ファイアーエムブレム風花雪月 異伝 漆黒のオーディン 作:すすすのすー
EP1っぽいのをやって、キャラ登場とアビス出入り可能にして
煤闇本編は作品完結後、外伝という形で(やれたら)やることにします
(角弓の節 七日)
俺はフォドラ大陸随一の呪術士、選ばれし闇の戦士“漆黒のオーディン”だ。
現在、俺は中級職〈ダークメイジ〉になるために闇魔法試験を受けていた。
死神騎士が闇魔法試験パスという物を落としていったらしく、下級試験パスや中級試験パスとも違うこのパスを使った試験に合格すれば闇魔法を上手く使えるようになるらしい。
なぜか男性しか〈ダークメイジ〉にはなれないので、もとから闇魔法を使えるリシテアではなく俺が試験を受けている。
──この程度……! “漆黒のオーディン”にかかればっ……! なにっ!? この問題は……!
まあ、理学の技能がCあれば間違いなく合格できる試験なので楽勝なのだがな。
オーディンが〈ダークメイジ〉の試験に合格しました。
「これが俺に与えられし、清新なる力か……!?」
ついに名実ともに“闇の呪術士”となってしまったのか……まさに溢れんばかりの闇の力……! くっ、俺の血が……封印されし力が解かれようとしている……力が! 暴走するぅ……!
早速、試しに行かねば!
訓練所に先生とリシテアと共に向かう。
リシテアは俺が闇魔法を使うのを見てくれるらしい。
「先生に頼まれてしまいましたからね。べ、別にお菓子に釣られたわけではありませんよっ! どうしても、と先生に頼まれたら断れないですから」
……釣られたんだな、お菓子に。
リシテアは子ども扱いされるのが嫌いらしく、お菓子や甘いものが好きなくせに隠したがるんだよなぁ、大人でも甘いもの好きは普通にいると思うのだが。
「じゃあ、見ていてくれ……〈ドーラΔ〉!」
〈ダークメイジ〉になったことで覚えた初級闇魔法〈ドーラΔ〉を使ってみる。
リシテアがいつも使っているのと同じように、闇の魔法弾が真っ直ぐ飛び、的に当たった。
「普通にできていますね……特に問題ないと思いますよ」
「良い感じだね」
「え~全然しっくりこないんだけど……」
リシテアと先生は納得している様だが……もっと、こう……抑えきれないような闇の波動とか……反動で力が暴走するみたいな感じをイメージしていたのに……
「しっくりこない? 威力が出てないとか、制御しにくいとかですか……」
「いや、もっと闇の力が暴走しそうになったり、使うたびに精神を削られそうになったりするのかな、と思ってたからさ」
「そんな危ないことになるわけないでしょう……男性はもともと闇魔法を使う素質があるようですからね、女性は紋章や才能がないと使えないですけど」
「闇魔法には副作用とか何もないのか?」
「闇魔法使いが邪心や狂気に囚われて、精神に異常をきたした例はあるらしいですが……あんたはもともと頭がおかしいですから、大丈夫なんじゃないですかね」
がはぁっ!? さりげなく貶してんじゃねえよ!
とにかく闇魔法が普通に使えるのは良いことだ。
実は呪術の方は師匠から「『あの人』の息子だから素質がないことはないでしょうけど、他人を本気で憎むことができない貴方には強力な呪術を使うなんて無理よ」と言われたことがある、その通りだから何も言い返せなかったが……
「じゃあ、私はこれで。やることがありますので」
「ええ~!? 闇魔法を教えてくれるんじゃないのかよ〈ウォームΖ〉とか〈ルナΛ〉とか〈ダークスパイクΤ〉とか!」
「そこまでしてあげる義理はありませんので。せいぜい『闇の力』とやらを暴走させて、また大騒ぎを起こさないようにしてください」
「オーディン、頑張って」
そう言うとリシテアと先生は訓練所から出ていってしまった。
ぐぬぬ……まあ良い、俺には実は新たな闇魔法習得について秘策があるのだ。
俺は元の世界で闇の魔術師に憧れて、幾つかの魔道書を一頁ずつだけだが所有し、俺の“黒書”に綴じている。
この“黒書”というのは、俺が考えた武具や必殺技の名前、教わった呪術のやり方や美味しいお菓子のレシピ……ありとあらゆるものをまとめた最も大切な書物だ。
元の世界の魔法は魔道書に封じてある魔法を頁を消費して使うものだったけど、この世界では魔法を覚えることができれば何度でも使えるので習得さえしてしまえれば……まずは初級闇魔法の〈ミィル〉あたりから……いや全く同じ白魔法がある闇魔法の〈リザイア〉にするか……
◇◇◇
新たな闇魔法習得に夢中になっていたらすっかり昼過ぎになってしまっていた。
しかし、魔道書の頁から習得するのは難しそうだな……理学は得意になったから術式や原理を全く理解できないわけではないのだが……
ずっと天幕に籠っているのもなんなので、気分転換に市場に来てみた。
この前の任務で交易路を塞いでいた賊を倒したので新しい商人がたくさん来ているな。
「イラッシャイマセー」
「いらっしゃいませ~!」
色々な商人たちの中には明らかに異国から来た人とわかるような挨拶をする人もいる……しかし、あの女商人さんはなんか見覚えがあるような……
赤髪のポニーテール、若い美女の商人……ってアンナさんじゃねぇか!?
「アンナさん!? 何してるんですかこんなところでっ!?」
「んー
「いや、知り合いって……仲間だったじゃないですか!? 覚えてませんか?」
「私の姉妹の仲間かしら? 残念だけど知らないわ」
あっ、そうか……アンナさんは同じ顔の姉妹がたくさんいたんだったな……その一人がフォドラまでやって来たのか……彼女は世界を股にかける商人なんだものな、このフォドラに居てもおかしくはないよな……
………………。
……ってなわけあるかっ! なんで別の世界にいるんだよ!?
アンナさんは前の世界での仲間であり、未来の絶望に染まった世界でもお世話になった人だ。
凄腕の商人で、どんな状況でも戦闘準備中に物資を持ってきてくれる(お金は取る)アンナさんには皆が驚いていたし、感謝していた。
前から謎が多い人だとは思っていたけど……更に謎が深まった……
「私の知り合いっていうのなら、何か買っていかない? 安くはできないけど」
安くしてくれないんかいっ! この商魂たくましさ、間違いなくアンナさんだ……この人のことだから、何か珍しい商品が置いてあるかもしれない……
「よう、オーディン……珍しいなお前が女性を口説いてるなんて。しかも相手は女商人さんときた」
「クロード……いつから見ていた……?」
アンナさんと話をしているとクロードから声をかけられた。
この様子だと、俺のことを見ていたようだな……迂闊に前の世界のこととかを話さなくてよかった。
「市場に来たときからさ。丁度お前を探していてね……まあ、また何かやらかさないか見ていたのもあるが」
「俺を探していた? 何か用があるのか」
「お前が知りたがっていたガルグ=マク大修道院の地下の秘密についてさ……」
「……ほう、地下の秘密と……」
そういえばガルグ=マク大修道院に来てすぐの頃、禁じられた部屋とか隠し通路だとかの存在をクロードに聞いたことがあったな。
フレンが誘拐された時に実際に地下通路があったのだから、それに関連することで何かわかったのかな?
「貴方、もしかしてアビスについて言ってるの? ガルグ=マクの地下に広がる古代の機構……今は勝手に住み着いている人たちの貧民街みたいなのになっちゃってるって話よ」
「ありゃ……意外なところから情報が。こんな話してもいいんですか、商人さん?」
「事情通ならみんな知ってることだし、調べていればそのうちわかることよ」
クロードに詳しく聞こうと思ったら、アンナさんが答えてくれた……なんでそんなこと知ってるんですかアンナさん……
「まあ、お察しのとおり訳アリな人ばっかり住んでるわ。真っ当な商人なら近寄らないわね」
「俺たちはその訳アリに興味が有りましてね……そういうわけでオーディン、ちょっと来てくれ」
「何か儲かりそうな話があったら教えて頂戴ね~」
クロードに連れられて市場を後にした。
アンナさんは相変わらずだな~
◇◇◇
クロードとやって来たのはガルグ=マクの端の方……学生寮の裏手だった。
「それで、ガルグ=マクの地下の秘密って? さっきアンナさんが話をしていたとおりのことなのか?」
「いや……そこまで詳しく分かっちゃいなかったんだが……ちょっと面白いものを見つけてね」
クロードはそう言って壁を弄ると、一部の壁が動き地下へと続く階段が現れた。
フレンが誘拐されたときセテスさんが使っていた仕掛けがこっちにもあったのか……
「おいおい……教会関係者にこんなことしてるのがバレたらヤバいかもしれないぞ……? 説教で済めばいいが……」
「すでにとんでもなくヤバい事件を起こしているお前が何を言うのやら……」
ぐっ……その件については何も言えない……なんでも、あの邪神召喚騒ぎで教会のお偉い人たち“
「それに、興味が沸いてこないか? ガルグ=マクの秘密の地下街“アビス”に……」
「……そ、それは……少しは興味有るが、あんなことを起こしたばかりだし……」
「来ないのなら、俺一人で行くか……みんなには黙っていてくれよ」
「……えっ?」
そう言ってクロードが隠し階段を降りようとしている。
……ぐっ……血が騒ぐ……! 落ち着け……これは、クロードの挑発っ……! 俺を共犯者にしようとしているだけのだ……!
その手には乗るかっ! 俺の血が騒いでも……もう揉め事を起こさないと(セテスさんとルーナとラズワルドと)約束したんだっ! ……くそっ足が勝手に地下へと続く深淵に……行くな……! 俺の足……!
ふぅー、なんとか踏み止まったか……
「……しかし、知識の探求者“漆黒のオーディン”とあろう者がこんな好奇心をくすぐるものを前に行かないとは……俺の見込み違いだったかなぁ……」
「……そこまで言うのなら仕方ない……ちょっと覗きに行くだけだぞ」
ちょっと覗いてすぐ帰ればいいしなっ!
クロードより先に地下階段へと入っていく。
ほんのちょっと見るだけだから大丈夫だろ。
「しかし、クロード……なんで俺を誘ったんだ? ちょっと見に行くのなら一人でも行けただろ」
階段を降りながらクロードに聞いてみる。
「なんで、ってこういうのに一番興味有りそうなのがお前だからさ。バレたとき問題児のお前がいれば罪を擦り付けれるしな……『級長として私は止めたんですが、オーディンが言うことを聞かず……監視のために仕方なく……』ってな」
「共犯者どころか擦り付けようとしてたのかよっ!? 最悪すぎるっ!」
「それに……誰か一人を連れて行くなら、お前が一番適任だ。剣の腕は立つし、魔法で攻撃も回復もできる、戦場での判断力は良い……なにより、仲間を絶対に見捨てない……評価してるんだぜ、お前のことを」
……フフフ、そこまで評価してるのか俺のことを。
しょうがねえなあ~
そこまで期待してたらな~
別に照れてないけど、やってやるしかないぜ!
階段を降りると開けた場所に出た。
鉄格子のような扉が閉まっていて先には進めない。
扉の先には仕掛けを動かすバーのようなものがあるが……どうしたものか
「ありゃりゃ、行き止まりか……扉を開けるには向こう側にあるアレを動かさなきゃいけなそうだな」
「〈ワープ〉であっちに飛ばそうか?あのバーが扉を動かす仕掛けの物じゃなかったら閉じ込められちまうけど……」
「いや、閉じ込められるのは避けたいな……こんなこともあろうかと『扉の鍵』を持って来てるのさ。先にコイツで開けられるか試してみる」
ナイスだ! 流石はクロード、準備が良いな。
クロードが扉を弄っている間辺りを見てみる……別に埃っぽくはないし定期的に人が入っているのかな。
「何者かは知らねえが、ここがどこだかわかってて来てるようだな」
突然声がした方向を振り向くと若い男が立っていた。
──コイツどこから現れた!?
男が立っている場所は出入口になるような場所は無かったし、〈ワープ〉のような魔法を使った様子もない。
その男は、女と間違うような美形でなぜか化粧をしており、士官学校の制服に似た服を着ている。
声を聞かなかったら男装している女に見えていたかもしれない。
クロードと俺はいつでも戦えるような体勢をとる。
クロードがまずは話かけた。
「もしかして“アビス”の住人か? 俺たちは噂を聞いてここまでやってきただけさ」
「噂ァ? 好奇心旺盛もいいところだなぁ。アビスが危ねえ場所だと教わらなかったか?」
「フン……多少の危険ごときで、この知識の探求者“漆黒のオーディン”の好奇心を止めることはできん」
「“漆黒のオーディン”……? お前が……!」
男はなぜか驚いた表情をしている。
まさか……! ガルグ=マクの地下街にまで俺の異名が轟いているのかっ!?
「ほう……この俺を知っているのか……?」
「ああ、知ってるさ……アビスでもよく話題になってるからな、士官学校に頭のおかしい呪術士がいるって。女神の塔の目の前で邪神召喚騒ぎを起こすなんて、よく退学になっていないな?」
「はははっ、昨日のことが地下街でも話題になってるんだとさ、良かったなオーディン」
全然良くねえよっ! 本当、世の中って悪い噂は広まるのが早いな……
目の前の男は腕は立ちそうだが、どうするつもりなのかな。
「それで……? この固く閉ざされし黒き鉄血の扉を開けてくれるとありがたいのだか……」
「嫌なこった。どうして厄介事の種を自分から招き入れねえといけねえんだ。それとも何か? 力ずくでも開けさせようってのか」
逆にこちらに戦闘の意思があるかどうか聞かれてしまった。
コイツを脅してまで入りたいとは思わないけど、クロードはどうするつもりなのかな?
「そこまでして入りたいわけじゃないさ」
ちらりとクロードを見たら答えた……俺と同意見みたいだな、よかった。
「ふーん、そのへんの分別はあるようだな。コッチも頭数が揃っていれば遊んでやってもいいが……」
「……フッ、なんなら一対一で試してみるか? 俺は白魔法が使えるから怪我しても回復できるぞ」
ふと、思いついて提案してみる。
勝負に勝って扉を開けてくれる形でなら悪くないな。
コイツもかなり腕が立つようだが、俺のほうが強いのがなんとなくわかる。
「いや、やめておくぜ。腕に自信がないわけじゃねえが“漆黒のオーディン”は相当強いって聞いている。勝ち目の薄い賭けはしたくないんでな……」
フフフ、相当強いか~! そうだよな~! 武闘大会で優勝しちゃってるしな~俺!
なかなかの情報通だなコイツは!
「今日のところは退散させてもらうさ……俺はクロード、あんたは?」
「やっぱりそっちはクロード=フォン=リーガンだったか……」
「おいおい俺のことまで知っているのか……?」
「あたり前だ、お前も有名人だからな。……俺はユーリス覚えておきな……今度アビスに来たときはせいぜい歓迎してやるよ……手荒にな」
ユーリスはそう言って魔法も使っていないのに姿を消してしまった。
アンナさんとユーリス登場
覚醒の魔道書の頁(ページ)消費で魔法を使用することは妄想設定です
魔道書の公式設定のようなものがあったらぜひ知りたいです
FEシリーズの小説版とか設定資料とかは持ってないので…
前書きにも書いたとおり煤闇は導入部だけをやります
導入後の灰狼キャラの登場比率は少し偏るかもしれませんが…
補足
“黒書”
名前の由来はFEifの「オーディンの黒書」
この作品ではただの中二病黒歴史ノートだが
有用な呪術のメモや本物の魔道書のページが綴じてある
覚醒世界の文字で書いてあるので覚醒三人組にしか読めない