ドラゴンスレイヤー装備でゴブリンスレイヤーの世界に転移しました 作:土星土産
ていうか2話から3話でお気に入りが10倍くらいに増えて軽くパニックになっています。
読んでくださる皆様本当ありがとうございます。
あっぶねえええええええええ!
本当ににギリギリだった。
俺が駆けつけた時に最初に見たのは地面に倒れ臥す女魔術師とその側に立つ女神官と女武闘家。
そして奥でゴブリン相手に大立ち回りを演じる剣士の姿だった。
すぐに女神官に
剣士の使う剣が壁に突っかかったのと俺がゴブリンを殺したのはほぼ同時だった。
剣士がこちらを見つめ呆然としている。
あと数秒遅ければ、きっと間に合わなかっただろう。
ゴブリンに一撃を入れてすぐ俺は剣士をかばうようにゴブリン達と向き合う。
ここまで狭い洞窟だと長大な槍も邪魔になるので一旦置き、持ってきた鉄製の
この世界に来てから買った何の効果もない武器だ。
この世界で手に入れた武器は
ただ思いっきり振るだけでもこの体の筋力で振るえば十分強力な凶器になる。
そしてここは逃げ場のない洞窟だ。
俺はそれを力任せにゴブリンの顔に叩きつける。
まず一匹が頭部を潰され脳漿が洞窟の壁に飛び散る。
しばし呆然としていたゴブリン達だったが仲間が殺され、状況を理解したのか一匹が飛びかかってくる。
そこに上手いことタイミングを合わせてスイング。
骨の折れる嫌な音を響かせながら吹っ飛び、地面に何度かバウンドして動かなくなった。
「GRUAAAA!」
背後から突然の雄叫びが上がる。
振り向きざまに見たものは錆びた剣を振り上げたゴブリンだった。
この狭い場所で回避は間に合わないと判断し腕で受ける。
カンっという高い音とともに刀が鎧に弾かれたことでゴブリンが硬直する。
俺は目の前で停止するゴブリンの頭を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
化け物に一歩踏み入れた筋力での叩きつけに地面に小さなクレーターが生まれる。少しの間ピクピクと痙攣していたがだんだん動きが小さくなっていき最後はピクリとも動かなくなった。
「これで終わりか。」
ひとまずは乗り切ったようである。
後ろでは女魔術師が回復を終えたようだった。
ゴブリンを排除した俺は負傷した剣士に駆け寄る。
「あ……あなたは.....」
「私のことはいい。それよりもこれを。」
右手に持ったポーションを彼に渡す。
原作では死んでしまった彼がこうして生きていることに何とも言えない感情が湧き上がる。
この世界に来てすぐのころ、救えなかった女の子のことが思い起こされる。
あの時と似た状況。だが結果は違う。
「そこの女魔術師殿が回復したらこの場を動こう。早くこの洞窟を離れた方がいい。」
「た……助けてくれてありがとうございます! もしあのままだったら俺、どうなってたか……。きっと仲間も……。」
「気にするな。たまたま通りかかっただけだ。」
随分無理のある言い訳をしてしまった。
「いいえ!私からもお礼を言わせてください。……正直、油断していました。ゴブリン相手に負けるわけないって……私達なら平気だって……。」
女武闘家が悔しそうに拳を握る。
この世界はどこまでも残酷だ。
ある日突然隣にいた者がいなくなることがある。
愛する者が陵辱され、死ぬよりも酷い苦痛を味わうことがある。
よくあることだ。そう言ってしまえばそれまでだ。しかしそれを少しでも変えたくて俺も戦った。それでもたくさんの人たちが目の前で死ぬのを見てきた。
「弱いものでも集まれば強者を倒し得る。それを学べたのだ。貴公らはきっと強くなる。」
ダークソウルでは雑魚亡者が一番強いとか言われてたりしたけどその理由は数だ。タイマンならドラゴンでも殺せるが相手が多数になると一瞬でボコボコにされる。
ささいなことで死に直結する。正直こんな抜けてる俺が生きてこれたのも運の要素が大きいだろう。
俺も今だって油断すればゴブリンに殺される可能性は十分ある。
──その時、俺の耳が
一種類は恐らくゴブリンのものだ。気配を殺しているつもりらしいが十分対処はできるだろう。だがもう一つの方、これは──
「っ……!危ないです‼︎」
女神官が突然悲鳴をあげる。見やればやはり後ろから新手のゴブリンが短剣を持って忍び寄って来ていた。奇襲をかけるつもりだったのだろう。
──しかし、それは失敗に終わる。
「GUAAAAAAI?!」
「……まず一つ。」
なぜなら
突如飛来した短剣が、忍び寄ってきていたゴブリンの喉元に突き刺さる。
恐ろしいほど正確な投擲技術だ。
女武闘家達はそこで初めて
闇の中から姿を表したのはあまりにもみすぼらしい格好の男。
薄汚れ、ツノの折れた兜と鎧、中途半端な長さの剣と松明。
幽鬼のような出で立ちの男がこちらに歩いてきている。
俺はあの男を知っている。
あの不恰好な装備は、ただゴブリンを殺すため、実用性だけを追求した結果だということを知っている。
ゴブリン達を殺しその結果どれだけ沢山の人が救われたかを知っている。
彼は決して勇者のように選ばれた存在ではなかった。世界を救うこともないのだろう。だがそれでも彼は紛れもない英雄だ。
「あ……あなたは……?」
兜の下の表情は窺い知れないが、その問いにスリットから覗く視線が女神官へと向かう。
この光景を画面越しに俺は見たことがあった。
ここが、全ての物語の始まりなのだ。
彼がその名を口にする。
「
♢♢♢♢
いやあどうも金ピカ騎士こと竜狩りの騎士です。
ただいま街に戻り、受付嬢ちゃんと仕事の話をしているところです。
今日もすでに色々あったし、一区切りついたらそろそろ休暇でもとってゆっくり休みたいなあとか思う今日この頃。
え?ゴブリンはどうしたって?
まあ普通に全部
やっぱかっこよかったね。
剣士達を置き去りというわけにもいかないしゴブリンスレイヤーが「好きにしろ」っていうから結局俺ら全員で付いて行ったんだけど正直要らなかったかも。俺ほとんどなんもしてないし。
経験を感じさせる洞窟の探索や、容赦も油断もなく効率的にゴブリン達を倒していく様は圧巻だった。
駆け出し冒険者一行も各々思うところがあったようで。
冒険者を今後続けていくならいい教訓になっただろう。
彼らのゴブリンスレイヤーを見る目には確かな敬意が感じられた。
女神官ちゃんは中でもゴブリンスレイヤーに対して感じるものが大きかったようでなんかこの冒険のあともゴブリンスレイヤーについて行く気らしい。
そこは原作通りになりそうで正直なところ少しだけホッとした。
見る目といえば剣士の俺を見る目がなんというか凄いことになってたな。
鬼気迫る表情というか……特に何かを言ってくるわけではないのだが視線がやけに熱かった。
まさか彼はホのつくモの方なのだろうか。
……え? 違うよね?
……とにかく無事に彼らを助けることができたしゴブリンスレイヤーとも知り合いになれた。
満点に近い結果なのではないだろうか。
「──と、ここまではよろしいですか?」
「あ、ああ聞いているとも」
危ない危ない思考に没頭して受付嬢ちゃんの話を聞き逃すところだった。
はじまりは正体不明のデーモンと最初に相対した銅級冒険者の一党が一瞬で全滅しかけたことらしく、強大な力を持っているだけに対処に困っていたらしい。
費用はかさむが銀等級冒険者達をギルドで複数雇うなどの対応をしようとしていたところ俺が来ると都から報告があって驚いたらしい。
まあ実際ほとんど被害が出ていないので本来国の難事に対処する金等級冒険者が動くことはほぼ不可能だ。あくまで俺が例外的なだけで。
ギルドとしても未知のデーモンに辺境でも数少ない、虎の子の銀等級をぶつけることはあまりしたくなかっただろうしちょうど良かったのだろう。
今わかっている情報は全て開示してくれている。
といってもまあほとんど何も分からないようなものなんだけど。
「なによりも特徴的なのがこのデーモンは一定範囲から出ないという点です。相対した冒険者の方々も逃げに徹した結果デーモンの方が撤退したようです。」
どうやらこちらからちょっかいをかけなければ攻撃もしてこないらしい。
まあ強い悪魔が出た割には街が平和そうだなとは思ってたけど。
ある意味無害といえば無害なのだがそのままにしておくわけにもいかない。
急に活発に動き出す可能性もないではないのだ。
そもそも近くにデーモンがいたらその地の人々の気が休まるはずもない。
個人的に気になる点もあるが……。
受付嬢ちゃんの話は終わり、話題はゴブリンスレイヤー君の話になった。
彼女は原作通り彼に好意を持っているのだろう。
なんかデーモンの時より話に熱が入ってる気がする。
何はともあれ俺のやるべきことはデーモンの討伐だ。
今日はもう日が暮れるので明日の朝にでも出発するとしよう。
「……もう! ちゃんと聞いてるんですか!」
「……すまない。」
聞いてます。すみません。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
と、そんなわけで朝から半日歩いてその突如出現したデーモンのいる遺跡に来たわけだが。
……いや、あのね。もしかしたら、とは思ってたよ?
なあんかこの遺跡もデーモン遺跡に似てる気がしてたし。
嫌な予感もしてたさ。
デーモンの見た目の話を聞いてるときとか嫌でも頭に浮かんじゃったからね。
硬い石のような見た目の体に、湾曲した巨大な角を生やし、
手に持つのは巨体に見合ったサイズの刺又。
そして何よりも
この特徴を全て持ってる奴なんて俺は一つしか知らない。
ダークソウルに出てくる混沌の炎で楔石が変化した結果生まれたデーモン。
ボスキャラでもユニークキャラでもないが下手したらボス以上に火力が高く序盤で挑むと痛い目を見る、俺もトラウマがいくつかある、そんな敵。
──“楔のデーモン”との戦いが今始まった。
ほんとに軽い気持ちで書いてしまって今どうしようって感じです。
もっとちゃんと練って書けばよかった......