ファイアーエムブレム風花雪月 異伝 漆黒のオーディン   作:すすすのすー

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白雲の章 守護の節 EP.10 宿命
第46話『if~ひとり思う~』


 この時期のフォドラの早朝は冷え込む。

 訓練場で篝火を頼りに、吐く息を白くしながら、俺は無言で愛剣ミステルトィンを振るっていた。

 

 

 ──もし、俺の治療が間に合っていたら

 

 

 昨日、先生は〈バトルシスター〉で出撃していた。

 その先生が回復魔法を使っていないはずはない。

 マヌエラ先生の検死でも、あれは致命の一撃だったと判断されている。

 

 

 ──もし、あの時ジェラルトさんと行動できていれば

 

 

 先生が敵に気づいて咄嗟に伸ばした天帝の剣はソロンと似た姿をした魔道士に防がれたらしい。

 俺があの場に居て何かできただろうか? 先生のように咄嗟に危険に気づけたか? 天帝の剣の一撃を防ぐような敵を相手にジェラルトさんを守れただろうか? 

 

 

 ──もし、モニカの正体に気づけたなら

 

 

 ジェラルトさんを殺害した下手人は、フレンと共に地下から救出された黒鷲の学級(アドラークラッセ)のモニカだ。

 思えば、モニカには違和感しかなかった。

 なぜあれほどの戦闘力を持っていたのに拐われたのか、なぜ一年も誘拐されていたのに無事だったのか、なぜ一年前と性格が違うのか……ソロンのように潜入のために入れ替わっていたと気づけなかった自分が情けない。

 一度だけ会話したあの時に、調べることができていたらジェラルトさんを失うことはなかった。

 

 

 

 ──もし、この世界を救うために召喚されたのが俺じゃなかったら

 

 

 ルキナだったら、クロムさんだったら……父さんだったら……なんとかできたのだろうか

 

 

 剣を振りながら考えるのは、もし(if)の話……いくら後悔しても、ジェラルトさんは帰ってこない……無意味な話だ。

 

 

 ふと、訓練場の入り口を見ると見知った少女が姿を現した。

 

 

「あんなことがあっても、貴方は訓練を続けるのね……誰も見ていない、この時間から……」

 

「……ただの日課だよ、エーデルガルト。……部屋でウジウジ後悔してるより……鍛練しながら後悔していたほうが、いくらか良いだろう?」

 

 

 エーデルガルトとここで会うのは、数節前、俺が黒鷲の学級(アドラークラッセ)から金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)に戻る直前の日以来だ。

 あの日を最後にエーデルガルトもフレンも、早朝の訓練所に姿を見せることはなくなった。

 

 

「お前も珍しいな。今日も悪夢で目が覚めたのか?」

 

「……眠れなくて外を眺めてたら、貴方が通るのをたまたま見かけたから」

 

 

 こんな時間まで眠れないとは、よほどのことだな。

 俺も、昨日ジェラルトさんが亡くなっていつもよりも眠れなかったが、全く寝てないわけではない。

 どんな時でも休めるようになったのは前の世界にいた頃の癖だろうな……疲れがとれないまま戦い続けるのは死に直結する。

 

 

「眠れないなら、良い薬草があるぞ……最近はだいぶフォドラの薬学の知識も覚えてな」

 

「いえ、いいわ。……そんなことより、貴方が思ったより元気そうで良かったわ」

 

「……そんなことはない……落ち込んでるよ」

 

「それでも、今の貴方は立ち上がって、自分を鍛えてる。……本当に強いわね」

 

「弱いさ。だから、()()守れなかった」

 

「…………」

 

 

 仮に、ジェラルトさんのそばに居ても、今の俺には守れなかっただろう。

 だから、もっと強くならなければならない。

 一人でも多くの仲間を死なせないために。

 

 

「ジェラルトさんはフォドラに来て、最初に出会った人なんだ」

 

 

 ──なんだ? お前らどこから出てきた!? 

 

 

 ぽつりと、俺が呟いたのをエーデルガルトは続きを促すように小さく頷く。

 

 

「最初は、こっちの言ってること何も信じてくれなくてさ。でも、『何も知らないガキを見捨てるのは寝覚めが悪い』っていって傭兵団にお供させてもらって……」

 

 

 ──ガキが傭兵なんかに憧れるんじゃねえよ。どっかの貴族に仕官すれば良いだろう、その腕前ならどこでも雇ってくれるぞ

 

 

 そういえば、最初は胡散臭そうにしていたかな。

 まあ、俺がその胡散臭さの大元であるんだろうけど……その頃のジェラルトさんは教会から距離を置いていたし、俺たちが士官学校の出身と思っていた時期もあったから、機会を見て離れようと思ったのかもしれない。

 

 

「でも、俺たちが一人娘のベレスと仲良くなったのを見て正式にジェラルト傭兵団に入団して……あの人、ああ見えて子煩悩だから」

 

 

 ──ルーナ、ラズワルド、オーディン、あいつのことを頼んでいいか? 

 

 

 大司教の一声で、急に先生になったベレスを守るために士官学校に俺たち三人を入学させるなんて、今考えても結構無茶苦茶だな……でも、そのお陰で前の世界では考えたこともなかった得難い経験をさせてもらえている。

 

 

 ──学校は楽しいか? オーディン。

 

 

「士官学校にも入学させてもらって、本当になにもかもしてもらうばかりだった……ジェラルトさんは俺たちの大恩人だ」

 

「……そう」

 

 

 ──……俺になにかあったらアイツのことを……

 

 

 先生は唯一の肉親であり、尊敬する師でもあった父ジェラルトさんを失って落ち込んでいる。

 先生にだってしてもらうことばかりだったんだ。

 こういうときこそ、支えてあげないと。

 

 

「オーディン。貴方はジェラルト殿を殺した者たちをどう思う?」

 

()()()は敵だ。それは変わらない」

 

「……復讐を望むのかしら?」

 

「復讐とは違う……この落とし前はつけさせるけど、やつらの目的が何なのか調べて、それが良くないことなら阻止する、それだけだ」

 

 

 そもそも、やつらの目的が何なのかわかっていない。

 セイロス教団と敵対関係なのは明らかで、ルミール村や昨日の一件で悪逆非道な連中であるのもわかっている。

 教団を倒したいのか、フォドラを支配したいのか……あるいは、もっと大それたことを考えているのか……わからないことだらけだ。

 

 

「わかっているのは、やつらの中にも派閥みたいなのがあることだな」

 

「……どういうこと?」

 

 

 エーデルガルトが驚いている。

 エーデルガルトもやつらについて気になるのか少しは調べているみたいだが、黒鷲の学級(アドラークラッセ)はやつらと戦ったことがないから情報は少ないようだ。

 

 

「ソロンとミュソンたち、炎帝と死神騎士たちはたぶん別の派閥だ。お互いの利害が合って行動しているような関係だろう」

 

「炎帝……貴方は会ったことがあるのよね」

 

「炎帝はソロンたちよりは話が通じそうだな……まだ目的がわからないから交渉のしようがないが」

 

 

 炎帝は“世界をあるべき姿に還す者”と名乗った。

 それが何を意味するかはわからないが、先生とジェラルトさんに「手を組まないか」と言ってきたこともあるし、メルセデスの弟エミールの件もある。

 俺たちにとって、間違いなく鍵になる人物だ……正体だけでも突き止めないとな。

 

 

「……以前、貴方は言っていたわね『フォドラに来たのは目的がある』と……その目的と炎帝の目的が重なる可能性はあるのかしら?」

 

「それはわからない。……そうだ。ラズワルドとルーナと話合って決めたんだが、俺たちの目的を一部の人に話そうと思ってたんだ。……エーデルガルト、聞いてくれないか?」

 

「! ……私に話してくれる気になったのね。貴方たちが来た目的を」

 

「ああ、やっと敵の姿は見えてきた……あとは味方を集めなければな」

 

 

 エーデルガルトはフォドラ大陸三国で最も強大な軍事力を持つアドラステア帝国の次期皇帝だ。

 彼女の協力を得ることができれば、間違いなく()()()を打ち倒すことができるだろう。

 

 

「ああ、でもその前に…………お前ら、いつまで隠れて聞いてるんだ!! 我が闇の力の前にその程度の隠形は通じないぞ!!」

 

 

 入り口のほうに声をかける。

 知っている奴の気配なので、今まで気にせず話していたが、さすがにこの話は直接話したい。

 

 

「あちゃー、バレてたか……」

 

「すまない、オーディン。すぐに出ようかと思ったのだが……クロードに止められてな……」

 

「!? ……クロード! ディミトリ! ……いつから、そこに……」

 

 

 クロードとディミトリが姿を見せた。

 エーデルガルトは気づいてなかったようだ。

 

 

「……エーデルガルト、君が部屋を出ていくのをたまたま見かけてな……」

 

「そんで、俺はこそこそ後をつけてる王子様をたまたま見つけてな……いやあ、早起きはしてみるもんだよ。おかげで面白い話が聞けた」

 

「……どこから、聞いていたの?」

 

「ジェラルトさんとの思い出話からオーディンの考察までさ……別に、聞けば教えてくれるような内容だったんだろ、オーディン?」

 

「まあ、そうだな……話す手間が省けたといえばそれまでだけど……今から話すことは直接話したいからな」

 

「……ということは俺たちにも、お前らがフォドラに来た目的ってのを教えてくれるわけか」

 

 

 クロードは悪びれる様子もなく聞いてくる。

 そういうとこだぞ……この問題児め。

 エーデルガルト、ディミトリ、クロードの三人に俺たちの目的について教えることは以前から決めていたことだ。

 もう、誰も聞き耳を立てていることはないだろうし、ここで全て話してしまおう。

 

 

「じゃあ、クロード、ディミトリ、エーデルガルト、少し長くなるが聞いてくれ……」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 かつて俺たち三人は滅び行く未来の世界から過去の世界に転移し、世界を救うために戦ったこと。

 前の世界を救った後に、この世界の女神様から呼び出されて『滅びる未来しか存在しなくなった』この世界を救うように頼まれたこと。

 本当は俺のカッコいい活躍を要所要所で織り混ぜながら話したかったのだが、今日はそういう気分じゃない。

 

 

 

「……以上が俺たちがここに来た目的……俺たちの使命だ」

 

 

 全てを話終えると空がだいぶ青くなってきている。

 エーデルガルト、ディミトリ、クロード、このフォドラの次期指導者三人相手に篝火の前で暖をとりながら自分の話をすることなんて二度とないだろうな。

 

 

「にわかに信じがたい話ね……」

 

 

 エーデルガルトは眉間にシワをよせて額に手を当てている。

 話を聞くのに疲れたのか顔色も悪い。

 

 

「いつもの与太話じゃないよな、オーディン……それが、本当ならお前はまるで本物の英雄じゃないか……」

 

「……英雄……そんなものじゃないさ、俺は最後まで訳もわからず必死に戦ってた“ただの脇役”だ」

 

 

 クロードの言葉に、俺は素の感情で答える。

 絶望の未来での戦い、別大陸との戦争、ギムレーとの決戦……あの時の俺は本当にただの脇役だった。

 そして、今回の使命でもきっとそうだろう。

 天帝の剣を持つ先生、フォドラ三国の指導者の三人の級長、彼らと一緒に戦うだけの、ただの脇役だ。

 

 

「お前も、王族の血を継ぐ者だ……脇役なんてことはないだろう」

 

「! ……今の話でオーディンが王族なんて言ってなかったわよ、ディミトリ。オーディン、どういうことかしら?」

 

「関係ないから省いたけど、俺はさっきの話の聖王様の妹の息子……つまり甥にあたるんだ。それでも、王家に伝わる武器、英雄の遺産みたいな物を継承する人は別にいるし、俺はその予備みたいなものだよ」

 

 

 少し前に話をした、俺が王族であることをディミトリは覚えていたらしい。

 前の世界からいなくなっても問題ない人物で、若くて実力があって一応王族の血を継ぐ者もいる……女神様にとっては最も良い条件だったのがたまたま三人揃って仕事していた俺たちだったのだろう。

 

 

「王の妹の息子ねえ……俺はなかなかの大物だとは思うけどな」

 

「まあ、俺の過去はもう別に良いよ……お前ら三人にはこれから滅びる未来にあるフォドラについて考えて欲しい……世界を滅ぼそうとするやつらの存在だ」

 

 

 俺たち三人の過去については女神様が直接召喚したという話に信憑性を出すために話をしたにすぎない。

 ただの若い傭兵三人組が世界を救うために来たなんて言っても信用できないだろうからな。

 重要なのは、この世界の危機についてだ。

 

 

「それが、ルミール村や昨日の一件の連中と言いたいんだな」

 

「やつらは俺たちの世界を滅ぼそうした連中と同じ魔術を使っていた。死人を縛り従属させて兵にする最悪の術だ」

 

 

 屍兵(しかばねへい)、俺たちはそう呼んでいる。

 かつて俺たちの世界を滅ぼそうとした邪竜教は、大量の屍兵を召喚する冥界の門を各地で開き世界を破壊して回った。

 あんなことをさせるわけにはいかない。

 

 

「……連中が私たちが思っているよりずっと危険な術を使うというのはわかったわ。でも、私は貴方たちを召喚した女神を名乗る存在を信用できない……本物の女神かどうかもわからないわ」

 

 

 エーデルガルトにそんなことを言われてしまう。

 そもそも女神様を名乗る存在自体が信用できないらしい。

 

 

「確かに、セイロス教の女神様とは姿形がだいぶ違うんだよな。ちんまい女の子だったし」

 

「セイロス教の女神様はどえらい美女って聞くし、ひょっとしたら別の神様かもな」

 

 

 クロードが言うようにセイロス教の女神様は成熟した美女と言われている。

 これが、教団に俺たちの使命を話すかどうか迷っている理由だ。

 

 

「エーデルガルト。『世界が滅びる』と言っている神様みたいな力を使う存在、実際にいる俺たちの世界を滅ぼした危険な術を使うやつら、そしてそれを阻止するために俺たちがこの世界にやってきた。その女神様が信用できない……あるいは本物でなかったとしても、危険な存在いることはわかるだろう?」

 

「……そうね、それは理解できるわ」

 

 

 エーデルガルトは心底疲れたように頷く。

 考えたら、こいつは眠れなくて一晩中起きてたらしいからショックの大きい話を聞かされてさらに疲れたのかもな。

 

 

「やつら……敵勢力にはソロン、ミュソン、モニカ……そして炎帝、死神騎士がいる」

 

「さっきの話ではソロンたちと炎帝は別の派閥になるんだろう。モニカはどっちなんだ?」

 

 

 クロードの問いかけに少し考える。

 どちらとも言える話なんだよな。

 

 

「炎帝はジェラルトさんと先生を仲間にしたがっていたから暗殺はしないとも言えるし、ルミール村での別れ際に『その選択、後悔するでないぞ』なんて言ってたから排除に移ったとも考えられる……前者だったら良いんだけどな」

 

「なぜだ?」

 

 

 今度は口数が少なくなっていたディミトリから疑問が上がる。

 

 

「もし後者なら、交渉がしにくくなる。それに、先生も炎帝を赦さないだろう」

 

「……やつらはジェラルト殿の仇でお前たちの敵だろう。最初から交渉も赦す必要もないはずだ」

 

 

 ディミトリは不快そうに口にする。

 いつものディミトリとは少し様子が違う、どこかピリピリしてて威圧感がある。

 

 

「こっちにも事情があってな……炎帝ではなく死神騎士の話なんだが、アイツがイエリッツァ先生なのは知ってるだろう?」

 

「ああ……まさか知り合いだから助けたいとでも言うのか?」

 

「それも少しはあるんだけど、実はアイツ……青獅子(お前)の学級のメルセデスの弟なんだ。メルセデスはイエリッツァ先生……本当の名前はエミールっていうんだけど、弟を助けたいって言っているし、協力したいんだ」

 

「……メルセデスの弟なのか」

 

 

 ディミトリは先ほどの雰囲気とは変わって動揺し始めた。

 エーデルガルトも少し驚いている。

 

 

「教会と敵勢力……姉弟で殺しあうなんてことになったら悲しいだろ? だから炎帝とも交渉できる余地を残しておきたい」

 

「兄弟親族で殺しあうなんて、フォドラでも別の国でも珍しいことじゃあないと思うけどな」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 クロードがどこか皮肉げに言ってくる。

 確かにフォドラの歴史の中ではそういうことも多く起きていたし、シルヴァンのような例もある。

 だけど友人にそんな悲劇は起きてほしくないし、何よりもメルセデスに救うと約束した。

 

 

「『世界の破滅』について知ってるのは今のところ先生だけだ。でも、教団の……とりあえずセテスさんと、上位貴族を親に持つ生徒には話そうと思っている」

 

「上位貴族ね……具体的には誰なんだ?」

 

「金鹿はヒルダとローレンツ、青獅子はフェリクスとシルヴァン、黒鷲はフェルディナント、ヒューベルト、カスパル、リンハルト」

 

 

 話していて気付いたが、そういえば俺の正体と目的自体はリンハルトとハンネマン先生は知ってるんだったな。

 リンハルトのやつは性格的に親に言いそうにないので『世界の破滅』については話すように言っておかないとな。

 

 

「上位貴族……マリアンヌは分かるが、リシテアを外してるのはなぜなんだ?」

 

「アイツはいつも勉強で忙しそうだし、コーデリア家自体も大きくないらしいからなあ」

 

「まあ、理由があって外してるなら別にいいが……アイツ、後で知ったら怒るぞ、絶対」

 

「そうか?」

 

 

 クロードとそんなことを話す。

 余計なこと教えるほうが、怒ると思うんだが……「こんなこと教えて、両親を心配させたくないです!」なんて言いそうだ。

 

 

「フェリクスとシルヴァンか……あいつらならたぶん大丈夫だと思うが、説明はお前たちでしてくれ……俺では上手く伝えられるかわからん」

 

「そうか、ならそうするぞ。……あと、ドゥドゥーみたいにお前自身が信用できそうな奴なら言ってもいいぞ」

 

 

 ディミトリが信頼できそうなやつなら話すことは問題ないことを伝える。

 いずれ王様になるとはいえ一人で抱え込むのは大変だろうしな。

 

 

「ヒューベルトには、相談も兼ねて私から伝えておくわ。……残りの三人は私から話すと面倒そうだから貴方たちに任せるわ」

 

「おう、カスパルとか理解できるかわからんだろうしなあ」

 

 

 まあ、カスパルに伝わらなくても、その親のベルグリーズ伯に伝われば問題ないだろう。

 まさか、軍務卿がカスパル並みの残念な頭ということはないだろう。

 

 そういえば、三人には俺たちの使命を教えただけで、肝心の協力を得る承諾がまだだった。

 最後にしっかり言っておかないとな! 

 

 

「俺を召喚した女神様はひとりひとりの不幸を救ってくれる訳じゃないが、世界が滅びようとしている時には手を差し伸べてくれる」

 

「それは、たった三人の人間を召喚するというほんの小さな力だ。でも、俺はそれを無意味なものにしたくないんだ」

 

「世界を救うためには俺たち三人の手では足りない。国という大きなものを動かせる人の手が必要なんだ。エーデルガルト、ディミトリ、クロード、頼む協力してくれ」

 

 

 そう言い切ると三人は顔を見合わせた。

 

 

「本当に……お前は、まるで騎士物語の主役のようだな。まだ、王にもならない身だが約束しよう、俺にできることがあれば任せてくれ」

 

 

 ディミトリが穏やかに笑いながら言う。

 

 

「いつもの奇怪な発言がないと、ここまでまともなのね。……でも……悪いけど帝国は全てにおいて協力するとは言えないわ。ただし、あの危険な連中の排除だけは必ずする……これは約束するわ」

 

 

 とエーデルガルトが含みを持たせながら言う。

 

 

「まだ次期盟主に決まったわけじゃないが、この世界が滅んだら俺の野望も潰えちまうからな。俺も協力させてもらうよ」

 

 

 クロードが不敵に笑いながら言う。

 

 

 空はすっかり夜が明けて、訓練所にも明るい光が射し込んできた。

 この、昇る朝日は誰を照らすのかな。

 

 

 




オーディンがほぼ中二病口調ゼロ…!
たぶん、そういう日もありますよね

次回からは、また中二病口調に戻る予定です
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