今回はガルパ☆ピコの話ではなく、オリジナルの回となっております。
では、本編どうぞ。
とある日。商店街の一角であるここ、羽沢珈琲店に集合した『Crescendo』のメンバー達。
「ごゆっくりどうぞ」
「ありがとう、羽沢」
一礼して店の奥へと消えていくつぐみを見送った洸夜は、自身の前に置かれたミルクティーを口にするのであった。
「……ふぅ。さて、今日は何に付いて話すんだ?」
カップを置きながら、軽く一同を見回した洸夜がそう問い掛ける。
「……名目上は定例会議なのだが」
「正直何話すか決まってないんだよね」
結弦が苦笑しながら祐治の言葉に続けた。
「だからいつも、こうしてここに来てコーヒーを飲んでいる」
「なるほど……ってなるか」
納得しかけた洸夜は、即座にツッコミを入れる。
「なあ雅人、お前からもなんか言ってくれ……」
「……どうして俺の名前は黒歴史なんだ」
「お前はまだ引き摺ってるのか」
「イデッ?!」
雅人の額にチョップを入れながら、洸夜はツッコむ。
「あのさ、みんな……」
すると祐治が、手を上げながらこう言った。
「俺らって、何か目標みたいなのあったっけ?」
「「「あ」」」
その言葉に、洸夜を除いた3人が同じ反応を示すので合った。
「……え?」
その様子を見た洸夜は、首を傾げるのだった。
「なんもないの?」
「「「「ない」」」」
一同はハモって答える。
「なら、今日の議題はそれだ」
その一言が、彼ら以外に客のいない羽沢珈琲店内に響き渡るのだった———
場所は変わって『さーくる』。
いくつかあるスタジオの1つに、Crescendoの5人は居た。
「なんで場所変えたし……」
「ここの方が俺らのバンドとしての本領が出るだろ?」
溜息を吐く雅人に、洸夜が言葉を返す。
「まあ、強ち間違っては無いな」
「だな」
洸夜の言葉に、祐治と大樹が頷く。
「んで、目標ったってどうやって決めるんだ?」
「それなんだよな……」
「とりあえず、皆んながこのバンドで何したいかとか上げてけばいいんじゃない?」
悩む洸夜に、結弦が助言する。
「……かもな。と言う訳で、1人ずつお願いしたい。祐治から」
「うーん、そうだな」
少し考えた後に、祐治は口を開いた。
「とりあえず、パフォーマンスを極めていくか」
「……え?」
「ん?」
驚く洸夜に対して、祐治は首を傾げる。
「なんか変なこと言ったか」
「十分変なこと言ってるぞ」
困惑し切った顔で洸夜は言葉を返す。
「俺らって、バンドだろ?」
「ああ」
「なら普通、技術を極めるべきじゃないのか?」
「パフォーマンスじゃなくてか?」
「え、だってパフォーマンスって……スペックの方?」
「舞台の上でやるやつ」
「だよね?」
洸夜は分かり切っていた、と言った具合に言葉を返す。
「絶対バンドである必要性無くなってきてるじゃないか」
「でもほら、ハロハピのライブ凄かったじゃん。パフォーマンス」
「花音さんや奥沢には悪いが……アレと比較してはいけない」
「あ、僕あるよ」
溜息を吐いた洸夜の傍らで、結弦が挙手する。
「なんだ?」
「この辺一体に名を知れ渡らせるとか」
「それ都内って事?」
「そうそう」
洸夜の問い掛けに、結弦はそう言って頷く。そんな結弦の言葉に納得したかのように、洸夜は頭を振る。すると、顔を下に向けていた大樹が突如顔を上げる。
「……俺も1つあるぞ」
「どんな感じだ?」
少し間を置いてから、大樹は口を開く。
「ズバリ——天下統一だ」
「……え、え?」
余りにも予想の斜め上をいく回答に、洸夜は顔を痙攣らせた。
「お、それ良いな」
「そうだね。夢は大きく持った方がやりがいもあるからね」
「いやいや、待て待て。2人とも分かってる?」
大樹の言葉に同意する祐治と結弦に、洸夜はパイプ椅子から立ち上がりつつ慌てて問い掛ける。
「うん。全国制覇だろ?」
「いやまあ、そうだけど……そうなんだけど……なんか、ズレてない?!」
「僕は良いと思うけどなぁ……?」
「んー……じゃあ聞くけど、どう言う感じで
若干呆れた様子で、洸夜は3人へと問い掛ける。
「そりゃ、ねぇ」
「勿論僕らは——」
「——天下を統一する」
立ち上がった3人は、両手の握り拳を自身の胸の前で打ち付けながら、地面をドンっと踏みつけながら声を揃えて答える。
「「「拳で」」」
3人のぶっ飛んだ回答に、洸夜は開いた口が塞がらなくなるも、数瞬の硬直の後に我に返ると慌ててこう言う。
「いやいや。今の時代は戦国じゃないからっ。安土桃山じゃないからっ」
「知ってるぞ?」
当たり前だろ、と言った感じで大樹が言葉を返す。
「ならそんな武力的なものに頼らなくても良いだろ?! 第一バンド関係なくなってきてるし!」
「あ、どうせなら世界統合とかにしてみる?」
「「いいね」」
ツッコミを入れる洸夜の傍で結弦がそう提案し、大樹と祐治は賛同するのだった。
「もはや俺らってなんなんだよ?! 何で統合する気だよ?!」
「拳に決まってんだろ」
「拳だよね?」
「拳だな」
「どうしてそうなるんだ?!」
連続ツッコミにより息を切らせ始めた洸夜は、肩で息をしながら一度着席する。そして額を抑えながら、誰にと無くこう呟く。
「……あー、もう無茶苦茶だよ」
そんな彼は、早くこのツッコミ地獄紛いなものが終わらないかと考え込む傍らで、3人が再度顔を見合わせる。
「じゃあ、Crescendoの目標は世界統合でいいか?」
「異議無し」
「OKだよ」
大樹、結弦の順に祐治の言葉に賛同する。すると、沈黙を保ち続けていた雅人が立ち上がった。
「……雅人?」
絶望の淵にて考え込んでいた洸夜が顔をあげつつ呼びかける。
「どうかしたか?」
「俺からも1つ提案がある」
問いかけた祐治に対して雅人はそんなことを告げる。
「ズバリその提案とは?」
「……お前らは、世界統合で異議無いんだよな?」
「ああ。そうだが」
「なら、世界人類すべてに黒歴史を植え付けるでも問題ないだろ?」
不敵な笑みを浮かべながら、雅人はそう口走る。
「「「「——それは駄目だ」」」」
その言葉の直後、4人から同じ言葉を投げられる。
「何でだよ? 今の目標と大差ないだろ」
「「「「ほぼ私欲でできてるから却下」」」」
「なぜだぁあ!?」
3人は愚か、先程とは雰囲気のかわった洸夜からも否定を喰らった雅人は、その場に膝から崩れ落ちる。
「まあ、君の目的が余りにも酷いものだからだよね」
「言うてこいつらのも似たり寄ったりだろ?」
「一理あるけど……雅人のより、害は無さそうだよ」
「変わんねぇだろ?!」
「少し——黙る?」
叫ぶ雅人対して洸夜は、笑顔を向ける。圧の籠もった笑顔を。少なくとも、雅人の目には洸夜の背後に現れた
「イエナンデモゴザイマセン」
「分かれば宜しい」
洸夜は強引に納得させた雅人から、3人へと視線を移す。
「洸夜、助かった。お前のおかげで、変な計画に加担しなくて済んだ」
「まあ、気にするな」
「と言う訳だし俺達Crescendo、目標達成のために頑張るぞ」
「「おー」」
「……ちょっと待て」
「「「……?」」」
意気投合している3人の言葉を遮るかのように、洸夜が言葉を発する。
「その目標、変えさせてもらおうか」
「何ッ?! オンドゥル洸夜、ウラギッタンデスカ?!」
「裏切った? そもそも賛成してないから」
所々可笑しな言葉で反論する祐治に対して、狂気の籠もった笑顔で洸夜は応答する。
「と言うわけだ。変えよ? もし嫌なら——」
そう言って洸夜は、手をパキパキと鳴らし始める。
そんな彼の背後には、何か禍々しいモノが現れ始める。
「O☆HA☆NA☆SIしようか?」
「「「「ヒェェエ?!」」」」
そう言った洸夜は、外界より呼び寄せられた魔物という言葉が相応しい表情であり、その姿に一同は絶叫するのだった。
余談だが、その後なんや感やあってCrescendoの目標は『取り敢えず頂点を目指す』と言うものになった。
その際に、怪物が現れたとメンバー達は証言しており、壁越しに中の様子を伺っていたRoseliaのメンバーも何か奇声の様なものが聞こえてきたと証言しているが、真実は闇の中である——
今回はここまで。
作者のネタのキャパだとこれが限界です……。
と、次回は普通にガルパ☆ピコ3話『革命—Revolution—』をお送り致します。
では、これで。
次回もお楽しみに!