口下手ボーダー隊員の日記   作:金匙

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日記 ③

 

 ボーダー日記.12

 

 

 荒船先輩は後輩思いの良い先輩だ。

 この前知り合っただけの自分に親身になって接してくれるし、ここをこうした方がいいんじゃないかとか、あの時は受けに回らず攻めるべきだったなとか、わざわざC級の自分のランク戦を観戦しに来て毎回アドバイスをしてくれるものだから、本当に人間が出来ていると尊敬する。

 村上先輩にも攻撃手としての技術を惜しみなく教えてるみたいで、村上先輩自身も荒船の指導は分かりやすいと言ってるし、もしかしなくても荒船先輩は教育者としての才能があるのかもしれない。

 自分もいつか後輩が出来たら荒船先輩みたいな先輩になりたいものだ、……まぁ、テスト勉強一つ満足に教えられない自分では大分困難な話ではあると思うが。

 

 明日からは連休なのでボーダーでポイント上げを頑張ろうと思う。

 

 

 

 ボーダー日記.13

 

 

 連休だと言ったが、伯父の道場が大分忙しいとのことで今日は雑用の手伝いで一日が終わってしまった。

 村上先輩たちから今日は来ないのか? とメールが送られてきたのだが、それを見たのが手伝いが終わった後だったので、自分のことを本部で2時間ほど待ってくれていた先輩たちには本当に申し訳ないことをしてしまった。

 二人ともそういうことなら全然大丈夫だと言ってくれたが、今後はなるべく注意しようと思う。

 そして、気づけば村上先輩と同期なのにもう倍以上ポイントが離れてしまっていた現状に驚いた。

 村上先輩はランク戦やってる時間の差だよ、と言っていたが……、まぁ村上先輩ほどの実力があればそれも当然かなとも思う。

 

 そう言えば、A級に昇格する条件は部隊ランク戦というので勝ち進まなければいけないと聞いたのだが、……村上先輩は部隊とか組むのだろうか? 組むとしたら荒船先輩とかかな? 自分も早くB級に上がってそういう話についていけるようになりたい。

 

 

 

 ボーダー日記.14

 

 

 疲れた。

 半日近くランク戦のブースに篭ってポイント上げしてたせいか疲労感が凄い。

 ボーダーでは半日どころか一日中篭ってる人も珍しくないみたいなので、この程度で音を上げていては駄目だと思うのだが……、如何せん今まで長くても二時間とかだったので、いきなり半日は無理があったかなと思わないでもない。

 だが、それに見合うだけの収穫はあった。

 まずポイントだが、村上先輩と荒船先輩の指導のお陰で遂に3000ポイントに到達した、これは嬉しい。

 レイガストの刃モードと盾モードの使い分けも自信を持てるくらいには出来るようになったし、今日のランク戦の8割強の勝率を考えれば自分が成長しているという実感は確かにある。

 後は偶にする初歩的なミスと詰めの反撃(カウンター)に冷静に対処することを意識してればB級には昇格できると思う。

 まぁあくまでB級に上がれるまでの間だけで、先を見据えるならまだまだ考えることや正すところはあるが、……一先ず目先のことから一つ一つ対処していくことにしよう。

 千里の道も一歩から、というしな。

 

 

 

 ボーダー日記.15

 

 

 B級になったらどんなトリガー構成にするんだ? と荒船先輩に聞かれた。

 気が早くないですか、と思わず返答してしまったが、どうやらどんなトリガー構成にするのか村上先輩が悩んでいるから、自分もそうならないようになるべく早いうちに決めておけとのこと。

 確かに明確な将来のイメージがあった方が物事は進みやすいというし、3000点台にポイントが乗った今ならモチベーション向上や維持のためにもいいかもしれない。

 自分の中で気になっているのは、以前荒船先輩が言っていたスラスターというレイガストのオプショントリガーなのだが、オプショントリガーというだけあり訓練生が使ってる筈もなくどんな能力なのかイマイチ把握できていない。

 トリガーに関してなら技術開発室の職員さんに聞くのが一番なのだが、いつも忙しそうにしているのを見るとただの訓練生の自分のために時間を割いてもらうのは申し訳ないので、やはりそう言うのは正隊員になってからやるべきなのだろう。

 ……、いや、そう言えば困ったことがあったらいつでも来ていいとテラシマさんに言われたことがあるので、その伝を使えばもしかしたら大丈夫かもしれない。

 まぁ、テラシマさんがいなかったら意味のないことなのだが……、取り合えず、明日テラシマさんがいないか技術開発室に言ってみることにしよう。

 

 

 

 ボーダー日記.16

 

 

 B級に昇格したら絶対にスラスターをトリガーセットに入れよう。

 偶々開発室にいた寺島さんから話を聞いて、もう早くB級に上がりたくて仕方なくなってしまった。

 トリオンを噴出してレイガストそのものを大幅に加速させる……、説明を聞いただけで実際に使ったわけではないが、聞いただけでレイガストの重さという欠点を打ち消して余りあるとんでもないトリガーだと確信した。

 ただ扱いが難しいから要練習なトリガーだと寺島さんは言っていたが、その点は一切問題ない。

 もうすぐ長期休みの時期なのでそうなればボーダーに足を運ぶ機会も増えるので、練習量は今の何倍にも時間が取れるだろう。

 それとこれはほぼ確信してるのだが、スラスターと自分のサイドエフェクトは相性が最高だと思う。

 だからコツさえ掴めれば、レイガストの一番の欠点だった機動力の損失を補えるかもしれない。

 そうなれば今まで苦手だった銃手や射手などの中距離相手にも問題なく戦えるし、より接近戦で強みを発揮することも出来る。

 後はトリオンをどれだけ使うのか、という問題だが……寺島さんは自分ぐらいトリオンが豊富なら多用しても問題ないと言っていたので大丈夫だとは思う。

 B級に上がったらレイガスト二刀流なんてどうだ? と言われたが、流石にそれはと思ったので曖昧に返しておいた。

 個人的にはトリオンが豊富だというなら、その強みを活かせる銃手か射手のどちらかをやってみようかなとは考えてる。

 まぁ寺島さんの言ったようにレイガスト二刀流も夢があっていいとは思うが、実用的な戦い方が思い浮かぶまでは一先ず保留ということで。

 

 

 

 ボーダー日記.17

 

 

 今日は荒船先輩の行きつけだという、お好み焼きのお店に連れて行ってもらった。

 何でも荒船先輩の知り合いがここのお店の次男坊らしく、めちゃくちゃ美味いと評判らしい。

 お好み焼きはあまり食べたことがなかったから美味い基準というのがイマイチ分からなかったので、美味しいことは確かなのだろうけどあんまり味の違いとかは分からないんだろうな……、お店でいざ食べてみるまではそう思っていた。

 正直、お好み焼きを舐めていた。

 もうめちゃくちゃ美味かった、今まで食べたどの料理よりも美味しかったと断言できるくらい。

 荒船先輩たちが焼くのが上手かったからというのもあるのかもしれないが、香ばしいソースの匂いと食欲を刺激するあの見た目が何より良かった。

 村上先輩に焼いてみるか? と言われて失敗してぐちゃぐちゃになってしまった時は大笑いされたが、荒船先輩の知り合いだというカゲという店員さんに手伝って貰ってどうにか成功することが出来た。

 あのお好み焼きをひっくり返した時の達成感は今でも忘れられない。

 何より自分で作ったからか美味しさもひとしおだったし、説明が凄い分かりやすく手馴れてるように軽々とひっくり返す店員さんには尊敬すら覚えた。

 そんな店員さんを荒船先輩と村上先輩は頻繁にからかっていて、三人は仲が良いんだなと暖かい気持ちになった。

 

 また時間が空いたら、今度は一人でお好み焼きを食べに行ってもいいかもしれない。

 

 

 

 ボーダー日記.18

 

 

 祝・B級昇格!

 

 ボーダーに入隊して早いもので二ヶ月と少し、ようやくポイントが4000点に乗ったので晴れて正隊員としてボーダーで活動することになった、嬉しい。

 B級になったので、今後は部隊を組んでA級を目指すも良し、個人で活動して今まで通りポイント上げに務めるも良し、と選択肢がかなり広がった。

 念願だった正隊員用のトリガーも貰えたし、しばらくは自分に合ったトリガーセットの模索とその試験運用が主になると思うので、部隊を組んでA級を目指すのは大分先になりそうだ。

 ただ、やっぱりいつかはA級になりたいと思う。

 A級になればトリガーを自分なりに改造できるみたいだし、近界へ遠征に行くことも出来るらしい。

 どちらも興味が尽きないが、まずは目先のことからやっていこうと思う。

 明日は放課後に自分のB級昇格祝いということで、村上先輩たちがまたお好み焼きに連れて行ってくれるというので、明後日くらいに寺島さんのところに行ってB級に上がった報告と今考えてるトリガーのセットをお願いしようと考えてる。

 B級隊員は訓練生と違って防衛任務があるので、なるべく早いことに越したことはないだろう。

 忍田本部長はまだB級に上がりたてで部隊も組んでないから、どこか別の部隊との合同任務になると言っていたが……、いざ本物の近界民と戦うことになると思うとやはり緊張するな。

 それに別の部隊との合同任務、というのも別の意味で緊張するし……。

 出来るなら村上先輩とか荒船先輩とかと一緒だと嬉しいんだが……、まぁそう都合よくは行かないと思うので、迷惑かけて足並みを乱すことだけはしないように心がけよう。

 

 

 

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