口下手ボーダー隊員の日記   作:金匙

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日記 ⑤

 

 ボーダー日記.25

 

 

 村上先輩との練習中、B級とC級でのランク戦の違いを教えてもらった。

 C級では攻撃用に使うトリガーが一つしかなかったので必然的に貰うポイントはそのトリガーに与えられていたが、B級ではランク戦に勝ったからといってその全ポイントがメインのトリガー(自分で例えるならレイガスト)に与えられるのではなく、メインとサブの両方で攻撃用トリガーを使ってランク戦に勝った場合、振り分けられるポイントは止めをさしたトリガーが7割、反対側のトリガーに3割で配分されるとのこと。

 ということは、ランク戦でメイントリガーのポイントを上げたい場合はなるべくメインで止めをさせばいいのか──…、と思ったが、それを意識して負けてしまっては本末転倒なので、B級ランク戦にはそういう仕様があると頭の片隅に留めておくだけにする。

 トリガーのポイントは勝ち進んでいけばそれに比例して勝手に上がっていくし、別に短期間でメイントリガーのポイントを上げなければならない理由もない。

 というか、今は村上先輩にレイガストを教えることで手一杯なので、あまりランク戦をやっている時間が取れないというのが本音だ。

 

 

 

 ボーダー日記.26

 

 

 同期でもうA級に上がった人がいるらしい。

 その話を聞いた時は木虎さんだろうかと思ったが、どうやら木虎さんではなく別の人みたいだ。

 名前などの詳細なことは聞けなかったのでどんな人かは定かではないが、部隊ランク戦のない今の時期にA級に昇格してるということは、A級のどこかの部隊に勧誘されてA級になったということだと思う。

 A級の隊員に勧誘されるということは、考え得る限り村上先輩や木虎さんよりも高い素質を持った隊員ということだろうし、木虎さんや村上先輩の異例の昇格の早さも考えると自分の同期は才能豊かな人材が多いのかもしれない。

 そんな人たちと同期だというのは素直に嬉しいし、負けてられないという気持ちにもなっていい刺激になる。

 もうすぐ学校が終わって夏休みに入るので、その期間を目一杯使って少しでも同期メンバーとの差を縮めていけたらいいなと思う。

 

 

 

 ボーダー日記.27

 

 

 今日は初めての防衛任務をやった。

 一緒に防衛任務に臨ませて貰ったのは、まさかの影浦先輩の部隊だった。

 影浦先輩の部隊は……何と言うか、凄い個性的な人たちの集まりで、合同任務で迷惑をかけないようにと緊張していた自分が、気づけばどうやってこの人たちの話に対応すればいいのか、と別の意味で緊張していたくらい、フリーダムな人たちだった。

 特に影浦先輩の部隊のオペレーターを務める仁礼先輩が、初めて会話するのにも関わらず凄くフランクに接してくるものだから、どんな言葉を返せばいいのか分からずとても困らされた。

 影浦先輩の親友だと語る(影浦先輩には否定されていた)北添先輩は、いつものことだから聞き流してていいよ、と言って度々フォローしてくれたのが唯一の救いで、影浦先輩は自分と仁礼先輩のやり取りを面白そうに笑いながら聞いてたので正直恨んだ。

 ただ──…、やはりB級上位の部隊というだけあり、その戦い振りは目を見張るほどの凄まじい物だった。

 一人一人のトリガーを扱う技術は言うまでもなく、一見ふざけて戦ってるように見えるが常に互いが互いをサポート出来る位置取りで戦っていて、オペレーターの仁礼先輩の支援も的確で何度も助けられた。

 自分がしたことと言えば影浦先輩たちが偶に仕留め損ねる近界民にハウンドで止めをさしたり、遠くから砲撃をしようとしていた近界民をスラスター投擲で一匹二匹倒した程度のものだ。

 北添先輩は助かったよーと言ってくれたが、今考えれば自分に経験を積ませるために敢えて放置していたんじゃないかと思う。

 その時の自分は役割をこなすことで手一杯だっただけに、それだけの余裕を持って近界民と戦える先輩たちには心から凄いなと憧れてしまった。

 

 そうこうして防衛任務は終わったのだが、仁礼先輩が今日は影浦隊に一人欠席が出てることを明かされ、しかもその一人が自分と同期だと言われた時は驚きのあまり言葉が出なかった。

 その同期の人は狙撃手をやっているようで、その手の界隈では天才と名高い才気に溢れた逸材だと仁礼先輩が絶賛していた。

 防衛任務終わりの帰り道、やっぱり自分の同期は凄い人ばかりなんだなと、改めて思い知らされた。

 

 

 

 ボーダー日記.28

 

 

 待望の夏休みに入った。

 今日は祝・夏休みということでクラスメイトに打ち上げ(?)に誘われ参加することになった。

 ただどこで打ち上げをするとかはまったく決めていなかったようなので、人数もそれほど多くなかったから影浦先輩のお店なんてどうかと思い、当日で申し訳なかったが影浦先輩に連絡して聞いてみた。

 するとそう時間も経たない内に影浦先輩から承諾を貰ったので、クラスメイトにそのことを伝え影浦先輩のお店で打ち上げをすることが決まった訳なのだが……、その時にクラスメイトから、自分にもそんな人脈があったのかと驚かれた時は皆が自分にどんな印象を抱いてるのか察してしまい少し悲しい気持ちになった。

 

 そんなこんなで始まった打ち上げは、自分が影浦先輩から教えてもらったお好み焼きの腕を披露する絶好の機会もあり、かなり親睦を深められた気がした。

 自分の失敗談を嬉々としてクラスメイトに暴露し始めた影浦先輩にはどうしたものかと頭を抱えたが、……まぁそれも結果よければ、というヤツだ。

 それと、自分がボーダー隊員であることがクラスメイトにバレてしまった。

 いや隠していた訳ではないし後ろめたいこともないので構わないが、クラスメイトは皆かなりののボーダーファンだったようで、どうして言ってくれなかったんだと小一時間ほど問い詰められて何だか申し訳なくなってしまった。

 ただ、まさか三雲もボーダーに興味を持っているとは思わなかった。

 ボーダーに入る試験は何をやったのかとか、入隊条件とかは他にないのかとか、才能とか必要なのかとか……、それはもう色々聞かれて、少しだけ自分の中での三雲の印象が変わった。

 しかしボーダー関係のことは口外することを禁止させられているので、三雲には悪いと思ったが大半の質問には口を噤まざるを得なかった。

 三雲に限らずボーダーの話を聞けると興味津々だった皆もそれなら仕方ないと納得してくれたので悪い印象は抱かれてないと思うが、……大丈夫だろうか、書いてて少し心配になってきた。

 これで夏休み明けからイジメとかに発展したら……いや大丈夫だ、そんなことは絶対にない。

 明日からは本格的にボーダーに通い詰めることになるのだし、今日の日記はもうこの辺で終わりにしよう。

 

 

 

 ボーダー日記.29

 

 

 ボーダーでは、攻撃手用トリガーと銃手もしくは射手用トリガーの二つでそれぞれ6000ポイントを超えると万能手と呼ばれるようになるらしい。

 万能手はボーダーでは既に結構な数がいるらしく、もし万能手を目指しているなら隊員の誰かに師匠になって貰うのもいいかもしれないぞ、と荒船先輩から指摘された。

 万能手なんてものもあるのかと話を聞きながら関心していたが、確かに一人で強くなるには限界があるし、村上先輩が荒船先輩に弧月の師事を受けているように自分も誰かに師事を乞うのはいいかもしれない。

 ただ荒船先輩曰く、レイガストをメインに使った万能手は思いつく限り一人だけで、あまり本部に顔を出す人じゃないから難しいかもしれないとのこと。

 だから、もし誰かに師事を乞うならレイガストの師匠と射手の師匠で分けた方がいいぞ、と言われ、ちょうどこの時期は部隊ランク戦の最中だからその試合映像を参考にして自分に合った戦い方をする師匠を選んだほうがいい、と助言を貰った。

 当然頼んだからと言って必ず受けて貰えるとは限らないので、予めその辺の準備はしておけと言われたが……、いきなり見ず知らずの人間に師匠になって下さいと頭を下げられたら、自分でも絶対に断る自信があるので、まず師事をする前にある程度交流を図ったほうがいいかもしれない。

 まぁ、その交流が自分にとって一番の難題であるのだが……、こればっかりは自分でどうにかしていくしかないだろう。

 それに必ずしも師匠を取らなければいけないという訳ではないし、荒船先輩も選択肢の一つとして考えておけばいいと言っていたので、そういう手段もあるんだくらいに考えておこうと思う。

 むしろ自分的には、部隊ランク戦の試合を解説付きで観戦できる、という点が今日の荒船先輩との会話で一番の収穫だった。

 てっきり部隊を組まなきゃそういうのは出来ないと思っていただけに、個人でも観戦が許されるなら積極的に観戦には顔を出すべきだと思う。

 上手い人の動き方や考えを学ぶことはどの分野でも上達する上では必要不可欠なことなので、次の部隊ランク戦には絶対に観戦に行こう。

 影浦先輩の部隊もランク戦には出ていると言うし、参考云々もあるし普通に試合としても楽しめそうだ。

 

 

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