暁と天帝で00世界を駆ける。《完結》 作:どこかのシャルロッ党
アカツキは国連軍に見つからないように飛行していた。そしてアカツキは目的地である場所に到着する。アカツキから降りたヒロトは機体を隠してネーナと孤児院へ向かった。
ここの孤児院はテロや戦争などによって親を失って身寄りのない子供達がいる・・・ヒロトはあることがキッカケでこの孤児院とは深い関わりを持つようになった。
「あ!ヒロトお兄ちゃん!」
「ヒロト兄だァ!」
「皆元気にしてたか?」
ヒロトを見た子供達は笑顔を浮かべて彼の元へ集まる。どうやら子供達から慕われているトはそれなりに人気がある。そんな中、一人の女の子がネーナに近付く。
「な、なによ・・・」
「お姉ちゃん・・・もしかして!ヒロト兄のかのじょ?」
「はぁ!?な、なに言ってんのよ!?あたしは・・・」
ネーナは否定しようとしたがヒロト以外の来客が珍しいこともあり子供達の興味はネーナに注がれる。子供達はネーナと遊びたがり、ネーナは仕方ないという感じで子供達に付き合う。
「あらヒロト君、いつも悪いわね」
「気にしないでくださいラーナさん」
「そういう訳にもいかないでしょ?・・・それより、あの女の子は
ヒロト君のフィアンセかしら?良ければ話を伺いたいわね」
「違いますよ。ちょっと色々ありましてね・・・」
ラーナと呼ばれた女性はこの孤児院で子供達の世話をしている。しかし人手は足りておらず、ヒロトは時々ここに来て手伝いをしているのだ。
「つ、つかれたー・・・はぁ・・・」
「お疲れさん。ほら」
「・・・あたし、パフェ食べたい・・・」
「無理言うなよ。ほら、メロンソーダ・・・いらないなら飲むぞ」
「・・・うぅ・・・」
ネーナは渋々ジュースを受け取る。そして作業を終えたヒロトは空を見上げながらコーラを口に運ぶ。
「ねぇ・・・あんた、なんで『これが俺の戦う理由だ』え?」
「―――ここにいる子供達は親がいない。けど、それでも・・・この子達は生きてる。
例えこんなクソみたいな世界でも、この子達は生きてる・・・だから俺は戦う・・・」
「・・・・・・」
「ソレスタルビーイングや国連軍だろうが関係ない・・・俺は、この子達の為なら
悪魔でも鬼でもなってやる・・・降り注ぐ災いをこの手で止めることができるなら」
ヒロトの戦う理由はそこで生きる子供達の為。ネーナはヒロトの戦う理由を聞き自身が前に行ってきた武力介入を思い出す。"戦争根絶"の為に武力による介入で戦いを終わらせる・・・しかし自分達はどうだろうか・・・武力介入と言いながらも、無関係な人間を殺してしまっている。思えばいつぞやに出会った"刹那・F・セイエイ"含むトレミーのガンダムマイスター達は民間人を巻き込まずに、狙いを一通り定めて武力介入をしていた。
「あたしは・・・あたし達は間違ってたんだ・・・」
「・・・・・・」
「・・・最低・・・今のあたし・・・全然・・・」
「・・・・・」
再び涙を流すネーナにそっと寄り添う――――――やがてヒロトは泣き疲れたネーナを抱えてアジトへ帰投する。そして2日後・・・依頼主が手配したシャトルに"プロヴィデンス"を格納し、ネーナと共にシャトルへ入る。
「あたし、これからどうなるんだろ・・・ヒロトは・・・一緒に来てくれないの?」
「俺は部外者だからな・・・ソレスタルビーイングとは関係ないから」
「そう・・・」
ネーナは窓の景色に視線を移した。ヒロトはネーナを残してプロヴィデンスのコックピットシートに座り機体を起動させていた。
「(もしもの事を備えて・・・)」
ツインアイが灯り、天帝の名を持つガンダムが今目覚める―――!