ドラゴンスレイヤー装備でゴブリンスレイヤーの世界に転移しました 作:土星土産
むかしむかし、光と秩序と宿命の神々と、闇と混沌と偶然の神々のどちらが世界を支配するかを戦争ではなくサイコロで決めることにしました。
しかしいつまでも決着がつきません。
そして神々はサイコロだけでは飽きてしまいました。
彼らは駒と、駒を置く盤面として彼らの住む世界を作りました。
そんなある時、一人の騎士が現れました。
彼らの理に縛られない
そんな存在を神々は、ある者は嫌悪し、ある者は好ましく思いました。
彼が世界に与える影響は水面にたつ波紋のように広がります。
静かに、しかし確実に──。
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辺境のギルドに勤める受付嬢は普段と少し雰囲気の違うギルドを見渡しため息をつく。
今日はギルド全体がいつもよりも騒がしく落ち着きがない。
といっても白金という例外を除いて、事実上の最高クラスである金等級の冒険者がこの辺境を訪れたのだから仕方ないのかもしれないが──。
現在、当の竜狩りの騎士はすでにギルドを後にしている。
何やらゴブリンスレイヤー のことを気にしているようで、
想い人について聞かれた受付嬢は張り切って色々話したのだが
先程新人の女神官と駆け出し冒険者の一党がゴブリン退治に行き、
ゴブリンスレイヤーが彼らのあとを追うようにギルドを出た話をすると
何やら慌てた様子で出て行ってしまった。
まだ
彼が去ったあとでもギルド全体が──駆け出しの冒険者などは特に──浮ついている。
冒険者にとって等級の持つ意味は大きい。
一つ等級が違えば待遇も信用も当然得られる報酬も大きく違う。
だからこそ査定は厳しく行われ
強さだけでは足りず、人格もそれに見合ったものが求められる。
つまり首に提げる小板の色はギルドからの信頼の証そのものだ。
そんな彼らにとって金等級とは雲の上の存在だ。
限られたものが到達できる英雄。
そこには嫉妬などもあるがそれと同じくらい確かに憧れや敬意が存在する。
受付嬢にとって彼は恩人のような存在だった。
受付嬢──彼女は彼と会うのは初めてではなかった。
それは都にいた時、成人する以前のこと。
♢
──それは貴族の娘として参加した大貴族の邸宅で開かれた舞踏会でのことだった。英雄達が魔神王を倒し一時脅威が取り除かれてから都ではこういった豪奢なパーティが連日行われている。
子供ながらにその会で得る人脈などの重要性は理解していたがそれでも息の詰まる貴族同士の腹芸や、お世辞に疲れた彼女が向かったのは庭園のベンチだった。そこは月の光を浴びて輝く花々が咲き誇る幻想的な場所。
そこにいた先客が彼である。
その時すでに金等級冒険者として名を馳せていた彼だが、その時は普段の厳しい獅子の兜も鎧も身につけていなかった。
その胸に揺れる金色の小板がなければ誰かもわからなかっただろう。普段はあまり見せることのない素顔があらわになっていた。
だからだろうか、あまり萎縮せず話しかけることができたのは。
「美しい場所ですね」
彼が私の方を見る。少しだけ間を開けて「ああ」と短い同意が返ってくる。
「私このお花を見るのが好きなんです。名前も知らないんですけど、とても綺麗で見ていると心が落ち着くんです」
「......この花は弄月花といって、十分な栄養と入念な手入れを必要とする花だ。その分美しいが.......都以外で見るのは現状難しいだろう」
その表情には少しだけ陰りが見えた。
都の外は今もなお魔物の脅威にさらされ続けている。
高価な観賞用の植物などを育てる余裕はどこもないのが今の状況なのだろう。
「花にお詳しいのですか?」
「いや、庭師の受け売りだ」
彼はあまり饒舌な方ではないのだろう。しかし、ぶっきらぼうではあるが真摯に会話しようとしてくれているのがわかった。
「パーティには参加しないのですか?」
話題を変える。こんな場所に一人でいるのだ。きっと彼も息苦しさを感じたのだろう、と勝手な親近感がわく。
「どうにもああ賑やかなのは性に合わなくてな。それに私は戦うことしか能がない男だ。あの場所にいる資格はないよ」
物憂げな表情を浮かべる彼は何を思っているのだろうか。
「そんなこと言わないでください! 私は一人では何もできません。
貴方に資格がないと言うなら、何もない私はどうすればいいのですか」
彼ら冒険者の働きがどれだけの人々を救ってきただろう。ああいったパーティが開けるのも彼らのおかげだ。
私たちが手を血に染めることもなく生きていられるのは彼らがその分
手を汚しているからだ。讃えられるべき偉業を他ならぬ彼に否定されたように感じてしまった。
その思いと今まで人知れず抱いてきた無力感が押し寄せてきて思わず語気が強くなる。
彼は一言すまない、と口にした。
場を静寂が支配する。
数分して、沈黙を破ったのは彼だった。
「........先程貴公は自分の無力を嘆いているようだったが、冒険者だって一人では何もできない。サポートしてくれる人達がいるから戦える。帰る場所があるから頑張れる。
踊るにもパートナーがいるだろう? 私は先程貴公が踊っているところをみたが、貴公の踊りはパートナーを輝かせるような、とても美しいものだった。
自分が何かを成すのも才能だがそれを輝かせるのもまた才能だ。
貴公には私にない才能がある。それは十分な力だろう」
その言葉は私にとって救いの言葉だった。
彼にそんなつもりはなかったのだろうけど、でもあの時
私のひそかに抱いていた夢を後押ししてくれように感じた。
戦うことができなくてもできることはあると思えた。
「.......だから私に.......
「ありがとうございます!」
いてもたってもいられなかった。
彼にお礼をいい私は走り出していた。
後ろから小さなつぶやきが聞こえた気がしたが私には気にしている余裕がなかった。自分の歩みたい道が鮮明になったような感覚。
今でもあの日のことは鮮明に覚えている。
──あの日以来、ギルドの研修中などに遠くから見る機会はあったが話す機会はなかった。
きっと彼はあの時のことも覚えてはいないのだろう。
それでもあの言葉は私にとって大事な宝物なのだ。
♦︎
俺は今急いでいた。
辺境のギルドに着いてすぐに
受付嬢ちゃんから4人の駆け出し冒険者の話を聞いてまず確信した。
──これ原作開始のタイミングだわ。
原作のとおりなら彼らはここで死ぬだろう。
結構前から辺境に原作主人公であるゴブリンスレイヤーがいるのは知っていたし、情報もちょびちょび集めてはいたんだけどなかなか会える機会がなく(決して会う勇気がでなかったとかではない! たぶん)
割とブラックな環境に忙殺されていた。まあ望んでやってたんだけど。
集めた情報ではまだ彼は一人でゴブリン退治をしているようだったしまだ原作開始までは余裕があんのかなとか呑気に構えていた過去の自分を全力でぶん殴りたい。
そもそもゴブリンスレイヤー という作品は「勇者がいて魔王がいて」
というような王道ファンタジーなのだがそれでいて、勇者が強大な敵と対峙する間に別の場所でただ愚直にゴブリンを退治し続ける男が主人公だ。故に主人公であるゴブリンスレイヤーが世界の命運に関わることはない。
さらに俺に原作知識があまりない上、なにぶん見てから何年もたっているので記憶にも欠落がある。それもあって原作をあまり気にすることをやめた。
目の前の人達を守るだけでも手一杯でその余裕もなかった。
だというのにたまたまデーモン退治に訪れたらちょうど原作が始まる日って出来すぎだろ!
神も悪魔もいる世界なのでシャレにならないが超常的な力すら疑ってしまう。
恐らくこれから駆け出し冒険者の一党はゴブリン退治に向かい女神官を残し壊滅する。
ゴブリンの戦闘能力は決して高くない。むしろ人間の子供程度の力しか持たないゴブリンは文字通り最弱の魔物だろう。ゴブリンの恐ろしさはその数と奴らのもつ悪意だ。新人の冒険者がゴブリンを舐めてかかり死ぬのはこの世界では珍しくもない。
そしてそんな中で女神官とゴブリンスレイヤーは出会うのだ。
残酷な世界を女神官が知り、成長するためのイベントであり
ヒーローとヒロインの会合でもある。
俺がやろうとしていることは原作を最初から変えてしまう可能性もある。
そもそも俺がいる時点で少なからず影響は出ている。しかし、
もしも女神官が主人公とパーティを組まなかったらそれは変化として大きすぎるだろう。バタフライエフェクトという言葉のように、蝶の羽ばたきがこの先どのような変化をもたらすのかは俺にはわからない。
だけど....未来がわかっていて、それを変える力も持っていて何もしないなんてのは嫌だ。俺は何を目指していた。何のために戦ってきた。
.....人を助けるためだろうが。
助けられる命を見捨てるなんて真似をしたら
俺はなりたかった自分に一生なれなくなる。
だから──
「間に合ええええええ!!!」
何としてでも救ってみせる!
♦︎
剣士、女神官、女武闘家、女魔術師の4人がうす暗い洞窟を歩いている。
「大丈夫でしょうか......相手のこともよくわからないのにいきなり飛び込んでしまって.」
「まったく心配性だなあ。神官らしいといえばらしいけどさ」
女神官のつぶやきに剣士が返す。お金がないから装備も準備も不足していた。
それでもゴブリン程度ならなんとでもなると剣士は言う。
「ゴブリンくらい子供だって知ってるだろ?俺は村にきたのを追っ払ったことだってあるぜ」
そう剣士が言えばそんなことで威張るなと女武闘家が返す。
「ま、俺たちならたとえ竜が出たってなんとかなるさ!」
「..........ずいぶん気が早い」
楽しげに会話する彼らを見ても女神官の胸中に渦巻く不安が消えることはなく、より大きくなっていく。
気づけば女武闘家と剣士はずいぶん前の方に行ってしまったようで
彼らとの間の距離が広くなってしまっていた。
──それに最初に気づいたのは女神官だった。
ガラリと何かが崩れる音。
「今、何か崩れるような音が.......」
「どこから?前?」
「後ろから、ですけど」
女神官の言葉に女魔術師は苛立つ。
心配性だとしても最初からずっとこの調子では慎重というより臆病だ。
この洞窟は一本道だ。後ろに何かがいるわけがない。
そう言おうとして──振り向いた女魔術師の視界にはたしかに崩れた、
というより掘り穿たれた岩があった。
そしてそこから飛び出してくる
「ゴブリン?!」
その突然の事態に混乱しながらも呪文を唱えられた彼女は優秀なのだろう。
「《サジタ......インフラマラエ....ラディウス》!」
赤く燃える《
やった!そう思ったのもつかの間、
次の呪文を唱えるよりも他のゴブリン達が殺到してくる方が速かった。
彼女の誇りであり生命線の杖を奪われ、目の前でへし折られる。
「このぉ..!!!こ、のぉ!」
もはや半狂乱になって女魔術師は暴れた。
それに苛立ったのか小鬼が錆びた剣を彼女の腹に突き立て抉った。
「うわああああっ...!」
臓腑をえぐられた彼女の悲痛な叫びが響き渡る。
「この!離れなさい‼︎」
女神官は彼女を救おうと非力な腕で錫杖を振り回す。小鬼達は警戒からか少しだけ後ろに下がり、その間に女神官が奇跡を使う。
「《いと慈悲深き地母神よ、どうかこの者の傷に、御手をお触れください》」
それは治癒の奇跡。傷を癒す神々の御業。
女魔術師の腹の傷が塞がり始める。
そこでようやく異常に気づいた剣士と女武闘家が駆けつけてきた。
「おのれゴブリンどもめ!よくも皆を!」
剣士は雄々しく叫びながら小鬼を切りつける。
アドレナリンによって多少の痛みは打ち消され、一種の全能感に包まれる。
──彼はずっと騎士になることを夢見ていた。
どうすればなれるのかは知らない。
しかし弱くてはダメなのだろう。
物語に聞いた騎士とは怪物を倒し、悪を討ち、世界を救う者なのだから。
憧れと今の自分を重ねる。
女性を守り剣を振る自分はまさに騎士ではないか。
そんなことを考えた瞬間だった。
胸を切られながらも生きていたゴブリンによって太ももを刺される。
「うっ!ああっ..!こ、のぉ!」
剣士はなんとかそのゴブリンに攻撃を繰り出し完全に息の根を止める。
しかし、そこに新たなゴブリンが襲いかかる。
「邪魔だあああ!」
剣士の、切り返すべくふり抜かれた長剣が、鈍い音を立て洞窟の岩窟の岩壁に突っかかった。終わった。剣士は自分の死を予感する。
──本来、彼はそこで死ぬはずだった。
彼だけではない。
本来の辿るべき道筋では女魔術師も死に、女武闘家も思い人を失ったうえ、陵辱の果てに絶望を味わい村に引きこもってしまった。
この世界ではよくある話だ。
駆け出しの冒険者が全滅することも女が小鬼に陵辱されることも。
本来彼らもその一例となるはずだったのだ。
そう.........
だがこの世界では違った。
ひとりのイレギュラーが賽の目すら覆すことが起こり得るのだ。
「GYAAAAAAAAA⁈」
ゴブリンの悲鳴が突如響き渡る。
見ればゴブリンの腹から巨大な槍の穂が生えていた。
十字架の形状をした黄金の槍が勢いよく引き抜かれる。
《
支えを失ったゴブリンの体が地面にうち捨てられる。
彼は──剣士は思い出す。
子供の頃寝る前に何回も母にしてもらった英雄のお話。
強大な敵を倒し、弱き人々を守る、彼のなりたかったような本物の騎士。
数多の竜を屠ってきた竜狩りの英雄。
剣士は見た。
薄汚れた洞窟にあっても
黄金の輝きを放つ、獅子の鎧を纏った騎士の姿を。
♢
ここではないどこか。
ずっと遠くて、すごく近い場所で。
《幻想》と呼ばれる神さまがサイコロを振っていました。
わりと良い目が繰り返され、《幻想》もご満悦。
ですがサイコロは神様の思い通りにはなりません。
あっと可愛らしい悲鳴をあげ《幻想》は顔を覆いました。
なんともまあ酷い出目です。
それを《真実》と呼ばれる神さまが笑います。
しかし仕方ありません。
自分の冒険者達が死んだら、
次の冒険者を用意してもう一度やってみましょう。
その時、盤面にとある駒が現れました。
《真実》がうなり、《幻想》が嬉しそうに笑います。
駒であって駒ではない、「彼」の登場です。
✳︎✳︎✳︎オマケ(少女と男の昔話)✳︎✳︎✳︎
月光の当たる庭園で、俺はとんでもなく沈んでいた。
前世の頃からこういう賑やかな集まりは苦手だった。
しかし今日はそれだけじゃない。
魔物よりも百倍恐ろしいイベントが今行われているからだ。
──その名は舞踏会。
大げさだとバカにすることなかれ。
貴族社会ではかなり重要なイベントなんだよ。
俺は前世でもダンスなんてしたことがない。
まあ出るからには練習もしたさ。
でも普段戦闘で期待以上に動いてくれるこの体はダンスになると急に
ポンコツになるのか、一人ではろくに上達もせず。
睡眠時間を削り得たものはクラゲのような奇怪な動きだけ。
俺は絶望した。
他の金等級冒険者はどうしても出席できないらしく俺だけどこまでもぼっちというのも落ち込む要素の一つだ。
剣の乙女ちゃんはすごく申し訳なさそうにしてたけど......。
俺がたまたま予定が空いてたのもそうだが他と比べて
俺の立場は少し特殊だ。
俺がこの世界に来てすぐの頃、出自も不明で色々見たことのない技を使う
無駄に力を持った黄金の騎士なんて怪しいと疑ってくれと言っているようなものだ。だがそこに利用価値を見たのだろうか、城に呼び出されまして。
そしてそのとき俺は秘密裏に国王とある契約を交わした。
その結果いくつかの縛りと引き換えに金等級の冒険者達の中でもかなりの自由を得ている。契約といっても対等ではなく、王の命令は基本的にはきく必要があるが。
そして今回の舞踏会に来ざるを得なかった理由もそこだ。
まあそれはしょうがないのだが........冒険者相手にダンスを求めないでくれよおおおおお!
騎士っつっても中身ただの庶民なんだから。
見た目で判断してはいけないね。
悩んでる間も時は流れる。
........うん。どうにかしてここを抜け出そう。
緊急の用事ができたとか今すぐ鍛錬しなければ!とかなんでもいいから抜け出さなくては社会的に死ぬ。
そんなことを考えていたところだった。
「美しい場所ですね」
目の前に超絶美少女がいた。
さっき最初に会場で見たすっげえ綺麗な女の子じゃん。
ダンスもめちゃくちゃうまかったし記憶に残っていた女の子だ。
驚きすぎて思わず返事が遅れてしまった。
感じ悪いとか思われてないよね??
黙ってたら少女の方から話しを続けてくれた。
コミュニケーション能力が最下層まで振り切ってるからねこの口。
正直すごく助かる。
「パーティには参加しないのですか?」
とか思ってたらすごい痛いとこをつかれた。
まあパーティ会場にいないで庭園のベンチにぼっちで座ってる奴なんて変だよね。きっと優しさから気を使ってくれたのだろう。
飲み会に一人はいる気遣い上手な優しい先輩をイメージしてしまった。この娘かなり年下なのに.....。
.......まあ正直にダンスできないんですって答えるしかないか.....。
「どうにもああ賑やかなのは性に合わなくてな。それに私は戦うことしか能がない男だ。あの場所にいる資格はないよ」
なんかかっこいい言い回し出た。
まあもう慣れたけどこの口ほんと絶好調だな。
「そんなこと言わないでください!」
怒られました。ごめんなさい!てすぐ謝っちゃったよ。
初対面の美少女に怒られるのってご褒美とかいう奴いるけど
やられてみなよ。ふつうに落ちこむぞ。
話をきくとどうやら彼女は力不足で悩んでいるらしい。
............え?なんで?さっき踊り見たけどめちゃくちゃうまかったよ?
あれってこの世界だと水準以下なの?そんなことないよね。
沈黙がきつい。
何か言わなきゃ。考えろ!考えろ!
「...........先程貴公は自分の無力を嘆いているようだったが、冒険者だって一人では何もできない。サポートしてくれる人達がいるから戦える。帰る場所があるから頑張れる。
踊るにもパートナーがいるだろう? 私は先程貴公が踊っているところをみたが、貴公の踊りはパートナーを輝かせるような、とても美しいものだった。
自分が何かを成すのも才能だがそれを輝かせるのもまた才能だ。
貴公には私にない才能がある。それは十分な力だろう」
考えた結果すんごいのが出た。
こちらの世界に来てから喋った中で記録更新級の長文である。
だが言いたかったことは伝わったはず。
そうだ、一人では無理だったが教えてくれる相手がいるならなんとかなるかもしれない。
招待された舞踏会を抜け出すなんて良くないに決まってるしな。
この娘すごい上手かったし。
よし恥を忍んででも言おう。聞かぬは一生の恥だ。
「だから私に......」
──ダンスを教えてくれないか?
「ありがとうございます!」
言い切る前にお礼を言われました。なんで?
ダメだ。考えても全くわからん。
すごく嬉しそうな、満面の笑みを浮かべた少女が走り去っていく。
後に残るのはベンチに座って固まる俺だけ。
「...........え?」
そのつぶやきは夜風にさらわれ空気に溶けて消えていく。
なんだろうなあ.....
俺は舞踏会を抜け出す理由作りを始めたのだった。
評価バーに色がついてる!!!
泣きそうになってる土星土産です。
受付嬢ちゃんは金ピカ丸に恋愛感情とかは全然ないです。
あと関係ないんですけど遠い旅路というタイトルで他のダクソオムニバス小説を書きましたのでもしお時間があれば見ていってくださると嬉しいです!