口下手ボーダー隊員の日記   作:金匙

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日記 ②

 

 ボーダー日記.06

 

 

 ランク戦をしないか、と放課後に村上先輩から誘いを受けたので、学校終わりにそのままボーダーに直行してランク戦をやった。

 結果は3勝7敗と今回も負け越し。

 敗因の殆どが自分の判断ミスと盾モードと刃モードの切り替えの一瞬の隙を狙われたものだったので、まだまだ精進が必要だなと痛感させられたランク戦だった。

 ただ以前から攻撃手はもう少しポイントが上の相手とやってもいいと思っていたので、村上先輩とのランク戦はそういう意味では本当にいい経験になる。

 弧月はレイガストの刃モードと比べて攻守の性能が完全に勝っているので、やはり刃モードで正面からつば競り合う時はある程度工夫しなければ今のままでは勝てないだろう。

 そうなってくると弧月に勝ってる盾モードの耐久力を上手く使ってという話になってくるのだが、……前述したがその切り替えの隙をつかれて負けたのも事実。

 剣の腕、という意味では村上先輩にも負けてないと思うし、純粋に剣で勝負してみるのもいいかもしれないが……、レイガストには重さという欠点があるし、だったら初めから弧月を使えよという話になってくるので頭の片隅に留めて置く程度にしよう。

 ちなみに村上先輩の現在のポイントは3300点ということで、もうすぐB級に上がれそうだと嬉しそうに話していた。

 そんな村上先輩(攻撃手上位)とのランク戦を経験出来たからか、その後のランク戦ではかなりの数を勝ち越すことが出来て、負け分のポイントを取り返すどころかもうすぐ2000点に乗りそうなほどポイントが上がったので村上先輩には感謝だ。

 

 

 

 ボーダー日記.07

 

 

 レイガストの盾モードは使用者のトリオン能力によってその耐久力が変化する、という話を聞いた。

 トリオン能力……、当然ボーダー隊員なら誰もが知ってるこの名称だが、自分のトリオン能力がどれくらいあるのか、というのは自分はまだ把握できていなかった。

 レイガストの運用のためにもトリオン能力がどれだけあるのかは知っておかなければならないと思ったので、取り合えずエンジニアの方たちがいる技術開発室まで足を運んで自分のトリオンを計測して貰った。

 結果が出るまでの間、訓練生がどうしてここに? と肥満体系気味のエンジニアさんに聞かれたので、正直に理由を話したらレイガストを使ってることが琴線に触れたのか、レイガストの運用方法とその強みを長々と聴かされることになった。

 聞けばレイガストを開発したエンジニアの一人だということで、訓練生から弾トリガーではなくレイガストを使うとは分かってると何故か凄い絶賛された。

 この後に仕事があるから長居は出来ないが、困ったことがあったらいつでも来ていいと言ってそのエンジニアさんは開発室から出て行ってしまったが……、その時はあまりの勢いに押されて曖昧に頷くことしか出来ず、正直話の展開が速すぎて何を言っていたのかも理解できなかったが、今考えればレイガストについてかなり実践的で役に立つ話をしていたと思うので、今度時間があったらまた技術開発室に足を運ぶのもいいかもしれない。

 エンジニアさんの名前は、確か──…、テラシマさんだった気がする。

 

 あ、ちなみにトリオン能力は数字で例えるなら9くらいだと言われた。

 9ってどれくらいなのだろうか……、射手や銃手でも問題なくやっていけるトリオン量だと補足されたが、いまいちピンと来なかった。

 

 

 

 ボーダー日記.08

 

 

 今日のランク戦は銃手と射手を相手に10戦ほどしてきた。

 レイガストの盾モードの耐久力を知るために、敢えて被弾覚悟でガンガン距離を詰めながら戦うスタイルを取ってみたが──…、正直これが最適解なのではないかと思ってしまうぐらい上手くいった。

 これまでは距離を詰めてもその分すぐに距離を取られ、結果盾を削られ負けるというパターンが多かったのだが、自分は盾モードの耐久力を甘く見ていたかもしれない。

 よく考えてみれば今までの射手や銃手を相手にしてきた時は攻撃手を相手にしてきた時と比べれば長期戦になることが多かったし、その理由は盾モードの耐久力が高くて相手が削りきれないからなのだと今更ながら理解した。

 それに距離を詰める戦いは銃手や射手などの中距離で戦うことを主体とした相手にはかなりプレッシャーになるだろうし、実際今日のランク戦でも弾の精度がかなり落ちていたのは目に見えて分かった。

 訓練生だから、というのも勿論あるだろうが、被弾を恐れず距離を詰めて行くという考えは戦い方の一つとして取り入れるのは悪くないと思う。

 今日のランク戦でポイントが2000点に乗ったので、この調子なら自分もB級に上がれる日もそう遅くないかもしれない。

 

 P.S. 村上先輩のトリオン能力は7らしい。

 

 

 

 ボーダー日記.09

 

 

 定期テストが近いので、ボーダーには週一くらいで通うことになりそうだ。

 折角いい感じでポイントが上がってきてるのに、なんてタイミングの悪いテストなんだろうか。

 まぁボーダーに入りたいと親に頭を下げて、その条件として出された学業との両立を承諾したのは自分なので文句は言えないのだが……、テスト勉強とその他諸々の手伝いの隙間時間にボーダーでランク戦を行うのはどうしたって不可能だし、無理にそんなことをすれば体を壊してしまうことは明白。

 そうなったら当然ボーダーを辞めなければならないので、ここは我慢して迫るテストのために勉強に身を入れるべきだろう。

 幸いなことに、今回のテストの範囲はそこまで広くないし結構簡単なものも多いから、しっかり勉強すればそう難しいものでもない。

 日々ランク戦に誘ってくれる村上先輩には申し訳ないが、テストが近いので勉強するという旨を伝えて置くことにしよう。

 

 

 

 ボーダー日記.10

 

 

 ボーダー日記ではないが、日常の日記と分けるのも手間なのでこっちで書くことにする。

 いや、そもそも書かなければいいのだが……、どうにも定期的に書いてたせいか書かないと気が治まらない感じになってしまったので、何となしに。

 

 今日はクラスメイトとテスト勉強の集まりに呼ばれたのだが、如何せん自分はそこまで口達者な方ではないので、まったく上手く教えられないまま話の輪にも加わることが出来ずに時間だけが過ぎていくという悲しい結果を迎えてしまった。

 折角クラスメイトとの交流を深めるいい機会で、皆もあまり喋らず特定のグループにも属さない浮いている自分のためを思って誘ってくれたのだと思うと、何だか無性にやるせない気持ちになった。

 友だちがいないというわけではないのだが、話すことが苦手なのでどうにも……、何か共通の話題でもあれば違ってくるかもしれないのだが、自分の話せることなんてそれこそボーダーのことくらいのものだ。

 しかしボーダーの情報は基本的に外部に話してはいけないし、もしバレたら隊務規定違反で終わりなのでそんなリスクを抱えてまで話そうとは思わない。

 

 そう言えば、三雲とかもクラスでは浮いてると思うけど……三雲は自分みたいなことを考えてたりしないんだろうか。

 もし自分のように人付き合いが苦手な性格なら、凄い共感を覚えて仲良くなれそうなものだが……、いや友だちになって下さいって言って断られたら多分立ち直れなさそうだから、現状維持でいいかな。

 

 

 

 ボーダー日記.11

 

 

 テストが終わったので久しぶりにボーダーに顔を出した。

 久しぶりと言っても、合同訓練にはしっかり参加していたのでランク戦のロビーに足を運んだのが久しぶり、というべきだろう。

 しばらくランク戦を休んでいたので、ポイントは合同訓練でちょこっと上がっただけの2000点台を維持したままだったが、これから頑張ってポイントを上げて行くぞと意気込んでたらちょうどランク戦を終えたのか村上先輩と遭遇した。

 村上先輩にはテスト期間が終わったことを報告していなかったので、ちょうどいいと思って声をかけようとしたのだが、逆に村上先輩に声をかけられ、少し時間を取れるかと聞かれたので承諾してついていくと、帽子を被った隊員の人のところまで連れて行かれた。

 

 荒船哲次、それが帽子の人の名前で年齢的にもボーダー隊員的にも先輩に当たる人だった。

 荒船先輩はB級隊員ということで、何でも自分のテスト期間中にB級に上がった村上先輩と知り合い、流れで村上先輩の師匠になることになったらしい。

 師匠とか弟子とかそういうのもあるんだ、と関心していたが、普通に村上先輩がB級に上がっていたことに驚いた。

 B級に上がったなら連絡入れてほしかったのにという旨を伝えると、テスト期間中だから悪いと思ったという正論を返されたので押し黙るしかなかった。

 

 それでどうして自分を荒船先輩のところにまで連れてきたのかという本題に入ると、……別段これと言った理由はなかったようで、偶々見かけたからB級に上がった報告と荒船先輩の紹介をして置きたかったという些細な理由らしい。

 まぁボーダーで人脈が増えることは悪いことではないし、ちょうど時間も空いていたからいいのだが……、そんなことを考えてたら荒船先輩から自分の力を見せてほしいと言われ、断る暇もなくC級ランク戦のロビーへ連行され、無理やりブースに放り込まれた。

 ロビーで村上先輩と荒船先輩が見てると思うと流石に少しばかり緊張したが、どうせランク戦はやるつもりだったんだしちょうどいいかと思いつつ、適当にポイントの近い相手を探していき、どうせなら弧月相手がいいかと思い2300点ほどの訓練生に相手を申し込んだ。

 

 結果、村上先輩とかなりの数ランク戦をしてきた身としては当然負けることもなく、一本勝負を五人とやって全勝しロビーへ向かった。

 村上先輩は荒船先輩に自分がレイガストを使うと言ってなかったのか、ロビーへ戻った時にはレイガスト使うのか!? と随分と驚かれた。

 B級目線で自分はどうだったかと問いかけると、粗いところはあるがB級でも十分やっていけると高評価をいただいた。B級の隊員からそういって貰えると自信もつくというものだ。

 そしてB級に上がれば正隊員として扱われるのでトリガーセットも自由に編成できるし、レイガストならスラスターというオプショントリガーもあるのでそれを使えばもっと戦術の幅も広がるぞと言われ俄然やる気が沸いた。

 ついでにB級に上がったら一戦やろうぜとも言われたので、ただで負けるつもりはありませんと返しておいた。

 

 

 

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