ファイアーエムブレム風花雪月 異伝 漆黒のオーディン 作:すすすのすー
俺は“漆黒のオーディン”、新しく開発した呪術を発表し、それが認められていずれ世界の覇者となる……予定の選ばれし闇の呪術士だ。
今日は念願の舞踏会だ。
ガルグ=マク大修道院の大広間は飾り立てられ、中央はみんなが踊るための空間が開けられている。
端に並んだテーブルの上には豪華な料理やお菓子が大量に並んでいる。
その中には俺がメルセデスやアネットたちと協力して作った、ダブルブラックビター・グラスラント……カカオ風味のケーキも並んでいた。
「むぐぅ……おいしい!! ……独特の苦味の中に蕩けるような甘さ……こんなおいしいお菓子食べたことありません!」
「リシテアよ……我が秘伝の菓子ダブルブラックビター・グラスラントに舌鼓を打つのも良いが、いきなりデザートから食べるのはどうかと思うぞ……」
「うぐっ……わかってますよ、そんなこと……ただ、あんたのことを少しは見直しました」
「ケーキぐらいで見直されてもなあ」
「お礼に後で踊ってあげますよ」
先生や
先生が凄いスピードで食べ始めたのを見て周りの生徒が慌てて止めている。
俺は料理を食べつつ舞踏会の最初の演奏が始まるのを待つ。
最初の一曲は誰と踊ろうかな……誘うか、誘われるか……なんだか気恥ずかしいような……さっきリシテアが踊ってくれるとかいってたからあいつを最初に……
そうやって、いろいろ考えているとフレンから声をかけられた。
「凄くおいしいケーキでしたわ、オーディンさん! ……そろそろ最初の演奏が始まるようなので、わたくしと一緒に踊ってくれませんか?」
「ほう……この“漆黒のオーディン”と最初に踊る栄誉を賜りたいと? ……良いだろう」
フレンは士官学校で一番仲の良い女子なので最初に踊る相手としては丁度良いな!
……大広間の入り口近くのほうから殺気のような視線を感じるが、それはまあ気にしないでおこう。
「では、お手をどうぞ“お姫様”」
「ま! ありがとうございますわ“王子様”」
楽団の演奏に合わせてゆっくりと踊る、こういう踊りは基本的なステップさえ知っていれば後は相手と楽しむだけだ……昔受けた“上流貴族の嗜み”教育が役に立つ日が来るとは思ってもみなかったがな。
フレンも練習したらしく上手く踊れていて、楽しそうだった。
「なかなか上手く踊れてたな……練習の成果があったんじゃないか」
「ふふっ、オーディンさんもお上手でしたわよ。意外となんでもできるのですね」
踊り終わってお互いの踊りの感想を話し合う。
フレンとは必殺技の練習もたくさんした仲だから、息も合っていたと思う。
「意外は余計だ……この“漆黒のオーディン”に不可能の文字はない」
「ありがとうございました。殿方と踊るのって初めてでしたけど、とっても楽しかったですわ! では、別の方とも踊ってみますので……それでは、ごきげんよう」
そう言うとフレンは次の相手を探しに行ってしまった。
大広間の入り口から感じていた刺すような殺気も消える……セテスさんにはしばらく近づかないようにしておこう。
「オーディン見てたわよ~上手だったわね~」
「あたしたちとも踊ろー!」
「お、メルセデスとアネットか! よろしくたのむ」
次はメルセデスとアネットか……ローレンツじゃないが誘いが止まらないなぁ、いやぁ困った困った。
◇◇◇
「あの……私なんかと踊っていただき、ありがとうございました」
「我が闇の
「……あっ、はい」
踊りを終えてマリアンヌと別れる。
マリアンヌを誘って踊ったから、
先生とはまだ踊っていないが、あの人は食べたりいろいろな生徒に踊りに誘われたりで忙しそうだ……
ここはそろそろ一度抜けて、とある噂のある『女神の塔』へ行ってみるのも良いかもしれない。
「オーディン、手は空いてるかしら?」
「我が“闇の同胞”よ……貴様も俺との踊りを所望か?」
そんなことを考えているとエーデルガルトが声を掛けてきた。
そういえば、エーデルガルトとはまだ踊っていなかったな。
「……こんな機会はもう無さそうだから、貴方と踊ってみるのも悪くないわ」
確かにアドラステア帝国の皇女が平民と踊る機会なんてもうないだろうなあ……
エーデルガルトの手を取って踊りだす。
今演奏されている曲は白鷺杯で課題舞踊でも演奏されていたゆったりとした曲で、フォドラの舞踏会では最も流れることが多い曲らしい。
ゆっくりと踊るエーデルガルトを横目で見ると穏やかな表情で楽しそうだ……エーデルガルトは「最近はやることも考えることも多過ぎて疲れる」と言っていたので、この舞踏会で気分転換できているようでなによりだ。
「学校は楽しいよなあ……エーデルガルトもそう思うだろ?」
「そうね……すべてを忘れて閉じ込められていたいほどにね」
踊りが終わってエーデルガルトと話すと少し寂しそうにそう言った。
もう三ヶ月もしたら卒業だもんな。
◇◇◇
舞踏会を抜け出した俺は大聖堂の隣にある『女神の塔』まできていた。
俺がこの『女神の塔』までやって来たのには理由がある。
ガルグ=マク落成の日の夜に『女神の塔』で願い事をすれば女神様が現れて願いを叶えてくれるらしいのだ。
もしセイロス教の女神様が、俺たちをこの世界に連れてきた“あの女神様”だったとしたら、彼女にまた会える良い機会かと思い、ここに来たのだ。
この日のために女神様と交信できるような呪術を開発してきたが成功するかはわからないな……ぶっつけ本番だが仕方がない。
呪術道具を並べながら、かっこいい呪文を考えていると背後から人の気配を感じた……
通路の奥は暗くてよくわからないが間違いなく誰かいる。
「そこにいるのは誰だ……? 隠れていないで出てこい……!」
俺がそう言い放つと、カツカツと足音を立てて暗闇の中からとある人物が姿を表した。
「気配に気付くとはさすがね、オーディン。私は“灰色の悪魔”ベレス……時のよすがを辿りし邪神の依り代、選ばれし闇の導き手よ」
「……なんだ、先生でしたか、驚かさないで下さいよ! ……しかし、いつの間にそんな血が騒ぐようなかっこいい決め台詞を考えたんですか?」
「一度やってみたかった。オーディンごっこは楽しいね」
先生は機嫌が良いのかニコニコ笑っている。
傭兵時代はこんなに感情を表情に出す人ではなかったけれど、士官学校に来てから喜怒哀楽が顔に出て大分わかりやすくなった。
「……でも、なんで先生はこんなところに?」
「オーディンが舞踏会を抜けていったのが見えたから追いかけてきた」
「ええ? お、俺は別に何も企んではいませんよ……!」
「じゃあ、その怪しい道具は何?」
しまった! 呪術で女神様と交信しようとして道具を並べてたんだった。
これがバレたらまたセテスさんやルーナたちに説教されてしまう……
しかし、先生はとくに怒った様子もなく「何をするつもりだったの?」と興味津々で聞いてくる。
「先生はこの“女神の塔の伝説”について知ってます? ガルグ=マク大修道院落成の日の夜、願い事をすれば女神様が現れてなんでも願い事を叶えてくれるんです!」
「聞いていたのと違うような……?」
「あれ? そうなんですか」
先生が聞いた噂というのは俺の知っている伝説とほとんど変わらないが、
「ありゃ、そうだったのか……それならルーナでも連れてくればよかったな」
「……大丈夫、私も女だよ」
それもそうだった。
しかし、先生と二人きりで願い事か……なんだか、急に気恥ずかしい気分になってきた、
今日は特別な日なのか、舞踏会にしろこの女神の塔にしろ……女の子相手にそういう出来事がやけに多い気がする。
「オーディンは何をお願いするの? 新しい必殺技? 伝説の武器?」
「あっ、いや……俺は願い事というより、女神様に会いたかったんですよ……」
「……オーディンが女神に?」
「まあ、とにかく願い事をしないと女神様も来てくれませんよね……俺は、そうだな……『フォドラの平和』をお願いしますかね」
「……ふふっ、その願い事なら私と同じだね」
もともと、その『フォドラを救う』という女神様のお願いを叶えるために俺たち三人はやってきたのだ。
セイロス教の女神様にお願いしても罰は当たらないだろう。
先生と一緒に天に祈る。
「……出てきませんねぇ、女神様」
「いいえ、きっと見てくれてるよ女神様は」
そう言うと何故か先生は何もない空間を見つめている……そこに何かあるのだろうか?
「でも、オーディンが女神様に会いたいと思ってるなんて初めて知った。信仰魔法は得意だけどセイロス教徒じゃなかったよね」
「そ、それは……」
「どうして女神様に会いたいの? 別の大陸出身の貴方が……」
先生は何もかもを見透かすような目で俺を見てくる。
急に言われると返答に困るな……セイロス教の女神様が俺の知っている女神様じゃない可能性もあるし……
「……アズール、セレナ」
えっ!? どうしてその名前を!?
先生が呟いた名前に驚きを隠せない……それはあいつらの真名……!
「出会ったばかりの頃、オーディンはよく間違えてラズワルドとルーナのことをそう呼んでいた」
俺の馬鹿!!
この世界に来たばかりの頃、確かに俺は新しい呼び名に慣れずラズワルドとルーナを真の名前で呼んでしまいよく怒られていた……まさか先生が覚えていたなんて……
「貴方の本当の名前は“オーディン”なの?」
「……いえ、本当の名前はウードです。“漆黒のウード”二人の英雄の血を引く選ばれし希望の戦士」
「ウード……異名は“漆黒”のままなんだね」
……しかし、これは良い機会なのかもしれない。
俺たちの使命については三人で話し合ってジェラルトさんと先生に話すことに決めていたし、出来ればジェラルトさんとラズワルドとルーナを含めて話したかったがそれはもう良いか……
意を決して切り出す。
「先生……少し長くなりますけど、俺の……俺たちの使命について聞いてくれますか?」
◆◆◆
あれは、俺がまだ“救われた過去の世界”にいたころ……選ばれし希望の戦士“漆黒のウード”だったころだ。
世界を救った俺たち“選ばれし希望の戦士たち”とその親世代である現在の英雄たちは各地で平和になった世界を謳歌していた。
流れの傭兵となった“漆黒のウード”こと俺とアズール、セレナはたまたま三人一緒になった仕事を終えてイーリス城まで帰還したところだった。
「そこの
顔と全身を隠した怪しい人物……のような格好で遊んでいる? 女の子に声をかけられた。
「ええと、どうしたの君? 平和になったとはいえ、城壁の外で遊ぶのは危ないよ」
「たわけ! わしを子ども扱いするでない!」
「でも、どう見たって子どもじゃないの? あたしたち仕事で疲れてるから、遊んであげれないわよ」
「いや……ここで無視するのは可哀想だ。この“漆黒のウード”先ほどまでしていた任務……その激動の記録を語って聞かせてやろう」
「だから遊んでほしいわけではない! 話を聞かぬか!」
目の前に現れた幼い少女は切羽詰まった様子で話すので流石の俺たちも話を聞かないわけにはいかなかった。
「おぬしらにはわしのいる世界を救ってほしいのじゃ」
「世界? 村とか町じゃなくて?」
「そうじゃ……村でも町でも……国でもない……世界じゃ」
そういうと少女は顔を隠していたフードを取り払って素顔を見せた。
幼く可愛らしい顔立ちとマムクート族のような細長い耳と濃い緑髪だ。
「あんた……マムクートなの?」
「いや違う……わしはもっと原初に近い存在じゃ……この世界ではナーガと呼ばれておる者がわしに近いか?」
「ナーガ様に? それなら……世界を救ってくれ、なんて言うのもわかるけど……なぜ僕たちなんだい?」
アズールが疑問の声を投げかける。
俺たちは確かにこの世界を救った戦士たちの一人であるが目立った英雄だったわけではない。
「おぬしらがわしが設定した条件に最も近い者たちだからじゃ……〈若くて強い、さらに強くなる力を秘めた、善なる心を持つ三人組〉この条件のもとで探した結果お前たちの前に姿を現した」
「その条件ならあたしたちがこの世界で最も近いってのね……それは、悪い気はしないわね」
「しかしなぜ三人なんだ? あと十人くらいならその条件にピッタリの連中を知ってるぜ」
ルキナ、マーク、シンシア、ブレディ、ジェローム、ロラン、デジェル、ノワール、ンン、シャンブレー……一部頼りないやつもいるけど〈若くて強い、さらに強くなる力を秘めた、善なる心を持つ者たち〉だ。
「……うむ、もうわしの力では世界を渡る転移は
「あれ、六回なら六人なんじゃ……?」
「おぬしらが元の世界に戻れぬのを許容してくれるのならそれでもわしは構わぬが……」
「せっかく平和になったのに、戻れなくなっちゃったら困るわ!」
「この世界には生きている父さん母さんもいるしね……」
……俺の父さんはギムレーとの戦いを終えて消滅してしまったが、せっかく会えたまだ生きている母さんともう会えなくなってしまうのは寂しいからな。
「それに……おぬしらに行ってもらう異なる世界は多くの可能性に満ちた場所……もしもの道が交錯する世界。……そのはずじゃったが、今は滅びる未来しか存在しなくなってしまったのじゃ」
「ええっ!?」
「だから『世界を救ってくれ』なんて言っているのね……」
「闇の任務はかっこいいが……どうやらかなり危険な任務らしいな」
滅び行く世界を救う任務……いや、使命か……英雄物語のようにかっこいいが、命あっての物種だからなあ。
「……わしも無理強いをするつもりはない。おぬしらが依頼を受けてくれぬのなら別の者を探すが……」
「ま、待って! それでも行くよ、僕たち」
「別に行ってあげないとは言ってないじゃない」
「ああ。大した報酬はなさそうだが……俺も力を貸してやろう」
少女が依頼をやめようとするのを三人で制止する。
すでにアズールもセレナも依頼を受けるつもりのようだ。
「引き受けてくれるのか? なぜじゃ……」
「……わかったからよ、本当に困ってる、ってことが。あたしたち、こう見えて人生経験豊富なのよ。だから、めんどくさいことに本当に困ってる人はわかっちゃうのよね」
「うん……そういう人がいたら、力になりたいって思うんだ。僕たちで何かできるなら、手を貸したい。……たとえ騙されてもね、信じてみようって思うんだよ」
「……それに、俺たちは世界が滅ぶことの悲惨さも、世界が救われることの歓喜も知っている……俺たちの手で救える世界があるのなら行かない選択肢はない」
滅びの未来を辿ってしまった俺たちの本来いた未来の世界……いる邪竜ギムレー倒し救われた
ギムレーを倒す時には脇役でしかなかった俺たちに救える世界があるのなら、喜んで行こうじゃないか。
「うむ、さすがはわしが見込んだ希望の子等よ……では、もう一度問う、我が使命を受けることに異論はないのじゃな」
「もちろんよ!」
「まかせて!」
「選ばれし者の血が騒ぐぜ……!」
「……ではこれより我が世界に招待する」
少女が両手を広げると魔力が俺たちの周囲に満ちて景色が変わる。
……転移した先は薄暗い神殿のような部屋だ。
中央の階段を登った先にある玉座に先ほどの少女が腰掛けている。
「ここはわしの精神世界のような物じゃ……世界を渡る前にちと準備が必要と思ってな」
「精神世界……? こんな、本当に神様みたいな力を……」
アズールが周囲を見回し驚きの声をあげている。
「うむ、わしは“始まりのもの”神祖ソティス、おぬしらのこれから行くフォドラでは女神とよばれておる」
「女神様なのね……でも、それにしては子ども過ぎない? あたしたちのイメージとは全然違うんだけど」
「そうだよな……女神様っていったら、大人の女性の、それこそナーガ様みたいな人のイメージだ」
「余計なお世話じゃ! わしだって好きでこの姿になっとるわけじゃない! ……と、今はそんなことはどうでもよいのじゃ」
女神様が言うには、今から行く世界は紋章という特殊な血筋の証があるそうで、俺の聖痕のような血筋を示す特徴は見えなくしたほうが良いらしい。
「あとは髪色を変えて、名前を付け替えれば完璧じゃな」
「なに!? 新たなる名だと……!?」
なんだ、その血を騒がせる設定は……!
聖痕を隠し、姿と名前を変えて世界を救う使命を果たす……! 素晴らしいじゃないか!
「女神様、ウードの聖痕を隠す意味はわかったけど、髪色や名前まで変える必要あるんですか?」
「この髪色、父さんと一緒の色で気に入ってるんだけど……」
「うむ、わしが新たな姿と名前を与えることで加護を与えることが目的じゃ……」
アズールとセレナは少し不満そうだったが女神様がそう言うと納得した様子だった。
「……では、おぬしらには新たな力を授けよう。我は“はじまりのもの”……フォドラの守護者にして生きとし生けるものを導く神祖ソティス。虹の地より来たる希望の光に新たなる力を。神祖竜の加護を受けしその名は──」
周囲をおびただしい量の魔力と光が包む……!
身体中が……胸の奥が熱い……! 俺の、真の力が解放される……!
「オーディン、ラズワルド、ルーナ……それがおぬしらの新しい名じゃ」
アズールはラズワルドとなり髪色は青みのある薄茶色に、セレナはルーナとなり髪色が赤に変わっている。
俺も父さんと同じ白髪だったけど母さんのような金髪に変わっているらしい。
「オーディンか……いい響きだな。血が騒ぐぜ……!」
「これが、新しい姿…新しいあたしか」
「ルーナ、君のその新しい髪色も可愛いよ」
「身体の変化にはおぬしら各自で慣れておくとよい……最後にこれを渡しておく」
そういうと女神様は緑色の宝玉のような物を三つ取り出して渡してきた。
「……これは?」
「おぬしらが元の世界に戻るためにわしの力を封じてある宝玉じゃ……もう会うこともないじゃろうから先に渡しておく……」
「元の世界に帰るためにしか使えない物かですか……」
「世界を渡るための力を込めた物じゃから、別の世界から人や物を取り寄せることも出来るが……一度しか使えぬから滅多なことで使わぬようにな」
元の世界に戻れなくなったら困るからなあ……しかし、もしもの時には使えるかもしれないということか……
「光の渦の先には新たな世界が待っておる……頼んだぞ選ばれし希望の子等よ」
「はい! 任せて下さい、女神様! ……ラズワルド! ルーナ! 準備はいいか? 新たなる世界で使命を全うするぞ!」
「新しい世界では、かわいい女の子に会えるかな?」
「オーディン、なんであんたが仕切ってるのよ!」
……フッ、この二人は相変わらずの調子だな。
光の渦が渦巻き俺たち三人を包み始めた。
この先には俺に救われようとしている世界があるのか……血が騒ぐぜ……!
“漆黒のオーディン”の世界を救う戦いは今始まった……!
◆◆◆
「こんな感じで……俺たちは女神ソティス様に……って、先生!? 聞いてます!? これ、めちゃくちゃ大事な話ですよ!!」
先生は俺の話を聞いて眠そうにしていた。
たしかに長話だったし、最近先生はどこか体調を悪そうにしていたけど……流石にあんまりですよ!
「……ごめんなさい、オーディン。意識が保てなくて……部屋に戻るから続きはまた今度聞かせて……」
先生はそう言うとフラフラと女神の塔から去って行った。