気味の悪い感情   作:おたふみ

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3話

翌日

放課後

屋上

 

八幡「なんだよ、こんなところに呼び出しやがって」

 

葉山「すまないな」

 

八幡「で、何の用だよ」

 

葉山「昨日、優美子と帰ったみたいだが…」

 

八幡「無理やり連れていかれたの間違いだ」

 

葉山「ははは、どこへ行ったんだい?」

 

八幡「アイス食って帰った。それだけだ」

 

葉山「それで、どうだった?」

 

八幡「どうもこうもねぇよ。あんな美人とアイス食ったって緊張して味なんかわからんかった」

 

葉山「君から見ても優美子は美人か」

 

八幡「まあな」

 

葉山「僕は君に嫉妬している…」

 

八幡「あ?何言ってんだ?」

 

葉山「優美子と二人で帰っていった君に嫉妬している…。引き留めてなかった自分に後悔している…」

 

八幡「まぁ、三浦のことが好きならそうかもな」

 

葉山「君もあの時、こんな気持ちだったのかな…」

 

八幡「っ!俺の気持ちを勝手に決めるな」

 

葉山「でも、君は雪ノ下さんのことを…」

 

八幡「それ以上言うな!」

 

葉山「何故だ!」

 

八幡「嫉妬や後悔や猜疑心や…。そんな気味の悪い感情をアイツに向けてたと思うと、自分がイヤになる。アイツだって、そんな感情向けられても嬉しくないだろ。ましてや、俺からだったら特にな」

 

葉山「恋愛なんて、そういうモンじゃないのか」

 

八幡「お前に俺の何がわかる」

 

葉山「わかるさ」

 

八幡「だから、勝手に決めつけるな」

 

葉山「俺は君の言う気味の悪い感情を相手にぶつけてみようと思っている」

 

八幡「お前…」

 

優美子「隼人…、ヒキオ…」

 

雪乃「比企谷君…、葉山君」

 

葉山「やぁ、優美子、雪ノ下さん」

 

八幡「どういうことだ」

 

葉山「君と雪ノ下さんに立ち会ってもらうと思ってね」

 

優美子「どういうこと?」

 

葉山「優美子、僕は君のことが好きだ」

 

優美子「隼人…」

 

葉山「最近は家のことで雪ノ下さんと一緒に居ることが多くなっていたんだが、もう我慢出来ない。優美子、僕と付き合ってくれ。家のことはこれからなんとかする」

 

優美子「…はい」グスン

 

葉山「ありがとう、優美子」ギュ

 

優美子「隼人~」グスン

 

葉山「今日は一緒に帰ろうか」

 

優美子「うん」

 

葉山「泣いたら、可愛い顔が台無しだ」

 

優美子「可愛い…///」

 

葉山「じゃあ、僕たちは行くけど、君たちはどうするんだい?」

 

八幡「…」

 

雪乃「…」

 

………

 

八幡「はぁ…、帰るわ。じゃあな」

 

雪乃「…待ちなさい」

 

八幡「なんでだよ」

 

雪乃「お願い、待って」

 

八幡「何かあるのかよ」

 

雪乃「その…。あの…///」

 

八幡「なんだよ。歯切れが悪いな」

 

雪乃「貴方の気味の悪い感情とやらを私に伝えてもらえないかしら」

 

八幡「聞いてたのかよ…。イヤに決まってるだろ。なんで黒歴史を増やさなきゃならない」

 

雪乃「お願い…。たぶん、私も比企谷君と同じ想いだと思うから…」

 

八幡「ドン引きしても知らねぇぞ」

 

雪乃「しないわ。…たぶん、私も…」

 

八幡「まぁ、あれだ…。まず雪ノ下が家のことを話してくれなかったことにムカついた…」

 

雪乃「貴方なら、わかってくらると思うけど、どう話していいのかわからなくて、そのまま、ずるずると…」

 

八幡「まぁ、ボッチだからなぁ…。ショッピングモールで会った時、葉山と楽しそうに見えた。奉仕部を壊して…、しかも、葉山と一緒に居たのが、無性に腹が立ったし…、隣が俺じゃないことが悲しくて寂しくて…」

 

雪乃「私はあの時、奉仕部がなくなってすぐに、一色さんと一緒に居る貴方を見て悲しくて寂しくて悔しくて…」

 

八幡「毎日、葉山に会いに来てるのを見て嫉妬していた…」

 

雪乃「毎日、違う女の子と帰るのを見て嫉妬していたわ…」

 

八幡「ふふっ」

 

雪乃「くすくすっ」

 

八幡「雪ノ下、お前も重症だな」

 

雪乃「比企谷君ほどではないわよ」

 

八幡「もう隠したり、自分の気持ち押し殺したりしても無駄だな」

 

雪乃「えぇ、そうね」

 

八幡「雪ノ下、俺はお前のことが好きだ」

 

雪乃「私は比企谷君のことが好きよ」

 

八幡「俺と付き合ってくれ」

雪乃「私と付き合ってください」

 

雪乃「比企谷君!」ギュ

 

八幡「雪ノ下!」ギュ

 

八幡「…なぁ、雪ノ下」

 

雪乃「なにかしら」

 

八幡「ここで、キスとか出来たら格好いいんだろうな」

 

雪乃「え、えぇ、そうね…。特別に許可するわ…///」

 

八幡「残念ながら、無理だな」

 

雪乃「どうしてかしら?」

 

八幡「扉から覗いてる人影が見えるんだが…」

 

 

結衣「いろはちゃんが前に出過ぎたからだよ」バタバタ

 

いろは「結衣さんのおっぱいで押されてたんですよ」バタバタ

 

姫菜「ノーマルもいいねぇ」バタバタ

 

優美子「隼人~!あーしもキスしたいっ!」バタバタ

 

沙希「ふんっ!」バタバタ

 

 

雪乃「はぁ…」

 

八幡「さて、これからどうする?」

 

雪乃「両親には説明しないといけないのだけど…」

 

八幡「さてと、覚悟を決めますかね」

 

雪乃「覚悟?」

 

八幡「校門の前、見てみろよ」

 

雪乃「え?ウチの車…」

 

八幡「たぶん、雪ノ下さんだろうな。良い勘してるよな、あの人は…」

 

……

 

陽乃「ひゃっはろー!雪乃ちゃんに比企谷君」

 

雪乃「姉さん…」

 

八幡「魔王城に行く覚悟は決めましたよ」

 

陽乃「随分と物わかりが良いね」

 

八幡「諦めたってこともありますけどね」

 

陽乃「じゃあ、行こうか」

 

雪乃「ど、どこに…」

 

陽乃「ウチに決まってるじゃん」

 

雪乃「で、でも…」

 

八幡「雪ノ下、覚悟決めろよ」

 

雪乃「比企谷君…」

 

八幡「どこまで通用するかわからんが、やれるだけやるさ」

 

雪乃「…わかったわ。でも、貴方だけにはやらせないわ」

 

八幡「雪ノ下…」

 

雪乃「これは、私と比企谷君、二人の問題だから」

 

陽乃「雪乃ちゃん、成長したね。比企谷君のお陰かな?」

 

雪乃「なっ!何を言っているの、姉さんは!こ、この男に任せておくとロクなことにならないからよ!」

 

陽乃「はいはい。じゃあ、行くよ」

 

………

 

八幡「はぁ、着いてしまった…」

 

雪乃「比企谷君、大丈夫?顔色が悪いわよ」

 

八幡「だ、大丈夫だ…。ウソです、大丈夫じゃない…」

 

陽乃「さぁ、行こうか♪」

 

八幡「雪ノ下さん、楽しそうですね…」

 

陽乃「楽しいわよ♪」

 

八幡「うわぁ、悪趣味…」

 

陽乃「さぁ、行きましょう♪」ギュ

 

八幡「う、腕を組まないでください」

 

雪乃「姉さんは比企谷君を離しなさい!」ギュ

 

八幡「ゆ、雪ノ下も対抗しなくていいから」

 

陽乃「良かったね比企谷君。両手に花だよ」

 

八幡「雪ノ下さんは離してください」

 

………

 

雪ノ下邸

応接室

 

ガチャ

 

陽乃「お父さん、お母さん、連れてきたよ」

 

雪乃「ただいま帰りました」

 

八幡「し、失礼しましゅ」

 

陽乃「ププッ。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

 

雪ノ下父「陽乃、ご苦労様。雪乃、お帰り。…その方は?」

 

雪ノ下母「アナタ、彼が例の…」

 

雪ノ下父「おお、君が比企谷君かね。よく来たね」

 

八幡「は、はじめまして、比企谷です」

 

雪ノ下父「うむ、はじめまして。陽乃と雪乃の父だ。今日はどうして君が?」

 

雪乃「それは、私からお話させていただきます」

 

雪ノ下母「とりあえず、紅茶を準備するから、かけて待っていて」

 

八幡「は、はあ。ありがとうございます」

 

 

雪ノ下母「どうぞ」

 

八幡「ありがとうございます」ズズズ

 

雪ノ下母「お味はどうかしら?」

 

八幡「美味しいです」

 

雪ノ下母「雪乃が淹れた紅茶よりも?」

 

八幡「あ、いや、その…」

 

雪ノ下母「冗談ですよ」

 

雪乃「お母さん!」

 

陽乃「雪乃ちゃんも目くじら立てないの」

 

雪乃「す、すいません」

 

雪ノ下父「それで、話というのは?」

 

雪乃「はい。葉山隼人君との交際をやめさせていただきます」

 

雪ノ下父「ふむ。その理由が比企谷君かね?」

 

雪乃「はい」

 

八幡「雪乃さんとお付き合いをさせてください」

 

雪乃「比企谷君…」

 

雪ノ下父「うむ、わかった」

 

雪乃「え?」

八幡「へ?」

陽乃「ププッ」

 

雪ノ下父「二人は付き合っているのだろう?それを早く言いなさい」

 

雪乃「そ、それはどういう…」

 

雪ノ下母「アナタ、隼人君にも早く言ってあげないと」

 

雪ノ下父「おお、そうだな」

 

prrrr

陽乃「ごめんなさい、電話」

 

陽乃「着いた?はいは~い。ちょっと外すね~」

 

 

雪乃「あの、お父さん。葉山君と交際しなければいけないのでは…」

 

雪ノ下父「いや、違うが…」

 

ガチャ

 

陽乃「すいません、戻りました。それとゲスト連れてきました」

 

葉山「お邪魔します…。雪乃ちゃんに比企谷…」

 

優美子「お、お邪魔します。雪ノ下さんにヒキオ…」

 

雪ノ下父「隼人君、ちょうどいいところに…。そちらの美人の娘は?」

 

優美子「び、美人…///」

 

葉山「僕がお付き合いしている、三浦優美子さんです」

 

雪ノ下父「隼人君にもいい人が居るじゃないか。早く言いなさい」

 

葉山「それはどういう…」

 

雪乃「私もそれを聞きたいわ」

 

雪ノ下父「まぁ、隼人君たちもかけなさい。母さん、彼らにもお茶を」

 

雪ノ下母「はい」

 

 

雪乃「それで、お父さん。どういうことなんですか?」

 

雪ノ下父「いや、二人とも交際相手が居るなら、言ってくれればいいものを」

 

雪乃「どうしても、葉山君と付き合えという訳では…」

 

雪ノ下父「いや、そんなつもりはなかったんだが…。雪乃は、そういうことに疎いだろうからと思ったんだが、取り越し苦労だったな」

 

葉山「雪ノ下関係の子女が監視してるというのは…」

 

雪ノ下父「監視なんてとんでもない。仲良くやってるか見てもらっていただけだが」

 

陽乃「ププッ」

 

雪乃「姉さん、知ってたわね」

 

陽乃「ゴメンゴメン。でも、お母さんも知ってたわよ」

 

雪ノ下母「雪乃、隼人君、ごめんなさいね。雪乃を見てるとじれったくなっちゃって」

 

雪ノ下父「雪乃と隼人君は、勘違いをしていたのかね?」

 

雪乃「どうやらそのようです」

 

葉山「ははは、まいったな」

 

八幡「参るのはこっちだよ」

 

優美子「結果的に隼人に告白してもらったから、あーしはいいけどね」

 

雪ノ下父「どういうことかね?」

 

八幡「無理矢理付き合わされたと早とちりした二人に巻き込まれるカタチで、告白して付き合うことになったんですよ」

 

陽乃「こうでもしないと進展しないでしょ?」

 

八幡「やられましたよ」

 

陽乃「じゃあ、雪乃ちゃんへの告白取り消す?」

 

八幡「いや、取り消さないですよ。やっとスタートラインに立てたんですから」

 

雪ノ下母「折角ですから、比企谷さんも三浦さんも夕食を食べていってください。勘違いを黙っていたお詫びも兼ねて」

 

八幡「それは…」

 

雪乃「比企谷君、お母さんは姉さんより手強いわよ。ここはいうことを聞いた方がいいわ」ヒソヒソ

 

八幡「そうだとは思ったよ。すいません、ご馳走になります」

 

……

 

八幡「遅くまで、お邪魔してしまって…」

 

雪ノ下父「いやいや、雪乃と隼人君の恋人に会えて有意義だったよ」

 

八幡「そう言っていただけると、ありがたいです」

 

雪乃「では、お父さんお母さん、私も帰ります」

 

雪ノ下父「では、車を…」

 

雪ノ下母「アナタ、それはヤボですよ」

 

雪ノ下父「そうかそうか」

 

葉山「では、僕たちも失礼します」

 

雪ノ下父「隼人君、比企谷君。大学を出たら、ウチに来なさい。君たちは戦力になりそうだ」

 

八幡「それは買いかぶりですよ」

 

葉山「僕は父と相談してみます」

 

雪ノ下父「うむ、また遊びに来なさい」

 

………

 

帰り道

 

雪乃「比企谷君、ごめんなさい」

 

八幡「ん?どうかしたか?」

 

雪乃「私と葉山君が勘違いをしたせいで…」

 

八幡「まあ、仕方ねぇんじゃねぇの」

 

雪乃「でも…」

 

八幡「じゃあ、雪ノ下は後戻り出来たらしたいのか?」

 

雪乃「それはないわ」

 

八幡「課程はどうあれ、俺は雪ノ下と付き合うことになって良かったと思う」

 

雪乃「そう…。貴方がそう言うならそうね」

 

八幡「雪ノ下は違うのか?」

 

雪乃「そ、そんなことないわよ」

 

八幡「じゃあ、いいんじゃね」

 

雪乃「そうね。気持ち悪い比企谷君の気味の悪い感情を聞けたから」

 

八幡「ねぇ、泣いていい?」

 

雪乃「冗談よ。貴方は私の…」

 

八幡「雪ノ下の?」

 

雪乃「お、王子さまよ…///」

 

八幡「お、おう…。ありがと…///」

 

雪乃「比企谷君…」

 

八幡「ん?」

 

雪乃「これからも、私を助けてね」

 






以上で完結です。
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