屋根の下で(中断中)   作:神無月 フラット

13 / 15
なぜか前回は書き終えるまでに時間かかっていたのに今回はすぐに書き終えてしまいました

それと星輝子26位おめでとうございます


雨の音は寂しさを紛らわす

「なあ翔ちゃん、1人暮らししてみんか?」

 

全てはこの一言から始まってしまった

まあ何があったかはもうわかると思うが

 

「ちょっと待ってくれ....1人暮らし?俺が?」

 

「まあこうしてもう10年近くなったが....高校生じゃし1人でいろいろとやってみるべきだと思うんじゃよ」

 

「いやでも店の手伝いとか....それに1人暮らしったってお金だってどうするんだよ」

 

1人暮らしするにはお金が必要だ。まず部屋を借りたり家電類などを揃えなきゃいけない上に毎月の電気ガス水道食費....まあこの都内ではかなりかかるだろう。それをこの店一筋で生きてきたじいちゃんが持っているとは思えない

 

「店の手伝いはバイトだからシフト表を組んでそれで出てもらえばいいじゃろ。まあ一種の社会勉強だと思ってな」

 

「じゃ、じゃあお金の方はどうするんだよ!」

 

「お金に関しては心配せんでもいい。いざという時にと息子から託されているからな」

 

じいちゃんの息子....つまりは俺の父親だ。もう約9年前、俺が8歳の頃に事故で死んだ。その父親から託されていたということか?

つまりは逃げ道はもう既に無い....ということか

 

「....ばあちゃんはなんて?」

 

「『いい加減翔太郎も1人で立てるようにならなくちゃだめだね』ってさ」

 

「っ....」

 

図星だった

 

 

 

 

「という訳で1人暮らしすることになったんだ」

 

学校の昼休み、屋上で昼食をとる俺達の会話はそれが中心になっていた

神谷さんは大人気アイドル(本人談)で事務所の女子寮に1人暮らししているためなにかアドバイスが聞けるかもしれない、と相談している次第である

 

「んでまずなにが必要なんだ?冷蔵庫とか一通り家電類は必要だから買ったけど....」

 

「あとは自分の好きなものとか置いておくといいぞ。音楽聴いたり本読んだり心が落ち着くからな」

 

ふむ好きなものか....

 

「なるほど、だいたいわかった。ありがとう神谷さん、これお礼」

 

弁当を入れているバックから小さい包みを取り出す。中にはクッキーとかのお菓子類だ、もちろん手作りの

 

「ほんと大野って器用だよな....女子力が高いよ」

 

「慣れだよ慣れ。むしろこれしかしてこなかったから他はできないしな」

 

そう、じいちゃんの家に住み始めてからゲームは無かったからおやつを自分で作ったりほつれとかを直したりしてばっかりだった。高校に入ってからも図書室に行って本読んだり店の手伝いだったりとあまりサブカルチャーには触れてこなかった

 

「そうだ....今日は小物類とか買いに行かないと」

 

「ん?神谷さんも?よかったら一緒に行かないか?オススメの小物とかアイデアグッズみたいなの教えて欲しいし」

 

「いいぞ。さっき貰ったクッキーのお礼もあるしな!」

 

キンコーンカーンコーン

 

ここで昼休みが終わる鐘の音が響く。教室が遠いわけでは無いがあまり遅くてもいい顔はされないだろうしすぐに戻ることにした。5限は数学だ、昼休み終えた直後の数学とか眠くなる

決してついていけないわけではないが多少は頑張らなければならない。あまりにも酷くて高校2年生で留年しましたとか笑えないからな

 

憂鬱な授業を終えた放課後、俺達2人は近くのショッピングモールに来ていた。神谷さんは小物や本など、俺は引越ししたばかりだから雑貨類などのオススメを聞きつつ購入、という訳だ

平日の夕方ということもあり人はあまり多くはないがゲームセンターなどに足を運ぶ制服姿はちらほらと見られた

 

まずは近くにある雑貨屋に向かった。店内は黒や茶色系統の落ち着いた色の小物などが多い。雑貨屋ではあるが本棚や洒落た小さめの収納なども売っていた

この店では小さめの収納やそれに合わせた棚などを購入した。ショッピングモール全体で使えるカートを借りているから持ち運びには何ら問題はない。やったね

 

その後は100円ショップ「ダイナソー」でキッチンを広く使うためのグッズや調理アイデアグッズなどを購入した

次は本屋に向かい神谷さんの用を済ませる。欲しかったシリーズの最新作が出たから発売日に買いたかったらしい。別に発売日じゃなくても....と思ったがこればかりは価値観の違いというやつだろう

買えたであろう神谷さんはホクホク顔で本屋を後にし、俺達2人はモール内のフードコート買ったポテトをつまみながら家路へとついていた。北条さんがいたら突撃してくるだろうな

まあ話と言ってもテストが終わったばかりの俺達の話題は次の特大イベント修学旅行と文化祭だった。どうやら修学旅行は沖縄に行くらしい。班決めに関してはほとんど話す人がいないから誰と班になってもあまり変わらない気がするが....言わない方がいいか

 

「んで班どうするんだ?明日までだぞ?」

 

「まあ....俺はどこでも変わらないよ。そもそも話す人がいないから」

 

「じゃあ....あたしの班来るか?」

 

唐突な提案に少し戸惑うがありがたい話だ。神谷さんならここ最近ではあるが話はよくするし意見を言ってくれる人だから一緒にいると助かる

 

「じゃあ....そうさせてもらおうかな。ありがとう」

 

「いいっていいって」

 

班員は他に2人ほどいるが沖縄に行ったらどこに行きたいかで盛り上がる俺達だったが1つ忘れていたことがある

もう6月、つまり梅雨の時期だ

いくら天気予報が雨だと出していなくても注意はしなければならない

ちなみに買い物に行く前の神谷さんのセリフは

『いやこんな青空で雨降るわけないだろ?天気予報だって今日は1日晴れって出てたし』

だった

いや、これは降るね

2ポンド賭けてもいいよ

 

その話を思い出したからなのか、ぽつぽつと雨が降り始めた。ショッピングモールから離れ落ち着いた住宅街、近くにコンビニや雨をしのげる場所などあるわけがなく....

つまり言うと傘で耐えるしかないというわけだ

俺がバックから折りたたみ傘を取り出し広げると申し訳なさそうに神谷さんが傘に入れてほしそうな目でこちらを見ている。傘の中に入れてあげますか?

 

入れる←

入れない

 

「ほら、早く入りなよ。その髪の毛だと濡れると大変だろうし」

 

折りたたみ傘にしては少し大きめだから一応2人は入れる(まあ俺の方は肩が少し出てしまうが)

 

「あ、ありがとう....」

 

サーッと雨が降る。あまり思い出したくない光景が今でもまぶたの裏にくっきりはっきりと焼き付いている。もし今あの時と同じことが起こってしまったら....平静を装ってはいるが頭の中からこのことが離れない

 

「助かったよ、大野が傘持ってて。やっぱり梅雨時は折りたたみ傘持っておくべきか....」

 

「沖縄の修学旅行の時も持ち歩いた方がいいかもね」

 

そんなこんなを話しながら歩くこと数十分、気がつけば女子寮近くまで来ていたようだ。時間は既に5時30分を過ぎ、人通りはあまり見かけなくなっていた。とりあえず屋根のあるところまで行き、それから自宅へと向かう....はずだった

 

「あれ?大野さん....?」

 

目の前にいたのは美しい銀の長髪の女の子だった




『100円ショップダイナソー』
基本100円+税で均一のショップ。別段恐竜モチーフや柄の商品が多い訳では無い

『マグルナルド』
この世界では一般的に全国展開しているファストフードチェーン店。ポテトは細長くカリカリしている。世界中の店舗で出身を問わず雇用しているらしい。魔力を持っていない人のことではない

『喫茶フジ』
なぜかきのこのクリームパスタが人気になっているが一応紅茶やコーヒー、軽食類の喫茶店である。最近女の子のお客さんが多いらしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。