ファイアーエムブレム風花雪月 異伝 漆黒のオーディン 作:すすすのすー
(青海の節 十五日)
俺は“漆黒のオーディン”、天を支配する選ばれし闇の呪術士だ。
今日は先生に呼ばれて、午後の講義の後にお茶しにきていた。
先生は、珍しく昨日から「明日は、一緒にお茶会がしたいから、講義が終わったら予定を開けておいて」なんて言っていたので、呪術の開発の予定をキャンセルしてお茶会にきたところだ。
まあ、キャンセルも何も、傭兵兵舎で一人新しい呪術や必殺技を考えるだけなんだけどな。
先生は最近、お茶会にハマってるらしく、自学級他学級問わず、生徒をお茶に誘いまくっているらしい。
ラズワルドとルーナもすでに何回か誘われており、自慢気に俺に話していた。
あれっ? ちょっと待てよ……俺、誘われるの今日が初めてなんですけど……まさか誘うのを忘れてたから、その埋め合わせに今日誘ったんじゃないだろうか。
先生ー! 俺も傭兵時代からの仲間の一人なんですけど! 扱いがひどくないですか!
「……フッ、お招きいただいて光栄だ。“漆黒のオーディン”今、参上した!」
午後の講義が終わったばかりなので、食堂近くの歓談スペースもまだ空きが多い。
先生はすでにお茶受けのお菓子やお茶を淹れて準備をしていた。
お菓子も美味しそうなものばかりだ……どこで手に入れたんだろう?
「オーディンとお茶会するって言ったら、アネットとメルセデスがお昼にお菓子を焼いてくれたの」
お菓子を見ていたら、先生が教えてくれた。
あの二人はお菓子作りが得意って言ってたし、美味しそうだな。
「口に合うかわからないけど、飲んでみて」
先生はそう言って、お茶をカップに注いで勧めてきた。
カップからは柑橘系の良い匂いがする。
「あれっ? 先生、なんで俺の好きなお茶の味を知ってるんですか」
「なんとなく、オーディンが好きそうな茶葉を選んでみた」
勘で選んだのか……やはり先生、やるな!
柑橘系のお茶は母さんの好みで、母さんの親友の人がよく淹れてくれた思い出がある。
俺のお茶の好みなんてルーナもラズワルドも知らないはずだ……いや、ラズワルドは知ってるかもしれないな……アイツはお父さんが執事じゃないけど執事みたいになんでもできる人で、アイツもお茶を淹れるのはかなり得意だったはずだ。
カップを口元に運んでお茶を口に含んでみる。
「あちち、んーうまいぜ!」
ちょっと熱かったが、やっぱり好みの味だ。
そういえば、フォドラでこういう味のお茶を飲むのは初めてだな……ふう、思えば遠くにきたものだな。
「オーディン、最近調子が良さそうね」
「……フッ、わかるか? 先生」
「武闘大会での優勝……呪術も調子が良いようだし」
そうなのだ、最近の俺は調子が良い。
武闘大会では優勝して生徒最強の剣士の称号を獲得し、二代目ミステルトィンまで手に入れることができた。
呪術を使えばオリジナル呪術の〈華炎〉は、生徒たちに好評で教えてくれと言う声が殺到した。
大会優勝したあの瞬間だけだったけど。
「そういう先生こそ、武闘大会では見事だった」
「イエリッツァ先生もカトリーヌも強かった。ギリギリ勝てて良かった」
本当にそうだったな。
イエリッツァ先生もカトリーヌさんも大会参加者の中ではずば抜けて強かった。
特にカトリーヌさんはセイロス教団最強剣士の呼び声もあったし、それを倒した先生は相当評価が上がったはずだ。
その後の祝勝会も盛り上がったんだよな。
俺の優勝賞金に加え、先生の優勝賞金も加算されたのでかなり豪華な宴会になった。
他の学級の生徒やマヌエラ先生、ハンネマン先生、どこからか聞きつけてきたのかジェラルトさんも参加して、楽しそうに飲んでいた。
最後のほうは、大司教様も参加していたのは驚いたけどな。
「祝勝会も楽しかった。またやりたいね」
先生も祝勝会は楽しかったみたいだな、隅の方で料理を山積みして食べてたから、単にたくさん食べれるのが良かっただけかもしれないが……
お茶を口に運び一息つく。
ふぅー、美味しいぜ。
「オーディンは強い武器について調べてるんだよね」
「強い武器……伝説の武器のことか。そのとおり! 今、書庫で色々調べてるんですよ、過去の英雄たちが使った英雄の遺産とか」
「英雄の遺産……カトリーヌが持ってた……うーん雷鳥?」
雷霆を生で見たときは迫力が凄かった。
アーマーナイトを盾や鎧ごとあっさり斬り捨てる切れ味、雷を迸らせながら戦う姿はまさに伝説の武器!
英雄の遺産は一致する紋章が無いとその力を発揮できないところが特別感があって良いし、その力を使いすぎると紋章が一致している者にも害があるというのも、俺の血を騒がせる要因だ。
なんてかっこいい設定なんだ……俺もそんな武器がほしいぜ!
まあ、英雄の遺産のほとんどはファーガス神聖王国やレスター諸侯同盟の王族貴族が管理しているらしく、なかなかお目にかかれないらしい。
クロードの実家のリーガン家のフェイルノート、ヒルダのゴネリル家のフライクーゲル、ローレンツのグロスタール家のテュルソスの杖、
「先生は伝説の武器に興味ないんですか?」
「私はいいよ。どうせ使えないし、今ある武器をどう使うかのほうが肝心」
まあ、元傭兵の先生はそんなもんだろう。
英雄の遺産より今ある武器……先生らしいな。
お菓子に手を伸ばしてみる。
焼き菓子には砂糖がたっぷりかかっていて、口の中に甘さが広がる。
うめーな、さすがだぜ! アネット! メルセデス!
ちなみに、俺たち選ばれし戦士たち三人は、みんな甘党だ。
滅亡しかけていた世界では、あまり甘味を楽しむことはできなかったが、前の世界が平和になってからは、みんなでお菓子を食べたり色々したもんだ。
実は以前、仲間の一人に作ってもらった、凄い美味いお菓子のレシピを持ってきているのだが……カカオがこの辺りには売られていないので、作ることはできないんだよな。
作れたら、みんなに食べさせてあげたいのに。
「そういえば、その武器にも名前をつけているの?」
「……ほう、俺のこの武器について知りたいのか……」
「うん。なんて名前なの?」
「この武器は魔剣ミステルトィン。かつて俺の手にした愛剣と同じ名前だ」
初代ミステルトィンは、俺が前の世界で過去の英雄たちに初めて会ったときに手に入れた剣だ。
とある村に伝わる伝説の剣ミストルティン、その剣を追い求めて盗賊と戦っているときに過去の英雄たち、父さんや母さんたちに出会った。
後で知ったんだが、本当はただの贋作で、だから名前もミストルティンではなくミステルトィン。
手に入れた後は、妙に手に馴染み、形もカッコよかったので俺の愛剣となり最終決戦で失われるまで愛用していたのだった。
父さん母さんに会ったこととかを省略しながら話をすると、ウンウン頷きながら聞いて「物を大切にするのは良いことだね」と言っている。
「先生も武闘大会で剣をもらったんですよね。名前はつけたんですか?」
「つけたよ。封魔剣エクスブレード「ちょっ! 先生、その名前はダメだって!」
「どうして?」
先生は困った様な表情でこちらを見つめてくる。
いや、その剣にはもともと名前が無かったから、その名前を付けるのは悪くないはずなんだが……まさか、先生が俺の従姉と全く同じ名付けセンスの持ち主とは……
「そ、その名前は……その名前の武器は実在するんです……俺の国の伝説の武器として……」
「……そう、ざんねん」
本当は別にダメじゃないんだが、その名前をつけるのはなんとなくダメな気がする……俺の勘で!
先生はしょんぼりしているが、名前をつけるのは阻止できたな。
よしっ! 話題を変えるか……
「先生は思ったことはないか? 実は、自分の中に封印されし力があるかもしれないと……」
「……実はたまに思うことがある、この体には不思議な力があるんじゃないかって」
先生は少し考えて答えた。
不思議な力か、先生はたしかに何か封印された特別な力を持っていそうだ……まるで、物語の主人公……俺とは違う本物の英雄のような……
やはり、女神様は転移させる時に先生のところを指定して転移させたのだろう。
この人が世界を守るための鍵になる人物であると……まあ、ジェラルトさんの方かもしれないけど。
先生はじっーと俺のことを見つめてくる。
な、なんだ急に……ラズワルドじゃないが、恥ずかしいんだけど。
「オーディン、これをあげる。ミステルトィンの手入れに使って」
そう言って、先生はなにかを取り出した。
これは刃物用の砥石? えっ? なに? ホント嬉しいんですけど……
「こんな良いものを俺に? 先生、ありがとう!」
それからさらに先生は花束を取り出した。
ど、どうしたんだ?
「それから……オーディン、誕生日おめでとう」
先生ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
俺の誕生日を先生が覚えててくれたのか!
自分すら忘れてたのに!
そうだったな、七月十五日の今日は俺の誕生日だった。
ヤバい……泣きそうだ。
「どうしたの、オーディン? そんなに震えて……また力が暴走しそうになってるの?」
「そ、そうじゃないです。これは……目より流れし、感嘆のしずく……歓喜のラプチャーメモリーです」
「喜んでもらって、よかった」
俺と先生はしばらくの間、2人だけの時間を楽しんだ……
茶葉
〉ベルガモットティー
Talk!
他の仲間の評価
修道院の規則の話
〉調子が良さそうだ
Talk!
〉強い武器の話
将来の夢
紋章の有無について
Talk!
必殺技の話
〉武器の名前の話
呪術の話
「先生は思ったことはないか?実は、自分の中に封印されし力があるかもしれないと…」
〉うなずく
お茶を飲む
そんなことはない
PERFECT TEA TIME
会話が盛り上がった回数 4回
短かったですがお茶会話です
パーフェクトティータイムを生徒側から見たら…前からやってみたかったネタの一つです
捕捉
柑橘系のお茶(リズの好み)
リズ・マリアベル支援
封魔剣エクスブレード
ウード(オーディン)の従姉ルキナが裏剣ファルシオンに付けようとした名前
中二病のウードでも流石に止めたので、その名前が付くことはなかった
ウード・ルキナ支援