ファイアーエムブレム風花雪月 異伝 漆黒のオーディン 作:すすすのすー
第12話『最強の剣士』
俺は“漆黒のオーディン”、闇の力を剣に纏わせて魔剣として戦う、選ばれし闇の戦士だ。
ロナート卿の反乱の後、アッシュの弟たちはガルグ=マク近くの街の教会で引き取られることになった。
俺もアッシュの弟たちが落ち着くまで一緒に顔をだしてあげることにした。
やっぱり、あのくらいの年齢の子どもたちは純粋でいいな、俺が剣に光や炎を纏わせると狂喜乱舞してくれる。
アッシュの弟たちは俺の技に興味を持ったらしくやり方を教えてくれとねだられまくった。
アッシュのやつは「弟たちに変なこと教えないで」「どっちが子どもだかわからないよ」とか言っていたが、笑っていたからよしとしよう。
青海の節(7月)の最初の休日に剣術の武闘大会がある。
士官学校の生徒の中で、誰が最強の剣士か決める時が来たようだ。
もちろん俺も参加する。
ルーナのやつは大会の存在を聞いて「絶対優勝してやるんだから!」なんて言ってたし、ラズワルドも十分気合いが入っている。
俺も、大会用の必殺技の開発には余念がなかった。
他学級の生徒の中にも、この大会を楽しみにしてた連中は多いみたいだし、どんな強敵が現れるのやら。
……血が騒いできた……俺の中の英雄の血が言っている……優勝して最強の剣士の称号を勝ち取れと……
……来るべき時が来たようだ……封印されし真の力を解放し、勝利するぞ!
──魂が躍動するっ……!!
◆◆◆
(青海の節 六日)
参加登録した生徒は全部で20人。
優勝するには12人は4回の勝利、逆シード扱いの8人は5回勝つ必要がある。
逆シード枠は希望者が入ることになっていた。
腕に自信があるやつが、すぐに逆シード枠に入っていったので簡単に決まった。
もちろん俺は逆シードだ。
──見せつけてやらねば……この“漆黒のオーディン”の力を……
ちなみにルーナとラズワルドも逆シードだ。
やつらが勝ち進めば準決勝でラズワルド、決勝でルーナと戦うことになるだろうが……間違いなく勝ち進むだろう。
三人の中では魔法や呪術の勉強に時間をとられているせいか、鍛練不足で剣術は俺が一番弱いとされているが……決して勝てないほどの差ではない。
むしろ調子が良いときは俺が圧勝するくらいだしな……真の力を解放し、勝ってやる!
──さあ戦いのはじまりだっ!
一回戦の相手はディミトリか。
士官学校に入学して以来初めての武闘大会だということもあり観客も多い。
というより……ほとんどの生徒が来てないか? これ。
みんな思い思いに応援しているが……ほとんどがディミトリを応援する声援だな。
黄色い声援と同じくらい、野太い声援があることからディミトリの人気の高さが伺える。
「殿下~! オーディン~! 頑張れ~!」(力+4)
おおっ! 一部では俺も一緒に応援してくれる女子生徒もいるみたいだな。
俺のファンかな?
声援が多過ぎて、どこから声がしたのかわからなかったが確かに聞こえたぞ……!
──力が湧いてくる……!
「……皮肉な運命だな……貴様と剣を交えることになろうとは……」
「……? ……俺はお前と剣を交えるのを楽しみにしていた。さあ、勝負だ」
ディミトリが構える。
ちなみに審判はイエリッツァ先生だ。
どの学級も担当していないし、誰にも肩入れしない、何より武術に造詣が深い、これ以上はない人選だろう。
始まりの合図とともにディミトリが斬りかかってくる。
セイロス騎士団や先日戦ったロナート卿配下の兵たちと似たような動きだな。
フォドラ大陸の騎士たちの間、特に王国出身者に浸透している基礎の型だ。
ガチンッと訓練剣どうしがぶつかり鈍い音がする。
コイツ、かなり力があるな……一合だけでわかるくらいの相当な腕力だ。
前の世界での、選ばれし戦士最強の腕力をもつ、仮面の竜騎士に匹敵するかもしれない。
……だが!
「……この“漆黒のオーディン”を甘くみるなよ!」
力負けするなら受けなければいいだけの話だ!
この漆黒のオーディンの剣術は無形……変幻自在なのだ!
打ちかかってくるたびにカウンターで、細かく斬り返してやる……真剣だったらもうディミトリは傷だらけだろう。
「……ぐっ! 悔しいが技量の差がありすぎる……」
「いや、ディミトリ……貴様もなかなかやる……敬意として俺の最強の剣技で葬ってやろう……」
顔の前に右手をやり体を倒して構える……
「まさか一回戦でこの技を使うことになるとはな……蒼炎剣ブルーフレイムソード!!」
剣を青い炎が纏う……これぞ奥義〈華炎〉!
この炎はあらゆる色に変化させることができるのだ!
恐れ戦け……見るものを圧倒させるこの幻影の青き炎に!!
観客たちのどよめきや息を飲む声が聞こえる。
観客の中にチラリと見えたエーデルガルトの口元が「そう……ついに完成したのね」と動くのがわかる。
一部の観客から「魔法は反則じゃねえの?」と声が上がり始めた。
えっ? まじで?
審判のイエリッツァ先生を見る。
「……オーディン……それはなんだ?」
「……幻影の炎です」
「…………確かに、反則は攻撃魔法と回復魔法だった……不問とする!」
よしっ! 気を取り直して……
「はははっ! オーディン……お前と言うやつは! 本当に面白い男だな!」
何が面白かったのか、ディミトリが笑い始めた。
急に恥ずかしくなってくるから、やめてくれ。
「ならば俺も最強の一撃で答えよう……」
ディミトリが上段に剣を構える……まだ勝つ気は十分みたいだな。
お互いに気が高まってくる……俺の青き炎の揺らぎも……
……ここだっ!
ディミトリが斬りかかってきた瞬間に剣を一閃する。
「……確かに、貴様の一撃は最強と呼ぶに値する……当たればの話だがな……」
俺が回避した後、床に当たったディミトリの訓練用の剣はポッキリと折れてしまっていた。
俺の剣はディミトリの腹にしっかりと当たっていた……真剣なら胴体が真っ二つだろう。
「……勝負あり、勝者オーディン!」
一斉に歓声と悲鳴が上がる。
……1回戦から異常に盛り上げてしまったな。
◇◇◇
逆シード組の残り3戦が終わって俺の2回戦の番になった。
逆シードのラズワルドとルーナは危なげなく勝ち上がり、もう一枠の逆シードはフェリクスという
フェリクスはいつも訓練所にいる無愛想なやつだな……話はしたことないが、かなり強いらしい。
まあ、ルーナが負けることは無いだろうけど。
2回戦、次の相手は
「先ほどの殿下との勝負、見事でした」
「……ほう、あの勝負を見てまだ勝てるとでも……?」
「もちろん。やるからには勝たせてもらいますよ!」
なかなか気品の高そうな女の子だな。
まさしく女騎士って感じだ。
「イングリット=ブランドル=ガラテア……参ります!」
「“漆黒のオーディン”だ! ……いざ参る!」
ああ~、名乗りを挙げて戦うのって気持ちいい~!
前の世界では勝負の時にこんなことしてくれる人ほとんどいなかったのに……フォドラは最高だな!
イングリットはディミトリと同じく開始の合図とともに突っ込んでくる。
……フッ、芸の無いやつだ!
しかし……速いな! コイツ!
力も技もそれほどではないがとにかく速い……
……だが……ただ、それだけだ……!
「残像だ……!」
「なっ!?」
俺の分身たちの幻影が4人現れるとイングリットは攻撃を止めて狼狽えた。
「速さだけで俺を倒すことはできん!」
その隙をついて渾身の一撃を入れる!
「イヤァアァァアアア!!!」
断末魔のような声をあげイングリットが倒れた。
俺の幻影分身を見たイエリッツァ先生の仮面の下の目が驚愕しているのがわかる。
……これも、反則取られないよな?
「……勝者……オーディン!」
イエリッツァ先生は少し考えて俺を勝ち扱いにした。
「参りました……世界には現実離れした技を使う剣士がいたものですね……」
あれだけ迫真の絶叫をしていたので、殺ってしまったかと思ったが、すぐに立ち上がって話かけてきた。
イングリットはキラキラとした尊敬の眼差しで俺を見ている。
「まるで騎士物語の英雄のような技でした」
「……英雄か」
「……あなたのことは、正直に言うと怪しい人だと思っていました。しかし、このような技を使えるのならば教えを乞うのも悪くないですね」
……怪しいは余計だよっ!
◇◇◇
「我が名は! フェルディナント=フォン=エーギル!!」
3回戦の相手は
コイツといい、ローレンツ=へルマン=グロスタールといいフォドラの貴族の名前は何故無駄にかっこいいのだろう? ……羨ましいぜ。
3回戦まで勝ち残ってくるあたりなかなかの腕だが、ディミトリよりは格下でイングリットのように一芸特化しているわけでもない。
最初の一合で攻撃を当てられ、俺の攻撃を回避されたのには焦ったが……一撃を入れてからは俺が優勢で戦えている。
「私には先ほどのような技は使わないのか?」
「フン……貴様ごとき俺の必殺技を使うまでもない……」
「なっ!? 私を侮っているのか!? ……ならば」
「だが!! そこまで言うなら見せてやろう……この俺の至高の剣技を!」
なんだよ~! 粘ってくると思ってたら、俺の必殺技が見たかったのか~!
流石にもう反則になるかな? と思って使わなかったんだけど……そこまで期待させてたならな~
早く言えよな~!
「これが真の力だ! 烈火剣レイジングファイアーソード!!」
赤い炎を纏った剣で一閃する。
幻影の炎だから熱くは無いんだけどな!
フェルディナントはなんとか剣で防いだが……態勢を崩しかけた。
まだだ! 俺の必殺技をとくと味わえっ!
「蒼炎剣ブルーフレイムソード!!」
青き炎を纏った剣で突きを入れる。
当たったらただではすまない! ……ように見えるが実際はただの訓練用の木剣だ、打ち身くらいですむ。
フェルディナントの肩口にあたり大きく態勢を崩した。
これでとどめだ!!
「暁の剣! ゴッデスオブドーンブレイド!!」
大きく跳び上がり、ひときわ光を放つ剣で袈裟斬りする。
当たれば真っ二つになるほどの威力……は無い……はずだよな、たぶん大丈夫だ。
伝説の剣超必殺三連撃だ!
「見たか! これが“漆黒のオーディン”の力だ!!」
……決まったっ!
前の世界……いや、絶望の未来の世界にいた頃から長きにわたり構想を練ってきた最強の超必殺技がついに完成し……この世界に再現されたのだ!
「勝者……オーディン」
この最強の闇の剣士オーディンは誰にも止められないぜ!
◇◇◇
俺の試合のすぐ後にラズワルドとエーデルガルトの3回戦が始まる。
エーデルガルトは斧使いのイメージだったが、剣もかなり使えるようだ。
さっきの試合では堂々と勝利していた。
エーデルガルトがこちらを向き目線で話してくる「オーディン……彼を倒したら次は貴方の番よ……」「……ラズワルドは強いぞ、エーデルガルト」「フッ、わかっているわ」多分こんな感じだな。
闇の同胞なら目線だけで会話ができるのだ。
「オーディン……アンタ調子に乗ってるわね」
「ん、ルーナか」
エーデルガルトと目で会話してるとルーナが話しかけてきた。
「調子に乗っているのではない……封印されていた真の力が解放されたのだ」
「そんなこと言ってる時点で調子に乗ってんのよ。全く……アンタにだけは負けたくないから次のラズワルドに負けてくれると助かるわね」
なっ!? 激励しに来たと思っていたのに……本当に、俺に負けて欲しそうにしてやがる!
なぜだ! 俺もラズワルドも同じ幼馴染みだろ!
「流石にひどい言い草だとおもわないのか? 本気で落ち込むぞ」
「……調子の良いときのアンタは厄介ってだけよ」
調子が良いと〈必殺〉がバシバシ出るからな俺は。
勝てるはずなのに必殺一撃で逆転されるのが嫌なのだろう。
さらに調子が良すぎる時は剣に
そうなったときの俺にはもう誰も勝てないだろう……ジェラルトさんや先生にも勝てるかもしれない。
ただ、ラズワルドとルーナも厄介な攻撃をしてくる時がある。
ラズワルドはアーマーナイトのみたいな守備力の高い敵でも関係なく一撃で倒す強力な攻撃を使ってくることがあるので、それを食らえば間違いなく試合終了だ。
ルーナは〈リザイア〉のような与えたダメージの半分程度体力が回復する攻撃をしてくるので勝負が長引くほどルーナが有利になる。
ルーナと話しながら試合を見ていると勝負がついたようだ。
エーデルガルトはラズワルドに終始押され続けて負けてしまった。
エーデルガルトも頑張っていたんだがな、流石にラズワルドとは技量に差があったのだろう。
しかしエーデルガルトが剣を使えるのは僥倖だったな、俺の必殺技は剣を使うものが最も多いのでいろいろ教えることができる。
「ラズワルドが勝ったようね。当然といえば当然だけど」
「フッ、ルーナもすぐに勝てるさ……決勝で会おう」
「そう簡単にいけばいいけれど、次の相手もその次も厄介そうなのよね……」
「ルーナにしてはえらく弱気じゃねえか?」
「……でも絶対勝って一番になってやるわ! 見ときなさいよ!!」
──……フッ、その意気だ……勝つのはこの“漆黒のオーディン”だがな!
オーディン大暴れ回
補足
選ばれし戦士、最強の腕力を持つ仮面の竜騎士
ファイアーエムブレム覚醒の子世代ユニットジェロームのこと
素のステータス成長率、力50%に加え親のステータス補正が乗る
奥義〈華炎〉
FE覚醒やFEヒーローズのスキル〈華炎〉とは別物
剣に幻影の炎を纏わせる技
イメージはFEヒーローズのウード奥義絵とFE無双ウード
幻影分身
ヘンリー・ノノ支援会話の竜の幻影を生み出す呪術をオーディンが独自アレンジしたもの
イメージはFE無双リンの登場シーン
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剣超必殺三連撃
ほぼFE無双のウード
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