モデルはもはや手のつけられない状態となっていた。

 

「うっ…」

 

先程の爆風で飛ばされたが辛うじて一命を取り留めた宇美。

 

「姉さん…あぁ。姉さん」

 

もうそこには彼女しかいなかった。

 

(大地さん…貴方はもうそこにはいないんですか…大地さん)

 

そこにあの悍ましい機体はもう居なかった。

 

(まだこの機械活きてる…。あの機体はまだこの島にいるのね)

 

 

…フェンリル認証コード起動カウントダウンに入ります。

 

ボロボロの身体を引きずりながら。宇美はとある場所を訪れた。

 

(これは、私達が貴方を無理やり傷つけた罰なの…私があの時、先生を止めてたらこんなことにはならなかったのかな…ごめんね皆。ごめんなさい。ねえ、もう私ここにいることが辛いの…だから、お願い)

 

宇美が触れている結晶が徐々に宇美の身体を侵食する。

 

(そう。そうして貴方と、貴方と一つにさせて。ハハ…ハハハ…アハハハハ。皆ごめんね、ごめんなさい。姉さんごめんなさい。大地さんごめんなさい。…大好きでした)

 

 

フェンリル起動

 

「第2Alvisのフェンリル起動を確認。総員衝撃に備えてください」

 

高波が第2Alvis周辺に展開していた人類軍艦隊を襲う。

 

「暴走して全てを消し去ったか、誰だかはわからないがいい判断だ」

 

「よろしかったのですかMr.バートランド、大事な実験機だったのでは」

 

「暴走されては何の価値も無い。テスト前に性能データは取ったし、このテストも彼らのCDCをハッキングしておいたからデータは取れた、さぁ私の仕事が山積みなんだ早々に帰還しようじゃないか」

 

(未発達のミールでは私の目指す最強のファフナーは完成出来ないな…やはりあの島のミールが必要か)

 

「わかりました」

 

こうして一つの島は消えた…

 

 

 

「…とこれが今回調査した島の記録だ」

 

「ご苦労だったな」

 

「俺達の技術がその遠因になってるってのが…くそ」

 

「彼らの葛藤と生きたいと思う意思が今日の我々の機体の発展に繋がっていると信じよう」

 

「また背負うものが増えちまったな。真壁」

 

「…そうだな」




「帰ったかミツヒロ」

「洋治か、そっちは順調か」

「研究は順調だよ。私の求める可能性の扉が開かれつつある。彼等は」

「我々の研究の糧となってくれたよ」

「そうか…」(さらばだ大門寺。安らかに眠れ)

「この実験で我々の求める『救世主』の完成は大きく近付いた、待ってろフェストゥム。お前達を滅ぼすファフナーを必ず私が完成させる」

この話を公式設定として認定されるのは

  • あり
  • なし

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