完成致しましたので投稿させて頂きました。
では、本編どうぞ。
とある日、『さーくる』のスタジオにてRoseliaのメンバーは集結していた。これだけなら普段とは変わらない。しかし、今回の場合は1つだけ違うことがあった。
スタジオ内が真っ暗なのである。光がな僅かにある程度で、真っ暗なのである。大事なことなので2回言った。そんな中で、彼女達は話し合いを行っていた。
「紗夜、この前のポピパのライブ」
「ええ、やられたわね。まさか戸山さんが飛ぶなんて」
「……フフフッ……アハハ」
紗夜の言葉を聞いたリサが笑う。
「って、ちょっと今井さん。何笑ってるの?」
「いやー、紗夜が他のバンドを褒めるなんてね〜。あこはどうだった?」
リサは紗夜に対して理由を述べつつ、あこへと話を振る。
「眼前を埋め尽くす赤眼の白き魔獣の……飛んでて……えっと……凄かったよねりんりん!」
台詞が続かなくなったあこは、燐子へと話を振る。
「うさぎ……可愛かったです」
振られた燐子は、笑顔でそう答える。
「あのー……」
燐子の言葉の直後、この場に居た6人目が言葉を発した。そう、幻のシックスマンが。
「俺はなんでここにいるんだよ? 今は絶賛バイト中なんだが?」
そう答えるのは、Roseliaの専属コーチを務める洸夜。
「貴方がRoseliaの一員だからよ」
「だからってバイト中に呼ぶことはないだろ」
「で、洸夜は先日のライブを見てどうだった?」
友希那へと反論する洸夜に、紗夜が尋ねる。腑に落ちないと言った顔で洸夜は応じる。
「どうって……花園の歯ギターと山吹の三刀流ドラム凄かったって所かな。楽器が痛みやすくなりそうだから、やりたいとは思わないけど」
先日見た件のライブを振り返りながら、感想を述べる洸夜。
余談ではあるが、彼等が言っている通り先日行われたPoppin'Partyのライブでは、香澄が宙を舞い、たえが連れてきたうさぎがステージに溢れ、沙綾が三刀流ドラムを、たえが歯ギターを披露し、その傍らでりみが観客に向かって山吹ベーカリーのチョココロネを巻き、有咲がキーボードを叩きながらあたふたしているということがあった。
「正直あのステージには底し——」
友希那がそこまで言いかけたところで、ガチャっと扉が開く音の後に部屋の明かりがつけられる。
「「ん?」」
扉に背を向けていた紗夜と友希那が、同タイミングで扉の方へと向く。するとそこには、扉の傍らに立つまりなの姿があった。
「あ……ごめんね」
それだけ言い残すと、まりなは明かりを消して部屋を後にする。
「——底知れぬ、何かを感じたわ」
「いや、そっから続けるのかよ」
洸夜は友希那に対してツッコミを入れる。だが、独り言のように流される。
「湊さん……」
友希那の言葉を聞いた紗夜は、真剣な面持ちになる。
「私達も進化を遂げる時が来たようね」
「……進化ってなんだ進化って」
友希那の言葉に洸夜は再びツッコミを入れる。
「良いね。それで?」
僅かに笑みを浮かべたリサが友希那へと尋ねる。
「次の新曲のテーマは——」
「え、俺の事サクッと無視するの?」
洸夜を流しながら、友希那は次の曲のテーマを告げる。
「—— 革 命」
「「「「革命?」」」」
「……いい予感がしねぇ」
各々が各々の反応をする中、友希那は続ける。
「今の私達が向き合うべき事じゃないかしら?」
「そうね」
友希那の問い掛けに、紗夜が同意する。
「良いと思います」
燐子もまた同意する。
「——機は熟した」
「本当か?」
あこの言葉に洸夜はツッコミを入れる。
「それで、具体的には?」
「えっと……」
「なんも考えてないのかよ……」
リサの問い掛けに言葉を詰まらせた友希那に対して、洸夜はそう言葉を発するのだった。
すると、あこの口から1つの提案が挙がる。
「衣装を変えるとか?」
「そういうことよ」
その提案に、友希那は即答するのだった。
「絶対今その場で思いついたよね?」
洸夜はジト目で友希那を見つめるのであった。
「……革命的な衣装が必要ね」
「え、またシカトですか? そろそろ俺泣くよ?」
最早いない物扱いと言っても過言では無い程の扱いを受けている洸夜は、そんなことを告げるのであった。
「革命……つまり『revolution』」
「「訳しただけじゃん……」」
紗夜の言葉に、リサと洸夜は同じ事を言うのであった。
だが、その際のリサは苦笑していたが、洸夜は呆れた様子であり対照的であった。
「新たなる聖戦への——」
あこがそこまで言いかけたところで、ガチャと言って扉が開く。そして、先程同様にスタジオ内の明かりがつけられる。
「「「「ん(ん〜)?」」」」
再び振り返った友希那と紗夜。
その視線の先——扉の側に居たのは壁に手をかけた蘭と、何故か寝そべっているモカだった。
「あ、ごめん……電気消えてたから」
蘭はそれだけ言い残すと明かりを消した。
「絶対電気つけてやった方がいいよ、これ……」
先程のことや今のことを踏まえた上で、洸夜はそう言葉を溢すのであった。
「あ、新なる聖戦への……衣。どう、りんりん?」
「強引に繋げたな……」
そうツッコミを入れる洸夜の傍ら、あこに話を振られた燐子が口を開いた。
「……実は考えていたものがあるんですけど」
「準備が良いわね」
燐子は手にしていたスケッチブックを、6人で囲んでいるテーブルの上に置く。
そこに描かれていたのは、新衣装の案であった。
「歴史的なアートをモチーフにデザインしました」
燐子が告げた通り、描かれているデッサンの衣装や装飾品は、古代ギリシアの彫刻などに見られるそれに類似していた。
「おお、カッコいいじゃん」
「神話に出てきそうだな」
「流石ね、白金さん」
リサ、洸夜、紗夜順に感想を述べる。その傍ら、マジックペンを取り出した友希那がデッサンに何かを描き込む。そして、描き終えた友希那は全員にこう告げる。
「——飛び立つ翼が欲しいわ」
「「「「「え」」」」」
友希那の言葉に一同は衝撃を受けつつ、件のデッサンに視線を落とす。そこには、マジックで描かれた背面から伸びる大きな翼が加えられていた。
「まさに革命ね!」
「え、何、これは……」
「凄いです!」
「可愛いじゃん!」
「我々が背負いし罪の翼!」
紗夜、洸夜、燐子、リサ、あこの順に感想を述べた直後、三度扉が開く音がして、部屋の明かりがつけられる。
「「「「「「ん?」」」」」」
一同が見つめる先にいたのは、
「あ、すいません」
「じゃあ、あこも……」
部屋の扉が閉められた後、あこがペンを手に取りながらそう溢す。
「もうちょっと盛ろうよ〜」
それに吊られて、リサも描き込み始める。
「これじゃあバランスが悪いわね」
そう言って、ペンを手に取った紗夜が修正を始める。
「いっその事、こんなのはどうですか?」
燐子もペンを手に取る。
「ああ……」
その様子を、洸夜は引き攣った様子で見ていた。これはもう、止めようがないと。それからやや遅れて、彼の中でとある疑問が浮かび上がる。
「じゃあ、猫耳も……」
「あのー……皆さん、お楽しみのところいいかな?」
疑問をぶつけるために、洸夜は熱中している一同へと呼び掛ける。
「何かしら?」
「衣装盛るのはいいけど、費用とかは?」
そう言った途端、全員が洸夜を見つめる。その事に気が付いた洸夜は、慌てふためく。
「……え、え? な、何?」
「費用は全て貴方持ちじゃないの?」
「はいーっ?」
突然の言葉に、洸夜は絶叫した。予想を大いに超える発言に。
「俺はいつからRoseliaの財布になったんだ……」
「元々じゃないかしら?」
「もう帰ったらベッドの上で泣こ……」
そう言って洸夜は、肩を落としながら扉の方へと歩いていく。
「……羽作るとき、間違ってもロウで作るなよ」
最大限の皮肉を込めた言葉を一同へ残すと、彼はバイトに戻るのであった。そんな彼を見送った5人は、衣装への書き込みを続ける。
「なんか行けそうな気がしてきた!」
「これで行くわよ!」
こうして、彼女達の革命をテーマにした衣装は完成するのだった——
ライブ当日。Roseliaの出番になったことにより、会場のボルテージは高まる。
そんな様子の会場内を、洸夜は少しばかり不安そうに見守っていた。するとステージ上が照らされ、何やら大きなシルエットが浮かび上がる。
「……え?」
『えええ……』
そして、顕になったその衣装に洸夜は驚愕し、会場内の観客達はドン引きするのであった。
一同がそのような反応を示すソレは、衣装というよりは舞台装置と呼べる代物であった。
1番下正面にドラムとあこ、その少し左上側面に燐子とキーボード、燐子よりやや高い位置且つあこの真上にリサとベース、その傍らに紗夜とギターが。
そして、頂点の部分には翼のついた衣装を見に纏い、本体に固定された友希那の姿があった。
「——革命って、なんなん?」
その衣装を見た洸夜は、そう言葉を零すのであった。
「今日は集まってくれてありがとう」
洸夜や観客達の様子は御構い無しといった具合で、友希那はMCを行なっていく。
「——早速一曲目、行くわよ!」
その宣言により本日のライブ……もとい、狂宴は幕を開くのであった。因みに、このRoseliaの衣装を作ったことにより、洸夜の懐が氷河期を迎える事となったが、それはまた別のお話。
今回はここまで。
次回は再びオリジナル回になると思います。
では、これで。
次回もお楽しみに!