大変お待たせ致しました。
オリジナル回第4弾です。
それから、タイトルの方を予定と変更させていただいておりますが悪しからず。
それでは、本編の方をどうぞ。
とある日の、羽沢珈琲店にて。
「じゃあはいえっと、これより合同ライブに向けての各バンドキーボードの会議を行いたいと思います」
貸し切られた店内で、メモを手にした有咲が集まったメンバーに告げる。
「それでは出席とります。Afterglow」
「はい!」
お盆を持ったつぐみが店の奥より現れ、返事をする。
「いるね。次、Pastel*Palettes」
「ハイ!」
元気よく返事するのはイヴ。
「はい。えっと、Crescendo」
「はーい」
軽く手をあげながら応答する洸夜。
「いますね。じゃあ、Pray,Potential」
「ここにいます」
そう言って手をあげる慎司。
「はい。えっと、Roselia」
「は、はい……」
おどおどしながらも返事する燐子。
「じゃあ最後、ハロー、ハッピーワールド」
「はーい……」
最後に美咲が返事することにより点呼が終了する。
「全員いますね」
「あのー……」
挙手しながら、美咲が一同に訪ねる。
「なんで私はここにいるんですかね? 私キーボードじゃないんですけど」
「ハロハピの中じゃDJがキーボードポジだったから一応」
「あ、はい」
洸夜の補足に諦めたように肯く美咲。それを見ていた有咲が口を開く。
「洸夜先輩、なんであたしが司会なんですか?」
「え、適任かと思って」
「いやいやいや、そこは言い出した洸夜さんがやってくださいよ」
有咲の一言に固まる洸夜。
「洸夜さん、どうかしました?」
つぐみに声をかけられようやく動き始めた洸夜は、こんな事を口にする。
「アレ、言い出しっぺ俺だっけ?」
「そうですよ。洸夜さんがファミレス行った時に日時指定してきたんじゃないですか」
「そうだったか……じゃあ俺がやったほうがいいか」
そう結論づけた洸夜は、立ち上がり有咲と司会を交代する。
「というわけですので、進行変わりまして。で、今日集まってもらったのは他でもない今度の合同ライブ件についてです」
そう告げた洸夜は、一同の方へと向き直る。そんな彼に、慎司が問いかける。
「それはわかってるんですけど、何を話すんですか?」
「具体的には今度のライブでキーボードをどうするか、って言う話し合いだな」
「それなら私、尚更要らないじゃないですか」
溜息を吐きながらそう呟く美咲。だが洸夜は、それをスルーして話を続ける。
「で、皆さんキーボードどうします? 同じキーボード使い回す? それとも1回1回変える?」
「固定に1票」
洸夜の問いかけに即座に答えたのは慎司。
「その理由は?」
「搬入時間の短縮」
「なるほど。もっともな理由だな」
頷いた洸夜は、取り出したメモ帳にペンを走らせていく。
「他は?」
「持ち込みに……1票です」
「おっと、燐子から……ちなみに理由は?」
「その……馴染んでる楽器でやりたいので……」
「なるほど」
再度頷きながらペンを走らせる洸夜。
「他の皆さんは?」
「私はどっちでも。周りに合わせますけど」
「なるほど……市ヶ谷以外は?」
「私はどっちでも大丈夫なんですけど……イヴちゃんがショルダーの持ち込みじゃ?」
洸夜の言葉にそう告げるつぐみ。
「あー、そっか。若宮はショルダー使ってるもんな。したら、若宮は持ち込みか?」
「そうですね。やはり慣れている楽器がイチバンデス!」
「なるほどなるほど」
イヴの言葉に頷く洸夜に有咲が問い掛ける。
「そういう洸夜さんはどうなんですか?」
「俺? 俺は周りに合わせるつもりだけど、ただ……」
『ただ?』
洸夜の言葉に首を傾げる一同。
「祐治の奴からなんの曲やるか聞いてなくて、ショルダーなのか普通のなのかわからないんだよね……」
「え、それってかなり不味くないですか?」
「うん。まずいと思う」
「じゃあ、涼しい顔でそんなこと言わないでくださいよ!」
何食わぬ顔で答えた洸夜に対し、有咲は強烈なツッコミを入れる。
「まあ、そう言われると思って、当日はショルダー持ってくつもりだけどね」
「それならそうと最初から言ってくださいよ!」
そう叫び大きな溜め息を吐く有咲。
「やはり市ヶ谷の方が適任だったな……」
そんな彼女を見ながら洸夜はそう呟く。
「で、えっと……各々キーボード持ち込みにします……?」
「そうですね。皆さんもそれでいいですか?」
洸夜の言葉に返答した後、一同へと問いかけるつぐみ。
そんなつぐみの言葉に一同は首を縦に振る。
「よし、じゃあ、今日決めること終わり」
「え、じゃあ今日これで解散……?」
洸夜の言葉に問い掛ける美咲。
「うん。終わり」
「いや、流石にそれは如何なものかと……」
「え、じゃあコーヒーでも貰うか?」
「全員……?」
「もちのろん」
「洸夜さんの奢りで?」
「うん」
慎司の言葉に頷く洸夜。
そんな彼の姿に、一同は固まる。
「洸夜さん変なものでも食べました?!」
「いや、頭打ったんじゃないのか!?」
「きゅ、救急車呼びますか!?」
「おう、待てぇ」
慌て始めた一同を制する洸夜。
「なんでそうなるんだ」
「いやだって、普段と行動が180度違うもんだから……」
「俺をなんだと思っているんだ……」
慎司の回答に落胆する洸夜。
そんな中、美咲が洸夜へと問いかける。
「コーヒー以外にも何か頼んでいいですか?」
「ちょっと待ってね」
そう返した洸夜は財布を開く。
「……この中でコーヒー以外も食べたい人」
『はーい』
「全員ですね……うん……奢ってあげるけど、俺1回お金下ろしてこないと足りないわ……ちょっと出てきます」
そうボヤいた洸夜は、羽沢珈琲店を後にする。
そんな彼を見送った一同は、各テーブルに備えられたメニューを開く。
「じゃあ、何頼もうかな」
「慎司、あまりハメを外しすぎるなよ……?」
「肝に銘じておきます」
有咲の言葉を受け流す慎司。
「あ、このケーキセット美味しそう」
「ん? これか?」
「そうそう」
「あ、こっちなんかも良いんじゃないかな?」
「注文決まったら私に言ってね」
「おう」
そんな具合で賑わいを見せる一同。
それから十数分後、洸夜が羽沢珈琲店へと戻る。
「皆さん、決まりましたでしょうか……?」
「粗方は」
「さいですか……」
大きく息を吐いた洸夜は、偶然会いていた燐子の隣の席に腰をかける。
「じゃあ、俺も頼むか……」
「はーい、お伺い致します」
「んー、やっぱりいつもので」
「わかりました」
そう言って店の奥へと消えていくつぐみ。
「こ、洸夜君って……」
「ん? どうした燐子?」
「その……
「ん、まあな。今みたいな注文飛ばす程度には」
苦笑しながら答える洸夜。
「へぇー、そんなに通ってたんですね」
「いやー、ここで飲むものが美味しくてねー」
「洸夜さん意外とこういうところ来ないイメージがありますけどね」
「マジかいな」
そんな感じで一同が談笑する事数分。各々が注文した物が運ばれてくる。
「お待たせ致しました」
「「待ってました」」
声を揃えてそう告げる慎司と洸夜。
「2人とももう少し落ち着いたらどうです?」
苦笑いしながら茶々を入れる美咲。
「いやー、やっぱ甘いものを前にするとね」
「抑えられない部分あるよね」
慎司の言葉に同調する洸夜。
そんな彼の元に、つぐみが1枚の紙切れを持ってくる。
「あの、洸夜さん……」
「ん? 明細?」
「はい……」
何故か作り笑いをしているつぐみから明細を受け取る洸夜。
直後、彼は目を見開き慄く。
「え、あ、ん?」
「どうかしました?」
「いや……これ凄くない?」
涙声で震えつつも慎司の問い掛けに応答した洸夜。
「これが『自腹を切る』というやつデスね!」
「そういう事だ……」
軽く頷いた洸夜は、席から立ち上がると床に正座する。
「というわけだ若宮……介錯を頼む」
「ガッテンショウチデス!」
「え、ちょ、早まらないでくださいよ!」
「俺を止めるな! この後金欠を迎えるくらいなら死んだ方がマシだ!」
「どうしてこうなるんだよー!」
有咲の叫びを機に、洸夜とイヴ対2人を除いたキーボード組による攻防戦が幕を開けるのであった。
余談だが、この会議の後暫くの間『さーくる』にて人型の抜け殻が目撃されることになるらしいがそれはまた別のお話。
今回はここまで。
次回もオリジナル回となります。
タイトル、投稿時期等は現状未定になっております。
では、これで。
次回もお楽しみに!